ライデン512E1

ライデンは決して最強の兵器ではない。しかし、決して扱いにくい機体でもない。
我々はこれを使用して戦闘に勝たねばならない。
我々のライデンは、我々が扱うことによって初めて最強となる。また、そうならねばならない。
それが、商品としてのライデンを成功させる唯一の道である。

セガが開発、販売している3Dロボットアクションゲーム『電脳戦機バーチャロン』シリーズに登場するバーチャロイド
(バーチャロンシリーズにおける人型機動兵器のこと。略称「VR」)。
悪役レスラーもしくは雷神はこちら

本機体は初代バーチャロン(通称『OMG』)から登場する重戦闘バーチャロイド「ライデン」の流れを汲む機体で、
所謂「第3世代バーチャロイド」のカテゴリーに属する。

+ 簡単な解説・ライデンとは
バーチャロン世界において、MBV-04 テムジンと共に最初期に開発されたバーチャロイド。
テムジンを汎用機とするならライデンは重火力と厚い装甲を持った攻撃型機体であり、
携行武器のバズーカ、低いドーム状の爆風を発生させる投擲武器「グランドボム」、
そしてライデンの象徴とも言える、本来は戦艦に搭載されるクラスの高出力レーザー砲を両肩に装備する。
この「鈍足だが重装甲・高火力」「バズーカボムレーザーの3点セット」という機体コンセプトは後のライデンシリーズにも受け継がれていく。

ライデン自体は良好な性能を発揮したものの第2世代までは色々と不幸続きの機体であり、
第1世代型ライデン(HBV-05)は突貫工事のような開発スケジュールが祟り、
  • ライデン一機を製造するのにかかるコストはテムジン27機分。到底量産なんて出来るコストではなかった。
    加えて単なるメンテナンスにもテムジン約10機程度の費用がかかる
  • 加えて、両肩のレーザーユニットを製造していた会社は倒産していたことが「開発の完了後に」発覚
という致命的なミスにより、製造されたのは(なんとか確保できたレーザーユニットの在庫数である)わずか26機
(ただしこれは開発スタッフがコスト管理などを考慮できない無能揃いだった等という事は断じて無く、彼らに極めて過酷な開発スケジュール、
 それこそパーツの流通状況を確認する暇さえ無い状況を押し付け酷使した会社上層部にほぼ全ての責任が帰結する)。
これを重く見たDN社はライデンを「高級なブランドとして売り出す」という方針で売り出すことにし、ライデンの運用に特化した特殊重戦闘VR大隊を結成。
彼らは記事冒頭の文章を訓辞とし、各地の限定戦争で奮戦し勝利を重ねた。
後に彼らは名を「S.H.B.V.D.」と改め、各地の戦場で「ライデンの伝説」を作り上げていった、と言われている。

その後第1世代型ライデンを開発したスタッフはライデンの商業的失敗から(上層部の責任を無視して)干されるものの、
第5プラント「デッドリー・ダッドリー」の下で第2世代型ライデン(HBV-502)を製造。
第2世代型は第1世代のコンセプトを受け継ぎつつ様々な機能を追加、これまた「名機」と呼ぶに相応しい傑作機だったのだが、
調子に乗った開発元のデッドリー・ダッドリーが干されたことへの意趣返しに陣営を問わずにライデンを売りまくったため、
元のスポンサーから制裁として製造プラントを限定戦争の戦場に定められ、プラントごと壊滅
(この時壊滅したプラントの一部が第2作『オラトリオ・タングラム』におけるライデンステージ「Unholy Cathedral」である)。
この時に製造ラインも破壊されてしまったためデッドリー・ダッドリーによるライデンの量産は一定数でストップ。
後に前線の兵士達からの強い要望に応える形で第3プラントが残存していた施設を回収、
製造ラインを再稼働させ改めてライデンの量産と改良を行ったが、やはり出回りはよろしくなかった。

そして、旧デッドリー・ダッドリーのノウハウを吸収したその第3プラント「アダックス」が開発したのが、
本記事の主役である第3世代型ライデン「ライデン512系」である。
512系はライデンのコンセプトを受け継ぎつつ各パーツをユニット化することで簡単に換装出来るようにし
整備性も向上させることで、初めてライデンシリーズの中でも各地に安定供給を行うことに成功した。

E系は第1世代ライデンのコンセプトを色濃く受け継いだ基幹機種であり、
ゲーム中には更に装甲を強化し、白兵戦向けの武器を各種取り揃えた「A型」、
敵を捕縛するビット「バックスパイダー」を装備し、火力は落ちたものの汎用性を高めた「D型」、
そして脚部全体をスラスターユニットに換装した「N型」が登場する。

解説にあったように「SHBVDの専用機」という印象が強い機体ではあるものの、第2世代以降の機体はSHBVD以外でも運用されており、
『オラトリオ・タングラム』『バーチャロンフォース』『バーチャロンマーズ』では敵兵士の駆るライデンが登場する。

ゲームにおける性能

512系は3作目『バーチャロンフォース』で初登場し、家庭用移植版の『マーズ』にも登場している。
E1は基幹機種(デフォルト機体)であるE2型の派生機体で、E2の携行武器であったバズーカの代わりに、
RW(右トリガー武器)として2つの砲身を持つビームライフル「フラット・ランチャー」を装備する。
フラット・ランチャーから発射されるビームは誘導性・連射性に欠けるものの、銃身の長さと弾の判定の大きさを活かすことで、
相手の移動を読んで置くように当てたり、ダッシュ攻撃で強引にブチ当てるような使い方が可能。
CW(両トリガー武器)の両肩レーザーは、立ち・歩きレーザーのみE2よりレーザーユニットの展開速度が速く(=キャンセル猶予が短く)、
発射後の硬直が短いという特徴がある。
LW(左トリガー武器)のグランドボムはE2と全く同じ。相手の接近を阻んだり、逆にこちらの接近戦の布石として非常に頼りになる。

解説にもあったように機体は「鈍足・重装甲・高火力」を地で行くパワータイプ。
見た目通り「両肩にハイメガ砲積んだドム」と考えればそれ程間違ってない
手数は壊滅的だが一発の火力は高く、武装はどれも近距離射撃戦で真価を発揮する。そのためE1は、重量級ではあるがチームの前衛を務めるべき機体である。
相手からするとワンミスで大ダメージを食らうので、E1が敵に接近するだけで大きなプレッシャーを与えられるのだ。
そこに味方の援護攻撃が加われば、正に鬼に金棒。
味方の攻撃に意識を逸らした敵をE1が撃ち抜くもよし、E1が動かした敵を味方に撃ち抜いてもらうもよし、である。
後はそのまま相手を攻め切ってしまうか、リードを守ってタイムアップを狙うのが定石となる。

近接戦ではランチャーでの殴打や、パンチ・ショルダータックルを繰り出す。ランチャーの砲身折れるんじゃとか言ってはいけない。
ランチャーは長いためE2よりリーチは長くなったものの、それでも性能が高いとは言い難い。
ただしショルダータックルはリーチこそ短いが発生の早さや判定の広さが優秀であり、たかがライデン、と油断した相手に一撃見舞うくらいのことは可能。

欠点は鈍足ゆえに攻撃の回避が難しいことと、武器が単発系ばかりでレーザー以外は遠距離で脅威になる武装が無く、放置されやすいこと。
E1は一撃の威力は高いもののどの武器も燃費が悪く、一発外すと脅威度が激減する。
そして相手もライデンの「一撃の重さ」を知っているので、これを見越して立ち回ってくる。
また鈍足であることから「ライデンに何か攻撃を当てて後はリードを守る」という戦術にも弱く、
2on2のゲームである『フォース』では、上手く相方に弱点をフォローしてもらう必要がある。

色々と弱点も多い機体ではあるが、一撃の重さによる爽快感は格別。
活躍するには相方とのチームワークが重要になってくる、玄人向けの機体である。

+ 『マーズ』では…
機体性能自体はそのままだが、テムジンゲーであるマーズではまるで立場が無い。
なにせプレイヤーの所属組織であるMARZから支給される上位のテムジン系は、
「重量級並みの火力と中量クラスの装甲を持ち、機動力は軽量級並で武装ゲージ効率もトップクラス」というチート機体ばかりな上、
このチート機体がゲームを進めれば必ず、しかも複数機手に入ってしまう
このため『マーズ』ではライデンに限らず、MARZ支給のテムジン以外の機体は一部の例外を除いてわざわざ使う価値は無い。

…が、劇中で敵として登場するSHBVD仕様のライデン「ライデン(gfk)512E1」に限っては話が別。
こいつは「ゲーム中最硬クラスの装甲に中量級並のスピードを合わせ持ち、ネックであったフラットランチャーの燃費が改善されている」
というマーズ系テムジン並みのモンスターマシンであり、量産機のライデンとは文字通り別格のスペックを有している。
敵として相対した際はこいつが装甲と機動力を武器に近接戦を挑んでくるので、かなり厄介。
何か当ててもカスダメ、逆にこちらは近接やらレーザーやらがかすれば大ダメージという厳しい戦いを強いられる。
しかもこいつとほぼ同性能のお供を連れて2on1を挑んでくるステージさえあり、
テムジンの暴力的スペックをもってしても、一筋縄ではいかない相手となっている。

ストーリーモードではギル少尉(CV: 飯塚昭三 )とレドン軍曹(CV: 折笠愛 )が搭乗。

+ 外部出演
スーパーロボット大戦K』にも敵ユニットとして登場。
原作通りギル少尉とレドン軍曹がライデン(gfk)に乗って敵として登場する他、シャドウ化*1したライデンが雑魚として登場する。
SHBVDライデンの戦闘アニメ(2:58~)

『K』のグラフィックを流用した『スパロボ学園』にも登場。こちらではgfk型ライデンを自分の手で使えるが、
原作ほどの強烈な性能は残念ながら持っていない。


MUGENにおけるライデン512E1

HOTATE氏による『スーパーロボット大戦』のドットを使ったものが公開中。
『K』のギル機(gfkE1)のドットを流用しているため、厳密には512E1/c(指揮官用機体)である。

原作風よりも格闘ゲームとしての雰囲気を重視した演出や動きをする。
重装甲低機動力高火力キャラでフラットランチャーでの殴りのリーチもそこそこある。
またE1ではあるが、本来装備していないE2のバズーカや、第2世代ライデン(『オラタン』のライデン)が装備する電磁ボム、
原作では第2世代ライデン及びA型に搭載されているフラグメントクロ―を使うなど、『オラタン』を意識したアレンジが加わっている。
AIもデフォルトで搭載されており、隙あらば牽制に独特の軌道を取るEボムを投げつつゲージ技を狙っていく。
最新版公開先

出場大会



*1
簡単に言えば「バーチャロイドの暴走現象」
バーチャロイドを駆動させるOS「M.S.B.S.」は「パイロットの精神の一部を機体に取り込むことで操縦する」という方式をとっているのだが、
稀にバーチャロイドが完全にパイロットの精神を取り込んでしまうことがあり、
その際人間が持つ「人間性が崩壊した先にある、無意識下の混沌」を取り込んだ一部の機体は、
「シャドウ」と呼ばれる暴走バーチャロイドに変質してしまう。

シャドウに感染したVRはブラックを基調としたカラーとなり、一般に普及しているVRでは太刀打ち出来ない程の性能を発揮する。
シャドウは一切の命令を受け付けず、その機体性能で暴れ回る上、接触したVRをシャドウに二次感染させてしまう可能性もある。
これに対処出来るのはMARZ所属の高性能機ぐらいしかなく、
『マーズ』でもプレイヤー機の高性能を見た一般兵が、プレイヤーをシャドウ感染機と誤認して怯えるシーンがある。

これに対抗するために、シャドウ駆逐専門の機動部隊「白虹騎士団」が存在する。
彼らはシャドウに匹敵する専用の高性能機を駆り、各地でシャドウ撃破のために活動している。
『マーズ』では一時白虹騎士団と共闘出来る他、最高難易度でゲームクリアすることで白虹騎士団仕様のテムジンを入手出来るのだが、
その性能はただでさえチート級のMARZ系テムジンを上回る真のチート・オブ・チートである。


最終更新:2022年02月28日 11:38