勇者アレックス


『RPGツクール2000』及び『2003』に登場する男勇者。
デフォルトネームは「アレックス」。
無論『ストリートファイターIII』の主人公ではない。主人公(笑)な要素はあるけど(後述)

+ RPGツクールとは
『RPGツクール』とは、エンターブレイン(旧アスキー)社が開発したゲーム作成ソフトのシリーズである。
本来ゲーム製作は、文字通りプログラムを一から作り上げる必要があり、当然相応の技術と知識が必要不可欠なのだが、
ツクールシリーズは予め用意されたプログラムにデータを入力する事で、素人でも(比較的)容易にゲーム製作を行えるように作られている。
その歴史は古く、最も古い物はファミコンと同期のPC-8801用である(『ウィザードリィ』タイプだが)。
現代の『RPGツクール』(『ドラクエ』タイプ)の直接の始祖はスーパーファミコンと同期のMSX2用からである。
2015年発売の『MV』はツクール史上初のMacOS対応、後にLinuxOSにも対応した。

ちなみに『ツクール』シリーズはRPG以外にもいくつか種類があり、
MUGEN的には『2D格闘ツクー』(通称「格ツク」)が代表的な例として挙げられるだろう。

ニコニコにおいて有名どころの一つといえば、漫画『するめいか』や『てーきゅう』等の原作者であるルーツ氏が当時一ユーザーだった頃、
「中二の頃作った黒歴史RPG」こと『in those days!』の実況プレイ動画を投稿していた事が挙げられる。
同作はその名の通りルーツ氏が中二~中三の頃にRPGツクール3を用いて作った作品であり、内容こそトンチキな作品であったものの、
氏の巧みなトークスキルに加え、ツクール3に同梱されている自作グラフィックツール「アニメティカ」を用いた自作のモングラ等もあり、
瞬く間に人気を博すようになる。
途中、何がしかの事情で続きが途絶えたりしたものの、その後は続きを補完しながらの形でリアルタイムで実況と制作が継続され、
散りばめられた伏線の回収も行われた末に完結。
同動画は2009年、NHKのテレビ番組『ザ☆ネットスター』2月号において、『呪いの館』に次ぐお宝動画として紹介された事もあり、
ひいては一次創作系のインディーズゲームの投稿兼実況ブームの火付け役にもなったといえる。
他にも、ホロライブ3期生の宝鐘マリンもまた、これまでの人生を費やしてまで作り上げた黒歴史RPGである、
セカワーこと『The Second World ~世界のつくりかた~』が、大空スバルによる「黒歴史選手権」で掘り起こされた事を機に、
マリン自身による実況配信をする事に。
その結果として声優の井上麻里奈女史や福圓美里女史、園崎未恵女史等が声優オーディションに乗り気な反応を見せた事等により、
ホロライブ主催で声優オーディションが行われる等もあった。

PCソフト用の『RPGツクール』シリーズは『2000』『2003』『XP』『VX(Ace)』『MV』などがリリースされているのだが、
アレックスはその中でも特に人気のある『2000』、及びそのアッパーバージョンであるはずの『2003』においてデフォルトキャラとして設定されており、
特に『2000』においては主人公的存在とされている。

この「製作ツールのデフォルトネーム」というある種マイナーな存在でありながら、アレックスの認知度は意外なほどに高い。
その理由として、『2000』がその非常に高い自由度から人気を博した事に加え、リリース当初の今ほど使用者の技術水準が高くなく、
対応素材も少なかった時期において、この「デフォルト設定」そのままに製作されたRPG(通称デフォ素材、RTP*1)が巷に溢れ返ったという事情がある。
この為、ツクールで製作された作品をある程度プレイした事があるプレイヤーの間では、
「デフォ素材にいるハチマキの勇者=アレックス」という図式が自然と出来上がっていったのである。
また、逆にそれをネタにする作品も現れ始め、
次第に「アレックス」という存在がメタ的に確立されたキャラクター(要するに「お約束」)のような扱われ方をされるようになっていった。
以下のVIPRPGの元となった「もしも~」も、そういったネタ作品の典型例の一つと言える。

同じような立場に『2003』のザック、『XP』のアルシェス、『VX』のラルフ、『MV』のハロルドなどが挙げられるが、
こうしたキャラ達もある意味アレックスの存在(デフォネームネタ)が確立させたという側面が大きい。

ちなみに、『2000』のアッパーバージョン(基本的な仕様をそのままにシステムを一新させた)である『2003』は、
一世を風靡した前作とは裏腹にあまり人気が奮わず、『2003』リリース後も『2000』で製作された作品が断続的に発表され続けていた。
こうした背景にも『2000』のデフォルト素材が広く認知されている理由の一つとして挙げられる。
単純にリアル路線の『2003』デフォ素材が人気無かったというのもあるが

+ デフォルト素材比べ。上が『2000』、下が『2003』

+ 『RPGツクール2000』について
前述の通り、『RPGツクール』はその長いシリーズの歴史の中で多くの作品をリリースしているのだが、
その中でも『2000』は特に根強い人気を誇るタイトルとして知られている。

その秘密は非常に高い自由度(と扱いやすさのバランス)にある。
それ以前の作品が精々「ある範囲で用意されたグラフィックやデータを好きに設定する」という程度のものだったのに対し、
PC用ソフトとしてリリースされた『2000』はその環境を最大限に生かし、
自作も含め文字通りあらゆるグラフィック、音、データを素材として扱う事が出来たのである
(後の『XP』は、自由度が増えた代償にスクリプトの自作を要求する部分があった為、逆に人気を落とす要因に)。
そして容量の制限も大きく緩和された事で、それまでとは比べ物にならないほど自由に好みのデータをゲーム内に使う事が出来た。
またプログラム面での自由度の高さもそれ以前の追随を許さず、
結果RPGツクールであるはずがアクションやパズル、シューティングなども作れるという点も、その人気を大きく後押しした。
この辺のフリーダムさはMUGENに通ずる所があると言えるだろう。実際、MUGENみたいな作品が作られたりもした。
そもそも、ローグライクやARPG風のゲームがサンプルゲームとして収録されているなど、公式自らRPG以外も作れるという指針を出している。

そして実際に作ったゲームをデータ化し、ネットを通じて他のユーザーや非ユーザーにもプレイしてもらえるという、PC特有の長所も非常に魅力的だった。
ユーザー達はゲーム製作という娯楽を楽しみながら、製作を通じてある種の文化を築いていった。
その果てが、「コンテストパーク(通称コンパク)」というエンターブレイン公式によるユーザー作品の表彰であろう。

こうしたPCソフト用という環境の強みによって作品製作の幅が飛躍的に広がり、ツクール特有のゲーム製作に纏わる文化が生まれ、
多くのユーザーを虜にした事が今なおその人気を支えていると言える。
そして多くのユーザーに「エターなる」*2という挫折を植え付けもしたが
以降、シリーズとして次々とリリースされていくのだが、その基本的な土台を作り出したのが『2000』であった事は間違いない。
なお、こうした「PCソフト用ツクール」としての基礎は、
『Dante』(MSX2)、『RPGツクールDante98』(PC-9801)、『RPGツクール95』(Windows95)と築かれていったものであり、
事実『2000』がリリースされるまでは『95』がRPG製作ソフトとして高い支持を集めていた事も付け加えておく。
またツクールゲーで最も成功した作品である『コープスパーティー』は『Dante98』製である。

+ 余談、『2003』について
こうした多くのファンを生み出した『2000』。
そのアッパーバージョンである『2003』の発表に、当然多くのツクラー達は歓喜に沸いた。
「今度はサイドビュー戦闘(『FF』みたいな感じ)がデフォルト」という非常にキャッチーなシステム変更も相俟って、多くの期待が寄せられた。

……だが、いざ蓋を開けると、そこには阿鼻叫喚の地獄絵図が待っていた。
  • 上で挙げた「デフォ素材がリアル路線に変更」などまだ可愛い方(ただ、サイドビューの味方グラフィックはデフォルメなので違和感が大きい)
  • 数多くのバグ、中には進行不可能になる極めて凶悪なものも(『2000』に比べて対応が遅かったのも評価を下げる一因)
  • ウリであるはずのサイドビュー戦闘の微妙さ(この為、『2003』製でデフォルト戦闘を採用している作品は希少)
実際の所、修正パッチにより多くのバグは取り除かれているのだが、こうした発売当初の極めて劣悪なイメージから来るバグゲーのレッテル、
そして手軽さがウリのツクールで、デフォルト戦闘が酷い≒戦闘システムを自作する技術が必須、という敷居の高さもあり、
PC用ツクールの中で影が薄い。
なにしろ、公式でサポートが打ち切られ、製品紹介からも省かれているレベルである。
『2003』リリース当時に持っていたメリットの大半は、『2000』のバージョンアップで逆輸入されているのも逆風。
まぁこの辺はサイドビュー戦闘(アクティブ・タイム・バトル)自体がFFの製作元であるスクウェアに特許権がある等、
大人の事情も深く関わっているようなので、不人気だからサポート打ち切り、と一言で済ませられる問題ではないようであるが。
一応レベルを99まで上げられる(『2000』では50まで。まあ転職システムで誤魔化せばry)、マップの自動生成システムが使えるなど、
まだまだ『2000』に比べて優れている部分はあるのだが…。

…とまあこのように不遇だった『2003』だったが、Steam版では改良を施された結果、
一転して『2000』と同等かそれ以上のツールとの高い評価を得た。
惜しむらくは言語が英語のみで、2バイト文字である日本語には非対応という事か(有志による非公式パッチで日本語化及び機能拡張が出来るが)。

なお、『2003』の初回特典として携帯向けの『RPGツクールα』が収録されていたのだが、
こちらも「ドコモの携帯のみ」「容量は最大30KBまで(当時の携帯向けである以上仕方ないのだが)」など、使いこなすのは難しい代物であった。
『MV』はスマホアプリとして出力も出来るのだが、
アプリストアの審査やら何やらと壁になる要素が何重にもあり、あまりスマホアプリとしてリリースされた作品は多くない。

原作での性能(デフォルト)

勇者らしく通常攻撃と魔法攻撃、回復魔法を使いこなすオールラウンダー。
初期装備はロングソード(ごく一般的な量産型の長剣)とクロースアーマー(丈夫な布で作られた鎧)。

攻撃力が高い代わりにMPが0という脳筋戦士「ブライアン」、数多くの攻撃魔法を使いこなす魔法使い「キャロル」、
回復魔法を専門とする神官「デイジー」とのパーティ、いわゆる主人公パーティはそのバランスの良さに定評がある*3

Lv Lv1 Lv50
HP 48 738
MP 38 510
攻撃力 26 219
防御力 21 165
精神力 18 249
俊敏性 23 383

とはいえあくまでもデフォルト設定であり、製作側がいくらでも数値や設定を弄る事が出来る為、
実際この通りのまま製作された作品はそれほど多くないと思われる。
バランスタイプの勇者という個性だけ反映されている場合もあれば、
全く違うタイプのキャラ(例えば二刀流の純前衛など)として設定されている事もある。


VIPRPGとは

2chのニュー速VIP板にあるRPGツクールスレッド、或いはそこやその周辺に投下された作品群を指す。
その中でも大部分を占めているのが、「もしも勇者が最強だったら」という一本のksg*4から始まったと思われる「もしもシリーズ」。
一種のシェアードワールドであり、RTPに個性をつけたものを始め、
他のツクールのRTPキャラの輸入や、改変・オリジナルドットのキャラクターが追加されていき、またある程度統一された世界観を持つ。
これは別に「このキャラクターはこうでなくてはならない」といったものではなく、
ある程度統一された設定を用いる事でキャラクターや世界観の説明を省く事が出来、ゲーム制作のハードルを更に下げる効果もある。

数が多いのはなんといってもksgであるが、王道RPGからちょっとしたパズルゲームまで、多種多様のジャンルのゲームが投下される。

最も有名な『ふしぎの城のヘレン』はサイドビューの独自戦闘システムとドット絵アニメが評価された名作で、
VIPRPG派生ながらも独立した設定でもしもシリーズを知らなくても問題なくとっつきやすくなっており、
要素を追加したプラス版がSteamで公開され、海外でも好評を得るほどになっている。
ちなみに本作に登場するアレックス(?)はというと……なにこれ。

VIPRPGでのアレックス

王様「こっち向け」*5
王様「魔王」
アレックス「把握」

『2000』での肩書き通り勇者である。
「もしも勇者が最強だったら」から主人公として出演しており、VIPRPGの主人公であると認識する人も多い。
お約束的展開として「魔王に奪われた王様のポテチを『もしもの力』で取り返しに行く」というのが多い。
ゲーム開始直後に王様と上記のようなやりとりをするのもお約束の一つ。
+ もしもの力とは
端的に言えば、触れたもの全て吹き飛ばすというチート能力である。
基本的には何者も妨げる事は出来ないが、この力が通用しない場合もある。というか大体オチ担当のガチホモ海賊ゴメスである
デフォルト戦闘で使用される事もあり、その時は流石に無敵化はあまりなく、能力強化等がなされる。

余談だが、もしもの力を得るのはアレックスに限らず、作品によってはただのスライムが無双し魔王まで吹っ飛ばす光景が見られる。

だが、基本的に魔王との仲は悪くなく、気さくに話しているシーンを見る事も少なくない。
家族ぐるみのお付き合い(主にアレックスの妹と魔王の娘の仲が良い)もままある。
魔王も、ポテチを盗んでアレックスに吹き飛ばされる事は仕事の一部と認識していたりもする。
しかし、勇者は肩書きであって職業ではないという解釈なのか、ニート扱いされていたり、実際ニート同然の暮らしをしている事も多い。

一人暮らしという設定の作品も多いが、妹のリナックス、姉のレナックス*6
ツクールデフォルトの魔法を擬人化したスターライトⅢなどが家族として登場する事が多い。
初期装備のロングソードが意思を持って家の中をうろついている事もある。
女勇者のリリア、エルフのヘレン、偽女勇者のエロリア、塩沢魔王(上記の魔王とは区別される別人*7)の妹の塩沢妹など、
数々の女性キャラとフラグを立てる事も多い一方、ステレオタイプ的VIPPERを投影したような非リア充として描かれる事も。
そして、この手の作品の主人公の宿命か、汚れ役や悪役を演じる事も少なくない。
ある時はリア充に対する妬みから、ある時は自分の性欲からなどとギャグ的な悪役もあれば、
勇者とは何か、という問いを突き詰めた結果悪役を演じるというシリアスなものも。
尤も、シリーズの性質上アレックスに限らず大抵のキャラクターに悪役の経験はあるのだが。
別キャラとしてダーク版の偽勇者クレアス(ホモ)も存在している

勿論シリアスな主人公を演じる事も少なくなく、勇者として、神聖魔法属性使いとして、力を発揮する事が多い。
作品によっては勇者らしく面倒見が良かったり、パーティメンバーと友情を育んでいたりする一面を見せる。

余談であるが、MUGENにはVIPRPGより偽死神五世が参戦している。
今後MUGEN上での共演も見られるかもしれない。
そして、ついにこの大会でチームとして組む事が出来た。

VIPRPGでの性能

デフォルト戦闘を用いたksgにおいてはRTP魔法そのままの性能である事が多い。
凝ったゲームにおいては、多くの場合RTP設定(光属性全体攻撃魔法、単体回復魔法、精神力強化魔法などを搭載したオールラウンダー)を踏襲しつつ、
技の追加や性能のテコ入れが行われている。

一方、戦闘をしないゲームにおいては「もしもの力」で無敵になっている事も多く(上記の「もしも勇者が最強だったら」から続くシリーズのお約束)、
敵シンボルに触れただけで、相手が効果音とともに派手に吹っ飛んでいく。
プレイヤー操作で大量の敵シンボルを『無双』シリーズも真っ青な勢いで吹き飛ばす光景はもしもシリーズの名物の一つ。


MUGENにおけるアレックス

現在3種類のアレックスが確認されている。

+ BirdRen Chen氏製作 Brave_Alex
  • BirdRen Chen氏製作 Brave_Alex
BirdRen Chen氏が製作した最初のアレックス。
当初は偽死神五世とどちらが先に完成されるか期待されていたが、基本動作と少々の技を入れただけで製作終了した。
改変自由で誰か完成して下さいとの事。

+ カオス同盟氏製作 VIPRPGアレックス
  • カオス同盟氏製作 VIPRPGアレックス
上記のBrave_Alexを改変したもの。
技はそのままだが、5Pから付けられる「もしもの力」が凶悪。
なお、それぞれのカラーの性能は以下の通り。

性能変化(VIPRPGアレックス リドミより引用)
1P 1/2の速度 普通
2P 等速
3P 2倍速
4P 4倍速
5P 1/2の速度 もしもの力モード
6P 等速
7P 2倍速
8P 4倍速
9P 1/2の速度 いつものksgモード
10P 等速
11P 2倍速
12P 4倍速

1/2の速度・等速・2倍速・4倍速というのは、『2000』で設定出来るキャラクターの移動速度である。
AIは走る事を第一に考え技は一切振らないので、1P~4Pはコイキング並の弱さになる。
逆に5P以上なら狂ランクになる。両極端である。
なお、ステートを奪う攻撃しか通用しない為、基本的には相性ゲーとなる。
空中で攻撃を受けるとまるでそこが地上であるかのように走り回るが、仕様なので気にしてはならない。

更新でフライングスイッチこと外道モードが追加され、もしもの力をより生かしたものとなった。
また、走り抜けスイッチをつけ、より幅の広いランクが選択出来るようになった。
この更新でAIはなくなったが、製作者曰く無い方が強いらしい。

さらに10月28日の更新により、いつものKSGモードが遂に搭載。
スライムとブライアンがアレックスと一緒に突撃する様を見る事が出来るようになった。
攻撃するともしもシリーズよろしく吹っ飛ぶ上、吹っ飛んでいる最中にも攻撃判定がつくという嫌らしさである。

+ a487561氏製作 大中天
  • a487561氏製作 大中天
現在はDL先が消失しており入手不可。
『2000』の歩行グラフィックを使用して作られたアレックス。
ボイスは海外の実況者のものが使われている。
11P以上は狂キャラとなっており、12Pでは10人がかりでピラミッドを組んで数の暴力を仕掛けて来る。
なお、このアレックスの挑発は無敵時間があり、攻撃避けにもなっているのだが、
動作がこちらを見ながらキモい笑い声を発するというもので実にウザい
デフォルトAIも搭載されており、ひたすら挑発で攻撃を避けまくるのでとてもウザい
紹介動画

出場大会



*1
「ランタイムパッケージ」の略称。エンターブレイン公式が配布しているデータ素材の事。
ツクール規定のデフォルト素材を予めパソコンにダウンロードしておく事で、作品からデフォルト素材分のデータを取り除く事が出来た。
なにせ当時のハードディスクは20GBが基本、40GBなら大容量と謳われ、
インターネットも現代の1/1000以下の速度しか出ないナローバンドな上、有線であろうとも従量課金制だった時代である。
こうする事でハードディスクに多数の作品を保存する事が可能になり、インターネット代の節約にもなった。

こうした事情から、デフォルト素材そのものを指してRTP、またその素材のみを利用するゲームに対してRTPゲーなどと呼ぶ事がある。
現在は各種ストレージの大容量化が更に進み、平気でTB級のハードディスクを搭載したパソコンが発売されており容量問題は解決したと見られたのか、
『MV』では廃止に至った。
ただし、新規プロジェクトを作る度に300MB超えの素材データがフォルダにコピーされるので、
公式でも後に軽量化した音源データが配布されたりなどの解決手段を提示した。

*2
「永遠(エターナル)に鋭意制作中」と言う意味。
詰まる所「未完」だが、厳密には「鋭意制作中=打ち切り宣言さえ無い」と言う「立ち消え」状態である。
要するにモチベーション低下等の諸々の事情から作品を完成出来ずに終わってしまう事。
今ではネット上の創作で幅広く使われる用語だが、実はこのツクール2000界隈発祥の言葉。
当時、超大作を作ると大言壮語を吐いて多くのスタッフを集めながら、
見通しの甘さ故にゲーム開発に着手する事すら出来なかったという逸話を持つ『エターナルファンタジア』が由来である。

ツクールは非常に高い自由度を誇るのだが、それ故にこそ初心者がいきなり分不相応に大きな目標を立ててしまい、
当然手に余ってしまってやる気が無くなり飽きる、という事がユーザーの間で頻出した。
なまじツクールでは賞も取れるような完成度を誇る名作を簡単に入手出来、
しかもツクールの機能で中身を覗けるという非常に「勘違い」しやすい環境もあって、今では誰しもが体験する失敗例として広く認知されている。
状況によっては初心者でなくともエターなる危険性は十分にある。
公式コンテストでも「前編が入賞したのに、いつまでたっても後編が投稿されない」と言う問題が起こり、
「前後編に分けたものは両方同時に送って来なければ失格」と宣言される事に
(『95』だとフロッピーディスク2枚(2MB)までと言う制限があった為、壮大な作品を作ろうとすると入りきらなかった事によるもの。
 『2000』以降はディスク枚数に制限がなくなった為(未完をごまかす以外に)前後編に分ける必要はなくなった)。

*3
物凄く勘の良い人なら気付いたかもしれないが、
実は「『2000』のデフォルトネームはアメリカの台風みたいに頭文字がアルファベット順になっている」というのは有名な話である。

+ 『2000』のデフォルトネーム一覧
顔グラの左上から順に
  • A:アレックス(男勇者)
  • B:ブライアン(男戦士)
  • C:キャロル(女魔法使い)
  • D:デイジー(女神官)
  • E:エンリュウ(男格闘家)
  • F:ファルコン(男盗賊)
  • G:ゴメス(男海賊)
  • H:ヘレン(女エルフ)

なお『2003』にはこのような法則は見つかっていないが、それ以降も似たような命名法則が存在している。
例えば『XP』では同じようにアルファベット順での命名がされていたり、
『VX』ではスクリプト言語に因んだ「RUBYLOVE」なんていう中々洒落た命名法則だったりする。
『MV』では「HTMLFIVE」、『MZ』は「RPGMAKER」。
余談だが、スーパー戦隊シリーズでも『秘密戦隊ゴレンジャー』の「かしおペあ」や『激走戦隊カーレンジャー』の「じどうしや」、
『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』の「かいとう」「けいさつ」等がある。

*4
「クソゲー」の意。一般的なそれとは意味が異なる。
具体的に定義されていないので説明が難しいのだが、基本的にはネタ的に作られた短いツクールゲーを指すと理解して貰えればよい。
VIPRPGにおいては立派な一ジャンルとして確立されている。
極端な例を挙げると「開始→爆発エフェクト→終了→タイトルへ戻る」というものや、
タイトル画面で既にオチておりゲームそのものは始まりもしない(ニューゲームを押してもエラーで落ちる)なんてものすら存在する。

*5
当ツクールで主人公をマップに配置する際は、画面下側を向いている状態でしか配置出来ない。
加えて玉座も下向きのチップしかない為、「開始直後に主人公が王様の前に立っている」状態を作ろうとすると王様に対し背を向けている状態になってしまう。
なお誤解のないように書いておくと、画面表示前に振り向かせておけば良いだけの話なので、このセリフはあくまで上記の仕様をネタにしたギャグでしかない。
余談だが、初代『ドラクエ』は容量の関係で正面グラフィックしかないので、
勇者は王様に対して常に背を向けて話しているし、竜王に対しても背を向けて戦いを挑んでいる事になる。

*6
アネックス、ゼダックスなど、異なる名前で登場する事も。当シリーズでは性格や周辺設定のみならず、名前が一定しない事も珍しくない。
極端な事を言えば、この項目で紹介されている勇者自体、必ずしもアレックスという名前でなくともよいのがもしもシリーズである。

*7
主要人物は(主人公を除き)声付きと言う豪華なサンプルゲーム『花嫁の冠』において、ラスボスの魔王の声を塩沢兼人氏が当てていた事から。
好きになった女神が首を縦に振るまで監禁する悪質ストーカーではあるが、非常に部下思いで慕われておりそれ以外の悪事は働いていない
(本人曰く「権力争いに興味はない」)。
しかし、「結婚の女神」がいなくなったせいで主人公の住む村は50年もの間、恋人同士が結婚すると不幸が降りかかるようになったた為に倒すべき敵となっている
(なお、件の女神はあくまでも主人公の住む村担当でしかないらしく、山一つ先の町では問題は起きていない模様。
 「ノルマが~」と言っていたので上司や同僚も居そうである)。
グラフィック的にはイケメンなヴァンパイアロード(余談だがロードじゃない方はコイツにそっくり)を使っており、ムキムキマッチョなRTP魔王とは別物。
劇中では親父や兄弟が居ると本人が口にしているので(弟の一人は実際に登場している)、
親父がRTP魔王なのかもしれない(もしもシリーズでは赤の他人)。
そもそも部下が2+1しか居ない(雑魚はバイトと言うか野良と言うか)ローカル魔王だし…
サンプルゲームなので作中の塩沢ボイスや釘宮ボイスなどの豪華声優陣の音声素材も当初はフリー使用可能だったのだが、
何があったのか突然規約が変わり、素材の二次使用が全面禁止になっている。
そのため塩沢魔王達はもしもシリーズから姿を消すことになった。
妹だけは二次創作のオリキャラであるため自粛する必要はないのだが、
ぶっちゃけ単体でそこまでキャラ立ちしてるわけでもないという身も蓋もない理由で道連れに消えていった。
今となっては懐かしの過去キャラである。哀れ……。


最終更新:2024年04月12日 01:19
添付ファイル