Human

Toby Fox氏を中心とするチームが制作したWindows/Mac用RPG『Undertale』の登場人物。
モンスター達が住む地底世界へと落ちてしまった人間であり、所謂この物語の「主人公」のことである。
「落ちてきた人間」の名前はゲーム開始時にプレイヤーが決定するものの、
基本的にモンスター達からは「Human(ニンゲン)」と呼称されるため、本項ではこの表記とする。

黄色い肌をした常に薄目の幼い子供で、縞模様が入ったシャツを着ている。
一部のイベントを除き自分から行動を起こす事は無い投影型の主人公で
上記の風貌も人種や性別を曖昧にしてプレイヤーが没入しやすくする為の配慮だと思われる。
そういうキャラ故にバックボーンなどが殆ど分かっておらず、実は主人公でありながら作中で最も謎が多いキャラとなっている。
性別が不明である事から、二次創作では男性・女性の両バージョン共に描かれている事が多い。
数は少ないがそもそも性別の概念が無かったり状況に応じて性別を変えたり雌雄同体として描かれる事もある。

+ 『Undertale』について
「In this RPG, you don't have to kill anyone.(誰も死ななくていいやさしいRPG)」という触れ込みの通り、
プレイヤーの選択次第で全ての敵を殺さずにクリアする事が可能なRPG。
「選択次第」というのがミソであり、普通のRPGのように相手を攻撃し殺害する事も可能で、
プレイヤーがどういう行動をするかによって様々な変化が起こるのが特徴。
あと、色々な場面でが出てくる。時としてモンスターとして戦闘したり、「何故そこにいる」と言う場面で乱入してきたり。

また、戦闘が弾幕シューティングやアクションのような形式になっており、ハート型の自機を操作して敵の攻撃を避けるというものになっている。
作者により『MOTHER』シリーズや『東方Project』の影響を受けている事が語られている。
バッドエンドやゲーム以外のメディアを除けば、ラスボス相手だろうと殺生をする事はなく、主人公と和解したり一方的に懐かれる辺りは東方を、
名も無いモブでさえ強烈な印象を与える個性的な登場人物や、独特の世界観は『MOTHER』を彷彿とさせる。

ゲームそのものはPCゲーム配信サイト「Steam」で販売されている。
当初は英語版のみだったが、有志による非公式の日本語化パッチが存在した(配布終了)ことで日本のユーザーにも広まっていった。
現在ではPLAYISMの協力による公式日本語版がSteam・PS4・PSVita・Switchにて発売されている。

+ ルート分岐について
本ゲームには以下の三つのルート(エンディング)がある。
  • 一周目必ず迎えるルートであり、二周目以降は出てくるモンスターを一匹でも殺すと分岐する「Neutralルート(中立ルート)」(通称「Nルート」)
  • 出てくるモンスターを一匹も殺さない事で迎える「True Pacifistルート(真の平和主義者ルート)」(通称「Pルート」)
  • 出てくるモンスターを全てかつランダムエンカウントモンスターを規定数殺害する事で突入する「Genocideルート(殺戮ルート)」(通称「Gルート」)
なお、PおよびGルートの条件を少しでも外すとNルートになり、
Nルートに入った時の状態(つまりどのボスモンスターを殺したか・殺していないか)によってエンディングが変化する。

+ Pacifistルートを中心に各ルートの重大なネタバレ注意
2周目以降に辿り着ける、モンスターを誰も殺さない上で特定フラグを立てた「Pacifistルート」のエンディングでは、
主人公の本名が「Frisk(フリスク)」である事が発覚する。
ゲームの開始時に「落ちてきた人間」の名前を入力する場面があり、ゲーム中もその名前が常に表示されるのだが、
このルートにおけるそれは主人公ではなく全くの別人の名前となる
ならばプレイヤーは一体誰の名前を入力したのかという疑問は、下記の折り畳み項目内を参照(更なるネタバレ注意)。

英語で「frisk」は「はしゃぐ」「じゃれる」「軽快に飛び回る」「(服の上から撫でて)身体検査する」等の意味を持つ。
ちなみに日本だと「FRISK sharpens you up!」のキャッチフレーズでお馴染みの、
ミント風味のシュガーレス清涼菓子「FRISK」のイメージが強い人も多いと思われるが、
そちらは語源が同じものの、デンマーク語・スウェーデン語で「新鮮」を意味し、英語の「fresh」に相当する。

+ プレイヤーは誰の名前を入力したのか
"Name the fallen human.(おちたニンゲンに なまえをつけてください)"

プレイヤーが入力した名前はモンスターが地底に封印されてから初めて地下に落ちてきた人間のもの。
主人公に似た風貌をしているが肌が白く目も開いているのが特徴。
主人公と同様に中性的な外見であるためやはり性別も不明。
ゲーム開始時には既に故人であるはずの人物なのだが(Floweyのページを参照)、
Flowey(フラウィ)は主人公の事を何らかの方法で蘇ったこの人間だと思い語りかけてくる事がある。
+ この人間について
プレイヤーからは主に"Chara"(キャラ)*1または"first human"(最初の人間)と呼ばれる。

おそらく殆どの人が最初に到達するNeutralルートで、first humanがどのような末路を辿ったのかが明かされる。
地下世界に落ちてきた際、怪我をしていた所をモンスターの王子であったAsriel(アズリエル)に助けられ、
Asrielの父であるAsgore(アズゴア)、母のTriel(トリエル)からも暖かく迎えられ、
種族こそ違うものの彼らDreemurr(ドリーマー)一家の一員として本当の家族のように暮らしていた。
しかし、ある時この人間は治る見込みのない重病に掛かってしまい、死期を察したfirst humanは、
最期の願いとして故郷の村に咲く花畑が見たいと言ったが、
結界に閉じ込められているモンスター達にはどうすることもできず、翌日に亡くなってしまった。
その後、Asrielはfirst humanのタマシイを取り込んだことで姿が変化し、遺言を叶えるため結界を抜けて人間の世界に行くが、
怪物が子供を殺害したと勘違いした地上の人間達に攻撃されて致命傷を負ってしまい、
一切反撃せずに微笑みながら遺体を強く抱きしめて地下世界に舞い戻り、城の庭園で力尽き死亡。
Asrielの遺体は灰になり、庭園に散って消えてしまった。
そして二人の子供を一度に失ってしまった両親は泣き崩れ、Asgoreは今後落ちてきた人間を全て殺す事を宣言するようになり、
その惨たらしさからTorielは別居して遺跡に閉じこもり、落ちてきた人間達を我が子と呼んで保護しようとした。
しかし、Asrielの灰が散った庭園の花に意志が宿り、Flowey(フラウィ)という存在として蘇ることになる。
(このあたりの詳しい経緯はFloweyの項目を参照)



……と、ここまでなら可哀想な人間の子供とモンスターの王子の友情により起きた悲しい話に思えるのだが、
この話には「人間のタマシイ」を取り込んだという部分にが存在する。

Flowey曰く、first humanとAsrielはかつて親友だったそうだが、その人間性は決して良いものではなく、
Pacifistルートでのみ辿り着けるラボにて、彼らの過去を記録したビデオテープが判明する。
ある日、二人で父Asgore(アズゴア)にバタースコッチパイを作ろうとした際、
材料の「バターカップ 1(Cups of butter、バター1さじ)」というレシピを勘違いし、
誤ってバターカップの花(Buttercups、キンポウゲ。少なくとも人間には有毒植物)」を使ってしまい、
病気にさせた事件があったのだが、母Triel(トリエル)はカンカンになり、Asrielは反省して落ち込んでいた所、
first humanはこの事件について笑い飛ばしたりと、どこか歪んだ性格が窺い知れる。
さらに、詳しい経緯は不明だが地下世界に来る前は全く幸福ではない人生を送っていたらしく、
人類に対して絶望と強い憎しみを抱いていたのではないかと思わせる描写がある。

作中では重病により死亡し、Asrielはfirst humanのタマシイを取り込み遺言を叶えるため地上に出た事になっているが、
実はそれ以前に二人で何かを秘密裏に計画していた記録が残っており、泣きながらやりたくないと訴えるAsrielを人間が説き伏せ、
最終的にAsrielも「みんなを自由にするんだ」という強い意志を持ってある花を摘んできたことが明かされる。
このことから、実際は故意にキンポウゲの毒で自殺し、自らのタマシイをAsrielに捧げて共に地下世界を抜け、
さらに地上で結界を解くために必要なタマシイを集める(=人間達を殺す)という計画を立てていたことが窺える。
Asrielは死んだfirst humanのソウルを取り込む事で新たな力を得て変身し、
結界を突破してfirst humanの故郷に遺体を運んだはいいが、子供を殺害した怪物と間違えられ地上の人間達に襲われた際、
first humanはタマシイだけの状態ながらもAsrielの体を半分乗っ取り人間達を皆殺しにしようとしていた。
Asrielの話によればこの際空っぽの遺体を起き上がらせて2人の全ての力を振るおうとしていたらしい。物凄い執念だ…。
何故こんな計画を実行したかは不明だが、結果としてAsrielの良心が反抗したため失敗に終わった。
これにより、Asrielは人間達に無抵抗のまま力を抑えながら遺体を抱えて地下世界に戻り、力尽きて後にFloweyとなった。
これについてはAlphysの項を参照。


なお、操作キャラクターである主人公とfirst humanの関係性ははっきりしておらず不明である。
ゲーム中で常に表示される名前がプレイヤーが名付けた名前であることや、
主人公の「Frisk」という名前はPルートの最後にしか登場しないことから、
「同一人物がルート次第で主人公(Frisk)とfirst human(Chara)に分岐する」
「元々別人だったがfirst humanが主人公の肉体を乗っ取った」
「主人公はfirst humanの死体が蘇った存在」(Flowey(Asriel)はこれだと思っている節がある)
……など、ファンからは様々な考察・噂があり、推測の域を出ない。

+ Genocideルートでは
登場人物を皆殺しにするGenocideルート(通称「Gルート」)では、主人公の事を人間ではないと指摘する台詞が出てきたり
初めて地下に来たとは思えないナレーションが随所に登場するなど、主人公が別の存在になっている事が示唆されている。
さらにこのルートが進む毎に主人公がプレイヤーの操作やNPCの指示を介さず、能動的に無慈悲な行為を取る事が増えていき、
最終的にはプレイヤーの操作によらず勝手に攻撃を行うようになる。
その他の内容についてはSansも参照。

「ごきげんよう。 私は(プレイヤーが付けた名前)。」
エンディングでは、first humanと思しき人物本人が、ゲーム開始時にプレイヤーが付けた名前を名乗って現れる。
ここではプレイヤー自身に対して語りかけてくるとも取れる口調で、こちらを「相棒」と呼び、完全に主導権を握った状態となる。
そして、主人公は完全にこの存在に乗っ取られ、世界を破壊してしまう。
この時選択肢が二つ出るのだが、どちらを選んでも世界を破壊する上に、
「Do not」(だが断る)を選ぶと両目から赤黒い液体を垂らして笑いながらこちらに迫って来るというトラウマ級の演出が入る。
このエンディングを見た後でゲームを再起動すると、世界が破壊された後の何もない真っ暗な画面が出てくる。
このままでは何もできないが、この状態で10分経過すると「魂と引き換えに世界を再構築する」という取引を持ちかける。
これを受ける事で完全リセットが発動してゲームを再プレイできる状態に戻るが、断ると暗闇のまま放置される。
ただし、この取引をした後トゥルーエンドを見ると内容が後味の悪い物に変化する
そして一度こうなったら特殊な手段を用いる以外に元に戻す方法は無い

ちなみに最初から「Frisk」「フリスク」と名前を付けてゲームを開始する事自体は可能なのだが、
その場合は最初から終盤のダンジョンの一部敵が出てくるハードモードになる。しかしその顛末は……。
けいこく:このなまえは
じごくへの いりぐち…
このまま はじめますか?
ゲームが有名になったことで、二次創作等で「主人公=Frisk」というネタバレ情報が独り歩きで広まってしまったという経緯もあり、
主人公の名前だけを先に知ってしまった新規プレイヤーが陥りやすい罠でもある。


MUGENにおけるHuman

MUGEN Parade Gram Parson氏の製作した「Frisk」名義のものが存在する。
原作ドットではなくオリジナルの手描きドットを使用したちびキャラ
原作で用いた武器を使用する他、仲間を召喚して戦う事ができる
攻撃一発一発の威力は低めだが、高い制圧力と連続攻撃で結構な高火力を叩き出せる。
デフォルトでAIも搭載されている。
紹介動画

この他、原作の主人公のドット絵を改変したと思われるfirst human(Chara)も作られているが、AIが未搭載なため動画で見る機会は無いだろう。
また、ダメージを受けるとGルートのブラクラ注意な顔になる。

出場大会

  • 「[大会] [Frisk]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
+ 「Chara」の由来
ゲーム開始時に名前を入力する際に作中の登場人物の名前を入れると様々な特殊反応があるのだが、
「Chara」と入力した場合は"The true name."(ほんとうのなまえ)と表示される。
このため、ファンの間ではfirst humanの本名がCharaであるというのが定説になっている。
ちなみにギリシャ語で「Chara(χαρά)」は「喜び」を意味する単語でもある。

最終更新:2022年08月01日 16:26
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