ライナー・バルセルト


「ミシャ…謳ってくれないか?」

株式会社ガストとバンプレストが共同開発したムスメ調合RPG『アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女』の主人公。
CVは 布施雅英 氏(幼少期は ミルノ純 女史)。
断じて某漫画のライナーとその相方のコンビの事ではない

ソル・シエールと呼ばれる世界に佇む巨大な塔「アルトネリコ」上層階にある街プラティナ出身の若い騎士。
父でありプラティナの総帥でもあるレアード・バルセルトとは不仲で、政治の世界に連れていこうとした父に従わず、
塔の管理者を務めるレーヴァテイル、シュレリアに従えるエレミアの騎士となる。
剣の腕前は達人級であり、上司であるシュレリアからの信頼も篤かった。
『2』のクロアが一介の平騎士、『3』のアオトはトビ職なので地味にシリーズ主人公でも最もエリートである。

ある日アルトネリコは、突如現れた攻撃の効かないウィルスに襲われる。上司シュレリアと同士の騎士アヤタネと共に問題解決に向かうライナーだったが、
その途中でアヤタネと逸れ、シュレリアに新種のウィルスに対抗すべく「ヒュムノクリスタル」と呼ばれる物を探しに、
アルトネリコの麓に存在する浮遊大陸「ホルスの翼」に一人向かう事を命じられる。
シュレリアと分かれ一人浮遊大陸に降り立ったライナーは、詩魔法を使えるエレミア教会所属のレーヴァテイル「オリカ・ネストミール」に出会う。
プラティナとは違い浮遊大陸では、レ―ヴァテイルが差別され普通の人間に道具のように扱われている世界であった。
ライナーはオリカや様々な仲間達と共にヒュムノクリスタルを目指し、その最中でエレミア教会や天覇の抗争、
レ―ヴァテイルと人間の確執、新種ウィルスを従える魔神ミュールとの戦いに巻き込まれる事になる。

+ 『アルトネリコ』というゲームについて
過去の人災によって大地が失われてしまった惑星アルシエル*1を舞台に、
詩魔法と呼ばれる魔法を使える種族「レーヴァテイル」を巡る冒険と、主人公とヒロインの心の触れ合いを描くSFファンタジー。
巨大な塔「アルトネリコ」を中心とした独自の世界観・設定や、後述の要素などで人気を集めた。

ガストのサウンドチームのトップである土屋暁氏がディレクターを務めており、
ゲーム中のBGMや挿入歌は非常にクオリティが高く、ストーリーとも密接に関わっている。
特に大きな特徴となっているのが、ゲーム中でレーヴァテイルが詩魔法を使用する時になどに用いられる架空言語「ヒュムノス語」で、
詩魔法の詠唱シーンなどの台詞や劇中歌、背景など全編に渡って用いられている。
世界観を盛り上げるためのオリジナル言語というのは様々な作品で見られるが、
多くの場合は既存の言語の発音・表記などをオリジナルの言語に置き換えるといったレベルにとどまるのに対し、
本作のヒュムノス語はアルファベットをベースにしつつも、独自の単語・文法が存在しているという点で一線を画しており、
公式ファンサイトなどではヒュムノス語の解説講座なども行われた。
このヒュムノス語を用いた楽曲(これも「ヒュムノス」と称される)こそがシリーズの人気の原動力と言っても過言ではなく、
「ゲームは未プレイだがサントラは持っていた」なんて人も少なくない。
あんまり曲の方が人気なので「サントラに付いてくるおまけゲーム」なんて呼ばれたり
誤解しないでほしいが、ゲーム本編の方もきちんと作り込まれている。

そしてもう一つ、本作を語る上で避けて通れないのが、R-18とも取られかねない一部のシーンの会話と描写。
この手のゲームでお色気要素自体は珍しくもないのだが、
一部のシーンがお色気というより性行為そのものの暗喩に見えて(聞こえて)しまって仕方ないのである。
通称「アウトネリコ」「これなんてエロゲ」「目を閉じれば18禁」等
※至って真面目なシーンです

元々「艶っぽく」「色っぽく」といったコンセプトはあったものの、これらのシーンをそう捉えられるのは開発陣としては予想外であったらしい。
でも二作目以降は確信犯ですよね?
これでもCEROBのゲームである。ちなみに三作目ではCに格上げされ、
シリーズ完結後に発表された前史談『アルノサージュ』ではとうとうDに引き上げられてしまった。

性格は真っ直ぐで素直な正義を掲げる熱血漢。
好物はオボンヌと呼ばれるソル・シエールの名産御菓子であり、あまりに好き過ぎるためにファンも愛称で彼を「オボンヌ」と呼ぶ。
自分より他人を優先し、困った人を見ると助けずにはいられないため、作中でも男女構わず非常によくモテる。
だが本人は恋愛事が苦手で鈍感なよくいるギャルゲー体質なため、水面下ではヒロイン達のバトルが度々勃発する。
使う武器は騎士らしく剣*2。作中では詩魔法を使えないが、一部の技では剣から衝撃波や光を放ったりといった事も出来る
(後に開発者が語った所では、この辺りの前衛の必殺技はゲーム的な演出といった趣が強い。
 敢えて解釈するなら装備の機能か、レーヴァテイルのサポートによるものと言った所か)。
ゲームでは後衛のレ―ヴァテイルの女の子達を守る前衛キャラであり、後衛が倒れない限りゲームオーバーにならないが、
前衛のキャラが倒れると全ての攻撃が後衛に向かう(そして後衛の耐久は)。
後衛の援護を受けながら騎士としてレ―ヴァテイルを守り、敵を殲滅するのが彼の仕事である。
記憶力は悪いが物覚えはいいので即席コースで習ったグラスメルク(アイテム調合)で、
レシピと素材さえあれば世界を滅ぼしかねないアイテムやレーヴァテイルオリジンの体の構成素材を作ったりしている。
本編のその後を描いている小説では、グラスメルクを習った人に正式に弟子入りしようかと考えていた事もある。

……が、ファンからのライナーの評判は芳しくない。
その理由がヒロインの一人「彌紗・アルトセルク・リューン(ミシャ)」への扱いの悪さ。
  • 幼馴染みである彼女の事を再会した時に綺麗さっぱり忘れ去っている(ミシャルート後半で思い出すが)
  • レーヴァテイルである彼女の力を引き出すために精神世界にダイブする事になるのだが、ミシャ本人が頼んでいるのにライナーはそれを渋る
  • 誘拐されてもなんやかんやでスルー
  • ラスボスを道連れに封印した別のヒロインを助けるため、平然とミシャを犠牲にしようとする
…等々。特に最後のはそれまでの道中で、ミシャが封印のために一生を犠牲に祭壇で詩を謳い続けなければならないという、
己の使命に対する苦悩を散々に知っているはずなのに「謳ってくれないか」である。

お陰でファンのみならず関係者の面々からも蛇蠍の如く嫌われるという目も当てられないキャラになってしまい、
発売当時は「ライナーをブン殴るスレ」というのまであったぐらいである。特に理由のある暴力がライナーを襲う!
また、声優の演技力がはっきり言って拙いのも余計に負のバイアスがかかる要因になってしまっている。
ついでにオボンヌを食わせまくってオボンヌに対するトラウマを刻み込んだ事もある。

+ 彼の名誉のために断っておくと
前述の通り「ダイブ」は、相手の精神世界に入り込む行為であるため、相手が本来隠している事を知ってしまったり、
些細な事で相手の精神に重大な影響を与えてしまう事もある。
また、ダイブする側の人間も、精神世界での出来事によっては、最悪、命の危険もある(実際何度か死にかけた事もある)。
おまけに、この時点でライナーもミシャもダイブの経験は無い。
ミシャの方はライナーの事をよく知っていたので、信頼はあったようだが、
彼女との思い出を忘れてしまっていたライナーにとってはほぼ初対面の少女が相手である。
最初のうちは表層心理の世界なので、双方とも大した危険はないが、デリケートな行為である事に変わりはない。
そのため、たとえ本人の了解があってもそう気安く出来るものではないのである。

「謳ってくれないか」発言についても、もう一人のヒロインを助ける事についてはミシャ自身も賛成している。
ただ、「もう一人のヒロインを助けた上でラスボスを倒す方法も探る」というのが本来の段取りであるはずなのだが、
そこの説明がミシャにもプレイヤーにもされる事なくいきなり件の発言が飛び出し、シナリオが進行してしまうのである。
付け加えるなら、封印のためにこの世界の中心である塔の機能のあちこちが停止していたため、
この間レーヴァテイル達は詩魔法をほぼ使えなくなっており、ゲーム中で言及こそされていないが、相当な混乱が起きていた事は間違いない*3
……総じて、この件についてはライナー自身とシナリオの説明不足という面が大きい。
ライナーの行動自体は決して間違っていないのである。

……記憶力の低さについては弁解の余地は無いが。

『2』においてはヒロインに昇格したラスボスがライナーの事を「私を倒した凄いやつなのだが、物凄く記憶力が悪い」と語っている他、
よりにもよって敵味方全体にほぼカンストダメージを与える「アルトネリコ?」を使用して自爆同然になり物凄く困ったなどと散々な言われようだった。
後者に関しては公式でネタにされるだけやらかした人が多かったのだろう。
ちなみに彼女にもオボンヌを食わせまくったらしい。


MUGENにおけるライナー・バルセルト

『クロスエッジ』キャラを多数制作しているZ.A.I.氏が製作したものが存在。
ドットは他キャラと同じ『クロスエッジ』のものが使われている。
『クロスエッジ』で使用していた技も格ゲー風にアレンジされており、
3ゲージ技「ダブルビート」と、4ゲージ技「ブレイクブレイド」は高威力のロック技である。

また、cnsのスイッチを弄る事で後衛にシュレリアを添える事も可能。
シュレリア様はライナーの操作とは完全に独立しており、ライナーが攻撃を喰らっている間でも行動が可能。
全ての詩魔法にゲージ消費を伴うが、ライナーの喰らいをカットしたり、連携して高ダメージを狙う事も出来る。
詩魔法準備段階で攻撃を喰らう・もしくは1ゲージ技と2ゲージ技を使用した際一定の確率でシュレリアが転び、何回か転ぶと行動不能になる。
このスイッチを最大まで上げると、ライナーには変化が無いがシュレリアが点滅し超強化される。
この状態になるとゲージが自動で上昇し、詩魔法の準備がカットされなくなる。
また各魔法の性能も強化され、相当な強さとなっている。

AIは公開当初未搭載であったが、2014年7月の更新で簡易AIが搭載された。
簡易とはいえ的確なコンボをしてくるためかなり強い。また、シュレリア出現モードにも対応している。
この他、海外のギル氏による外部AIもOneDriveにて公開されている。
※公開場所のURLは古いものなので注意

出場大会



*1
シリーズ完結後に発売された前史談に当たる『アルノサージュ~生まれいずる星へ祈る詩~』では、大地が崩壊する前の惑星アルシエルが登場。
物語途中で訪れる事になる。

*2
主人公の武器が剣なのは、RPGとしてはごく普通の事のように思えるが、
シリーズ二作目の主人公はロケットブースターや機関銃が内蔵された槍で、
三作目の主人公はドリルやハサミなどに変形する万能工具で戦闘に参加にしており、
これといったギミックの無い普通の剣を得物にしているライナーは逆に異彩を放っている。
主人公以外のパーティメンバーにしても、一作目と二作目以降では同様の傾向があり、
おかげで公式ファンサイトでは二作目世界のキャラクターから「一作目の世界の武器は普通すぎる」と、ダメ出しをくらったりしている。

*3
また、後に語られた設定などでは本作の塔が一時機能を停止していたおかげで、
そのサポートを受けていた別の塔(次回作の舞台)が半分崩壊しかけるほどの大きな被害を受けており、
下手をすればそのまま滅んでいた。


最終更新:2020年12月20日 01:28
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