アストラナガン


「時を遡り…お前は無に帰するのだ…!」

スーパーロボット大戦』シリーズに登場する機体。
名前の由来はウルトラマンレオ……ではなく、銃器メーカーの「アストラ」と「モシン・ナガン」を組み合わせたもの。
初出は『α』。その後は『α外伝』に戦闘演出の一部として、『第三次α』ではクォヴレーのOPで、
アニメ『ディバインウォーズ』では第1話アバンと第25話にてそれぞれわずかに登場。
パイロットはイングラム・プリスケン(声: 古澤徹(現・古澤融) )。

全高40.7m、重量178.9t。
地球側のコードネームは「ブラック・エンジェル(=漆黒の天使)」。
『α』世界のイングラムがパーソナルトルーパーラ・ギアス、バイストン・ウェル、ゼ・バルマリィ帝国の技術を結集して創り上げた究極の人型機動兵器。
平行世界から様々なエネルギーを取り出す機関「ティプラー・シリンダー」*1を搭載しており、空間転移・並行世界へのシフト・時空間移動さえ可能にする。
武装は頭部に固定装備「フォトン・バルカン」、液体金属を用いた剣「Z・Oソード」、重力散弾「アトラクター・シャワー」、
翼から撃ち出されるエネルギー弾「T-LINKフェザー」、サイバスターのハイファミリアを元に製造した遠隔誘導兵器「ガン・ファミリア」、
ダークマターを撃ち込み相手を超重力圏へ落とし込む「アキシオン・キャノン」、
そして超光速の時間逆行を発生させて対象を「存在する前」の状態に戻し、存在そのものを虚無へ消し去る「インフィニティ・シリンダー」
…とラスボスを張ってもおかしくないようなチート兵器を山積みにしている。
『α』ではグランゾンとはライバルにも似た関係になっており、「本気で戦うと宇宙が消滅する」というトンデモ設定がある。
実際に最終話では対決できる場面もあるが、閉鎖された空間となり、グランゾンも本気(ネオ)ではないため、その心配は無い。
なお、その最終話でフラグを立てていると、熱い展開で味方となる。
追加ステージのある『DC版α』では改造する事もできるが、出撃時にリセットされてしまうため意味が無い。

まさに超兵器とも言える存在であるが、ゲーム内では設定ほど脅威となる場面は用意されていない。
唯一のユニットとしての登場作である『α』では敵対はしているものの、乗っている本人の目的(味方戦力の育成後に奪取)からか、
殆どの場面で自軍に手加減しており、まともに戦う機会自体が少ない。
実際に上記の超武装であるインフィニティ・シリンダーをR-1に放つイベントもあるが、大ダメージこそ負わせたものの破壊できず
切り札のSRXに合体を許した事で形勢逆転されてしまう
(とはいえこの場面もSRXチームの成長を促すのが目的だったので、イングラムもそれで満足している)。
確かに性能自体は高く、少し削っただけで撤退してしまい撃破が厳しいマップもあるが、その見返りが大きいため
ダンクーガの断空光牙剣を解禁して、一撃で出落ちにする適切すぎる対処方法が確立されているのも脅威と見られないポイントか。
ちなみに鳴り物入りで出てきた肝心のSRXは武器の地形適応が空BというマジンガーZみたいな弱点により、アストラナガンに思うようにダメージを与えられない
最終話で仲間になった後は、ラスボスの精神使用回数を削るのに役立つ。

戦闘アニメでは「光の翼を広げる」「紋章が描かれ発射される」「逆光を背に手を握り締めるイングラムのカットイン」
「敵の周りを回転して徐々に消滅させる光の玉」などの様々な要素が詰まったインフィニティ・シリンダーの演出は非常に印象深い。
実際、後の系列機の戦闘演出にも大いに影響を与えている。

後に本機以上の超存在である霊帝ケイサル・エフェスに立ち向かうも敗北、大破した挙句『α外伝』では本機体が回収されアウルゲルミルに組み込まれる。
それをはっきりと確認できるのはアウルゲルミルの「ドグマブラスター」の攻撃モーションだけで、会話では「ブラックボックス」と呼ばれるくらいだが、
それによって、組み込んだ側もタイムトラベルまでできるようになるのだから大したものである。
アウルゲルミル撃破後に中身は行方不明になるが、『第3次α』において突如再登場、クォヴレーのヴァルク・ベンと融合してベルグバウに、
そこからシヴァー製作のアストラナガン再現パーツとディス・レヴを組み込まれてディス・アストラナガンに新生した。
こうした経緯からアストラナガンというとむしろディス・アストラナガンのイメージが強いプレイヤーも多いのではないだろうか。
アニメ版『OG』では自我を取り戻したイングラムがラスボスのセプタギンに取り込まれたSRXを助けるために召喚しているが、助けた後はどこ行ったのか不明

+ 余談であるが…
インフィニティシリンダー使用時に浮かび上がる光輪が、後に『第三次α』で出現するクロスゲートの形状に酷似している事、
そして『α』第42話でのユーゼスとの会話から、イングラムの宿敵ユーゼス・ゴッツォが追い求めていた限定因果律操作装置、
「クロスゲート・パラダイム・システム(以下CPS)」がアストラナガンにも搭載されている事が予想できる。

ちなみにイングラムの脳内にも『スーパーヒーロー作戦』由来のCPSが埋め込まれているが、
出来る事は異次元空間に無数に存在する時空間ゲートの検出と未来への時間移動で別の分岐の並行世界に行かないための計算くらいである。
未来予知・知識の獲得・時空跳躍・因果律操作といった、ユーゼスが作り上げたCPSが発揮した様々な機能は持たない
(ただし時空間ゲートの検出は『スーパーヒーロー作戦』のユーゼスがCPS開発で躓いて自力では解決できなかった事なので、
 検出技術の完成品を得られた事は『α』のユーゼスにとっては大きな収穫だった)。

SDだともろに「溶けたゲシュペンスト」に見えるデザインといい、パイロットのイングラムが前世でヒーロー達とRPGしてた事といい、
全体的にギリアム・イェーガーのリメイク感を感じるのは気のせいではないだろう。『スーパーヒーロー作戦』もよろしく!
ちなみに機体ではなく本人を指すものだが、ギリアムも「漆黒の天使」という称号持ちだったりする。

また、戦闘BGM「虚空からの使者」はやたらかっこいいため強く印象に残る。
イングラムの突然の裏切りと同時にかかる重々しいイントロが印象深いという人も多いだろう。
好評だったのもあってか、ディス・アストラナガンの戦闘BGM「THE GUN OF DIS」もこの曲のアレンジとなっている。
フフフ…
キュッポン

なお、アストラナガンは『OG』シリーズには登場しておらず(アニメや戦闘演出には出てきたが)、代わりに「R-GUNリヴァーレ」という機体が登場する。
これは単純に『OG』の原作であるドラマCD『スーパーロボット大戦α ORIGINAL STORY』の設定を引き継いでいるためだろう。
このドラマCDではイングラム寝返り後の初遭遇がそのまま最終決戦となるためか、イングラムがR-GUN改修機に乗ってくる。
ただ、このドラマCDの知名度が非常に低かったため、
ユーザーの間では「何故アストラナガンを出さなかったのか?」と言う疑問の声が上がる事になってしまった。
そのためか、「アストラナガンは全ての並行世界で1機しか存在する事が出来ない」という都市伝説が一時期広まっていたが、
これに関しては寺田Pから直接否定されている(というか否定される前から、ディス・アストラナガンと併存しているシーンがある)。
ついでに「『聖戦士ダンバイン』に登場する異世界バイストン・ウェルの技術も使われているから無理」と言う説もあり、本項にもそう書かれていた事があるが、
この説も版権作品初出のオリジナル機体は多かれ少なかれ版権作品の技術を用いている事が多いので的外れ。
デザインを変更しているとはいえ、「ガンダム顔」であったデュラクシールですら登場している訳だし。
何が何でも『OG』シリーズではアストラナガンを出したくないというスタッフのこだわりかも知れない

R-GUNリヴァーレはある漫画作品では「R-GUNに異界の存在を憑依させた」と言われており、R-GUNにアストラナガンを憑依させたと思われる。
この機体が存在しないため、未来に飛ばされたアストラナガンを組み込んだ『α外伝』のアウルゲルミルも『OG』シリーズには登場していない。
後の作品では『α』のユーゼスが遺したデータからシヴァーが制作した「ヴァイクラン」、『第2次OG』のユーゼスが製作した「ガリルナガン」*2など、
アストラナガンを再現しようとした機体が登場している。
そして『第2次OG』のラスボス・アダマトロンの戦闘アニメの中で「黒き天使」としてシルエットながら『OG』シリーズに初登場を果たしている。
しかしファンは実機が『OG』シリーズで暴れ回る姿が見たいと血涙を流すのだった
また、『ディバイン・ウォーズ』の第1話アバンタイトルではディス・アストラナガンと戦っていたが、設定上はアストラナガンの方が二倍近くデカかったりする。

アストラナガンの戦闘アニメまとめ


MUGENにおけるアストラナガン

Kn氏による原作ドットを使ったものと、その改変版が公開されている。

+ Kn氏製作
  • Kn氏製作
MUGEN1.0以降専用。
原作再現でHPが40000あるが、DEFが3しかないので実際のHPは1200程となっている。
特定以下の削りダメージを無効化する念動フィールド、HP回復とEN回復がコンフィグで設定可能。
Z・Oソード以外の原作武装にはENを消費する。EN回復を前提としているためゲージ回収率がほぼ皆無。
コマンド技はなく方向キー+ボタンで各種技が出る。AIは搭載されていない。
なお「フフフ…もデッド・エンド・シュートもございません」との事。

+ パピット氏製作 通常版/アレンジ版
  • パピット氏製作 通常版/アレンジ版
Kn氏のものをWinMUGENに対応させ改変したもの。
AIや強化カラーの搭載などを除き微改変した通常版に加え、
色々仕様変更した(大体デチューンとの事)アレンジ版が同梱されている。
アレンジ版の大きな変更点としては、HP回復とEN回復の仕様がかなりマイルドになっており、
それに合わせて攻撃などでのゲージ回収を前提とした性能となっている。
2種類ともAIを搭載しており通常版は9段階、アレンジ版は6段階で調整可能。
強さは通常>>アレンジなので用途に合わせて使い分けて欲しいとの事。

通常版のAIはEN回復がデフォルト値でONの場合、
高い性能を駆使し「ガン・ファミリア」や「アトラクター・シャワー」で相手の行動を縛りつつ、
「アキシオン・キャノン」や「インフェニティ・シリンダー」も使って攻め込んでくる。
EN回復を0にすると「Z・Oソード」と「フォトン・バルカン」、極稀にガン・ファミリアしか使わなくなるようだが、
それでもそこそこの強さとの事。…が、AIレベルを7以降にすると、
分身による回避がワープを自重しない尖兵のようになるため、
回復量0でも大技による決め手が無い程度しか隙が無くなるなど、凶・狂寄りの性能となっている。
記述が下手なので永パしないのが最後の救いとの事。

アレンジ版のAIは本体性能が控えめになっている事もあり、並~強向け。
ゲージをガン・ファミリアやアトラクター・シャワーなど、1ゲージの技に回してしまいがちなため、
アキシオン・キャノンやインフェニティ・シリンダーを使用させるために、AIレベルに加えAI1ゲージ封印スイッチが設けられている。

出場大会



*1
数学者フランク・ティプラーが1974年に提唱した、理論上は実現可能なタイムマシン「ティプラーの円筒」の事。

*2
ガリルナガンは、ユーゼスが開発した「フーム・ツェレム」という機体をベースにしている設定がある。
適正のあるパイロットが使えばエンソフ(無限なるもの)からオウル(光)=アイン・ソフ・オウルを引き出せるように研究中だった動力機関、
「メラフティー・ディーン」を搭載。

ヘブライ語で、フーム=「黒」、ツェレム=「像」(旧約聖書では、神は人間を神のごとき像に創造した、神像、偶像、などの文脈で用いられている単語)。
「黒き天使」や「黒き銃神」に似せて造った機体、の意味合いと考えられる。


最終更新:2024年01月29日 16:07
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