幸運のエヘカトル


「わ~ほんとに信じてくれるの?くれるの?」

フリーのローグライクゲーム、『Elona』に登場する神々の内の1柱で、幸運を司る女神。通称「エヘさま」。
曲者揃いな同作の神々の中でも一際強烈な個性を持ったキャラクターであり、プレイヤーからの人気も高い。

公式設定における外見上の特徴は腰まで伸びた長い金髪と白のドレス。
また、背中からは美しい翼も生やしており、見た目こそ「これぞ女神」というイメージそのままの姿をしているが、
「うみみゃぁ!」「うっみゅーうみゅうみゅ」といった奇声(?)を発したり、「これあげるぅ・・・大切にしてね!・・・してね!」や、
「寝るの?本当に寝るの?おやつみ!」など、舌っ足らずな上に語尾を二回繰り返す幼児じみた喋り方をする。
良く言えば天真爛漫。言い変えるとアホの子。でも可愛いからよし。

何故か無類の魚好き。腐った魚や調理に失敗した「~の残骸」や「骨だけ残った~」でも大喜びで受け取ってくれる。アホの子かわいい。
また、「たらばがに!」と叫ぶことがあるので、もしかすると一番の好物はタラバガニなのかもしれないが、
残念なことに『Elona』にタラバガニというアイテムは存在しないためゲーム中にその真相を確かめることは出来ない。

同作に登場する男神の「収穫のクミロミ」とは長い期間恋人関係にあったが、現在では解消されているらしい。
Ver1.000以前の『Elona』におけるエヘカトルは現行のアホの子とは真逆のお姉さんキャラだったが、
クミロミの「僕のエヘカトル・・・今はもう・・・かつての面影さえない」という意味深なセリフに見られるように、
この「幼児退行」には単なる設定変更に止まらない何やら深遠な事情が存在する模様。

これは作品とは関係ないが英語圏のジョークで「幸運の女神は愚かで売女である、何故なら幸運は誰にだろうが簡単に味方するから」
というものがある。…制作スタッフなりの皮肉なのだろうか。


原作ゲーム内の活躍

ゲーム内では好物を捧げるなどして「信仰の深さ(信仰中の神様との友好度)」を強めることによって特定のパラメータにボーナスが付いたり、
特別なアイテムや「神の下僕」を仲間として授かることが出来る「信仰」の対象として登場する他、「願い」*1によってNPCとして降臨させることが可能。

普段は天上世界で暮らしているため降臨を願った時以外に姿を見ることは出来ないが、
「神が発する電波をキャッチする」というエンチャント(特殊効果)が付加された武具を装備している場合に上記の様なセリフが聞こえる
(「たらばがに!」辺りはまさに電波といった感じのセリフだが、プリエ等の日本一キャラの影響を受けているのだろうか?)他、
ランダムイベントの「幸運の日(一定ターンの間PCの運が上昇する)」発生時など、「幸運」関連のイベントやアイテムで彼女の名前や雄叫びが散見される。
また、肉親を失って無気力になった青年が「幸運の女神というものがいるのなら~」と、エヘカトルに対する呪詛を口にした際に
「うみゃ~?」と反応したり、ゲームの連続起動時間が24時間に達した際にプレイヤーの身を心配するセリフが流れる(英語版プレイ時のみ)辺り、
意外と女神らしく下界の人々の暮らしぶりを気にかけているのかもしれない。

信仰対象としての幸運のエヘカトル

信仰することで得られるボーナス・アイテムなど 備考
パラメータボーナス 魅力 運 上げる手段が極端に少ない運にボーナスが付く
スキルボーナス 回避 魔力の限界 釣り 鍵開け 釣りのスキル強化でエヘカトルの好物の魚が手に入りやすくなる
特殊能力 エヘカトル流魔術 魔法の消費MPがランダムに増減
神の下僕(仲間) 黒猫 止めを刺した敵のドロップアイテムに一度だけエンチャントを追加する能力を持つ
下賜物(宝物) ★エヘカトルの秘宝 使用することで良質なエンチャント生成フィートを取得出来るアイテム
下賜物(装備) ★《ラッキーダガー》 非常に優れた性能を持った短剣

下賜される装備品の★《ラッキーダガー》は、アイテム盗難防止やスタミナ吸収、敵の透明化無効といった優れたエンチャントを併せ持っており、
これのあるなしで冒険の円滑さが激変すると言っても過言ではないほど優秀。
また、ランダム生成される装備品に良質なエンチャントが付く確率をアップさせる★エヘカトルの秘宝と、
自身が倒した敵のドロップアイテムに一度だけエンチャントを追加する黒猫は、
究極の装備品を追い求めるアイテムハンターにとっては必須の存在。

逆にパラメータやスキルボーナスについては、他の神を信仰した場合に比較すると若干見劣りする。
限られた手段でしか上げることの出来ない運にボーナスが付くのが特徴だが、
運は他のパラメータと比べて効果が分かりにくい上にゲーム中に具体的な数値を確認出来ないマスクデータのため、
メインシナリオをクリアするくらいのプレイ期間で到達可能な信仰の深さでは恩恵を実感することはないだろう。
ただし、レアアイテムの入手率には運の数値がかなり関わってくるため、
廃人クラスのやり込みをするプレイヤーにとってはエヘカトルを信仰することで得られるボーナスは価値が高いと言える
(一番重要なのはプレイヤー自身のリアルラックではあるが)。
たいしたデメリットもなく改宗可能な『Elona』においては、
全ての神からアイテムと仲間を下賜されてから最終的に信仰する神を決める「信仰リレー」なる不届きな行為が蔓延しているが、
上記の様なやり込みプレイヤーはエヘカトルを最終信仰に選ぶことも多いようだ。

魔法の消費MPが一定範囲でランダムに増減する「エヘカトル流魔術」は、
ギャンブル要素が強めで一見すると魔法をメインに使っているプレイヤーには向いてなさそうだが、
実際は平均すると消費がやや低めに落ち着くため魔術師にとっても悪くない能力である。
ただし、『Elona』にはMPを消費した際に残りMPが0未満になるとマイナス分に応じたダメージを受ける「マナの反動」というシステムが存在するため、
油断していると予定より大幅にMPを消費した際に甚大なダメージを負うことがあるので注意が必要。

信仰解説動画

NPCとしての幸運のエヘカトル

「願い」によってPCに対して友好的なNPCとして降臨させることが可能だが、仲間にして連れ歩くことは出来ず、
話しかけても「あなたを無視している」と表示されるだけで特にイベント等は用意されていない。
そもそも願いによって呼び出せるのはエヘカトルと「風のルルウィ」のみであり、
他の神々に関しては工事中だったりするのでこの辺のイベントは後々追加予定だったのかもしれない。*2

攻撃を仕掛けて倒すことも不可能ではないが、の名に恥じない規格外のパラメータを持つため、
軽くやり込んだくらいのプレイヤーでは反撃で瞬殺されるのがオチ。
フロアを進むごとに際限なく敵のレベルが上昇する底無しダンジョンの「すくつ」を数百階進む頃には、
エヘカトルを上回るパラメータを持った敵が出現するようになるが、
エヘカトルの使うマップ全域9,999,999の防御力無視ダメージを与える必殺技(通称「うみみゃぁ!」)
に匹敵する攻撃法を持つキャラは存在しないので、エヘカトルこそが『Elona』における最恐キャラと言っていいだろう。
また、この技の真の恐ろしさは桁外れの威力よりも「自分以外の全てを標的とする」という点にある。
同マップ上に敵対的NPCがいる場合には容赦なくうみみゃぁ!を使用してPCや他の友好的NPC諸共殲滅するため、
うっかり街中にエヘカトルを降臨させてしまうと何らかの手段で彼女を排除しない限り(時間経過でいなくなったりはしない)、
それ以後街にモンスターが発生したり、酔っ払いに絡まれてカチンときただけでもその街を住民の断末魔と死体が埋め尽くす地獄絵図へと一変させる恐れがある。
…というか、街中でのモンスター発生や酔っ払いに起因する刃傷沙汰は『Elona』では日常茶飯事のため、
エヘカトルが降臨した街は常に壊滅の危機に瀕した危険地帯と化す。

『Elona』のNPCは一部の例外を除けば死亡しても数日で復活するとはいえ、
四六時中うみみゃぁ!による死と隣合わせの生活を強いられる住民はたまったもんじゃないだろうし、
気軽に街を散策出来なくなるのはプレイヤーにとっても不都合なため、運良く街中で願いが発動したとしてもエヘカトルの降臨を願うのは避けた方が無難。
そもそも願いの機会は貴重なので基本的には冒険に役立つアイテム入手等の他の願いを優先させるべきだが、
エヘカトル降臨の有効的な活用方法として自分の力ではどうしても倒せない敵に対してエヘカトルをけしかけてうみみゃぁ!してもらい、
自分は一定の確率で致死ダメージを無効化する「契約」や「13盾」*3等を使用して生き残るという文字通り「神頼み」な力技が存在する。
この方法を使って「すくつ」深層を強引に突き進むプレイヤーもいるが、願いを惜しみなく使えることが前提条件となるため廃人以外には不可能な攻略法である。

ちなみに、エヘカトルを倒すことに成功すると一定の確率で「エヘカトルの中の神」という謎の存在(「中の人」的な意味か?)が出現することがあり、
問答無用で攻撃を仕掛けてくる。
基本能力に関してはエヘカトルを上回るが、うみみゃぁ!を使ってこないためエヘカトルを倒す程の実力を持ったプレイヤーならば比較的楽に対処出来るとされる。


MUGENにおける幸運のエヘカトル

ローランサンなども手掛けたリアス式海岸氏によって手描きで製作されたキャラが存在していた。
公開先のyahoo!ボックスが2020年9月にサービスを終了したため、残念ながら現在は入手不可。

幸運を司る女神だけあってか、ワープ技の「次元の扉」の出現位置や飛び道具の「投擲」で投げるアイテム等々、
非常に多くの要素がランダムに決定されるため、運の影響が極めて強いキャラとなっている。
投擲で投げるアイテムは原作でも投擲武器として登場した手裏剣や「ギャルのパンティー」以外にも宝箱やタラバガニなど様々な物があり、
手裏剣はランダムで二発以上発射、ギャルのパンティーは相手のゲージ減少効果を持つなど、一つ一つ飛び道具としての性能が違う。

原作ゲームの要素を再現したために、このキャラのゲージ技の仕様はかなり特殊なものになっている。
まず「エヘカトル流魔術」の再現でゲージ技のゲージ消費量がランダムに変化し、「ファイアボルト」のゲージ消費は300~1300、
EX版「次元の扉」のゲージ消費は1~1000の間で増減する。
次に「マナの反動」の再現によって、ゲージ技使用時にゲージ消費量がストックを上回った場合はライフを消費して技が発動する。
従ってゲージが0の状態でゲージ技を使うことも一応可能だが、エヘカトル流魔術の出目次第では一発でライフが溶けてしまう
(1000以上が出れば即死)ので、ゲージが少ない時は技の暴発に十分な注意を払う必要がある。

また、このキャラには特殊ゲージを使ったシステムが二つが存在している。
一つ目は「ラッキーダガー」を当てることでゲージが溜まる「エンチャントゲージ」。
ゲージがMAXになると一定時間、投擲等の武器を使った攻撃に「削り量増加」、「ガード不能(立ち、屈み、空中の三種類のどれか)」、
「ヒットストップ増加」などの特殊効果が付加されるが、どの技になんの効果が付加されるかはランダム。
もう一つはノーダメージの継続やコンボ成功等の様々な要素の積み重ね(と運)で発動する「幸運の日」。
幸運の日状態時は体が光って超必殺技の「うみみゃぁ!」の使用条件から「ライフ300未満」が無くなり、
ライフ・ゲージの自動回復が付加される他、エンチャントゲージも一度だけMAXになるのでそちらの特殊効果も同時に発生する。

原作ゲームでも必殺技だったうみみゃぁ!はゲージ3000消費、ライフ300未満で使用可能な打撃当身技。
当然のごとく味方殺し技であり、ダメージは原作より一桁多い99,999,999。ほぼ即死攻撃と呼んでも差し支えないだろう。
この技にはマナの反動の効果は適用されないのでゲージ3000は必須条件であり、不足分をライフで補うことは幸運の日状態でも不可能。
特殊カラーも搭載されており、11P(ブラックカラー)は常時ゲージMAX、12P(ゴールドカラー)は常時幸運の日状態となる。
AIは未搭載だが、ナニコロ氏によって外部AIが製作されている。
ナニコロ氏AI
AIの挙動(9:19~)


「うみみゃぁ!」


出場大会

プレイヤー操作

アルで昇華(part108)


*1
キーボードで打ち込んだ文字に応じて、好きなアイテム(★《ラッキーダガー》などの★付きのアイテムは不可)やスキルなどを手に入れたり、
贖罪、若返り性転換の他、死すら願うことの出来るシステム。
「願いの杖」を振るか「願いの魔法」を成功させると確実に発動する他、街中などの泉で水を飲んでいる時にもランダムで発生するが、
泉で水を飲む際は毒・麻痺などの状態異常の付加やステータスの低下から「エイリアンに寄生される」といったマイナス効果が発生する場合も多いので注意が必要。
願いの杖の入手や願いの魔法の習得はそれ自体が非常に困難なので、願いを発動させる場合は事前にセーブをした上で泉の水を飲みまくるのが基本となる。
とはいえショートカットキーのq(飲む)を何も考えずに押しまくり、せっかく発動しても「q!!!」と叫んで無駄撃ちすることになるのは『elona』あるある。
みんなも気を付けよう。
発動さえさせれば、ゲーム序盤で冒険に役立つアイテムやスキルを手に入れられるのが魅力。

余談だが、『ドラゴンボール』の影響でこのシステムの実装後に当時はまだ存在しなかった「ギャルのパンティー」を願うプレイヤーが続出したため、
急遽アイテムとしてのギャルのパンティーが追加実装されたという経緯がある(頭用腰用の防具ではなく、何故か投擲武器としての実装だったが)。
あなたは狂喜して叫んだ。「ギャルのパンティおくれーっ!!!」

*2
2011年3月に製作者のNoa氏より『Elona』本家の更新無期限中止が宣言されてしまったため、
神々の降臨関係のイベントがどうなるはずだったのかは不明。
その後は希望者へと『Elona』のソースコードの譲渡が行われ、有志によってそれぞれ異なる要素が加えられたヴァリアント(派生作品)が製作されているが、
その中にはエヘカトルやルルウィ以外の神の降臨や、神々を仲間にすることが可能な作品もある模様。

*3
『Elona』のやり込みプレイの一つであり、「無敵」を実現する唯一の方法。「カオスシェイプ」と呼ばれる種族でプレイしている時のみ可能。
3レベルアップするごとにランダムで手や足などの部位が増えるカオスシェイプの手のみを意図的に増やし、
「被るダメージを稀に無効にする」のエンチャントを持つ盾を複数装備することで無効化確率が累積し、
最終的にはあらゆるHP減少を受け付けなくなる現象を指す。手の最大数が13であることから「13盾」と呼ばれる。
『Elona』で死に至る原因は基本的にダメージによるものなので、HP減少を受け付けない=死なないということになる
(うみみゃぁ!や「願い」で願った死の他、餓死なども無効となる)。
単なるダメージではなく特殊な判定を行っている「首狩り」のエンチャント(一定確率で瀕死の相手に止めを刺す)が発動する可能性はあるものの、
13盾状態時はそもそも瀕死に陥ることが無いので、無敵であることに変わりはない。

ロミアスを製作した夫氏による13盾検証動画
13盾でのうみみゃぁ!無効化
13盾+エヘカトルを仲間にした状態(ヴァリアント使用)

なお、そんな無敵の13盾すら恐れる数少ない危険度最大の物体も二つ存在する。
それが「もち」と「黄金」である。饅頭怖い的な話ではなくガチで。
もちは軽く腐らず腹持ちもいい優秀な食用アイテムに見えるが、一定確率で喉に詰まり、
何かしらのペットを連れていれば背中を叩いて助けてもらえるが、単独だとそのまま窒息死するという死の罠である。
この「窒息」が曲者で、13盾によってダメージ自体は防げても窒息による行動不能は防げないのだ。
むしろ13盾していなければあっさり死んでさっさと這い上がれば問題ないが、13盾だと死ねないせいで二度と行動することが出来なくなってしまう
リセットが間に合えばいいが、窒息中に自動セーブされてしまったらそのデータは廃棄する以外なくなってしまう。不死身も考えものである。
そしてこれより遥かに厄いのが「黄金」。
これは「金塊」とはまったく別物で、バグ技などでデータに破損が起こった時に生成される「欠番アイテム」である。
とにかくそのデータを参照した瞬間ゲームが強制的に落ちる。文字通り「そいつに触れることは死を意味する」というやつである。
当然、以後はまともにゲーム進行は出来なくなるのでこれも廃棄案件になる。
自由度が極端に高いのが売りの『elona』であるが、絶対の禁忌の一つがこれ。何事もあまり無茶をしすぎてはいけないのだ。


最終更新:2021年04月24日 17:42
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