Xエステバリス


「耐えて、耐えてよエステバエックスゥゥゥッ!」

TVアニメ『機動戦艦ナデシコ』第17話「それは『遅すぎた再会』」に登場した機動兵器。
通称「エクスバリス」「エステバエックス」。

ナデシコの整備班長ウリバタケ・セイヤが予算をチョロまかして開発した新型フレーム。
最大の特徴は、新型ジェネレーターと従来の五倍の重力波変換効率により、
今まで相転移エンジンを搭載した機動兵器のみ使用できた重力兵器「グラビティブラスト」を使用可能な事。
しかしその実態は、エステバリスの機動力と相転移エンジン搭載の代償に大型化する月面フレームのパワーの両立を目指した結果、
その大出力に機体が耐えられなくなってしまった失敗作。
この反省は劇場版で登場したエステバリス・カスタムやスーパーエステバリスに生かされる事となる。

(以上、Wikipediaより転載、一部改変)

劇中では地球連合軍のキノコムネタケ・サダアキ提督(CV: 真殿光昭 )が(勝手に)搭乗。
様々な事情によりノイローゼ状態にあった上に、機体を操縦するために必要なナノマシンの副作用で幻覚症状が出ていた彼は、
味方の戦艦を敵と誤認し、劇中作『ゲキ・ガンガー3』の歌を歌いながら出撃、
グラビティブラストを放とうとするが、機体がオーバーロードで自壊してしまい、爆死する。

+ パイロット?のムネタケ・サダアキ提督について
ムネタケ提督は当初、ナデシコを徴収すべく軍が派遣した部隊の指揮官として登場。
強引な手法でクルー達を拘束するも、反発したクルー達に艦を奪還され、逆に捕虜とされてしまう。
その後、敵の襲来に乗じて脱走するも、それを目撃したダイゴウジ・ガイを勢い余って射殺、責任を部下に押し付けて保身を図る。
典型的な「悪い軍人」のような行動をとり、視聴者へ最悪な印象を植え付けた。

その後、軍とネルガルが協定を結んでナデシコが正規軍となると、提督として送り込まれて再登場。
ナデシコを「自分の艦」(実際そうなのだが)と呼んで憚らず、ふまじめなクルー達にヒステリックに喚くなどの態度から嫌われ、
休暇時には浜辺に首まで埋められた揚句に忘れ去られるなど、クルー達との仲は最悪と言っても良かった。

木星蜥蜴の正体が同じ人間であると知った時は、パニックを防ぐためにこの情報が漏洩しないように図るも、
実は軍とネルガルが共謀して事実を隠匿していた事が発覚、さらに機密が暴かれた責任をおっかぶせられてしまう。
再起を図って格納庫に転がっていたエステバエックスの完成を計画するが、これもまた失敗。
さらにアキトからの告発により、心の奥底で抱えていたガイ射殺の罪悪感までもが蘇り、
信じてきたもの全てに裏切られたムネタケ提督は、完全に精神の安定を喪ってしまう。

そして自暴自棄のあまり、機体操縦用のナノマシンを自分に投与。
幻覚作用から合流しにきた友軍艦を敵艦と誤認し、我が身を顧みずにエステバエックスで出撃。

「助けてくれるの…このアタシを?」
「ガイ…ありがとう…ガイ…」

そしてオーバーロードで限界を迎える中、ガイの幻を見ながら爆死した。
このあまりにも無惨な死に様は、アキトにも強い影響を及ぼす事になる。

「…アタシにもあるのよ…。正義はあると信じていた頃…あったのよ」

そもそもムネタケは優秀な軍人である父親に憧れ、軍に入隊した少年であった。
今までの態度の全ても、軍に正義があり、それに尽くす事が地球のためだと信じていたからでもある。
生真面目で潔癖な性格も、ひとえに彼が軍人足らんとしてきたからであって、
ナデシコにおける横暴、傲慢とも言える振る舞いも、正規の軍人・責任者が彼一人という重圧によるもの。
そして錯乱状態に陥りながらも「正義はある」と述べ、ガイの射殺を引きずっていた事などから、
その内面は極めてナイーブで純粋な、人間らしい人物であったと言える。
今までの行いを差し引いても悲惨な最期には、ナデシコクルーや視聴者も同情を禁じ得なかった。

なお小説版ではエステバエックス関連のエピソードが無いため、暴走こそ起こさなかったものの、
エピローグにて、木星連合との戦いの中で戦死している事が語られている。

余談だが、この回の脚本を担当したのは『機動新世紀ガンダムX』の川崎ヒロユキ氏。
氏曰く「どういった気持ちでガンダムを作っていたかが、この話を観れば分かる」との事。
ムネタケ=『ガンダムX』当時の高松信司氏、ウリバタケ=『ガンダムX』当時の川崎ヒロユキ氏、であるらしい。
ただし、あくまでも“当時の”氏の見解であり、現在よりも辛辣な内容になっているようだ。
因みにガンダムX放映20周年に際してはツイッターにて次回予告(及び劇中の台詞)を引用するカタチで
私の最高傑作です 」と評していた。

+ 『スーパーロボット大戦』シリーズでは
スパロボでは原作の欠点を改修した「Xエステバリス改」(単に「Xエステバリス」表記の場合も)が、
『ナデシコ』参戦時には何故か結構な頻度で参戦している
(流石に劇場版のみ参戦TV版が敵メカしか登場しなかった『MX』では出なかったが。
 あと現状『ガンダムX』と共演を唯一果たした『R』でも登場せず)。
原作通りグラビティブラスト(通常版とMAP兵器版)しか武装が無いので移動後に攻撃が出来ず、
ナデシコ勢は毎ターン補充されるENを利用した合体攻撃が主軸となるため、登場頻度が高い割には使用頻度は高くない。
ただし作品によっては唯一MAP兵器を使えるエステバリスであるため、そちらの用途を主にアカツキを載せるプレイヤーはそれなりにいる
(アカツキは合体攻撃が無いため単体での火力が低く、射撃の高さからXエステバリスとの相性も良い。
 また、獲得資金を倍加する精神コマンド「幸運」が使える事が多いのも大きい)。
彼の趣味とは合わない気もするが

上記の通り、普通にプレイしていると出番がない事も多い上、
さらに恵まれていないのが殆どの作品で、Xエステバリスを入手すると他の隠し機体が入手できなくなるという点。
しかも『J』での競合相手はよりにもよってあのグレートゼオライマーという不遇っぷり。
まぁグレートゼオライマー自体も他の隠し機体を諦める必要があるが……
IMPACT』の競合相手はMSのΖII(ゼッツー)で、味方に強いオールドタイプが多い本作では要NT技能武器が無く、
高性能なΖIIは引き手数多でこっちを選ぶ人が多い。やっぱり不遇。

『W』では前半の第1部で珍しく自動で入手できるのだが、
第2部ではナデシコBが味方入りした所で何の説明も無く加入している。
そのため、プレイヤーからはナデシコBの格納庫に転がってたと見られている。なんで転がっていたのかって?わしにも分からん・・・・
誰かこそっと持ち込んだか、GCの誰かさんみたく。少なくともウリバタケじゃないのは確かだが
ちなみに第2部の場合はアカツキが隠しパイロット扱いで、
サブロウタが専用機共々アカツキと似たポジションなため、使う場合は彼を乗せるプレイヤーが多い。
まぁ、アカツキについてくる月臣&アルストロメリアと持参金20万+おまけのダイテツジン目当てに
アカツキを仲間にするプレイヤーは多い(条件も大して厳しくない)ので、今まで通りアカツキが乗る事も多い。
何をトチ狂ったのか武装がラピッドライフルしかなくて火力が乏しいエステバリスIIに乗ってきたし
なお今回は相良軍曹の上官殿に欠陥の改善法を授けてもらいついでにチート振りに定評のあるジャンク屋も手伝って完成を見ている。

……しかし、こんなもんあったら劇場版に登場したカスタムもスーパーもステルンクーゲル他も涙目ではなかろうか。
スパロボ世界のネルガル重工の未来は明るい……かもしれない。

余談だが原作のパイロットであるムネタケも『IMPACT』に登場している(パイロットとして使える訳ではないが)。
とはいえ、それ以外の作品では影も形も見えない上、『IMPACT』でも実質いただけである。
まあコイツの話を再現しようとすると、スパロボスタッフに愛されている某キャラが生存フラグ無しで死ぬ可能性があるから仕方ない。
『W』じゃそっくりさんの身代わりに撃たれたけど生きてた?知らんな

(ほぼスパロボオリジナルな)戦闘デモ集
『IMPACT』版(6:48~)
『W』版(7:49~)

そして『BX』にて、遂に原作の搭乗者であるムネタケを乗せて登場するに至った。そしてアイツは最初から死んでた
もっとも、『BX』じゃアカツキはアカツキでアキトとの合体攻撃を会得して高水準の火力を得て、
そんなに頼る必要性も無くなった訳なんだけど。……やっぱり不遇。
さらに言うと『BX』では敵ユニットが射撃攻撃に対応するバリアを所持したユニットが多く
(過去作では大体決まった種類のみで区切られていたものだが、『BX』では射撃攻撃全般に対応しているものがある)、
しかも「軽減」タイプのバリアが結構多いのでバリアを無効化する手段がないと最大火力をお見舞いできなくなっている。
一応フォローすると、単体版Xキャノンがリアル系主役機の射撃必殺武器と同等の攻撃力の癖して
(ディストーションアタックより1000以上高く、バルキリー系の必殺技と同等)、
通常武器がこれしかないので必要気力なし+重力波ビームで毎ターンENが全快するのでバンバン撃てるという、
普通に考えておかしすぎる性能なので、癖こそ強いが使えない機体ではない。
……やはり合体攻撃中心というエステバリスの仕様こそ彼の最大の敵なんだろう。
まさかガイの死がこんな所で足を引っ張るとは……てか正規加入して下さいよムネタケ提督

反面、パイロットであるムネタケ提督に関しては大幅に救済処置が取られている。
……というか、『BX』世界が一年戦争からこっち延々と戦争状態が続く宇宙世紀史実通りの世界であり軍を盲信できない事、
そしてヴェイガンという木星連合と類似した存在、また早々にナデシコが正規軍化、他にも艦長や提督、上司、戦友が登場と、
アニメ本編におけるムネタケ提督の「たった一人の正規責任者」という重圧の要因が完全に排除されているため、
ムネタケ提督は「潔癖で堅物で、やや空気が読めないが、生真面目で優秀な軍人」という、本来の良い面が強調される結果となっている。
ナデシコクルーや友軍メンバーと対立する場面も皆無で、ソレスタルビーイング加入に「信用できない」と反対した程度である
(それさえも感情的対立ではなく、協力が決定されると素直に従っている)。
しかし「ラプラスの箱」の真実、地球連邦軍が宇宙移民を完全に見捨てていた事を知って精神のバランスを崩し、引きこもってしまう。
自軍メンバー達に心配される中、五次元帝国によって窮地に陥る仲間を助けるため、エステバエックスを駆って出撃した……

「…ざけるんじゃ……わよ……ふざけるんじゃないわよッッ!!」
「連邦の正義はなんだったの!? あたしは今まで何の為に軍へ尽くしてきたのよ!?」
「何の為に、元地球人相手に銃を向けて……ッ!」

……のだが、なんと無事生還。
ザ・パワーの力によって一時的とはいえ本当に蘇ったガイに許された事で精神的にも救われ、
さらにユリカ達にも「これまで通り、アドバイザーを務めさせて頂きます」と暖かく迎え入れられ、感極まって涙するのであった。

「艦長、あなた何を考えているのよ…ホントに…バカよね…ホントに…うっ、うぅぅ…」

原作での扱いは前述の通りであるが、彼もまたスパロボマジックによって救われた一人なのだ。
まあスパロボ恒例の中断メッセージでは「声がついてるって事はアレよね」とメタな懸念を述べていたが、
不幸中の幸いというか、杞憂で済んで何よりである。本当に良かったね、ムネタケ提督。

脚本家繋がりでこんなMADも


MUGENにおけるXエステバリス

五条さんシーシェルフェウス=モールを制作した謎のキャラ選択に定評のあるはにゅう丸氏制作の物が存在。
ドットはスパロボJとWのものを基にしている。
原作通り(?)、グラビティブラストを撃ってなんぼの機体のため通常技のリーチは短く、通常投げすら存在しない。
戦術としては必殺技のグラビティブラストを放つ「エクスキャノン」など射撃がメインとなる。
グラビティブラストを撃っても自爆しないあたりドットの通りスパロボのエクスバリスなのだろう。最強技を使うと結局自爆するが
パイロットは原作通りムネタケ・サダアキ提督が務め、彼のヒーローっぽい台詞*1や小物臭全開の台詞両方を楽しめる
ファンにはたまらないものとなっている。
嫌な奴枠のムネタケ提督にどれだけファンがいるかはさておき。やられ役なら重宝するかもしれないが
AIは未搭載だが、2014年6月にパピット氏によるAI&改変パッチが公開された。
パピット氏AI


「守るべき正義は、厳然として存在する!
 そして、それを阻まんとする悪もまた然り! 正義の力を思い知れ!」

出場大会

  • 「[大会] [Xエステバリス]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
真殿氏は『ゲキ・ガンガー3』のパイロット3人組のリーダー格である天空ケンも演じている。
そもそもこの劇中劇キャラの殆どは本編の出演者が兼役しているのだが、
アキト達本編での主役級の声優は、こちらでは脇役・モブに追いやられており、逆に本編での脇役が主役級を演じていたりするのである。
ゲキ・ガンガーのパイロットに関してだけでも残り二人もプロスペクターウリバタケと、見事にナデシコ側の脇役連中ばかりである。
ルリルリはこっちでもメインキャラじゃないかって?さて何の事やら


「ども! ムネタケちゃんでーす! アタシってばもう頭テンパっちゃってです今現在!」
「何たって軍の上層部がナデシコのクルーに木星蜥蜴の正体を知られた原因がアタシなんて言うんですもの!」
「アタシはこう見えても仕事一途な人なんだから結構Shock! こういう時には、新メカの登場しかないわ……!」
「えっ? ヨンパチのエステバでディオラマ作り? そんな暇ないわよもう!!」
「次回、機動戦艦ナデシコ「それは『遅すぎた再会』」をみんなで見よう!」

君は、生き延びることができるかなんて心配だわマジで!」


最終更新:2018年04月10日 23:05
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