婁震華


「この体を流れる血の全てを殿下に捧げ尽くす事こそ、
 至上の悦びにございます!」

アニメ『ケイオスドラゴン』の登場人物。中国語読みで「ロー・チェンファ」と読む。
CVは 内田真礼 女史。
世界を支配する大国「黄爛」の宗教組織〈八爪会〉に所属する武装僧侶。
意志を持つ魔剣「七殺天凌」(CV:関智一)に魅入られており、「殿下」と呼んで溺愛している。
ありとあらゆる標的を確実に葬り去る凄腕の暗殺者であり、闇の世界でその名を知らぬ者はいない。

この魔剣、「七殺天凌」は「チーシャーティェンリー」と読む。
刀身を見た者を魅了する妖しい力を宿すためか、戦闘時以外は棺桶の中にいて、婁と会話をする際も念話を使う。
斬殺した相手の魂を喰らい力に変えるという文字通りの魔剣であり、現在は凄腕の剣士である婁に食事を給仕させている。

戦闘スタイルは自身の体内で気を練り上げての格闘技、というより完全な武侠そのもの。
軽功で戦場を縦横無尽に跳び回り、百歩神拳で遠当て、近距離でも徒手空拳で大概の相手を打倒できる。
「七殺天凌」がその性質上、刃を目撃した相手全てを魅了してしまうため、抜剣は必殺の時のみに限定される。
それでもなお単純戦闘能力では、作中登場した人物の中でも上から数えた方が早い強者である。


もともと婁は八爪会の暗殺者として数々の困難な裏仕事に従事してきた工作員であったが、
ある将軍を暗殺すべく接近した際、将軍が美術品として保管していた「七殺天凌」に一目惚れ。
関係者を皆殺しにして魔剣を手中に納め、以後の全生涯を魔剣に費やすと誓った文字通りの恋する乙女である。
作中でも巨大な怪物との戦闘中、七殺天凌で攻撃を防げば己は無傷でも万一があると考え、
躊躇なく素手で受け止め片腕を犠牲にして主を守るなど、その想いはどこまでも一途。

「七殺天凌」へ魂を捧げるのに都合が良いということで以後も八爪会に所属し続けて任務に従事しており、
敵国「ドナティア帝国」と領有権を巡る、物語の舞台「ニル・カムイ島」を訪れたのも八爪会から任務を受け、
ニル・カムイ島を守護する「赤の竜」が狂乱した原因を突き止め、沈静化不可能なら竜を討伐するためである。

ニル・カムイの王となる運命を背負った少年・忌ブキを年上の女性らしくからかったり、
ドナティア最強戦力の黒竜騎士である少女ウルリーカや、同じく黄爛の女将軍である楽紹とも仲良くするような素振りを見せたが、
無論、婁としては自分が「七殺天凌」を用いて赤の竜を殺し、彼へその魂を捧げることが目的であり、他は二の次。
竜の首を狙って単独行動を繰り返し、やがて「使用したあらゆる道具を破壊してしまう」呪いにかかった黒竜騎士スアローと対立するようになる。

+ ネタバレ
そして密かにウルリーカと楽紹を惨殺することに成功した。

赤の竜討伐の旅において、巨大ゴーレムとの戦闘で「自分では対処不可能」と仲間から見えない死角に回り込んで抜剣。
ゴーレムに大打撃を与えることには成功したが、その反撃を「七殺天凌」ではなく自分の腕で受けることを選択し、片腕を失ってしまう。
しかし五行体(義肢)に置換して戦線復帰。
赤の竜との決戦でも生還を果たし、竜を「七殺天凌」へ捧げることこそ失敗したものの、新たな力を得て暗躍を続けることが示唆された。

+ 余談
『ケイオスドラゴン』は、星海社ウェブサイト「最前線」で連載していた『レッドドラゴン』という作品が原作となっている。

これはTRPGを題材に「著名クリエーターが自分のキャラクターを全力でロールプレイする」ことで物語を作ろうという試みで、
『レッドドラゴン』では、「婁震戒(ロー・チェンシー)」という虚淵玄氏がプレイヤーを担当する武僧として登場している。
アニメ本編と『レッドドラゴン』ではストーリーが極めて異なるため、あくまでもモデルとなったキャラではあるものの、
「難攻不落の要塞にいとも容易く潜入してのける」、「ヒロイン格の重要女性NPCを単独で暗殺してのける」など大暴れし、
結果として一度命を落とすものの、呪いによって還り人(ゾンビ)と化して復活。
最終的にはラスボスとして、奈須きのこ氏演じる宿敵スアローとの決戦に身を投じることになる。

作中では還り人は舞台となる島にしか存在できないため、世界全てを七殺天凌に捧げることが叶わなくなってしまい、
家臣としての本懐を果たせなくなった自らのあまりの不甲斐なさに落涙するという姿を見せた。
その後、残された自分の全てを使ってせめても島そのものを七殺天凌に与えんと決意し、死人の軍勢を率いるに当たっては、
そのあまりの忠誠心に七殺天凌も絆され、婁在る限りはその愛剣として傍に在る事を約束されるという望外の喜びを得ている。

最終決戦ではスアローの女性従者メリルを魅了するなどして彼を追い詰めたが、その呪いの力によって七殺天凌を破壊されてしまい、
即座にその破片を掴み取って喉を突いて自害して果てることで、七殺天凌と添い遂げた。
結果だけ見れば震戒の敗北だが、モノに執着できないスアローにとっては最後まで震戒の行動を理解することができず、
震戒との決着に執着していたスアローは全くの置き去りにされたことを悟り、精神的に大きな挫折を受けることになる。

震戒の性別変更についてはアニメ化時に物議を醸したものの、虚淵氏が「アニメにするなら設定を変えて欲しい」と頼んだため、
その結果性別が逆転して生まれたのが「婁震華」である事が周知されるにつれ、理解されていった。
イベントでコスプレイヤーを登場させたり、BD全巻購入特典で抱き枕が製造されたり、固定フィギュアの販売が決定したり、
『ケイオスドラゴン』という作品の「顔」としてプッシュされ、内田真礼氏の好演もあってコアな人気を獲得している。

また虚淵玄が原案・脚本・総監修を務めた布袋劇(台湾の人形劇)『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』にて、
主人公の1人である殤不患が多数の魔剣を保有しているのだが、その目録に「七殺天凌」が登場しており、
『レッドドラゴン』『ケイオスドラゴン』を知るファン達をニヤリとさせた。
そして続編の『東離劍遊紀2』ではとあることで封印から解き放たれてしまい、その妖の力を振りまき始める…。
…声は『ケイオスドラゴン』と違い悠木碧氏であるが(関氏は1作目の敵組織のボス役で出演済みだったのもあると思われる)。
というか作中人物からは「姫」だの「姉上」だのと呼ばれたりと、割とはっきり女性の人格を持つものとして描かれている。
ちなみにこちらでは普通に「ななさつてんりょう」と読まれている。中国語でないどころか訓読み混ざってるがいいのか
+ そして…(『東離劍遊紀2』ネタバレ)
最終的に七殺天凌は、諦空と名乗る僧の手に渡る。
世の全てに存在するものの意味を見出せなくなっていた彼は、七殺天凌を前にした瞬間その力に魅了され「姫」と呼び、
その力を振るうと共に僧の身分を捨て、俗名に戻ることを宣言する。

その名こそ「婁震戒」であり(こちらも「ロウ・シンカイ」と日本語読み)、
ちょうど『ケイオスドラゴン』とは性別が真逆の組み合わせとなったのであった
(ちなみに諦空=震戒の声は石田彰氏。だもんでこいつがラスボスだと思ってた視聴者も相当数いるはず)。
+ ところが……
本作の震戒は魅了に耐性があり、七殺天凌に忠誠を誓っているのは本心から心惹かれたからだが、
そのせいで自分が七殺天凌のためと考えた事なら、七殺天凌の意思にかかわらず猪突猛進に行動するヤンデレ狂信者と化した。
その果てには「姫」が自分の死後に自分以外の手に渡ることを嫌悪し、誰にも邪魔されない場所で一生過ごすという心中願望まで抱き始める始末で、
3期において剣から解き放たれて魔族としての姿「照君臨」を取り戻した七殺天凌に対して、
剣としての七殺天凌を寵愛する余り(やっぱり意向を無視して)照君臨を七殺天凌の姿に戻そうとまで企てた。
この姿勢が最終的に照君臨と対立する味方パーティと利害が一致したことで、凜雪鴉の手引きにより照君臨は再び七殺天凌に封じ込められ、
さらに凜が選別として渡した転移の魔道具「逢魔漏」で、震戒は元々の目的だった「姫と悠久の時を過ごす」為に宇宙の彼方に転移した。
いくら強かろうが人間に過ぎない震戒は七殺天凌が俗人に永久に汚されないことに安堵しながら宇宙で凍死し、
残された七殺天凌は震戒の骸に抱かれ、自力では帰還が叶わない空間で、半狂乱のまま泣き叫び続ける末路を迎えた

実際TRPG版でも七殺天凌が美少女に転じる可能性を示唆された際は躊躇なく「そうなったらへし折る」と断言しており、
首尾一貫して「剣」としての七殺天凌を崇拝しているようである。公式が解釈違いで同担拒否とかいうダメなアイドルファンでは……
TRPG版では七殺天凌と見事に添い遂げ、サンダーボルト版では実質無理心中となった震戒だが、
アニメ版の震華が今後どのような道を辿るかについては、今の所不明である。虚淵作品の女性だとロクな最後にならない気はする


MUGENにおける婁震華

島風アカメを製作したAnT★R_M氏の手描きのものが存在する。
魔剣「七殺天凌」の斬撃が中心のコンボキャラ。
一部の技にはアーマー属性が備わっており、相手の攻撃を意に介さず一方的に鎮圧することが可能。
基本戦略はアーマー属性技を駆使してゴリ押しで鎮圧する戦法を主眼としているため、弾幕主体とするキャラには相性が良い反面、投げキャラとは相性が悪い。
ただし、空中にいることが殆どなので、地上専用投げしかないキャラは脅威ではなくむしろカモにできる。
従って最も苦手なのは空中投げ持ちキャラである。
カラーパレットによって性能が変化し、
  • 1~3P 凶上
  • 4~6P 狂下
  • 7~12P 狂中位
となっており、ライフバーの近くに現在のランクが表示される。
AIもデフォルトで搭載されている。


「魂とはそれほどに重い。故に甘美」

「ええ、殿下。それは何とも恐ろしいもの……」

出場大会



最終更新:2024年02月17日 20:34