鵜堂刃衛



     

「うふふ」

 「河原わらワラ」

 「うふ!」

身長:182cm
体重:78kg
血液型:AB型
生年月日:1843年7月
流派:二階堂平法
CV: 大塚明夫 (1996年アニメ版)、 石塚運昇 (CDドラマ版)、 杉田智和 (2023年アニメ版)
演:吉川晃司(実写映画版)

週刊少年ジャンプに連載されていた和月伸宏氏の漫画『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』に登場するキャラクター。
「うどう じんえ」と読む。
キャラクターの外観はアメコミに登場するキャラ「ガンビット」を、
内面は幕末の四大人斬りの一人、岡田以蔵を元ネタにしている。
黒色の笠や着流しの下に黒い全身タイツ*1を着込んだ出で立ち、
目は白黒が反転ないし白目を剥いた状態で、時折「うふふ」などの奇怪な笑い声を上げるなど見るからに正気とは思えない様子が特徴。

+ 作中での活躍
明治政府の要人に斬奸状を送り付け、次々と暗殺していった兇賊「黒笠」の正体。
元々は新撰組の一隊士だったが、主義思想もなく不要な殺人を犯す行為が問題視され粛清対象になる。
その後追っ手を返り討ちにして行方をくらますが、明治の世になっても人斬りの修羅道から抜け出せずに居た所を、
内部の権力争いから暗殺者を必要としていた明治政府の一部と利害の一致から協力関係となり本編に至る。
当初は陸軍省の谷三十郎を狙っていたが、護衛として居合わせた緋村剣心相楽左之助の妨害に遭い失敗、
かつて「人斬り抜刀斎」と呼ばれた男に出会えた悦びから標的を剣心に変更し、居候先の神谷薫を拉致して再戦を挑む。

人斬りに対しては独自のこだわりを持っており、斬奸状をターゲットに送り付けるのも、
敢えて警戒させることで暗殺を困難な状況に追い込み、より斬り捨てた時の快感を上げることを目的としている。
その性格から強者との緊迫感溢れる命のやり取りを好む傾向にあり、
薫を攫うことで剣心を人斬り抜刀斎の状態に立ち返らせ、万全の斬り合いに臨もうとした。
実は斬るだけではなく、斬られることにも快感を覚える性質でもある。
なお、2023年の新アニメ版では刃衛が人斬りを志したきっかけが描かれており、
新選組時代に抜刀斎と遭遇して次々と仲間を斬殺していく恐怖を覚えつつも魅了され、人斬りに開眼したとされている。
つまり抜刀斎の厄介オタク
原作で刃衛が抜刀斎の口調を何故か知っていた事へのフォローでもあるのだが、当の剣心は原作の流れを踏襲して全く覚えていないのであった…
まぁ多分抜刀斎も殺す必要もない雑魚だと思って見逃したんだろうし……

使用する二階堂平法は斬撃の型が「一文字(横薙ぎ)」「八文字(突き)」「十文字(横薙ぎ、唐竹割り)」の三つで構成され、
一、八、十の漢字を組合わせると「平」の字となることで「平法」と呼ばれる。
誤解されがちだがちゃんと実在する流派である。
ついでに言うと後述する「心の一方」も秘術として存在し、道統者の松山主水は祖父から伝授され使えたと言われている。
これとは別に、刀を後ろに隠すことで相手の虚を突く「背車刀」があり、剣心の読みを外す形で使用された。
なお、剣心の悪癖である「読みの速さに頼りすぎ(=フェイント技にやたら弱い)」が初めて描写された場面でもある。

「我! 不敗! 也!」「我! 無敵! 也!」
得意技は「心の一方・居縮(いすくみ)の術」。原理は不明だが、一種の瞬間催眠術のようなもので相手を動けなくする秘技。
これを打ち破るには使用者が死ぬか、使用者以上の剣気がなくてはならず、強度をあげれば弱い人間はそれだけで呼吸ができなくなり死に至る。
さらに心の一方を自分にかけることで判断力・身体能力を格段に向上させる「影技・憑鬼の術」がある。
この状態の刃衛は目の色が理性を取り戻したようになり、岩を斬撃で破壊するほどのパワーを身に付ける。

最終的には完全に抜刀斎に立ち戻った剣心に敗北、薫の叫びで元に戻った剣心に対して以下の言葉を残し自害した。
二度と抜刀斎には戻らないと誓った剣心だったが、その後もこの言葉が何度も重くのしかかる事態に見舞われることになる。

「そんな目は止せ抜刀斎。俺を殺すと言った時のお前はもっといい目をしていたぞ」
「人斬りは所詮死ぬまで人斬り。他のものには決してなれはしない。
 お前がいつまで流浪人などといってられるか地獄の淵で見ててやるよ」

「うふふ」

シリーズ序盤の敵だが、制作初期の構想では、打ち切りで終わってしまった場合のラスボスに据えられていた
そのためかそれまでのチンピラや弱者をいたぶる事のみに長けた似非「人斬り」とは明確に毛色が異なり、
サディストでありながら戦闘狂としての側面も併せ持った独特の魅力を持った敵キャラクターに仕上がっている。
また、中々の強さを誇り、それまでろくに苦戦をしたことが無かった剣心に「今のお前は煙草三本吸う間に殺せる」と豪語。
実際に再戦時では、半覚醒状態の剣心に斬り合いで優位に立ち、深手を負わせる活躍をする。
ファンの間では後に登場する十本刀の上位に匹敵するのではないかと語られることも多い。
というのも、作中で剣心が抜刀斎に戻らなければまともに戦えなかったのが刃衛以外には斎藤一くらいのもので
(沢下条張との戦いでも抜刀斎に戻っているが、
 こちらは「逆刃刀がないため通常の刀(実際は新たな逆刃刀だったが確認できていなかった)で早急に殺さなければ人命にかかわる」
 という理由で抜刀斎化しており、抜刀斎に戻らなくても戦えている)、
一時的とはいえ流浪人を諦めさせたのも刃衛以外には上記した張かだけであったため。
張戦以外では流浪人を諦める切っ掛けは薫絡みではあるが

原作では剣心との対決の末死亡したため当然ながら以降出番はなく、その後の続編においても関係者の出番は特にない。
しかし人気が高かったためかOVA『星霜編』では神谷薫の回想という形で鵜堂刃衛との対決シーンが新規に描かれた他、
原作漫画『北海道編』の前日譚となる『悪太郎 前科アリ』においてはその最期の地に幽霊となって住み着いているらしいことが描写されている。

実写映画版


「血が足りない……。まだまだ血が足りない……!」
「これが俺のやり方だ…」

「俺こそが“人斬り抜刀斎”だ…!!」

上記の設定と評判を受けてか、実写映画版第一作目では本当にラスボスとして登場。
原作では黒笠編の次に登場する武田観柳(アヘンの密売人)の用心棒(原作での四乃森蒼紫の立ち位置)になっている。

かつては新選組隊士であったのだが、鳥羽伏見の戦いを生き延びた際に人斬り抜刀斎の姿を目撃。
人斬り抜刀斎が戦場に遺していった刀を手に入れた事で、残りの人生を人斬りに費やすと決めた剣鬼である。
原作第一話の偽抜刀斎役を担い、神谷道場を地上げするため「神谷活心流の人斬り抜刀斎」として辻斬りをしては斬奸状をばらまき、
また武田観柳の下を脱走した高荷恵(アヘン生成技術を持つ女医)を追跡し、警察駐在所を襲撃するなどの凶行を繰り返した。
やがて神谷薫の窮地に介入した剣心と出会い、以後は人斬り抜刀斎との対決を求めて暗躍するようになる。

同作では原作のような奇妙な口調ではなく、渋い言葉遣いが特徴。吉川晃司氏の怪演もあってこちらも中々の人気を誇る。
アクションでも一発でOKを出したという背車刀や、吉川氏の代名詞であるシンバルキックが織り交ぜられているのが見どころ。
実写版PV(鵜堂刃衛編)

余談ながら実写映画シリーズ5作目にしてシリーズ1作目に続く『るろうに剣心 最終章 The Beginning』では、
人斬り抜刀斎時代の剣心の刀を新井赤空が鍛える場面が描かれ、それが1作目で刃衛の手に渡る「抜刀斎の刀」*2となるため、
これによって緋村剣心、志々雄真、鵜堂刃衛という『るろ剣』三大人斬り全員が新井赤空の殺人奇剣を手にすることとなった。
この殺人奇剣、銘は不明だが柄が大きく反った形状をしており、取り回し辛いかわりに"引いて斬る"動作が容易にできるというもので、
リアリティを重視しつつ原作のような殺陣の再現を目指した、実写版ならではのアレンジとなっている。
しかしこの殺人奇剣は「人を殺す道具しか作れないが、それでも新時代を生きる孫世代のため」と剣心に託すべく打たれたものであり、
それが新時代に生きる人々を脅かす刃衛の手に渡ってしまったのは、赤空の望む所ではなかったに違いない。
新時代のためにと赤空の鍛えた逆刃刀を携えた剣心が刃衛の前に立ちはだかるのは、ある意味必然だったろう。

また、実写映画版の設定を基にした漫画(キネマ版)と小説版「銀幕草紙変」にも登場。
幕末期に抜刀斎に敗れ戦闘不能になるのだが、両手に開けられた穴に刀を直接差し込み一体化するという、
原作以上にイカれた戦い方を引っ提げて復活、劇場版と同じくラスボスとして剣心の前に立ちはだかる。
ちなみにこのアイデア、映画版での刃衛にも使う様挙げていたそうだが「痛々しすぎる」という理由で却下された。当たり前だ
尤も、作者の和月氏はキネマ版での刃衛の描写に苦慮していた旨を記し、「刃衛は原作で既に完成されたキャラ」と総括している。
基本的にどの媒体でも強烈なインパクトを残しており、悪役の中では志々雄と並んで出番に恵まれたキャラと言えるだろう。


MUGENにおける鵜堂刃衛

多くのるろ剣キャラを手掛けてきたAoshi24氏によるものが、氏のコンプゲーのキャラとして一括で公開されている。
MUGEN1.0以降専用で、動きから見て天野漂を改変したものと思われる。中の人も一緒だし
通常状態ではリーチは狭く動きもそこまで素早くない、どちらかと言えば相手の動きを読むことが要求されるカウンタータイプの性能。
その中で「片手平突き」は発生に優れ、コンボの起点になるなど重宝する。
全体的に技の強み・弱みがはっきりしたキャラと言える。
必殺技「心の平方」は押した攻撃ボタンによって三種類に分かれ、それぞれフリーズ、体力減少、ゲージ減少の効果がつく。
何かと制約の多い通常状態では相手の行動を縛り、コンボに組み込める有用な技だが発生が遅いため注意。
剣気ゲージがMAXに達すると憑鬼の術が使用可能になり、一定時間動きが素早くなり、攻撃力も上がる。
そこそこ動くAIもデフォルトで搭載されている。
製作者動画

出場大会

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*1
「時代設定(1878年)上、タイツは存在しないはずでは?」と思われる方もいるだろうが、
タイツは19世紀の中頃にフランスで発明されたと言われ、
当時の北海道の小樽でもストッキングを履いた女性の写真が同地の博物館に残っている
(『るろうに剣心』より後、日露戦争後にあたる1907年が舞台の野田サトル氏作『ゴールデンカムイ』ではこれを受けて、
 登場人物の一人であるアイヌの少女、アシㇼパもタイツを着用している)。
刃衛の全身タイツの場合は微妙な所だが、後に外印などのオーバーテクノロジー染みた設定の人物が登場する事や、
和月氏による別の漫画『エンバーミング』と世界が繋がっていると考えればギリギリ無理は無い……か?

なおリアリティ重視で描かれたOVA『星霜編』では着流しに頭巾だけでタイツは無し。
実写映画版でも同様に頭巾のみでタイツはなく、着物袴姿となっている。

ちなみに再筆版(作者自身によるキャラのリメイク)における刃衛は、
全身タイツのように見える部分は実は全て細かくびっしりと書かれた不気味な文字と設定されている。

*2
ちなみに原作版で設定のみされている抜刀斎時代の愛刀は「全刃刀」なるもので、
鍔も峰も刃になっている両刃の刀だったとされているが、この殺人奇剣がそれに該当するのかは不明。
それじゃあ龍翔閃が撃てないって? そうねえ……


最終更新:2023年10月16日 18:30