サンダウン・キッド


「人を‥‥ 守る事を‥‥ もう一度教えられた‥‥ あんたたちに‥‥!」

スーパーファミコンで発売されたスクウェアのRPG『ライブ・ア・ライブ』の主人公の一人
最初に選べる7つのシナリオの1つ「西部編」(キャラデザイン:石渡治)の主人公。
リメイク版での担当声優は 大塚明夫 氏。
ゲームでは名前入力時に前半部分を変更可能で、作中では「○○・キッド」と呼ばれる。
+ リメイク版における「名前」についての余談
「キッド」まで含めて名前のため、フルボイス化されたリメイク版でも(一部のみとはいえ)ボイス付きで名前を呼ばれる数少ない主人公。
他に明確に名前を呼ばれるボイスがある主人公は、名前ではなく流派名が変更対象の「功夫編」の面々と、
強いて言えば名付けのシーンで候補としてデフォルト名が言及されるキューブくらいしかいないため、そういう意味では結構貴重な存在である。
更に厳密に言えば「功夫編主人公」は一貫して「老師」呼びなので、ある意味唯一とも言えなくもない

町から町へと渡り歩くさすらいのガンマン。無口だが銃の腕は超一流。
おたずね者であり、その首にかけられた賞金は5000ドル。
だが根っからの悪者では無いようで、弱き者の頼みにはノーと言えない。
賞金稼ぎのマッド・ドッグには幾度も付け狙われているが、毎回軽くあしらっている。

+ 過去に何か秘密があるらしいが…。
実は彼は悪者ではなく、かつてその腕の凄さで西部にその名を轟かせた名保安官だった。
要するに犯罪者を懲らしめる方だったのである。
しかし、あまりの銃の腕に決闘を挑む者が絶えず、彼の町はいつしか無法者が押しよせる事になった。
皮肉にも町の治安が著しく悪化してしまったことを憂いた彼は、
やがて自らの首に賞金を掛けておたずね者となり、死に場所を求め荒野をさすらうようになった。
この事実は当初はプレイヤーにも伏せられており、西部編エンディングにて初めて明かされる。

非常に無口で、「‥‥」を多用する口調が特徴。背後に立つと反射的に殴りかかってくるかは不明だが。
背後からの攻撃だろうがマルチカウンターで反撃するが


原作解説(西部編)

サブタイトルは『放浪』。
サンダウンが偶然訪れた町では悪党達が幅を利かせており、
街の人たちと協力して罠を仕掛け、悪党を撃退する、というシナリオ。
西部編のテーマBGMである「WANDERER」も「放浪者」という意味である。

+ 西部編ストーリー

リメイク版西部編ショートトレーラー

舞台はアメリカ。ゴールドラッシュで賑わったのも昔の話、寂れた町々が残るのみだった。
放浪者のサンダウンはそんな町の一つ「サクセズ・タウン」に訪れたが、
そこは無法者集団「クレイジー・バンチ」に支配されており、人々は怯えて暮らしていた。
だが、サンダウンが手下の一人であるパイクや報復に来た刺客をあっさりと撃退した事により、町の人々から懇願され、
サンダウンを追ってきた賞金稼ぎのマッド・ドッグと一時的に手を組んで悪党を撃退することになる。
プレイ動画(ただしオンミョウ弾を食らえ!

悪党達が攻めて来るまでには鐘8つ分の時間制限があり、
その間に町で罠の材料を集め、住人達に罠を仕掛けさせるというのが主な内容。
依頼する住人によって仕掛け時間の得意不得意があり、中には特定人物しか扱えない罠もある。
そして最後に悪党達のリーダーのO・ディオ、そして彼の手下達と対決するのだが、
罠の仕掛け具合によって手下の人数を減らす事ができ、戦闘が有利になる。
全ての罠を上手に仕掛ければ、O・ディオ以外の手下全員を罠で事前にあしらうことが可能。
逆に罠を仕掛けないと15人全員とガチで戦うことになり、かなり苦労することになる。
ただし罠無し15人撃破も一応可能

なお、西部編のヒロインであるアニーのクローゼットは、彼女が罠を仕掛けに出かけている時のみ調べられ、
「アニーのシミーズ」(要は下着)という装備品を手に入れることができる。当然ばれると没収。こいつ(元)おまわりさんです。
そしてサンダウンやマッドに装備することも可能。装備したまま最終編に持ち込んで脱ぎ、レイ・クウゴに渡して装備させることも可能。セクハラだ
残念ながら(?)リメイク版では「アニーの日記」に変更された。性能は変わってないので、日記なのに体防具である。
実用的にはマッドの綺麗な服を自分のボロい服と交換するが。

彼の元ネタは、20世紀アメリカにて銀行・列車強盗団として名をはせた一味「ワイルド・バンチ」の一員であったガンマン「サンダンス・キッド」と思われ、
同強盗団は敵役クレイジー・バンチの元ネタでもあろうと思われる。
その他西部編は西部劇黄金時代の作品群のオマージュにあふれており、同ジャンルの名優と同名の脇役達等も登場する。
他、外では西部劇には付き物の枯れ草の塊(タンブル・ウィード)が風で転がって行くが、
製作時にその形状で四苦八苦していたというスタッフの裏話があるなど、制作陣のこだわりがうかがえる。
ただし内容的には黒澤明の名作『七人の侍』であろう。一応オマージュ作に『荒野の七人』と言う西部劇も存在したが。

なおO・ディオは作中において「第七騎兵隊唯一の生き残り」とされているが、史実では第七騎兵隊員は全員死亡しており生き残りは居ない
(アメリカ開拓時代に第七騎兵隊が全滅した(降伏した者も処刑された)史実に基づいている。歴史を調べて確認してみるのも面白いだろう)。
しかしO・ディオが生き残りなのも事実であり、この矛盾に対する答えは彼を倒した後に明かされる。
劇中で言われているように「インディアン達に全滅させられた第七騎兵隊」の生き残りなら、真っ先にインディアン達を恨みそうだが、
開拓者たちの村を蹂躙していたのも彼の正体を見ると「インディアンも白人も関係なく人間全体を恨んでいた」と納得できなくもない。

余談だが一般的に西部劇での第七騎兵隊はヒーロー扱いであり、それが敵役として登場するのも『LAL』というゲームの作風と言える。
+ 第七騎兵隊が西部劇のヒーロー?
実はヒーロー扱いなのは「死んだインディアンだけが良いインディアンだ」を合言葉に白人(ヨーロッパからの移民)が侵略行為を正当化していた時代の物であり、
今となってはアメリカ政府によるインディアン(アメリカ先住民)虐待(民族浄化)の尖兵だったとして半ば黒歴史と化している
(逆に言えば、第七騎兵隊のみが悪かったわけではなく、当時のアメリカ白人の殆どがインディアン虐待に賛同していたと言う事。
 奴隷解放で有名なエイブラハム・リンカーン大統領ですらインディアン絶滅論者であった事からもその根深さが知れる)。
そもそも西部劇におけるインディアンは野蛮な山賊として登場して主人公に無双される存在でしかなく、
某酋長の子孫も西部劇は絶対見ないと語っている。欧州文化(貨幣経済)の流入により、喜んで出演したインディアンも少なくなかったが…
それを証明するかのように、西部劇の中でも古い作品においてインディアンが主人公の味方として活躍するものは、
名作中の名作と名高い『ローン・レンジャー』ぐらいしかないという状況が長らく続いていた
(日本でも「アメリカン鞍馬天狗」と評されて大人気を博した)。
第七騎兵隊が英雄扱いされたのには上記のような背景に加え、当時の遺族が熱心なキャンペーンを展開していたのも大きい。
現在では上記のように「インディアン」に対する考え方自体が大きく変わった事もあり、西部劇においても、
インディアンのキャラクターや集団が味方になったり、善悪のどちらにも与しない独立勢力として描かれる作品も増えている。

ちなみに『LAL』より古い(と言うか無印ファミコン発売より前の)作品でも『カスターズ・リベンジ(カスターの逆襲)』と言う、
カスター将軍(第七騎兵隊司令官)を操作してインディアン女性をチョメチョメすると言うゲームが存在した。
Pac-man(移植版)』『E.T.』と並びアメリカ(ATARI2600)三大クソゲーと呼ばれている代物だが
一応18禁注意

ちなみに西部編にてパイクにミルクを奢られ、突っ返すシーンがあるが、
そこで返さずに飲むと、延々とミルクをおごるパイクと飲み続けるサンダウンというとてもシュールな光景が展開される。
時田氏によると「メモリに余裕があったら、終いにはお腹を壊してトイレに行くという小ネタを入れていたかもしれない」とのこと。

+ 最終編では
最終編で他の主人公の時にサンダウンを仲間にする場合、特に戦闘などは無いのだが、
話しかける度にどこかへ立ち去ってしまう彼を探してあちこち追い掛け回すことになる。
その回数、実に9回。そのため、仲間にするのが非常に面倒くさい。
立ち去った先でも、全体にモンスターが溢れる危険な世界で宝物庫を物色してたり、
建物の窓を覗いていたり、応接室で寝てたりと意味不明な行動が多い。なんなんだアンタ
TASでも最終編主人公にサンダウンが選ばれている、と言えばその大変さが分かるだろうか。
ついでに彼かキューブが主人公の時のみ高原日勝が戦闘無しで仲間になる(銃には敵わないらしい)。
しかし、戦闘面での実力は後述するように、その労力に見合う強力な性能になっている。

そして最後にはかつて英雄と崇められ、掌を返された人間への失望から魔王となった者
自分なりの助言を提示した。
孤独を抱えている、という共通点を持つに対してある種の共感を示しつつも。

「‥‥ 確かに‥‥
 私も 人から逃れて 放浪している‥‥
 だが 放浪すればするほど‥‥
 一人になればなるほど‥‥
 人のぬくもりが ほしくなってしまうもんさ‥‥」

7人のキャラが最終編にてルクレチアに突入する時、
「助けを乞うだけの身勝手な人間など救う価値があるのか」と言われるのだが、上記の台詞はサンダウンなりの答えなのかもしれない。
彼が救った町の人々はただ助けを乞うだけでなく、
サンダウンの来訪、マッドによる発破という切っ掛けがあったとはいえ、自ら動き、クレイジー・バンチに立ち向かったのである。
孤独な英雄は自分とは似て非なる孤独な英雄に、そう諭し元の時代へと帰っていくのだった。

+ 余談:非公式英訳パッチ
ちなみに本作『LIVE A LIVE』は、公式には日本国内でしか発売されなかったのだが、
それを嘆いた国外のファン達が当時のスクウェアに無許可で作った非公式英訳版が存在する
(これは別に珍しいことではなく、日本のみ発売のゲームを向こうのファンが独自に翻訳する事は意外とよくあったりする。その逆も然り)。

この非公式英訳版、初期のバージョンでは名前を付ける際の文字数制限が公式版と同じであったため、
全主人公中サンダウンの名前のアルファベット表記(Sundown)だけが文字数制限に引っかかるという想定外の事態が発生。
そのためサンダウンの名前は、その名と同様日本語で「日没」を意味する「サンセット(Sunset)」に変更された。
故に、英語圏のファンの間では「サンセット・キッド」の名でも認知されていたのである。
ちなみにこの初期版パッチは誤訳が多く、例として幕末編では「火遁の術」「水遁の術」が「Hiton」「Mizuton」だったり、
中世編の「こんなモン(こんな物)」が「BlueGate(紺な門?)」だったりなどでよくネタにされていた。
旧英訳版のSunset Kid・ラスボス戦

しかし、2008年に改めて大幅改造を施した英訳パッチver2.0がリリースされ、翻訳内容が全般的に向上・刷新、
システムにもテコ入れが入り、名前の文字数制限が緩くなったためきちんと「Sundown」になった。
旧パッチでの酷い誤訳もほぼ改訂されている(それでも誤訳はちらほらあるのだが…非公式なので仕方ない)。
余談だがこのNEWパッチ、日本語版と違って漢字を使わないで済む影響なのか、
「フォントが各編それぞれで異なる」というかなり豪華なことになっている。
雰囲気たっぷりな新英訳版の西部編フォント

中世編に至っては、オルステッドが魔王になることを決意するあたりで文字が崩れてくるため、
公式版よりも心の荒廃がプレイヤーへダイレクトに伝わってくる。
なお、非公式翻訳版は英語版だけでなく中国語版・韓国語版などもあるらしい。海外のファン恐るべし。

なお、海外でのこうした人気を把握したのか、リメイク版は海外でも発売されており、公式の海外翻訳版を正規の手段で遊べるようになった。
国内版でも日本語・英語ボイス両方に切り替え可能。
セリフやアイテムの説明文がさらに粋な言い回しになっており、こちらの翻訳も見る価値あり。


原作中の性能

ガンマンな見た目通り、使う技は銃撃技ばかり。
西部編ではレベルアップはないが、遠距離攻撃に優れており使い勝手は良い。
反撃技のマルチカウンターはほとんどの攻撃に対応しているため発動しやすい。

そして、彼の本領発揮となるのが最終編。
レベルアップで上位の銃技を覚えていき、全て遠距離攻撃のためかなり便利に使えるのだが、
ラストに覚える彼の最強技「ハリケンショット」が正にチートな性能。
タメ時間こそあるものの広範囲に銃撃の嵐を浴びせ、ほとんどの場合カンストの999ダメージを連発する。
さらにレベルアップの能力上昇率も高く、鍛えれば殆どの場合サンダウンさえいればなんとかなる。

反面、HPの伸びが非常に悪いため装甲で、敵の全体攻撃に弱いという弱点を抱えている。
また、意外なことに相棒のマッド共々アルコールに弱い(?)らしく、
酒系の回復アイテムを使って酔い状態になると基本技のシングルショットしか使えなくなる
(その割に劇中では何度も酒を飲むシーンがあるのだが)。
また、全ての技が銃技のため、手封じ(手を使った技が使えなくなる状態異常)を受けると全ての技が使用できなくなる。


「‥‥ いいかげん‥‥ 逃げるなというのか? 過去から‥‥」


MUGENにおけるサンダウン・キッド

『LAL』キャラを多数製作した暗黒内藤氏によるものが存在する。
システムも他のキャラと同様であり、レバー上ではなくAでジャンプ、Bで攻撃、Xでガード、Yで受け身の4ボタン型。
ドットは原作のものを使用しており、試合中は「THE WILDS」(西部編の戦闘BGM)が流れる(ON/OFF選択可)。
BGMは相手が同じ様に専用BGM持ちのキャラだと流れない(ただし未対応も有り)。

原作に存在した様々な銃技を使って戦うちびキャラで、基本的に火力は高め。
コンボがほぼ無く、高性能のステップと1発の火力で戦うタイプのキャラ。
フロント&バックステップ中は喰らい判定とぶつかり判定が消えるため、相手の攻撃をすり抜ける事ができ、
更に攻撃を喰らっていない時のみ、ガードモーションをステップでキャンセル可能。
なお、氏の『LAL』キャラはちびキャラではあるが、喰らい判定は共通して見た目以上に大きく設定されている。

原作では無制限に銃技が使用出来たが、MUGENでは最大弾数が設定され、画面下に残り弾数が表示される。
技を1回使う毎に1減っていき(連射する技でも1発扱い)、残弾0の時にBボタンを押すとリロード動作になる。
ただし、ホローポイント弾とピアッシング弾は特殊弾丸に装填し直して撃つため、ゲージを消費する代わりに残弾数の影響を受けない。
初期最大弾数は設定上のリボルバーに合わせ6発だが、cnsを設定することで1~99発に変更可能。
リロードすると残弾を設定値の最大まで装填し、更にゲージが600上昇する。
原作最強技のハリケンショットは3ゲージ技だが、フルヒットで体力の7割近くを奪う高威力技になっている。
反面、当身技のマルチカウンターも含め全て飛び道具技で、空中技や投げ技が一切無いという極端な性能。
さらに原作通り体力も低めのため、やはりである。
上記の通り弾数は設定で自在に変更出来るが、増やし過ぎるとリロードでのゲージ上昇を行い難くなり、
各行動のゲージ回収率が少ないので結果ゲージ回収率が悪くなるというデメリットがある。

AIはデフォルトで搭載されている。
レベルは2段階あり、ガンマンのイメージ通り、中~遠距離で銃撃を浴びせるAIとなっている。

+ 基本動作
  • 基本動作
A ジャンプ & 空中ジャンプ
B 攻撃用ボタン(詳しくは下記)
X ガード
Y 受身 & ダウン回避
66(ガード中6) フロントステップ
44(ガード中4) バックステップ

+
B(地上) (水平) シングルショット ・銃撃/一発射撃
8 + B(地上) (対空)
236 + B(地上) (水平) ダブルショット ・銃撃/2連射
896 + B(地上) (対空)
236236 + B(地上) ホローポイント弾 ※1ゲージ消費、残弾無視
・さく裂弾/要弾こめ時間
214214 + B(地上) ピアッシング弾 ※2ゲージ消費、残弾無視
・かん通弾/要弾こめ時間
623 + B(地上) マルチカウンター ※当身技
・反撃技/あらゆる方向に反撃
214 + B(地上) (水平) トリプルショット ・銃撃/3連射
874 + B(地上) (対空)
632 + B(地上) (水平) フォースショット ・銃撃/4連射
698 + B(地上) (対空)
41236 + B(地上) みだれ撃ち ・銃撃/エリア内に弾を撃ちまくる
63214 + B(地上) 新・みだれ撃ち ・銃撃/エリア内に弾の嵐
2141236 + B(地上) ハリケンショット ※3ゲージ消費
・風の銃撃/エリア内、弾の台風



 「‥‥ それでも‥‥ 人は生きる‥‥」

出場大会

プレイヤー操作

単発!良キャラ発掘絵巻(Part158・対戦相手)


最終更新:2024年03月05日 23:19