ドラゴンクエスト1勇者


現在の日本製RPGの元祖*1とも言えるエニックスの偉大なRPG『ドラゴンクエスト』の主人公。
勇者ロトの血を引く男で、小説版での名前はアレフ
アレフガルドから奪われた光、そしてラダトーム城からさらわれたローラ姫を救うため、
たった一人で邪悪の化身竜王との戦いに挑んだ、まさに勇者である。
担当声優はCDシアターでは 関俊彦 氏、『ライバルズエース』では 花江夏樹 氏。ん?
何の因果か、関氏は後に『DISSIDIA FINAL FANTASY』にて初代『FF』主人公にあたるウォーリア・オブ・ライトの声も担当しており、
『DQ』『FF』両シリーズの初代主人公の声を担当した事になる。

剣と魔法をバランス良く使える万能戦士型だが、実は入力された名前によって幾つかの成長パターンに分かれる仕様で、
それによっては魔法の方が得意だったり、逆に武器の方が得意になったりもする。

プレイヤー=勇者といった仕様のため、ラダトーム城に現れる前の来歴については一切描かれていないが、
小説版などの作品では竜王によって滅ぼされた、ドムドーラの街の武器屋の孫とされる事が多い。
というのもこのドムドーラの街にはロトの鎧を受け継いだ武器屋ユキノフが店を構えていたためで、
『モンスター物語』『アイテム物語』等では、ユキノフもまたロトの子孫であったという事が語られている。
またラダトームの城下街には「○○、お前を死なせたくはないものだな……」と語る知人らしいNPCも存在しているため、
出身はともかくとしてもラダトーム育ちなのでは、という考察もなされている。
そのためか小説版ではドムドーラ滅亡後、ラダトームの鍛冶屋夫妻に引き取られて育ったという設定となっている。
ゲームブック版ではそのどれとも異なり、勇者の証であるアザが浮かび上がったため、どこかの村から連れてこられた若者である。

ラダトーム城を旅立った勇者は、長い冒険と戦いの果てにローラ姫を救い出しゆうべはお楽しみでしたねして
伝説のロトの装備、太陽の石、雨雲の杖を揃え、魔の島に続く虹の橋をかけて竜王との決戦に挑むと、
アレフガルドに光を取り戻し、ローラ姫をいくら断っても「そんな、ひどい……」と言うので伴って、
遥かに広がる外世界へと旅立っていった。
『ドラゴンクエストII』の三人組は彼とローラ姫の子孫である。
ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクでおおよそ世界地図の1/4を統治下においているため、
王としての才覚も素晴らしいものがあったと思われる……まあ、ローラ姫の采配かもしれないが。

初代はFC初期の作品という事もあり、グラフィックが前面分しか用意されておらず、
所謂カニ歩きで常にプレイヤーの方を向いている。こっちみんなとか言ってくれるな
階段の登り下りにわざわざ「かいだん」コマンドを使わねばならず、宝箱のアイテムを獲得するにも専用のコマンドがある、
「はなす」コマンド後に人のいる方向を指示する必要がある等、当時のPCゲームを取り込んだような仕様となっている。
ただ、当時のCRPGはコマンドや魔法をキーボードで入力する事も多かったため、
それらに比べたら遙かにインターフェイスは良く、当時の子供達にとってはかなり取っ付きやすかっただろう。

+ 『ドラゴンクエスト』
こうした「初めてRPGを遊ぶ人」向けの創意工夫があれこれと盛り込まれた本作だが、
詳しくは*1を参照して頂きたいが、当初はフィールドにぽんと放り出される『ウルティマ』式のスタートだったため、
目の前のラダトーム城や街に入る事さえせずに戦って死ぬテストプレイヤーが続出し、
お城の玉座の間に監禁からスタートさせ、そこで一通りのチュートリアルを行うようにしたのは有名な話。

他にもFCのコントローラーの性質上文字入力が非常に面倒なため、
開発を担当したチュンソフトがこれ以前に発売したファミコン版『ポートピア連続殺人事件』で採用したコマンド選択式をRPGに導入した事で
(PC版ポートピアは文字入力だったが、ファミコン移植にあたり次作『オホーツクに消ゆ』のシステムを輸入したもの)、
単純かつ最小限度のコマンド構成でゲームシステムを確立させたのも大きな特徴だろう。

またその当時は「ぼうけんのしょ」(バッテリーバックアップ)なんてものは存在しなかったため、
王様から教えてもらう「ふっかつのじゅもん」(パスワード)をメモに書き取り、それを入力して続きから始める形になっている。
だが、メモを書き間違えたり、当時のTVの性能(画面が滲みやすい)から似た文字を見間違えたり
広告チラシの裏に書いた為に親に捨てられたりして、涙目になった人も多かった事だろう。

なお、この初代『ドラゴンクエスト』のプログラム容量は僅か64キロバイト。
当wikiの1ページの容量制限がかつて50キロバイト弱→100キロバイト弱→300kbであったという事を考えると、
これがどれだけ凄まじいかお分かりいただけるだろうか。
この内、容量の大半は敵キャラクターのグラフィックや会話データに使われているので、
マップ上でのプレイヤーキャラのグラフィックが前面分しか用意せれなかったのも容量確保のための策とも言える
(尤も当時のパソコン用RPGでは本作以上にグラフィックが貧弱な作品も少なくなかったが)。

+ 『ドラゴンクエスト』シリーズの遍歴
そして今でこそ確固たる地位を築いた『ドラクエ』シリーズも、この初代ではごくごく平均的な売り上げであった。
また、この初代と続編の『II』まではMSX及びMSX2という当時のパソコン規格用にも発売されている
MSX版『II』は元祖「あぶないみずぎ」(一枚絵付き)で一部に有名(なおMSX2版にもあぶないみずぎはあるが一枚絵は無し)

ただし、これまで本格的なRPGはパソコン発祥の難解な構造のものしかなく、
徹底したコンシューマ機向けのRPGとしてはこの『ドラクエ』が初めてである。
また当時は各ゲーム誌のみならず、関係者の一部が所属する『週刊少年ジャンプ』のバックアップもあった事から知名度を上げていき
(原作者の堀井雄二氏は当時のジャンプで『ファミコン神拳』と言うファミコンコーナーを執筆していた。*2
 キャラデザの鳥山明氏は言わずと知れた『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』の作者)、
そして続く『II』から注目作へ、『III』では社会現象に至るまでの大ヒット作となった。

以後、『ドラクエ』シリーズは「そのハードの命運を決定付ける指針」とされるタイトルになり、
「『ドラクエ』はその時一番普及しているコンシューマ機に(据置・携帯問わず)製作する」というスクウェア・エニックスの方針もあり、
『ドラクエVI』まで任天堂機で続いていたシリーズも、普及台数から『VII』ではプレイステーション、
『VIII』ではプレイステーション2へと移った事もあった。
同様の理由で『IX』はニンテンドーDS、シリーズ初のオンライン作品『X』はWiiで発売され、再び任天堂機へ舞い戻った。
『X』は後にWii U、ニンテンドー3DS、Nintendo Switchでも発売され、『II』以来となるパソコン版も登場。
そして『XI』ではプレイステーション4とニンテンドー3DS、豪華版兼廉価版の『XI S』ではNintendo SwitchとXbox Oneとパソコン版、
といった具合にマルチプラットフォームでのリリースとなった。
『XI』ではハードを跨いだクロスセーブ用として「ふっかつのじゅもん」が再登場している。
今現在はかつてのハードの命運を決める程の勢いは無くなってはきたが、それでも新作発表は常に注目されるタイトルである。
一方でエニックスの売り上げが「『ドラクエ』の発売年とそれ以外で違いすぎる」(株価が不安定すぎる)事を株主から問題視されたのが、
月刊少年漫画雑誌『少年ガンガン』の発刊理由だったりする(そのせいか、連載作家には『ドラクエ』4コマ参加者が少なからずいる)。

なお、この『ドラクエ』シリーズは、発売元はエニックス(後のスクウェア・エニックス)であるが、
実はエニックスは開発部署は一切持たない企画会社であり(そもそも会社設立時は不動産会社だった)、
ゲーム業界参入第一弾も賞金総額300万円の「ゲーム・ホビープログラムコンテスト」を開いて入賞作品を商品化する事であった。
『ドラクエ』のシナリオ担当の堀井雄二氏とプログラム担当の中村光一氏(後のチュンソフト代表)は双方共に第一回コンテスト入賞者であり
(堀井『ラブマッチテニス』(入選)、中村『ドアドア』(優秀賞。エニックスのファミコン参入第一弾にも選ばれた)。
 なお最優秀賞は、後に『森田将棋』で名を馳せる森田和郎氏による『森田のバトルフィールド』)、
エニックス自身は企画は行うが開発は全て外注という体制をずっと続けていた
(これはスクエニへの合併後も同様であったが、『Ⅸ』が延期を繰り返したのを切っ掛けに『Ⅹ』からは自社開発に移行している)。

スクエア・エニックスが都度都度、最新機種でのリメイクや移植作を必ず発表しているために、未だに知名度は高い。
2019年にNintendo Switchに移植された事で若年のVTuberによる初見実況プレイ配信もちょくちょく行われており、
初見視聴者はもとより既プレイヤーも、初めてのドラクエを楽しむプレイヤーの姿を見てドラクエの面白さを共有している。
「今日は最初の仲間がパーティに入るまでやりたいと思います!」
リゼ・ドラクエスタ
はいしんしゃ の ちょうせん

本作が発売から数十年を経てなお愛される、RPGの金字塔である証拠だと言えよう。


派生作品における勇者

リメイクもされており、SFC版以降ではカニ歩きではなくちゃんと横や後ろも書かれている。
当然、「ぼうけんのしょ」によるセーブに変更されているので安心して欲しい。
また、『剣神ドラゴンクエスト』は『DQ1』のキャラデザを変更してのリメイクとも言える作品である。
ちなみに新デザインの主人公の見た目は、それまで青系統のイメージだったのが赤色の服と金髪に一転し、一言で言うなら「超サイヤ人」。
『DQMB』でもこちらのデザインが採用されているが、家庭版で追加された「王女の愛」をとどめの一撃に使った際に流れるムービーで鎧兜を着用し、
旧来のデザインに戻るという演出が為された。
1:36~

また、『DQMB』には初代パッケージ(上図参照)の構図を再現したレジェンドSPカードも登場したが、
勇者のデザインは変更されていないが、相手方のドラゴンが竜王(デザインはリファイン版の所謂「竜神王」)に替わっており、
感慨深くも当時と大きく印象の異なるイラストとなっている。

アニメ『ドラゴンクエスト・アベル伝説』では伝説の勇者ガブリエルとして登場。
主人公アベルの祖先でもある先代の青き珠の勇者であり、邪悪なエスタークの民と戦い、不死をもたらす伝説の竜を封じた強者。
エスターク最強の戦士であるルドルフ将軍を吹雪の剣で氷漬けにする事で封じた他、各地に竜伝説を紐解く為のヒントと試練を残している。
これは伝説の竜を封じる青き珠は、勇者が心身共に成長していなければ真価を発揮する事ができないというものであったためで、
アベルが何故世界中を旅し、冒険を繰り返し、謎を解いて試練に挑まねばならないのかの理由付けになっている。
そして名実共に大勇者となったアベルは受け継がれた勇者の鎧の力を引き出し、魔王バラモスとの最終決戦に挑む事になる。
ちなみに勇者ガブリエルは角兜なのだが、大勇者となったアベルの鎧は羽兜となっており、着用者ごとにデザインが微妙に異なるようだ。

漫画作品『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』では、
かつての戦いで勇者アバンが『I』勇者と同じデザインの鎧を着ていた事が描かれ、魔王ハドラーもまた竜王と同じデザインのローブを纏っていた。
前日譚『勇者アバン』並びに以降の回想では別の鎧を装備していたが、途中で着替えたのだろうか……と思ったら、最終決戦まで別の装備であった。
一応カール王家に伝わる聖なる装備をジュニアール家仕様に改造した、DQ1勇者の装備に似た「アバンのよろい」だったけど。
ついでに兜もオミットされてヘッドギア型の額当てになっていたが、髪形が見えなくなると誰だか分からなくなるので仕方ない

同じく漫画作品の『ドラゴンクエストモンスターズ+』では『I』の勇者本人が登場。
「りゅうおう≒」が作り出した異世界に呼び出されていた所を主人公のクリオと出会い、仲間と共に戦うという元の世界ではできなかった体験をする事になる。
『I』に似たこの異世界は、りゅうおう≒の中の「りゅうおう」という存在自体が持つ望郷の気持ちが作り出したものと言われており、
りゅうおうと因縁深い勇者が導かれたのも恐らくは似たような原因だったものと思われる。
本作では『DQ1』のみが常に1対1の戦闘となっている事を受けて、クリオが想像もできない生死をかけた過酷な戦いを繰り広げており、
クリオ達の介入によって1対1でなくPT戦となった結果、常に会心の一撃を連打できるほどの凄腕の戦士としての実力を発揮した。
第十話のタイトルコールで描かれる、FC版パッケージをもとにした吉崎観音氏渾身の見開きカットは必見もの。
とはいえその人柄については割と呑気だったり愉快な所もあり、ローラ姫を連れて一晩お楽しみしてもおかしくはない……のかもしれない。

大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』では勇者の最後の切りふだの演出で非プレイアブル歴代主人公達と共に登場。
プレイヤー主人公に力を送りサポートする。
ちなみに初代主人公なだけあってかセンターポジションにいる。

『ドラゴンクエストビルダーズ』では、プレイヤー誰しもが一度は選択する「世界の半分」を受け取ってしまった後の世界が舞台となっている。
アレフガルドは既に滅ぼされてしまい、勇者の存在はもはや消え失せてしまったと思われたのだが……。
+ 『DQB』ネタバレ注意
実は「セカイノハンブン」と書き殴られた建物の中に幽閉されており、未だに生きていた事が終盤明かされる。
もはや自分が何者なのかすらも覚えておらず、完全に正気を失っており、その姿はオルテガ殺人鬼そのもの。
名前表記も「やみのせんし」となっており、精霊ルビスやローラ姫でさえ、彼が勇者であった事に触れようとはしない。
加えてロトの剣と思しき武器を手にしているが、そこからは歴代勇者の共通項としてデザインされていた宝玉が失われている。
残念ながら、彼はもはや勇者ではないのだ。

戦いの後、精霊ルビスから彼の選択について「それもまた人間らしい回答」と認められた事がせめてもの慰めか。
また、その末路を聞いたヒロインの一人であるエルは最終章の最中に、
「そもそも彼は長い冒険の末にあと一歩で竜王を討ち、名実共に真の勇者になれるという場面で、
 『世界の半分をやるから味方になれ』なんて甘言を本気で信じたりしたのでしょうか?」
と疑問を呈していた。
そして最終決戦後、自由気ままに建築を楽しみ住民達と触れ合う本作の主人公と対比して、
「きっとその方は勇者の血を引く選ばれし者として生きてきて、自分で自分の道を選ぶことなど一度もなかったのではないでしょうか。 
 そんな中で自分の道を決められる選択肢を与えられてしまったら私なら考えてしまうかもしれません。」
「自分がもしここで『はい』を選んだらどうなるんだろう、と」
と、その心情を推し量って同情している。
彼は世界の半分という富や権力を欲したのではなく、真面目に勇者として生きていたが故の好奇心に負けてしまったのではないか、という事である。

実際問題、『DQ1』をプレイしていたプレイヤーで竜王の誘いを本気で信じて「はい」を選んだ人は殆どいないだろう。
大体のプレイヤーが「流石に世界の半分をくれるわけがない。何かの罠だ」と思いつつも、
「でもここで「はい」を選んだらどうなるんだろう」という好奇心から「はい」を選んだ人が殆どかと思われる。
即ち好奇心に負けて「はい」と答えてしまったであろうやみのせんしも、正真正銘プレイヤー自身なのである。
だからこそ、精霊ルビスも「人間らしい回答」と評しているのだろうし、ローラ姫もあえて彼の選択に対して何も言わないのだろう。
所謂「(周回含め一度も「はい」を選んだ事が無い者だけが石を投げなさい」という奴である。

また、「やみのせんし」はしきりに「俺は王だ」と叫ぶのだが、竜王を討伐した際のEDの最後の最後で、
彼自身が自らの意志に基づいて「アレフガルドを旅立ち自分の王国を手に入れたい」という望みを告げる事を考えると、
それ故に「はい」と言ってみたくなった事、その結果として全てを奪われてしまったという哀れさが窺える。

ちなみに勇者時代はお城の兵士に「王様がくれた旅支度がしょぼい」と散々愚痴を垂れていたらしい。
実際この時に支給されるのは120Gと松明、そして魔法の鍵1つだが、鍵は玉座の間から出る時に消費する
主人公は布の服一枚纏わず、寸鉄一つ帯びておらず全裸って事はないと思うが、ラダトーム城下で販売されている装備は、
たけざお(10G)、こんぼう(60G)、ぬののふく(20G)、りゅうのうろこ(20G)、かわのたて(90G)、かわのふく(70G)といった所で、
たいまつ(8G)は一本あるから良いとして、安全に旅をするにはやくそう(10G)、せいすい(12G)なども欲しい事を考えると……。
これからアレフガルド中を旅してローラ姫を救助して竜王を倒すには、あまりにも乏しい初期予算である事をプレイヤーは痛感する。*3
そのためこの支給品はあまりにも低予算だとユーザー間では度々ネタにされており、
魔法陣グルグル』等では「主人公は多数派遣される自称勇者の一人に過ぎない」とされた。ローレシアの王子?知らんな
とはいえラダトーム軍は開戦初期に魔の海の合戦でほぼ壊滅状態、都市間の物流も完全に遮断されてしまっており、
さらにラダドーム城の宝物庫の合計4つの宝箱はFC版では1つに付き大体10Gくらいしか入っていない
リメイク版以降は他3つが魔法の鍵や種に中身が変わっており、最後の1つにまとまったお金が入っているが、それでも340G前後しか入っていない
「国を救う勇者に対してすらこの程度の予算しか支給できない」という極めて追い詰められた状況にある証拠なため、
愚痴られた兵士としてもさぞや対応に困った事だろう。
小説版では王家伝来の宝剣、革鎧、金貨5000枚以上を渡されているのでかなり優遇されている一方、
魔物が一切金を落とさないので、どちらが良いかは悩ましい。

なお、無名NPCの中で「やみのせんし」ただ一人だけ、メッセージウィンドウの名前欄に「****」と表示されている。
あの日あの時、我々が入力した四文字の名前がそこに刻まれているに違いない。
ありとあらゆる意味で、「やみのせんし」はプレイヤーにとっては身につまされる存在なのであった。


MUGENにおけるドラゴンクエスト1勇者

あなろぐ餅米氏によるFC版ドットを使用したものが存在している。
初代のFC版ドットなので当然カニ歩き。こっちみんな。
飛び道具のギラ、相手の必殺技を封じるマホトーン、DQキャラではお馴染み攻撃判定を持ったルーラ、
相手を気絶状態にするラリホー等、原作の魔法を使い戦うテクニカルなタイプのようだ。
ゲージ技は回復技のホイミとベホイミ、攻撃魔法のベギラマ、全画面攻撃の光の玉となっている。
AIもデフォルトで搭載されている。


「そなたこそ この世界を治めるに ふさわしいお方なのじゃ!」
「わしに 代わって  この国を 治めてくれるな?」
しかし 勇者は言いました。
「いいえ。私の治める国があるなら それは私自身で探したいのです」

出場大会



*1
なお、パソコン業界ではアメリカ製の『ウィザードリィ』『ウルティマ』…は置いといて
(当時はゲーム及び対応パソコンを個人輸入するしか遊ぶ方法がなかった。勿論全部英語)、
『ドラクエ』の2年前に発売された『ザ・ブラックオニキス』(BPS)の大ヒットにより、
日本のパソコンゲーム業界ではコンピューターRPGブームが既に起きていた。
エニックス自身も『ドラクエ』の前年に『地球戦士ライーザ』と言うSFRPGを発売している
(ファミコン版は『銀河の三人』というタイトルで『ドラクエ』の翌年に発売された)。
『ドラクエ』は『夢幻の心臓』(システムソフト)を参考にしたとも言われており、実際に類似点は多い。

一方で、マニアの遊びだったRPGを一般に知らしめ、日本中をブームに巻き込んだ功績を持つのは疑いようもない。
今やパソコンないしタブレット端末やスマホを触った事が無い人の方が珍しいが、当時はパソコンを持っているだけでもオタク呼ばわりされ、
所有者も40人学級に1人居るか居ないかと言う時代である。
また、RPGなんて聞いた事さえ無いファミコン少年でも理解できるようにインターフェイス等を工夫したり、
「ゲーム内で」ルールを事細かく説明したりした部分も大きい
(本作が王様の前からスタートするのも、町の外でスタートしたらテストプレイヤーの子供達が装備無しのまま遠出して殺された上で、
 「そこ(町アイコン)に入れるなんて聞いてない」と言い出したからである)。
何せ当時のファミコン少年には理解不可能だった所為でクソゲー呼ばわりされた名作パソコンゲームも存在していたぐらいなのだから。
…実はエニックス自身もヒットするとは思っていなかったらしく、
開発陣に対し「そんなの作る暇があったら『ポートピア連続殺人事件』の続編を作れ」と文句を垂れていたのだとか。

*2
この事からか、2018年発売の『ニンテンドークラシックミニ ファミリーコンピュータ 週刊少年ジャンプ創刊50周年バージョン』にも、
連載作品のゲームや『ファミコンジャンプ』2作などと同時に、このファミコン版初代『ドラクエ』も収録される事となった。
一方で読者投稿コーナー『ジャンプ放送局』担当のさくまあきら氏が監修した『桃太郎伝説』は残念ながら収録されなかった。
ハドソンはハドソンで色々あったからだろうか

*3
当時の取扱説明書には「棍棒と布の服か、それとも竹竿と革の服か?」と書かれており、
公式ガイドブックでは「棍棒と布の服」の組み合わせが採用されている。
というのも、棍棒を装備すればラダトーム近隣の敵をほぼ確実に殴り倒せる事に加え、
革の服が70Gで守備力+4なのに対し、布の服と竜の鱗なら40Gで同じ守備力を確保できる上に、
FC版では竜の鱗は装備品ではなく「使用すると1回だけ守備力が上がる」アイテムのため売却しても問題無く、
実質的に30Gで守備力+4に到達、棍棒と合わせても90Gで済むという、かなりの節約になるのである。
また、棍棒と薬草を諦めれば革の盾に手が届くため、そういう意味でもこちらの方が選択の幅が広い。
なにしろ次の盾である鉄の盾は800Gと極めて高額だし、LV4程度まで頑張れば攻撃呪文のギラを覚えるので、
この時点で盾を優先して購入する代わりに武器を持たないというのも、十分有りな方針なのだ。
おまけにラダトームには無料でMPを全回復してくれる老人がいるため、戦闘と回復を呪文で十分賄える。
他の選択としてはあえて何も買わずに旅立ってスライムらと殴り合い、貯金をしてから装備を整えるというのもあるが、
名前によって決定される能力値次第ではドラキーなどに先手を取られて確実に殴られる事もあって、やや困難か。
とはいえそこまで致命的な差が出るわけでもないので、結局は好みの問題。自由に装備を整えると良いだろう。

ちなみに、SFCリメイク版以降は竜の鱗が装備品となった代わりに守備力+5と防御効果が高まっている上、
スマホ版以降は初期所持品として竹竿を持っている事から武器の不足も無いため、何は無くともとりあえず竜の鱗を買っておくのが安牌である。
なんで服無しで竹竿1本だけ持って玉座の間にいる事になったのかは謎だが、余計シュールな気はしないでもない


最終更新:2024年03月12日 00:53