チタノザウルス


1975年に公開されたゴジラシリーズの映画『メカゴジラの逆襲』に登場する怪獣。別名「恐龍怪獣」あるいは「恐竜怪獣」。
本来はおとなしい性格の水棲の恐竜の生き残りだったが、学会から追放された科学者真船博士*1にコントロールされ、
真船博士を援助し地球侵略を企むブラックホール第3惑星人のメカゴジラIIと共に地球侵略の尖兵としてゴジラと戦う。
尻尾のヒレを開いて振り回すことで発生させる風速320メートルの強風が強力な技(本編では瓦礫を飛ばすなどにも使用)だが、
身体能力も高く、蹴りでゴジラを空高くに蹴り飛ばし更には噛み付いたままゴジラを振り回す怪力を誇るなど、
光線技の類こそ持たないものの戦闘能力は非常に高い。
一方で超音波が苦手であり、明確な弱点となっている。

登場した映画作品こそ『メカゴジラの逆襲』1作だけだが、
ストーリーでも中心としてメカゴジラ以上にしっかり扱われた怪獣で、知名度が低くマイナーながらも根強い人気がある怪獣。
アメリカではTV放映が何度もされたこともあって人気の高い怪獣で、漫画やゲームに登場して活躍している。
特に後述の日本未発売のゲーム作品『Godzilla Unleashed』では操作キャラとして口から超音波光線を出すという新技まで獲得しており、
この新技がMUGENキャラにも取り入れられている。

+ 映画『メカゴジラの逆襲』での活躍
『メカゴジラの逆襲』は前作『ゴジラ対メカゴジラ』の続編であり、
前作でゴジラに敗北して大爆発し海に沈んだメカゴジラの残骸を潜水艦が調査する所から物語は始まる。
しかしメカゴジラの残骸は現場から消えていたばかりか、チタノザウルスが現場に出現し潜水艦を沈めてしまう。

このチタノザウルスは劇中の時間軸で15年前に海洋学者真船博士が発見した温厚な恐龍(本作では恐竜をこう表記し独特のイントネーションで呼称する)
だったが、この恐龍の生き残りの存在と、それを自在にコントロールする研究を学会で発表した真船博士は学会から追放、迫害されてしまう。
その上恐龍コントロール実験中の事故で真船博士の一人娘の桂が死亡してしまうが、彼を見張っていたブラックホール第3惑星人がここで姿を現す。
彼らは死んだ桂をサイボーグにして蘇生させ、学会から追放されて人間社会を恨む真船博士に恩を売って協力関係を結んでしまう。

こうして地球侵略を企むブラックホール第3惑星人は、チタノザウルスで潜水艦を沈め、
メカゴジラの残骸を回収して強化修復したメカゴジラIIを完成させる。
一方潜水艦沈没と宇宙人侵略の謎を追う主人公の一之瀬に出会い恋心を抱く桂だったが、
宇宙人を追うインタポールに桂は撃たれてしまい、再度の再生手術時に桂はメカゴジラのコントロール装置を組み込まれてしまう。
そしてチタノザウルスとメカゴジラが横須賀への襲撃を開始する。

横須賀に現れたゴジラは、チタノザウルスが尻尾で発生させる強風に苦戦を強いられ、
メカゴジラの光線を受けて倒れた所を、チタノザウルスの蹴り一発で数Km先まで大きく飛ばされてしまう。
それでもゴジラはチタノザウルスに格闘戦で優勢に立ち、持ち上げるなど食い下がるが、
そこでゴジラにメカゴジラの援護攻撃が炸裂、さらにチタノザウルスは噛み付いたままゴジラを持ち上げ振り回す。
両者の連携に追い詰められたゴジラは、メカゴジラの回転ミサイルの大爆発で生き埋めにされてしまった。

しかしここで人類が超音波発生装置を完成させ、チタノザウルスを弱点の超音波で苦しめ動きを封じる。
さらに一之瀬の想いを受けて人間の心を取り戻した桂が、メカゴジラを止めるために自殺したため、コントロールを失ったメカゴジラは撃破される。
逃げようとするチタノザウルスもゴジラの放射熱線を受け海へと沈み(この時謎の爆発が起きている)、全ての敵を倒したゴジラは海へと去って行った。

+ 他作品での活躍
上映当時のコミカライズ作品でも登場し、
映画同様にメカゴジラとのタッグでゴジラと戦っている。

2013年刊行開始のアメコミ『ゴジラ:ルーラーズ・オブ・アース』では海に古より生息してきた怪獣として登場。
地球に不時着した宇宙人の科学力を手に入れた海底人であるデヴォニア人に操られ、
マンダデストロイアゲゾラとともにゴジラと激闘を繰り広げた。
激闘の末デヴォニア人の基地は壊滅、コントロールから解放されたチタノザウルスはどこかへと泳ぎ去った。
その後は侵略宇宙人の怪獣軍団と地球怪獣軍団の最終決戦にも地球怪獣として参戦。
地球怪獣の一員として、ゴジラ達に味方して戦うチタノザウルスが見られる貴重な作品である。
この時戦った敵怪獣トリロポッドは、他の怪獣の遺伝子を吸収してその怪獣の能力を得て似た姿に変身する怪獣で、
チタノザウルスの遺伝子を吸収したトリロポッドも比較的目立つ活躍をしていた。
マット・フランク氏とジェフ・ゾーナウ氏によって描かれる大迫力の怪獣バトルは評価が高く、
チタノザウルスの激闘や水中戦を迫力満点に味わえるのでファンは必見である。
長らく英語版しか存在しなかった本作だが、2017年に株式会社フェーズシックスより日本語翻訳版が刊行されているので、
日本のファンも読んでみるのもいいかもしれない。チタノザウルスは日本語版では2、3、5巻に登場する。

他には『特撮秘宝 vol.5』掲載の高山由紀子氏の小説『二〇七五 マイスター・タイターノの逆襲』 に登場。
本作は、メカゴジラの逆襲の脚本を執筆した作者によりメカゴジラの逆襲の遠い未来として描かれた小説で、
チタノザウルスはその死体をサイボーグに改造され、海の工事に使用されていたが…。
映画の空気を出しつつ真船桂とチタノザウルスにスポットライトを当てた小説であり、
西川伸司氏により改造チタノザウルスとでもいうべき姿の挿絵イラストも描かれているため、
こちらも読んでみるのもいいかもしれない。

アニメ3部作の前日譚小説『プロジェクト・メカゴジラ』では太平洋で発見された海棲怪獣として2体が登場。
怪獣同士を戦わせる「LTF(Let Them Fight)」作戦の一環として、
電波に反応する性質を利用し、研究の末に2040年代よりゴジラの囮も兼ねた索敵要員として使役されていた。
珍しく人類に害を及ぼすことの無い怪獣ではあったが、後に2体とも消息を絶ったと語られており、ゴジラに倒されたものと思われる。

2021年のアニメ『ゴジラS.P』ではPVに古代の海棲爬虫類に似た姿の怪獣が映しだされており、チタノザウルスではないかと推測されていた。
しかし、本編中にて判明したその正体は……。

+ 名称について
綴りは「Titanosaurus」=ティターン(ギリシャ神話の巨神族でオリンポス神族の先祖タイタンとも)のトカゲという意味である。
(「Titan」はギリシャ語風に読むと「ティーターン」だが、英語読みでは「Ti」を「タイ」と読む。また日本語では本来「ティ」の音節がないため「チ」で代用されることが多く「チタ(ー)ン」表記も多かった。)
『特撮秘宝 vol.5』掲載の脚本家へのインタビューによると、ギリシャ神話が好きな脚本家が「タイタン」と命名し、
これが最終的に「チタノザウルス」という名前に変化していったとのことである*2
実在する恐竜にもその巨大さからティターンに由来して同じ綴りで命名された、現在はティタノサウルスと呼ばれる恐竜がいるが、
こちらは竜脚類なことと上記の経緯から特にモチーフではなさそうで、逆に学名が怪獣に由来するわけでもない。

なお紛らわしいが、ティラノザウルス(Tyrannosaurus)も昔の日本語表記では「チノザウルス」が多かった。
ただし、こちらは「暴君」という意味の「ティラン(タイラント)」が由来である。

ちなみにマグロ食ってない方のアメリカ版ゴジラ(=『モンスターバース』)では怪獣の総称として「タイタン」が用いられているのだが、
残念ながら名前の由来を同じくし、かつアメリカでも人気のあるチタノザウルスは現状登場していない。

2006年に発売された「トイズドリームプロジェクト ムービーモンスターシリーズ ゴジラ1975&チタノザウルスセット」を最後に、
ソフビが発売されておらず、過去の商品も軒並み高騰化していたが、
2023年9月に公式通販サイト「ゴジラ・ストア」で再販され、ようやく入手が容易となった。


ゲーム『Godzilla Unleashed』におけるチタノザウルス

条件を満たせば操作可能になるプレイヤーキャラの一体として登場。
身軽で素早い動きを見せており、ジャンプ攻撃なども揃っている。
尻尾で竜巻を起こす映画通りの攻撃も使えるが、
新たに光線技として、口から超音波光線を吐く技が使えるようになっている。

また本作ではフィールドに出現する特殊なクリスタルを破壊することで、
どの怪獣でも全身に赤い筋が浮き出し体色が赤黒く、
体が大きくなったバーニング状態になり、技の威力などが強化される。
このバーニングモードはもちろんチタノザウルスにも搭載されており、
MUGENキャラの超必殺技演出は恐らくこの状態をモチーフにしていると思われる。


MUGENにおけるチタノザウルス

ガギギマイラなどの手描き怪獣キャラの製作者として知られるzektard氏の製作した、
手描きのチタノザウルスが2017年8月27日に公開された。
同氏製作の怪獣達と同様の仕様であり、通常キャラの3.15倍もの耐久力を持つ。

通常技は噛み付きや尻尾攻撃、頭部のトサカでの斬りつけの3種類がある。
発生5Fのトサカ斬りつけ、発生4Fの噛み付き攻撃と尻尾攻撃と技の発生が速く、近接戦では侮れない性能を持つ。
投げ技としては相手に噛み付いて投げ飛ばす投げ技が搭載されており、映画でのイメージが上手く活用されている。
必殺技のCola Tifonは尻尾を振り回して竜巻状の飛び道具を発生させる技である。
飛び道具の速度は遅めで画面端までは届かないこともあるが、
ゲージ消費が無く使用中は無敵で連射も効くため、連発すれば強力な性能を誇る。

超必殺技は2ゲージ消費の「アンリーシュド・超音波光線」。
その名の通りゲーム作品『Godzilla Unleashed』でのバーニング化と超音波光線をイメージした技であり、
バーニング化して超音波光線を放って攻撃する。威力は7割以上にもなる強力な技である。

デフォルトAIは搭載されていないが、本体能力と技性能は強力で、プレイヤー操作なら凶キャラとも戦える強さを誇る。
外部AIはカーベィ氏によるものが存在し、氏のサイトにて公開されている。
元々は氏の大会動画で使用されたものであり、導入するとATK250→20、DEF250→100に減るなど、ステータスが大幅に弱体化する。
しかし、技の判定や性能は基本的には変わっていないので、これでも他の怪獣キャラとかなりいい勝負をしてくれる。
むしろ攻撃力が下がったおかげで相手に連続で攻撃しつつ、ゲージが溜まったら前述の超必殺技を発動する機会が多くなるため、
画的にも見栄えの良い戦いを見せてくれるだろう。
スプライトの再現度や動きの完成度も高いため、今後の活躍に期待したい。



出場大会

  • 「[大会] [チタノザウルス]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
アンギラス筆頭に「恐竜の生き残りの怪獣」がいるゴジラシリーズの世界で学会追放はおかしい、と突っ込まれることもあるが、
桂が博士に対し「(チタノザウルスが)何も知らない大勢の人たちの命を奪う怪獣の仲間入りをする」として糾弾していることから、
どちらかといえば生物を操ろうとした点が非難の的となった可能性が高い。
作中時間軸で見れば15年前の1960年はゴジラやアンギラス(『ゴジラ』シリーズ以外も含めるとラドンバランも)の出現から間もなく、
怪獣の存在が脅威とされていた時代だったことを考えれば仕方がないのかもしれない。
その一方で、時系列上昭和ゴジラシリーズで一番最後に位置するとされる『怪獣総進撃』(劇中の新聞によると1994年のため)では、
小笠原諸島の島に怪獣達を集めることで人類が怪獣を管理下に置いているような状況となっており、なんとも皮肉である。

また15年前の真船博士の学会発表時には、チタノザウルスの解剖図と共に何故か違う会社のはずのテレスドンの解剖図が置かれている。
まあ向こうの方でも『帰ってきたウルトラマン』で次郎君たちがキングギドラの卵やら知ってたけどな
何故他作品の怪獣でありゴジラ世界で目撃例が無いはずのテレスドンの解剖図が存在するのか、
仮にクロスオーバーとしても作中時間軸の15年前だとするとテレスドン初登場の1966年以前ではないか?など謎の多いシーンである。
ただ劇中で根拠は一切無いが、テレスドンもウルトラマン劇中では地底人が操っていた怪獣であるので、
真船博士の研究に協力したり盗んだ地底人がいて、後のテレスドンの操作に応用されたと妄想してみるのも面白いかもしれない。

*2
なお、この初期プロット段階では「タイタンⅠ」「タイタンⅡ」というオスとメスの二体が登場する予定だった。
本編では一体に統合されたのだが、高山氏はインタビューや関連書籍などで「メスの方を想定して執筆した」という旨を度々証言している。
なんでも着ぐるみを見た際に「自分に見た目が似ている」と思ったためだとか。
本編では言及されないため裏設定、ボツ設定の類とは思われるが、もし反映されていればモスラやラドンの片割れに次ぐ「メスの東宝怪獣」となっていただろう。


最終更新:2023年09月30日 19:41