スコープドッグ


「たとえ神にだって、俺は従わない」

むせる テレビアニメ『装甲騎兵ボトムズ』に登場する人型ロボット兵器「アーマードトルーパー」(以下AT)。形式番号ATM-09-ST。
本作の主人公 キリコ・キュービィー (詳しくは後述。間違ってもメイド忍者魔界の蜂僕と契約してryではない)が
最も乗り慣れている機体で、大半の派生作品でカスタム機や派生機が登場する等、作品の顔とも呼べる機体。
誰が言ったか、ファンからの通称は「 スコタコ 」。由来は「顔がタコに似てるから」とも言われている。
他にも「スコープドッグターボカスタム」の略称と言う説もあるが、それだと数台しかない改造機のみを指す事になる。
(更に言うとターボカスタムはTV本編には出ておらず(TV版に登場したのは「レッドショルダーカスタム」)、初出はOVAである)

特別なワンオフ機という訳でなく 完全な量産機 であり、そのような機体がロボット物の主人公機として登場したことは
放送当時としては非常に画期的であった*1
それ以外にもそれまでのロボットアニメにない、とにかく「 人型二足歩行の搭乗式ロボット 」という括り以外は、
それを戦争の兵器として徹底的にリアルを追求し描写、そしてそれらに乗り戦場を駆ける無骨かつ泥臭い
男達の物語を描いた本作は、リアルロボット系作品の一つの終着点として高く評価されている。
尚、「リアルロボット」という言葉はこのボトムズや同監督による『太陽の牙ダグラム』が発祥だと言われている。
(『ガンダム』など現在リアルロボットの代表格と言われる作品の放映当時、まだこの言葉は存在しなかった)

百年戦争末期にギルガメス軍にて制式採用されたATで、アタッチメントや追加装備で高い汎用性を発揮できる傑作機。
あまりにコストパフォーマンスが高い為、より高性能な後継機が出てきた数十年後も一線の主力として使用されているほど。
ただし生産性や汎用性は高いが、コストダウンのために装甲は極限まで減らされ、
機体そのものに生命維持装置や脱出装置は装備されておらず、人工筋肉「マッスルシリンダー」の動力源として
全身を循環する「ポリマーリンゲル液」の発火性が高い為、パイロットの死亡率は極めて高い
予告で「故国を守る誇りを厚い装甲に包んだAT」などと言われたのも今は昔
このためATのパイロット達は「ボトムズ乗り(最低野郎ども)」とも呼ばれている。
(「作品名にあるのが主人公機どころか劇中のメカの名前でさえないもの」というのも、当時としては非常に稀有である。
 ただし「装甲騎兵」はそのまま「アーマードトルーパー」の日本語訳だが)
なお軍としては「最低野郎ども(BOTTOMS)」なんて呼び名は好ましくないので
V ertical O ne-man T ank for O ffence & M aneuver- S ystem(攻撃と機動の為の一人乗り直立戦車機関)」を略して「VOTOMS」だと主張しているそうな。
別銀河の話なのに英語?気にするな!
(メタ的にはサンライズが「BOTTOMS」の商標を取れなかったからとか。
 「BOTTOMS(ボトム)」にはズボンやスカート等「下半身用の服」と言う意味もあるので服飾産業から異議申し立てがあったのかもしれない)

基本的に使い捨て前提の機体であり、キリコも使えなくなった機体は容赦なく捨てている。
またその機構の単純さから、作中ではありあわせのジャンクパーツで組み上げられたことも。
設定によって多少のバラつきはあるが、概ね日本円で10万~数十万円、中古車程度の価格。
ここまで安いとウド編の治安部隊がキリコと戦う際にバイクや装甲車を使っていた理由が不明だが。
いくら装甲が薄いとは言えバイクよりは丈夫だろうに。
ただし「ポリマーリンゲル液」の配合は軍機である為、民間に出回っているものは品質が悪く、
結果的に民間ATならカタログスペックの5割も出れば上等とされている。
なおベテラン整備員ともなると舐めれば質が分かるとか。体に悪そうだが…。
(現実世界でも自動車等の冷却液とかは毒物でありながらも舐めると甘い。そのため最近は誤飲防止のために苦味とかが付いている。)

固定武装は両腕に内蔵された「アームパンチ」(カードリッジ式の炸薬で腕を高速伸縮させて殴りつける格闘用装備)のみ。
手持ち武器としては、30mm弾を120発装填可能な機関砲「ヘヴィマシンガン」、
ジャングル等で使用するために銃身とストックを無くして短くした「ヘヴィマシンガン改」、
特殊部隊用に火力よりも静粛性や軽量化を重視したハンドガン「ペンタトルーパー」、
バズーカ型のレールガンである「ソリッドシューター」、対艦用の大型ビーム砲「ロッグガン」
手持ち式の連装ロケットランチャーや連装ミサイルランチャーなどを携行する。
背部にミッションパックを装備すれば、9連装ロケット砲や小型ガトリングガンなどを背部や腕部、腰部に追加装備する事も可能。
旋回用のターンピックを腕部に装着することで「パイルバンカー」として使用することもできる。
またラウンドムーバーと呼ばれるブースターを装備すれば、宇宙空間での戦闘も可能である。

良く誤解されるが、 スコープドッグ自体の性能は決して低くない。
戦車や戦闘ヘリより弱いのは事実だが(ただしATより強い戦車や戦闘ヘリの存在は後付け設定)。
『ボトムズ』の舞台となるアストラギウス銀河は、銀河系全域での戦争が可能なほどの文明を保持しており、
単純に破壊力だけをぶつける戦争を行えば、惑星の1つや2つ簡単に吹き飛ばせる兵器が多数存在する。
事実、ギルガメス側の首都星は過去に数度破壊されており、現在は惑星メルキアへと遷都されている。
つまり技術レベルでいえば太陽系から出ることが出来ない宇宙世紀とは比べ物にならないのだ。

しかしあくまで資源を巡る戦争である以上、惑星を壊しては意味が無い。
そこで地上を制圧する為の兵器――機動性と生産性を再優先して装甲の薄い、ATが開発されたのだ。
ATはあくまでも「歩兵」の延長線上であり、兵器としてはパワードスーツの一種に近い。
「戦車」的な扱いをされる他のリアルロボットに対して、兵科そのものが違うのである。
その為、スコープドッグが弱いというのは、まったくもって不当な評価に他ならない。
+ 実際に比べてみた
加えて前述の通り、スコープドッグの価格は中古車程度と設定されている。
他のリアルロボットが戦車、戦闘機扱いである以上、その価格は10億から100億円とかなりの高額と見て良い。
現実に存在するリアルロボット「クラタス」でさえ、価格は1億円である。
つまり単純な値段計算で言えばガンダム1機に数百機のATが蟻の様に群がって倒しても一切損は無い(むしろ得)のだ。
(ボトムズ乗り達は捨て駒前提だが)
そしてスコープドッグの機動力と旋回力は、それを可能にするだけのスペックを十分に持っている。
え?空中からツインバスターライフルをぶっぱされたり、サテライトキャノンの雨嵐が来たりしたらどうするかって?諦めろ

加えてスコープドッグではコスト削減の為に生命維持装置をオミットされ装甲も薄くなったものの、
原型機のスペンディングウルフはコスト度外視で生命維持装置を完備。
+3mm程度ではあるが装甲が厚くて構造強度自体も高く、挙句の果てに 「ポリマーリンゲル液」の燃焼・爆発を防止する システムまで備えていたため、
驚異的な継戦力と生存率を誇り、作戦成功率とパイロットの評判も極めて高いと言う非の打ち所のない傑作兵器であった。
「スペルディングウルフ=ガンダム」「スコープドッグ=ジム」と考えれば判りやすい(そして主人公もジム乗り)。
コストパフォーマンスの悪さに目をつむってこっちを量産していればメルキアはもっと楽に戦えたことだろう。

ただし外伝作品『青の騎士ベルゼルガ物語』では、両勢力の技術者が全てを注ぎ込んだ作ったベルゼルガ・テスタロッサという、
スロットルを全開にする前にパイロットがGに耐え切れず圧死した為スペック不明。
パイルバンカー一発で大地を砕き、この作品オリジナルの全てのATの始祖にして神に等しい機体レグジオネータ
(こちらには装甲厚が全AT中最高、最高速度に至ってはブッチギリの最速故に測定不可能)と激闘を繰り広げる、
スーパーロボットもかくやという領域に到達する機体がいる。
パイルバンカーに関しては古代遺産から無限の動力を引き出しているものの、機体性能に関しては純粋な技術のみ。
ATにかぎらず、その他のリアルロボットと比較してもコレほどのスペックの機体は殆ど存在しないだろう。
(尤も、この機体が登場した青の騎士の最終巻『絶叫の騎士』は、執筆者がやり過ぎた為にどこまで公式か賛否両論別れるのだが)
例外といえば上記のレグジオネータぐらいである。
ちなみに、テスタロッサもレグジオネータもジェネレータを搭載しているため、マッスルシリンダーに頼らないで稼働できる。
(一応テスタロッサの方は補助用という申し訳程度の理由で積んでいるが)

+ 搭乗者「キリコ・キュービィー」について

+ 外部出演

+ 格ゲー的な余談


MUGENにおけるスコープドッグ

バルバトス氏による『第2次スーパーロボット大戦Z 破界篇』のスプライトを使用したものが公開されている。
高性能な回避行動で攻撃をかわしつつ、隙を見て相手に攻撃を差し込んでいく。
特殊システムとしてはクリティカルと底力LV9、異能生存体を搭載。
クリティカルは一定確率で攻撃の威力が1.5倍になり、底力は体力が減ると攻撃力と防御力が上がる。
異能生存体は体力600以下で発動し、その間は攻撃力が2倍になりゲージと体力が自動回復、更に即死技以外では死ななくなる。
なお底力と異能生存体はスイッチで切り替えが可能。両方オンにするとエルクゥすら圧倒する。

デフォルトAIは搭載されていないが「AIなら自由に作って、公開してもいいよ」とのこと
http://www.nicovideo.jp/watch/sm22100488

2014年1月9日に、コルクボード氏の簡易AIが公開された。
射撃よりも避け移動で近づいて、アームパンチによるコンボを狙ってくる。

また新たにレッドショルダーカスタムも公開されている。
武装が追加され、細かい動きや演出がより洗練されたものになっている。
AIもデフォルトで搭載されている。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm23704285

出場大会



*1
実際は第1話(敵も味方もスコープドッグ)以外は実質主人公専用機と化している(但し強い機体と言うわけではない)。
第1部前半のバトリング(決闘ショー)時の相手は多彩な機体。後半はワンマンアーミーなうえ敵はヘリやバイク。
第2部は「使い慣れている」と言う理由で選んだ味方より弱い旧式機(ロボット物に限らなければ結構ある設定)。
第3部は見た目は普通だがラスボスによりチューンナップされた高性能改造機。
第4部になると正真正銘の主人公専用機(ラビトリードッグ)が用意された。本編終了後には量産されたらしいが。
とはいえ個別の一機にこだわらず、壊れたら速攻で捨てて乗り換える辺り、主人公機としては異質の存在である。
キリコがスコープドッグを愛用するのは、乗り慣れているからという以上の理由はないのだ。
しかも途中で 敵側の量産機に乗り込んでスコープドッグと戦う というシーンも存在する。

なお本作より前でも主人公が(設定上は)量産機に乗っている作品として『超時空要塞マクロス』がある。
主人公の最後の機体も指揮官用と言うだけで一般兵用と大して変らない機体である(ただ、パーソナルカラーリングで画面上での差別化はされている)。
後のシリーズでは主人公(それぞれ別人)専用の最新鋭機目白押しだが。
途中で強化パーツを付けたが、別に主人公専用と言う訳でも無く一般兵用も同じパーツで強化されている。
尤も使い捨て低価格兵器のATとは違い、一般兵用でも劇中最強レベル(ただし敵の数に負ける)の高価格兵器だったが。
(裏設定では更に高性能な味方無人機(強いが目の前の敵を倒す以上の作戦行動がとれない)が画面外で暴れていた(早すぎて画面に入りきらない)とか何とか)

*2
生身でも対AT用火器類を使えばATに勝てる事は派生作品の『機甲猟兵メロウリンク』で証明済みである。
そもそも上述通りパワードスーツに近い扱いであるATの装甲はキリコが普段腰に下げている拳銃・アーマーマグナムで打ち抜けるほど薄い。
もっともアーマーマグナム自体、規格外と言っても良い化物拳銃ではあるが。

+ アーマーマグナムについて

ただし、基本的に生身でATに立ち向かうのは無謀に等しく、生身でATに立ち向かわなければならない機甲猟兵は懲罰部隊と同義。
具体的に言えば「歴戦の機甲猟兵が罠を仕掛けての不意打ちで、ようやく1機倒せるかどうか」というレベルである。
(自らが生き残る為にも、味方の死体を使って罠を作る事さえ厭わない事から「最低野郎以下の蛭野郎」との仇名まで付いている)
そもそも生身では1発かすっただけで(衝撃波だけで)致命傷になりかねない武器を装備し、
人間を轢き殺せる巡航速度40km/hを出しながらも人間並みの小回りが利くATに対し
関節を狙うか至近距離(避弾経始を考えると角度も重要)で命中させるかでやっと効果があるというレベルの武器である。
バトリング仕様とはいえ民間ATで相手が油断しているなら、何とか行動不能に追い込めなくもないようではあるが、
こっちはこっちでやらかしたのが覚醒前とはいえ旧劣等種なのであくまでも参考資料であろう。

猛攻を仕掛けてくる三機のAT(しかも搭乗者はネクスタントと呼ばれる強化人間であり、キリコすら圧倒する能力を持つ)を、
真正面からの銃撃で次々と仕留めていくキリコの所業は、やはり異能の為せるものと言わざるを得ない。

*3
これにはサンライズが100%バンダイの子会社化したことで当時のタカラ上層部が危機感を持ち、この辺りの作品を確保すべく『ブレイブサーガ』に出させた、といった事情もあるという。
(詳しくは こちら を見てもらえれば早い)



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