如月弦太朗


「俺は如月弦太朗。俺の夢は、
        この学校の連中全員と友達になる事だ! よろしくな!」

平成仮面ライダーシリーズ第12作『仮面ライダーフォーゼ』の主人公。
如月流忍術の伝承者ではない。「如月弦太」でもない(で「~太郎」は何人かいたが)。
『フォーゼ』ではが割と重要な役割を持つ
(と言うか仮面ライダー部は「月面基地ラビットハッチ」を持っている(部室のロッカーがワープゲートになっている)ので、
 それに因んで「郎」ではなく「朗」なのだろう(「弦」も月由来だと思われる))。
今や押しも押されもせぬ人気俳優となった福士蒼汰氏が演じている。

天ノ川学園高校に転校してきた高校2年生(中盤で進級)。
短ラン姿にサザエさんみたいなリーゼントヘアーという、典型的な'80年代のツッパリといった出で立ちで
やや尖った要素の持ち主が多い平成ライダーの主人公の中でも、最年少にしてとりわけ異彩を放つ人物でもある。
ぱっと見は不良っぽいが、破天荒なところこそあるものの性格は真っ当な10代の少年であり、熱血一直線な性格の持ち主。
また、「絶叫全速疾走は青春のターボエンジンだ!」「○○は心の××だ!」等と言った独特の言い回しも目立つ。
先輩や教師にもタメ口だったり、学業成績は非常に悪い(数学のテストが100点満点中4点)が、それ以外は特に素行に問題は見られない。
ただし服装と髪型には拘りがあるらしく、OPでは丁寧にセットしている場面が描かれており、
劇中で教師から何度注意されても改めようとしない(一応、校則違反ではない*1)。
変身していてもリーゼントを整えるような仕草をする。
一度強制的にこれらを変えられた際には、周囲から本人だと認識してもらえなかった。というかリーゼントでないほうがイケメン
福士氏自身も、リーゼントではない普段の髪型で子供の前に出たところ、弦太朗だと認識してもらえなかったという逸話があったりする。


両親は交通事故で他界しており、現在はバイクメカニックの祖父・黒十字総統吾郎と二人暮らし。
祖父の仕事柄全国を転々としていたが、幼少期に両親から友達を作った時に褒められた経験から「友達を作ること」に大きな意義を見出しており、
学園でも転校早々に「この学校の生徒全員と友達になる」事を宣言。
当初は「バッドボーイ*2」「トラッシュ(ゴミの意)」等と呼ばれながらも積極的に交流を図り、
「全員と友達になる」ことは最後まで叶わなかったのだが、学園カーストが蔓延していた校風をも大きく変えていった。
ちなみに吾郎も吾郎で「バイクは青春のダイナマイトだ!」と発言している辺り、彼の影響を受けているのは確定的に明らか。
友達になった相手とは、拳を打ち合わせるピシガシグッグッ「友情のシルシ」を交わす。

押す事で人間を「ゾディアーツ」と呼ばれる怪物に変貌させるスイッチを配っている謎の勢力の存在を、
それらを独自に追いかけていた歌星賢吾との出合い、幼馴染みの城島ユウキとの再会から偶然知り、
賢吾が所持していた「フォーゼドライバー」にアストロスイッチを組み込むことで仮面ライダーフォーゼに変身、
ゾディアーツを撃退し、かつ変身者にされた人間を救う為、「仮面ライダー部」を発足させて悪に立ち向かう。
中盤とある事情で敵対した朔田流星こと仮面ライダーメテオの拳を受け一度は死亡するが、後に復活した。

変身前の彼は特に何の能力も持っていない一般人である
(尤もダブルダッチが得意*3など運動神経は抜群で、バイクに自転車で追いついたり、
 腕っ節も強く不良グループを無傷で全員返り討ちにした他、ラグビー部の悪質タックルリンチに耐え抜いたり、最終回ではラスボスを生身で圧倒
 『MOVIE大戦』2作でも戦闘員の大群を相手に(他ライダー変身者と共に)対等に渡り合うなどしている)。
ただ、全てを受け入れ何者とも友達になろうとする姿勢からフォーゼの能力を最大限に引き出すことが可能で、
特にフォーゼのTV版での最強フォーム「コズミックステイツ」などは仲間との友情が少しでも信じられなくなると強制解除されるため、
彼以外に変身できる者は恐らく居ないであろう。尤も、フォーゼドライバーの本来の目的は戦闘ではないのだが……。
この辺りが本来は宇宙開発用サイボーグであるスーパー1と通ずる……かもしれない。
ただしオーバースペック気味のスーパー1と違い、歴代最弱最強フォームに挙げられるほど劇中での活躍はパッとしない。

単純に見えて勘が鋭く、モジュールの使い方をすぐに掴んだり、相手の本質を見抜くことも多いが、
彼の見る目が必ず正しいと言うわけでもなく、無実の友達に疑いの目を向けてしまい傷つけた挙げ句正体に気づけず危うく殺しかけたり、
論理的な友達のフォローが無ければ騙されていたという場面も多い。
模範解答的な意味だけでなく彼自身も現実的に友達を必要としているのも事実で、このことから視聴者にキャラがブレているなどと言われるもあるが、
彼はまだ歳相応の高校生で己の理想に向かう過程の若者であり、無条件に他人を信じることができる聖人君子というわけでもない。
だが、自分に非があると気づけばすぐにでも謝れる素直さと真っ直ぐさ、他人のために涙を流す強い共感性を持っており、
それが彼の人間的魅力となっているのだろう。

両親については劇中で「専門的な話をしていたため家族にはどういう仕事をしていたのかわからなかった」と説明され、
中盤より味方ライダーの上司や隠れて主人公勢に便宜を図る敵幹部など正体不明の協力者が現れたこともあって
放映当時の視聴者からは「(スイッチ関係の)技術職だったのではないか」「実はラスボスではないか」など様々な憶測が飛び交ったが、
結局劇中でそれ以上は触れられず、後にメインライターの中島かずき氏が「税理士と弁護士です(きっぱり)」と否定してしまった。
この点、両親云々の話題が出たのは中島氏の担当回ではなく、かつ他エピソードでも描かれた登場人物の恋愛描写について、
氏が劇場版でサラリと流そうとしていた(実際には劇場版スタッフの判断でしっかり描写された)ことなどからして、
中島氏の想定した『フォーゼ』像と、実際の映像作品に少なからずズレが生じていたのでは?という視聴者の意見も……。

『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦MEGAMAX』では空から落ちてきた美少女・美咲撫子(SOLU)と出会い、
「初恋キター!」と叫んだが、その恋が実ることはなかった。
しかし『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』で再会を果たす。

TV本編より5年後を舞台とした『仮面ライダー×仮面ライダー ウィザード&フォーゼ MOVIE大戦アルティメイタム』では、
かつて自分達が救った天ノ川学園高校に教師として赴任していた。が、リーゼントヘアーはそのまま。どうやって免許取った
クラスの超問題児集団「怪人同盟」を更生させるために再びフォーゼとして戦いに赴き、
サナギマンこと風田三郎*4を説得するため一度はフォーゼドライバーをも溶鉱炉に捨ててしまうが……。

小説『仮面ライダーフォーゼ ~天・高・卒・業~』はTVシリーズからMOVIE大戦アルティメイタムまでの空白期、
タイトル通り弦太朗達の卒業前夜を舞台に、彼が教師を志すに至るまでの物語が描かれている。

左翔太郎など他の主役ライダーとの初対面では勢いと暑苦しさに引かれることも多い。
火野映司は(物理的に)振り回されながらも「若いっていいな」と羨ましそうにしている。

「俺、如月弦太朗。全てのライダーと友達になる男ッス!」
「余計な挨拶はいい!」

ちなみに誰とも友達になる男である彼としては意外なことに、
直近のライダーであるウィザードこと操真晴人と同時代に変身前の状態で顔を合わせたのは、
全シリーズを通しても『MOVIE大戦アルティメイタム』のラストのワンシーンだけである
(小説版にも同シーンの回想がある)。
他の機会では変身後のみだったり時間がずれているため、弦太朗がウィザードの正体を知るのは卒業から5年が過ぎた後であった。

福士氏が本作以降売れっ子になったため、以降の映像作品では変身後の姿のみの登場で声も代役が続いていたが、
実際にTVシリーズから5年が経過して製作された映画『平成ジェネレーションズFINAL』では久々に変身前の弦太朗としても登場
(尚、福士氏の撮影期間は僅か半日だったとか)。
『アルティメイタム』直前の設定で、世界と後輩ライダー達の危機に駆けつけた。

2018年の『仮面ライダージオウ』のフォーゼ・555編には本人出演は叶わなかったものの、
代役による後ろ姿やアーカイブ、初代ライダー部全員が放映当時の写真で出演するなどしている
(写真などでも肖像権が発生するため、特に以前の事務所とトラブルで退所した城島ユウキ役の清水富美加氏はかつての写真でも出演は難しいと言われていた)。

2011年の時代、スコーピオン・ゾディアーツとの戦闘中にタイムジャッカーのスウォルツが、
佐久間龍一という青年に無理やりアナザーウォッチを埋め込み、怪人「アナザーフォーゼ」に変身させたことで歴史が変わり、
フォーゼとしての力と記憶を失ってしまう(同時にスコーピオン・ゾディアーツも消滅している)。
さらに仮面ライダー部の活動内容も「仮面ライダーの都市伝説を追う」ものに変化している。

歴史改変後も天ノ川学園高校の教師として働き、仮面ライダー部の顧問も務めている。
仮面ライダージオウ/常磐ソウゴの来訪に備え、「いつかすっげぇ奴が来るからこれを渡してくれ!」と、
フォーゼライドウォッチを大杉に託していた。
劇中で本人が不在だったのも「家出した生徒を探しに行ったから」である。
……一方でネット配信限定の『ジオウ補完計画』では「福士さんや吉沢(亮)さん(仮面ライダーメテオ/朔田流星役)に会えると思って楽しみにきたのに」
「揃ってBLEA○Hに出てたからまぁいいだろ」「二人とも忙しいんだからさ」「俺が暇そうな口ぶりだな」と実にメタい台詞が。
実写版BLEACHはフォーゼ・メテオ・なでしこが揃うから実質フォーゼ


「宇宙キター!!仮面ライダーフォーゼ!(キュッ)タイマン張らせてもらうぜ!」


MUGENにおける如月弦太朗

竹の輪氏による手描きキャラが2013年3月20日に公開された。
ななか氏の企画した「仮面ライダー×東方project×ジョジョ」のコンセプトで製作されており、フォーゼがスタンド扱いになっている。
髪か。髪型が似ているからか。
超必殺技には「超銀河ラッシュ」「爆裂シュート」の2つのみが搭載されている。
AIは未搭載。
紹介動画&DLリンク


「俺はやり続ける。
 如月弦太朗だけど、仮面ライダーフォーゼ。友達を作るけど、怪物は倒す。
 やり続けてれば、いつか二つの道は一つになる。
 それが、俺の一直線。俺の進路はそれだ。」

出場大会

出演ストーリー



*1
そもそも天ノ川学園高校は制服も「模範服」という扱いで着用が必須ではないなど、かなり自由な校風である。

*2
所謂「不良」の事。まぁ直訳でも「悪ガキ」だし。ただし弦太朗は格好と成績以外は「良い子」であり悪ぶってさえいない。
天ノ川学園高校ではアメリカの高校に見られる「 スクールカースト 」があり、それに習った呼び方である。
下位の生徒は食堂などで上位の生徒との同席すら許されない。
ただし日本人視聴者には用語が判らないと判断されたのか
ジョック」の大文字隼は「キング」、「クィーンビー」の風城美羽は「クィーン」と呼ばれている。
まぁ二人共早々と弦太朗の友人になって仮面ライダー部に入部したのだが
ヒーロー番組ならまず虐げられてる下位の生徒たちに味方するもんじゃないのかって?
不良にとって頭(ヘッド、リーダー)から絞めるのは常識だし……って、不良?
(賢吾が「ブレイン(ナード)」、城島ユウキが「フリーク」に当たる等あるが、上記の3人以外が劇中でそう呼ばれる事は無い。
 と言うか弦太朗をバッドボーイと呼ぶのも生活指導の教師ぐらいである)。

*3
ダブルダッチは演じる福士氏自身の特技であり、劇中でそれが生かされた形である。
なお、役者自身の特技がアクションに反映されている例は平成ライダーシリーズでは他にも数件ある

*4
「あれ?サナギマン(イナズマン)は渡五郎じゃ?」と思った人もいるかもしれないが、
これは石ノ森章太郎氏の漫画版『イナズマン』の設定を採用しているためで、本名が違うのもそのせい。
そもそも本作での「美少女仮面ポワトリン」の正体に比べたら些細な事だ。
ちなみに彼はこの翌年に公開された『スーパーヒーロー大戦Z』でもフォーゼの救援にやってくる。


最終更新:2022年11月17日 20:39