ストーム・イーグリード


「許せエックス。お前を倒さねばならない!」

カプコンのアクションゲーム『ロックマンX』及びそのリメイク作『イレギュラーハンターX』に登場する8体のボスの1体。
をモチーフとしたレプリロイド。「天空の貴公子」の異名を持つ。
『イレギュラーハンターX』でのCVは 佐々木大輔(現・景浦大輔) 氏。
佐々木氏は同時期に発売された『ロックマンロックマン』のブルース役も演じている。

元イレギュラーハンター第7空挺部隊隊長。
人望と正義感に厚く、仲間からも慕われていた人格者。
反乱を起こしたシグマとも当初は対立していたが、直接対決で敗れて不本意ながらその軍門に降ってしまう。
彼の乗艦である第7部隊旗艦「デスログマー」は反乱軍の空中要塞となり、空路を遮断するため空港を制圧
(デスログマーはオープニングステージ後半にも登場し、VAVAの出撃と回収を手伝っている)。
自身もまた、乗り込んできたかつての同胞であるエックスと対峙する事になる。

『イレギュラーハンターX』では、基本設定は原作同様にキャラクターが掘り下げられている。
ゼロとは親しい仲であるという漫画版から逆輸入されたと思しき設定の他、
事情を知らないエックスが、彼が反乱計画に加担している事に激しく動揺していたり、VAVAとは以前から折り合いが悪かったなど、
他キャラとの関係や、彼を取り巻く状況が、より分かりやすく描写されている。

他のボス達はと言うと、
ブーメル・クワンガー「エックスに秘められた可能性に興味を持ち、シグマに賛同」
アイシー・ペンギーゴとバーニン・ナウマンダー「暴れたいから」
アーマー・アルマージとスパーク・マンドリラー上官命令だから
スティング・カメリーオとランチャー・オクトパルド「イレギュラーとして処分されかけた自分を救ってくれたシグマに忠誠を誓っている」
など、各自が様々な理由で付き従っている中で、イーグリードだけ反乱に加わった動機が不明。
カメリーオのセリフに「さーな、中には人質をとられて仕方なくってものもいるかもしれねーがな・・・」と言うモノがあるので、
イーグリードが人質を取られているのではとファンの間で言われており、後述の漫画版の設定を逆輸入して「オストリーグが人質なのでは?」とも噂されている。
ただし、あくまで「いるかも」と言う曖昧な表現に加え、いたとしても名も無いレプリロイドの可能性もある為、断言はできない。
続編が出る事を祈ろう。

本質的には善人と明確に断言されている背景ストーリーのため、『X1』に登場するボスの中でも特に高い人気を誇る。
ステージBGMもシリーズ上位に入る人気曲である。

「ならばスグに立ち去れ!
 VAVA!お前は事態を混乱させているだけだ!」

原作における性能

モチーフ通り空を飛び、空中からの急降下攻撃や、口から卵を吐き出す攻撃を使用する。
特に、卵は地面に落ちた瞬間、中から小型の鳥型ロボが四体飛び出してくるため、避けただけで安心してはいけない。
可能な限り、チャージショットで地面に落ちる前に卵を破壊するのがベター。
余談だが『ロックマン2』に登場する鳥型ロボットのピピも空中から卵を落とし、
地面に着弾すると雛鳥型のメカが襲ってくるが、小さくて攻撃を当てるのが難しく、数も倍以上。
一応こちらも地面に落ちる前にバスターで破壊できる。

弱点武器は「カメレオンスティング」だが、当てても怯ませたり撃ち落とす事ができないので、
チャージ版で一定時間無敵になって急降下を回避するために使うのが無難かもしれない。

だが、こいつの攻撃で最も恐ろしいのは、翼で風を起こし、エックスを後退させる羽ばたきと、
腕のバスターから発射する、相手を一気にステージ外に吹き飛ばす竜巻「ストームトルネード」である。
何故なら、こいつのステージは両端が穴になっており、落ちたら一発でアウト。
この2つの攻撃はダメージこそ無いが、注意を怠っているとあっさり落とされてしまう。
ダッシュが可能になるフットパーツを入手しているか否かで、難易度が変わってくる。
とはいえ他のボスと比べると控えめな強さで、個人差もあるが上記の攻撃も慣れやすく、最初に倒す事も容易である。


GB版『ロックマンX サイバーミッション』では前半の4ボスとして登場した。
技構成はSFC版と同じだが全体的に弱体化されており、アイシー・ペンギーゴと並んで最初に倒しやすいボスになっている。
本作にはスティング・カメリーオが登場しないため、弱点武器が存在しない代わりにチャージショットで与えるダメージが他のボスより多めに変更されている。
この辺も最初に倒しやすい理由だろう。
また、「ストームトルネード」を弱点とするバーニン・ナウマンダーも登場しないが、フレイム・スタッガー(『X2』の炎系ボス)の弱点となっている。
続くGBC版『ロックマンX2 ソウルイレイザー』でもボスアタックで登場。性能は前作と同様。
こちらは弱点武器が設けられており、エックスの場合ソニックスライサー、ゼロの場合はライトニングがそれとなっている。

PSP版『イレギュラーハンターX』では逆に攻撃方法が強化された。
急降下攻撃は地面に触れると軌道を変えて急上昇するようになり、真横から突撃してくるパターンが追加。
空中でも羽ばたきを使用可能になった為、攻撃を与えるチャンスも減っている。
更に羽ばたいている最中に、上空から羽根が降り注ぐ攻撃(羽根は床に突き刺さり、ダメージ判定が残る)も追加された。
また本作では、他の媒体よりも羽ばたきやストームトルネードを使用する頻度が非常に高くなっているので
フットパーツ無しで来た場合、碌にダメージを与えられずにデスログマーから落下させられるエックスを見る事になる
(フットパーツの入手地点がSFCから変更された事や、弱点順の都合で、過去のシリーズを知ったプレイヤーほどこの罠に陥る仕組みであった)。
ちなみに、原作では登場前に何故かデスログマーの上部が爆破された*1が、本作では乗った直後に離陸してボス戦になる。

彼を倒す事で入手できる特殊武器「ストームトルネード」は、横方向に広い攻撃範囲を持つ上に、
障害物や耐久力の高い敵を貫通して多段ヒットする特性がある為、進路上のザコ敵を纏めて粉砕する事ができる。
多くの中ボスにも有効な為、早めに入手しておけば道中の難易度が大幅に低下する。
『イレギュラーハンターX』では攻撃範囲が狭くなったが、雑魚及び中ボスへのダメージ効率は逆に上昇している。

エックスモードクリア後に遊べるようになるVAVAモードでは「スピードデビル」(移動速度が上昇するアイテム)を入手するために真っ先に倒される事が多い。
また、「ロングショットギズモ」「バンナウェイボム」など、隙が大きいが広範囲なおかげで雑魚敵の殲滅に適した武器も入手できる。

変わった所では『ロックマンX6』で「メタルアンカー」のチャージショットを使用すると、
多数のメタル化したイーグリードが出現し、前述の空中からの突進攻撃のような形で降ってくる。
エックスがダメージを受けると消えてしまうという不便な点があるが、ほぼ画面全体を攻撃できるため非常に強力。

『アニバーサリーコレクション』にも登場。
他のボスとコンビを組んで襲い掛かる「エックスチャレンジ」では、
ストーム・フクロウル、アシッド・シーフォース、メタルシャーク・プレイヤーとコンビを組んでいる。
フクロウルとのタッグではホームグラウンドのデスログマーなので即死の危険性もあるが、
他二名は相方の部屋で崖や棘といった即死要素が無いため、「羽ばたき」と「ストームトルネード」が隙を晒すだけの死に技に成り下がっている。
ただし、狭くなっているため、急降下の回避が難しくなっている。

『ロックマンX Dive』では空港ステージが先だって実装されている。
データ(世界観)が何者かに書き換えられている設定故か、レプリフォースの空中戦艦が停泊していたり、
ボスが『X3』のブラウンベアに乗った『X1』のVAVA(声は『X8』の麦人氏)になっていたが、
期間限定イベント「空中の貴公子」で遂にボスとして参戦した。
新規に書き下ろされた立ち絵は『X1』準拠だが、ボイスが付いていたり急降下の仕様等『イレハン』の要素も含まれている他、
デスログマーも『イレハン』の造形にデザインされている。
また、追加要素としてストーム・トルネードにダメージ判定があるが、しゃがむ事で回避可能。

毎年恒例の正月イベントでは紅白カラーの「ドリーム・イーグリード」がイベントステージのボスとして登場。
イーグリードの姿をしているが、本人ではなくバグによって発生したイレギュラーデータらしく、
「一富士・二鷹・三ナスビ」の「鷹」を務める。
攻撃方法も強化され、ストーム・トルネードに燃焼効果が追加されたり、羽ばたき攻撃の際に麻痺効果のある羽を飛ばしてくるようになった。
一方で、タマゴを産まなくなった。
また、BGMはイーグリードステージの曲を和風にアレンジしたものとなっている。

漫画におけるイグリード

上の表記が誤植だと思った人、これは誤植であって誤植じゃありません。
何故なら岩本佳浩氏によるボンボン版では一貫して「ストーム・イグリード」表記で登場しているのである。
元々は誤植だったのだが、語呂が良かったため、作者がそのままにしたという経緯がある。
また、ティルという恋人が存在している。ゼロとは友人関係だったが、ある事件を機に疎遠になっていた。
「これまでの戦いでエックスが実力差を埋めてきた知恵と勇気というガラスの杖を、たやすく折る鉄の斧」を自称する圧倒的な力を以てエックスの前に立ち塞がる。
ゲームと同様にシグマの軍門へ下ったかに見えたが、その真意は自ら試練として立ちはだかる事でエックスを鍛える事にあった。
最期はエックスにヘッドパーツを渡す役目をライト博士から奪うと、彼の雄姿を見て安らかに息を引き取った。そしてヘッドパーツは最終話で海に投げ捨てられた
イグリードの死に涙を流すエックスの姿を見て、ゼロは「涙を流す機能があるお前が羨ましい」と友の死に泣けない事を自嘲しており、
それは『X4』におけるアイリスの死を経て、エックスへの嫉妬として爆発する事になる。

本人の登場しない後の作品にも回想などで登場している(その際は表記が「イーグリード」に戻っている)。
『X2』ではイーグリードの元部下(飛行機能の故障で退役した)のソニック・オストリーグがシグマに唆されてエックスを襲撃したが、
エックスこそイーグリードの遺志を継ぐ者と悟り、最期にはシグマの計画を阻んでいる。

『X4』では悩むゼロが彼を思い出し、「信念のために戦い信念を貫くために命を投げ出した男」として彼のいる所は遠すぎると呟く。
エックスには真意が伝わっていない描写が、その後のゼロの単独行動を暗示している。

これらの描写に公式側も触発されたのか、前述の通り『イレギュラーハンターX』におけるイーグリードの設定や性格描写には、
この岩本版イーグリードの影響がありありと見て取れる。

デラックスボンボンで連載していた池原しげと氏の『イレギュラーハンター ロックマンX』では、
原作ゲームや岩本氏の漫画同様シグマに敗れて従わされているのだが、動機はかなり異なっている。
本作のイーグリードは高慢な性格で描かれており、シグマに敗れた理由も下剋上を試みたら返り討ちにされるという自業自得で、
加えて「赤子の手をひねるよりも簡単だった」と一蹴された事でプライドを傷付けられ、一方的に憎んでいた。
また、エックスの事も「シグマの手駒」程度にしか思っておらず、
エックスから渡されたシグマの指令所(フロッピーディスク)を彼の目の前で踏み潰した事で対立する。
原作同様、持ち前の飛行能力と急降下でエックスを翻弄するも、突然エックスのフットパーツが変化した事で形勢が逆転。
劣勢に追い込まれた挙句、駆け付けたシグマによって二度目の敗北を味わう事となる。
その後は圧倒的な力の差に屈服したと言えば聞こえはいいが、皮肉にも「シグマの手駒」となり、
シグマの真の計画が露呈してもなお付き従うなど小物っぷりが板に付いてしまっている。
最期が自らの武器だった「ストームトルネード」でエックスにトドメを刺されたりと、終始扱いが悪かった。

『メガミッション』

カードダスで展開された『ロックマンXメガミッション』にも登場。
レプリロイド等の機会を取り込む半有機体リミテッドと融合して甦り、五つに増えた銃口から放つ「ストームトルネード」でエックスを追い詰めるが、
反撃したエックスの「カメレオンスティング」で翼をやられて墜落。
しかし、リミテッドは新たな宿主を求め、大破したイーグリードの身体から逃走した後だった…。


MUGENにおけるストーム・イーグリード

Ron_Berka氏による手描きドットのキャラが公開中。MUGEN1.0以降専用。
原作のタマゴ攻撃や空中からの突進攻撃も使用できる他、
クリザリッドの「リーサル・インパクト」のような投げ技など、原作に無い攻撃技も搭載されている。
超必殺技は運送技で、相手を壁に叩き付けた後、羽ばたきで壁に押し付けて拘束し、『X1』のザコキャラやボスを次々と呼んで攻撃する。
遠近共に優秀なキャラだが、空中を移動できる特性を考えると、相手と距離を取って立ち回った方が真価を発揮できる。
AIは未搭載。
紹介動画


この他、死門氏による原作ドットのイーグリードも存在していたが、現在は正規入手不可。
原作に近い動きをするが完全再現ではなく、『Dive』同様「ストームトルネード」にダメージ判定があったり、
ドット絵を描き足してのキックや、真上に「ストームトルネード」が撃てるなどの攻撃手段が追加されている。
ただし、スーパーアーマーがないため、急降下の前段階で飛んでいる所を撃ち落とされてしまうリスクがある点に注意。
また、しゃがみも追加されており、その状態でもタマゴ攻撃が使える。ただし、タマゴは尻から出る
AIは未搭載。

出場大会

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*1
ゲーム的な事を言えばステージを平らにするためである。
『イレギュラーハンターX』では空母のような造形に変更されたため、下から潜り込む必要がなくなり爆発もしない。
また、イーグリード撃破後にスパーク・マンドリラーのステージへ行くと、開始地点にデスログマーが墜落している。


最終更新:2023年05月10日 15:10
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