レックウザ

       
 タイプ:ドラゴン・ひこう
 分類:てんくうポケモン
 高さ:7m
 重さ:206.5kg
 特性:エアロック(天候補正を無効化する)
 →メガシンカ後の特性:デルタストリーム(戦闘に出ている間、天候が「らんきりゅう」になる)

「きりゅりりりり………ッ!!!!!」

任天堂の育成RPG『ポケットモンスター』シリーズに登場するポケモンの一体で、第3世代(ルビー・サファイア)より登場。通称「竹」。
ホウエン地方に伝わる超古代ポケモンの一角であり、全身にカイオーガやグラードンに似た黄色い模様がある。
オゾン層の中を飛びながら、宇宙から飛来するスペースダストや空気中の塵と水分を食べて生きているため、地上に姿を見せることはほぼ無く、
せいぜい、寝床としている「そらのはしら」に現れるくらいである。
ただし、同じ超古代ポケモンであるカイオーガやグラードンが活動した場合は天空より降臨し、
その圧倒的な力を持って2匹の争いを鎮めてきたとされている。

また、第6世代からは
「ミカド器官という内臓を体内に持ち、そこで自身が捕食した隕石と自身のエネルギーを融合させて強大な力を発揮させ、姿を変える」
という設定が追加された。
その光景を見た古代人は研究を進め、やがてレックウザと同じ現象を起こすエネルギーを持つアイテムの開発に成功した。
そのアイテムこそがメガストーンであり、詰まる所メガシンカとは、レックウザの固有能力だったものを、
古代人が他のポケモン達に転用させた現象なのである。
ただし、この事実は伝説という形で一部の者しか知らず、史実では最初にメガシンカした種類はコイツということになっている。
これらの詳細は、『オメガルビー・アルファサファイア』(ORAS)クリア後のストーリーである『エピソードデルタ』において語られることになる。

+ エピソードデルタ詳細 超ネタバレ注意
このエピソードは、クリア後の短編であり、レックウザを中心に進められる。

以前より、ホウエン地方には1000年周期で巨大隕石が落下する現象が起きていた。
一度目はゲンシグラードンとゲンシカイオーガが戦っている最中に降り注ぐが、隕石に引き寄せられたレックウザの力で、2匹は鎮められた。
その1000年後、以前よりさらに巨大な隕石が惑星に直撃し、その影響でグラードンとカイオーガが再び覚醒してしまう。
人々は1000年前同様レックウザに祈りをささげると、現れたレックウザの姿は変化し、その力で2匹を再び鎮圧したという。
だが、古代人はこれらの出来事から、1000年先にさらに巨大な隕石が落下するであろうと推測し、その事態に対処すべく、
レックウザ召喚の術と古の伝承を語り継ぎ次世代に受け継いでいった。前者を引き継いだ一族は「流星の民」と呼ばれ、
後者を受け継いだ一族は「ルネの民」と呼ばれた。
そしてそれから1000後、つまり『ORAS』の時間軸において、古代人が恐れていた通り、巨大隕石の落下は現実のものとなった。

この事態を見越して「流星の民」は動き出すが、ここで問題が起きる。
本来の伝承者であった人物がいなくなってしまい、流星の民は急遽代理として伝承者に近しかった女性「ヒガナ」に使命を託した。
ヒガナはレックウザを呼び起こすためマグマ団/アクア団に近付き、わざとグラードン/カイオーガを目覚めさせて、
抑制者であるレックウザを召喚しようとしたが、主人公の尽力でグラードン/カイオーガの被害は最小限に抑えられたためレックウザは介入せず、
失敗に終わる。
そこでヒガナはサブプランであった「膨大な数のキーストーンを集めて、レックウザ召喚の儀式を行う」作戦にシフトし、
各地でキーストーン強奪事件を起こす。
一方、主人公も隕石の存在を知り、ダイゴ達と協力して「隕石をどこかにワープさせる」作戦を実行しようとする。
しかし、その中核となる「∞エナジー」はとある3000年前の古代兵器の動力源がポケモンの生体エネルギーであったことに着想を得て開発されたエネルギー
このため、別の方法があるにもかかわらず、ポケモンに必要のない負担を強いるこの手段をヒガナは良しとしなかった。
また、ヒガナは仮にこの手段で隕石を転送した場合「メガシンカの無い平行世界に転移させて、そこにいる人々を代わりに犠牲にする」と、
まるで実際に見たかのように断言して、転送装置を力尽くで破壊した。
荒唐無稽とも言える理屈で惑星を救う術を絶たれたダイゴ達は憤慨するが、ヒガナは全く意に介さずキーストーンを集め、
隕石衝突前にレックウザを呼び起こすことに成功するが、ここで予想だにしなかった問題が発生する。
なんとレックウザは長い年月の経過と共に、メガシンカの力を失っていたのである。
ヒガナは直前に「想像力が足りないよ」と言い放ち転移装置を破壊したが、伝承に無いこの出来事に自分の発言がブーメランになる形で絶望して崩れ落ちた。
だが、幸運にも主人公が所有していた隕石をレックウザが喰らったことでメガシンカの力は復活。
ヒガナは自分が力不足であったことを実感し、隕石の破壊を託した。
そして主人公とメガシンカしたレックウザは宇宙に飛び立ち巨大隕石を破壊。
さらに、隕石が軌道変更した元凶と思われる存在も撃破し、『ORAS』の物語は一つの区切りを迎える。


原作中の性能

HP:105
攻撃:150→180
防御:90→100
特攻:150→180
特防:90→100
素早さ:95→115
(矢印の先はメガシンカ後)

グラードンと同等の「こうげき」とカイオーガと同等の「とくこう」を持つ。アタッカー向けのポケモン。
「げきりん」「じしん」「りゅうのはどう」「きあいだま」など、物理・特殊両方の技が豊富であり、
特化アタッカーだけでなく、特攻が2段階下がる反動技「りゅうせいぐん」「オーバーヒート」を搭載した両刀も可能。
また、ドラゴンタイプの中では数少ない優先度+2の先制技「しんそく」の使い手。
他にも、「つるぎのまい」「りゅうのまい」など優秀な積み技を持ち、攻撃面に関しては非常に高性能。

しかし、耐久面は心許なく、さらにドラゴン・ひこうの複合タイプは、カイリューやボーマンダなど強豪揃いのため、
ほぼ確実にメタを張られてしまうという弱点がある。
補助技も、積み技以外ではせいぜい使い物になるのは「でんじは」くらいであり、さらに素早さは95と平均以上ではあるが、
他の強豪ドラゴンと比較すると一歩足りず、タスキ神速コンボを使用しなければ、禁止級ではないドラゴンに対しても高確率で不利である。
また、肝心の特性も天候パーティには有利ではあるが、普通のポケモンにも名前が違うだけで同じ効果を持つ特性を持つ奴がいたため、むしろネタにされた。
以上のように、長所以上に短所が目立ちすぎるため長らく不遇な時を過ごしていた…が、その評価は『ORAS』において覆ることになる。






     
この作品では、前述した通りメガシンカ可能なポケモンとして登場した。
合計種族値は780とアルセウスを上回るが、何より恐ろしいのは、
こいつが体内にメガストーンと同質のエネルギーを持つ設定のためにメガストーンを持たせなくてもメガシンカする所であろう。
ただでさえ種族値780の怪物を、チョッキやタスキで居座らせたり、いのちのたまなどで火力を上げたりされれば、
他の禁止級やメガシンカポケモンですら、真正面からの戦いでは全く太刀打ちできない。
おまけに特性は所有者がフィールドにいる限り天候を「らんきりゅう」(ひこうタイプの防御相性を2倍から等倍にする)状態にする「デルタストリーム」であり、
特性を変更しない限り、弱点を2倍以上で突くことは事実上不可能になる。
ちなみにメガシンカの条件はようやく取得した専用技「ガリョウテンセイ」を取得させること。これも威力120、無効タイプなしの極悪技である。
前作まで不遇扱いされていたレックウザだが、本作で禁止級の中でも飛び抜けてぶっ壊れ性能を持つ存在に上り詰めてしまった。
なお、持ち物こそ持てるが、第7世代で登場したZ技とメガシンカは併用できないので注意。

+ メディアミックスにおける活躍
アニメでは劇場版『裂空の訪問者 デオキシス』において初登場。担当声優は 小西克幸 氏。
宇宙から飛来したデオキシスを「縄張りを犯した」と見なして攻撃。激戦の末にコアを残して消滅させた。
よほど恨みが深かったのか、4年後にデオキシスが復活した際には、再び始末すべく追い掛け回した。

『光輪の超魔神 フーパ』でも色違いの別個体がフーパによって呼び出され、サトシに協力した。
サトシによって、ラティアス・ラティオスと同時にメガシンカし*1
メガシンカの力や、ラティ兄妹及びサトシのアシストがあったとはいえ、超フーパが呼び出した伝説のポケモン複数体相手に、
見事なまでの立ち回りを見せて、いましめのツボが作られるまで時間を稼いだ。

劇場版以外では、ダイヤモンド&パール編第43話「ムウマージ!悪夢からの脱出!!」に登場。
ムウマージが見せた夢の中の存在なので本物ではないが、なんとムウマージと合体し、巨大化したピカチュウ達と激闘を繰り広げている。
後にポケモンアニメ史に残る伝説のカオス回第142話「史上最悪のトゲピー!」にも登場。
ロケット団がバイト代で作った秘密基地で宇宙に飛び立ったサトシ一行と遭遇し、襲い掛かってきた。
せっかく本物が本編に出たというのに完全に出オチ扱いである

アニメ第8シーズン「リコとロイの旅シリーズ」では、ロイが持ち歩いている「いにしえのモンスターボール」の中にいた、
色違いの黒いレックウザが主人公達の旅路におけるキーポケモン、いわば前作主人公サトシにとってのホウオウのような立ち位置で登場する。
しかも、神聖視されて出番が少なかったあちらと異なり物語の本筋に直接的に関わっており、
6話でリコが祖母から貰ったペンダントに反応してボールの中から出るが、直後に「りゅうせいぐん」を放つなど暴れた末に、
ボールに戻ることなくどこかへと去っていった。
どうやら、本編より100年前に活躍した冒険者ルシアスが所持していたポケモンらしいのだが……?

漫画『ポケットモンスターSPECIAL』でも重要な立ち位置で登場。
悪の組織がグラードンとカイオーガを覚醒させる情報をつかんだポケモン協会がレックウザを制御するために捕獲し、
「翠色の宝珠」を人工的に製造しようとしていたが、研究所に乱入したボーマンダが暴れた事故によって、逃げ出してしまう。
事故の当事者でもあったセンリが長い時間をかけて探し出し、ミツルの協力を経て二匹の戦いを止めるために駆り出された。
自身の使命には忠実だったが、自分を無理矢理叩き起こしたセンリのことは快く思っていなかったようであり、
戦いが終わった後は上に乗っていたセンリを乱暴に地上に下ろした。
また、本作の伝説のポケモンは己の意思でトレーナーの下にいることを決めたり、特別なアイテムや機械で制御しない限り操れないという設定があり、
レックウザを無理矢理使役したセンリはその負担で衰弱して死亡した(後にセレビィの時渡りで回避)。

エピソードデルタを原案にしたORAS編でもキーポケモンとして登場。
この章で、かつて心を通わせたトレーナーだったシガナを、ポケモン協会の捕獲作戦に巻き込んで失ったことが発覚した。
その経験に加えて隕石を目の前にしながら十全の力を出せないことに荒れ狂っていたが、かつて共に戦ったルビーの説得で落ち着き、協力する。
あまりの気性の荒さにルビーが制御に手間取る描写が何度か見られるが、
彼のことは「隕石の破壊」という同じ目的を持つ協力者として認めてはいたようで*2
ルビーを追い払い伝承者になろうとしたヒガナに対して「余計なことをするな」と言わんばかりに拒絶して攻撃した他、
デオキシス戦で宇宙に投げ出されたルビー達を自発的に救出して地球に帰還するなど、
正式な手持ちには加わっていないが、ルビーに友好的な部分が見られた。

+ スマブラX』でのレックウザ
大乱闘スマッシュブラザーズX』では、アドベンチャー「亜空の使者」のボス敵として出現する。声はアニメ同様小西克幸氏が演じている。
ボスとしては強い部類に入るのだが、上述の通りポケモン図鑑によればオゾン層に生息する「てんくうポケモン」にもかかわらず、
湖からいきなり登場するどう見ても穴を掘って攻撃するなど、設定との食い違いがよくネタにされた
(一応後者は「りゅうのまい」である。ちなみに原作では「あなをほる」は使えない)。
フォローしておくと、スマブラの世界のキャラは本人でなく全てフィギュアであるのでこうした食い違いもむべなるかな
(『MOTHER2』では使えないPKサンダー、PKファイヤー、サイマグネットを使うネスなど)。

ムービーでは口から放った「10まんボルト」をフォックスリフレクターで反射されているが、実際のバトルでも同じ戦法が通用する。
ボスが飛び道具を放つモーションを見極めて反射し、その高い攻撃力を逆利用するという戦法の有効性を身を以て教えてくれる。

この他、2020年2月の「ポケモン・オブ・ザ・イヤー」人気投票では8位にランクインしている。
これはホウエン地方部門における1位であり、伝説のポケモンで唯一首位の座を射止めたポケモンである。


MUGENにおけるレックウザ

Jetgoshi氏(旧・Khanny Pham氏)の製作したMUGEN1.0専用のキャラが公開中。
初期設定でLIFE2750、ATK140とスペックが高めに設定されている。
移動は遅いがアーマー持ちであり、ボスキャラ風の性能を持つ。
通常技も画面端直前まで届く技があり、必殺技はほとんどが飛び道具
「はかいこうせん」や「たつまき」など広範囲攻撃も強力だが、ボタン1つで出せる「りゅうのはどう」が一番使いやすい。
超必殺技には、唯一相手に突進する接近系の技「げきりん」がある。
3ゲージ技は隕石を降らせる「りゅうせいぐん」。
簡易的なものだが、AIもデフォルトで搭載されている。

出場大会

  • 「[大会] [レックウザ]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
本来メガシンカできるポケモンは一度につき1匹のはずだが、我らがサトシさんは3匹同時にメガシンカさせていた。
これはスーパーマサラ人だからゲームにおいてラティ兄をメガシンカさせて空を飛び回る「おおぞらをとぶ」と同じ理屈で、
複数体メガシンカさせたのだと思われる。

*2
本作の伝説のポケモンは並みのトレーナーには使役できず、したとしても大きな負担をトレーナーに及ぼすとされており、
それを防ぐには上記のように特殊なアイテムにより制御を補助するか、ポケモン自身が自分の意志でトレーナーを主として認めている場合しかない
(センリが一度死んだのはそのため)。
ルビーの場合は過去にホウエンの危機でレックウザに協力した縁があった事と、
人工的に作られた「翠色の宝珠」の失敗作の欠片を補助に使って負担を軽減しつつ行動を共にし、根気強く説得を続ける事で、
なんとかレックウザからの信頼を得る事に成功していた
(以降の戦いでレックウザと共闘の際に負担が消失していたこともその事実を裏付けている)。


最終更新:2024年04月09日 17:34