ポン


"You're a bug to me!"

(貴様など虫ケラ同然よ!)

データイースト製作の武器格闘アクション『ファイティングファンタジー』、
及びその続編の格闘アクション『デスブレイド』の登場キャラクター。

麻雀用語では無いし、コンピューターゲーム創成期のヒット作『テレビテニス』の原題でもない
(原題が『ポン』(恐らく「ピンポン」が元だろう)だと言う事を知っている人の方が少ないかもしれないが)。
……もっとも、「ポン」と言われてこのキャラクターをすぐ思い出せる人はほとんどいないだろう。
日本ではたぬきに付ける名前(もしくは愛称)である事が多いが、台湾ではしばし男性名に使われている。
ニコニコ動画でも「ポン」といったら東方・艦これ二次創作の作者やパチスロの実況など同名別人が多数存在し、
人名以外でも『コマンドー』での吹き替えネタ然り、擬音としてもタグが使われているため、彼の名前は知名度が低い
(前述の「たぬきのポン」も腹太鼓を擬音化したものである)。

外見はどこからどう見ても『北斗の拳』のウイグル獄長であり、
かなり気の抜ける本名がまるで浸透せず「獄長」としか呼ばれなかった。
「ポン」で分からない人も「デスブレイドに出てた獄長」と言えばすぐ分かるはず。
キャラクターセレクトでは種族名の「ヘラクレス」表記で、
海外版では(パズズを除き)種族名しか表示されないため「ヘラクレス」呼びが定着している。

+ ウイグル獄長とは





「カサンドラに生きる全てのもの……

   たとえ虫けら一匹でも……

   ここから這い出ることはできん!

   それがカサンドラ伝説!!」

武論尊氏・原哲夫氏原作「北斗の拳」の第一部、アニメ版の分類では「第二部(風雲龍虎編)」の後半に登場した人物で、
鬼の哭く街カサンドラを牛耳る支配者。拳王の部下の一人で、トキを収監するという重大な任務を授かっていた。
担当声優はTVアニメ版及び旧劇場版では『キン肉マン』のロビンマスクや『ドラゴンボール』のミスター・サタンを演じた郷里大輔氏。

原作及びTVアニメではケンシロウと戦い、泰山流双条鞭や泰山流千条鞭を使いこなし、奥の手である蒙古覇極道でケンシロウを追い詰めるものの、
最終的には北斗百裂拳で敗北。わざわざケンシロウのために掘ってあった墓穴に自分が押し込められてしまう。
体格が大きすぎるので入らないと思われていたが、ケンシロウからの「じきにちょうどよくなる」という宣告通り、
体を経絡秘孔の効果で無理矢理折り畳み収納されるという末路を辿った。
……が、それでもしぶとく生きており、ケンシロウ達がトキのもとへ向かってからしばらくした後の場面で、墓穴から血みどろボロボロの状態で復活。
トキとケンシロウを会わせてはならぬと部下達に伝え、真っ二つになって今度こそ息絶えた。

しかし、蒙古覇極道の一撃でケンシロウを一度は失神KOに追い込むという偉業を成し遂げており、その攻撃力は特筆もの
(勝ち誇っている間にすぐ復活されてしまったものの、この漫画でカイオウ等の初見殺しを除きケンシロウに有効打を与えられた者はほとんどいない。
 ゲームでテーレッテーになっているハート様の張り手を食らった時でさえピヨってはいるもののすぐに立ち上がっている)。

また打たれ強さの点も評価されており、基本的にケンシロウに敗れた者の末路は爆死=ジ・エンドであるが、
自身も一度そうなり全身血まみれ状態で再び起き上がったゴキブリ並の生命力の強さは
上記の攻撃力と並んでもう一つの偉業に値する。
ケンシロウが()()と認定した相手の場合は致命の秘孔を突いても数分以上の余命を残すが、それ以外の強敵不認定者は数秒以内に死ぬ。
ケンシロウはウイグルを強敵認定した描写が無い為、普通なら数秒で死ぬはずなのである。
秘孔を突かれていったん爆破された状況から復活してきた人物は、ウイグルを含めて作中でたったの二人しかいない。

作中のポジションとしてはただの中ボスの一人でしか無いキャラクターだが、これらの凄まじい戦闘能力のため、
北斗南斗元斗北斗琉拳などに属さない、宿命の星を持たない拳法家の中で最強の呼び声は高い。

一方、旧劇場版ではウイグルと戦う拳士がレイに代わっており、ケンシロウとの対決は無い。牙大王との対決があるかと思われたがラオウに持って行かれた
こちらでも泰山流双条鞭や泰山流千条鞭を披露するものの、蒙古覇極道を披露する前にあっさりと倒されてしまった。
原作では鞭のスピードは見切れないとか言ってたはずじゃねえか絶対おかしいぞ獄長の方が強いはずだ


原作における獄長

『ファイティングファンタジー』における獄長

ファンタジー世界を舞台に、国王を決める闘技試合のラスボスとして登場。
種族はジャイアントで、126インチ(約3m20cm)という凄まじい巨体を誇り、当然のように蒙古覇極道を繰り出してくる
体力はプレイヤーの2倍。


見ての通り物凄いでかさだが、元ネタでもこんな感じなので別に違和感は無かった。


ここまで完璧に獄長なのだから得物は当然泰山流双条鞭……ではなく、なぜか魁!!男塾』の独眼鉄先輩の巨大ヨーヨーを引っさげて登場。
この両者を合体させようというのがさすがのデコセンスである。
地上にいては危険なので、ジャンプからの攻撃が有効。
リーチの長いハルバードを装備しておくのが定石とされる(本作は貯めた賞金で武器を買い替える事が出来る)。
獄長の体がでかすぎて一回のジャンプで勝手に二回ヒットする。


優勝者は国王に就任して王妃と権力が手に入るものの、
大会には人間もモンスター(ラミアとか王妃をどうするんだろうか?)も無差別に出場出来るうえ、
試合の敗者は「死亡」と表示される、と言う当にハイリスクハイリターンな大会である。
更には、毎年大会が開かれる上、国王は強制的にタイトル防衛戦をやらされると言う恐ろしさ。
この国は国王に死ねとでも言うのか。それでも参加してくる連中も大概だが……
(まぁ政治そっちのけで剣闘大会に出場しまくったローマ皇帝なんてのも実在したが)。

プレイヤーが優勝した場合は当然獄長も死んだと思われたが……。

『デスブレイド』における獄長

何の説明も無く続投しており、タイトル画面で威風堂々の勇姿と謎の誤字を見せてくれている(ページトップの画像)。
前作主人公(1P,2P)は登場しないので主人公敗北が正史なのだろうか?*1

本作ではプレイヤーキャラの一人になった。
さすがにあのでかさのままプレイヤーキャラになるのは無理があったのか、*2
種族をヘラクレスに変更しそれ種族なのか?、身長は一気に193cmまで縮んだ。*3

前作同様、人間・モンスター無差別参加で、ゴーレムやらドラゴンやらヒドラやら魔神やら恐ろしい面々が顔を揃える。
その中にやってきた人間型キャラクター三名のうちの一人で、
彼らをバランス型のファイター、スピード型のアマゾネス、パワー型の獄長と考えればファイナルファイトの三人に分類でき、
また「青年」「女性」「ヒゲのじじい」と見立てれば往年のゴールデンアックスのプレイヤーキャラ達を彷彿とさせる。
というわけでハガーやギリウスにネタキャラとして人気が集中したのと同様にプレイヤーは皆獄長を選択。
『デスブレイド』は「なんでか知らないけど獄長が出てるゲーム」としてその名を知られたのであった……。

大会のレギュレーションが素手限定に変更されたため(ラスボスのクロノスのみ魔法の杖を持っている)、
前作で使っていた釽舞大円盤を手放し、重厚な肉弾戦で戦う。もちろん蒙古覇極道も健在なので安心だ。
そして決め技はキン肉ドライバー。あくまでもジャンプネタを貫く獄長であった。

余談だが、ミノタウロスも大技の名前が「ミキサーハリケーン」とモロにバッファローマンのパロディである。
他にもファイターの技は地獄の断頭台っぽかったり、アマゾネスの技はナパームストレッチに似てたり……。

+ ニコニコ動画における獄長
NAMCOxCAPCOM』のOPを模したMAD動画「データイースト クロス サンソフト」で、戦闘シーンの一番手として起用されている。
いわばデコ陣営の顔。さすがは獄長。

会社の枠を越えてルーミとタッグを組んでいる設定になっており、他にも両社の様々なキャラクターが夢の共演を繰り広げる名作MADである。


MUGENにおける獄長

     

"Strong!"

キャノン娘氏によって製作された獄長が存在。
画像音声は『デスブレイド』のものを使っており、多彩な投げ技も備えている。
打撃技の種類は少ないが、通常技は弱P・強P・弱K・強Kの4ボタン制で、必殺技は2種類の突進技を備えている。
いずれも破壊力抜群で、ウォーデンハンマーは発生が遅いものの、飛び道具無敵でガードされても隙が少ない。
強力なドロップキックのウォーデンロケットはヒット・ガード問わずダウンしてしまうが、発生が速く、連続技に組み込むと絶大な威力を発揮する。
ただし、後述の更新によりダウン時間が固定となり、ガードされた場合は反確レベルの隙が出来る。ヒットすればほぼ五分にはなったが。
ぎりぎり尖端をガードさせる事で隙が約105F不利から約75F不利に大幅軽減できるというテクニックが発見された……が焼け石に水すぎる。
ハイリスク・ハイリターンの慎重な運用が求められる技である。
更に特筆すべきは超必含む各種投げ技で、ステートを管理しているため相手はしばらく起き上がれず、よほど離れていなければダウン追い討ちがほぼ確定する。
超必殺技はもちろん蒙古覇極道ウォーデンタックルとキン肉ドライバーウォーデンドライバー。
必殺技の名は「ウォーデン~」で揃えられているが、
このウォーデンというのは別にオーディンの発音違いとかではなく「warden」、つまり獄長の事。
ウォーデンタックルとは「獄長タックル」という意味で、もはや隠す気も全く無い蒙古覇極道である。
コマンドファイルの中を見ると蒙古覇極道と書いてある

ウォーデンドライバーは特殊やられを設定する事ができ、アニメ9006と9007を使ってキン肉ドライバーやられポーズを作る事ができる。
コマンドが「掴みが成功してからレバー1回転+P」であるため、投げ空振りでゲージを無駄に消費する危険が無い、
レバー1回転の間に上に入ってもジャンプする危険が無い、コマンドミスをしても通常投げが出てダメージを与える事は保証されている、
という様々な長所がある。ダメージは450。
ウォーデンタックルは直撃すれば体力を3分の1以上奪う破壊力を誇り、ガードされても多段ヒットしてゴリゴリ削ってくれる。
長い無敵時間があって発生も突進スピードも速く、更には連続技にも組み込める優れもの。モンゴルが平定されるのも納得である
実に頼りになる技だが、切り返しができる技がこれ一つしかないので、ゲージが溜まっていない時に押し込まれるとかなり苦労する。
ゲージがある場合でも最大で1本しか持てなくなったので、まさに一撃必倒の気合いを込めて繰り出そう。

元はプロレスゲームなのでしゃがみ技が無い。
一応しゃがむという行動は存在するが、立ちと同じ技が出る。喰らい判定もほんのわずか低くなるだけ。
基本技から必殺技までかなり多くの中段技を持っているのだが、
しゃがみ技が無いので下段技を持っておらず、相手のガードを崩すのは強力な投げ技がメインになる。
また、カラーパレットが1つしか無く、同キャラ戦をやらせると2P側の色が少し暗く表示される。
しかし試合の最中にだんだん色が元に戻っていき、そのうち両者の色が同一になって完全に見分けが付かなくなる。
これは原作のドッペルゲンガー戦を再現している

AIはデフォルトで搭載されている。
強力な打撃と投げ技により、中・近距離では無類の強さを見せる。カサンドラ伝説は不滅だ!
特に投げからの追い討ちが地味に痛く、AI獄長にとって投げと追い討ちは最早一つの技と言っても過言ではない。
「投げを喰らったがぎりぎり生き残った! → だが追い打ちでKO」という流れになった時は無性に悔しい。
……が、後ろに投げ捨てるハンマースルーの場合は追い討ちが間に合わない場合も。
多少離れていても飛び道具無敵のウォーデンハンマーや蒙古覇極道ウォーデンタックルで肉薄し、強力な打撃や投げで攻めて来る。
強クラスのキャラ相手でもそうそう引けは取らないが、やはり相性は如何ともし難く、弾幕系キャラは特に苦手なご様子。
2017年10月8日の更新により性能が調整され、最大ゲージが3から1になり、ダウン追い討ちの威力も減少、ウォーデンロケットの隙も大幅に増えた。
多少弱体化してしまったものの、それでも一発逆転可能なポテンシャルは健在である
(ジャンプ強K → 弱P弱P強Pウォーデンタックルで6割。画面端ならさらに弱P弱P強Pウォーデンロケットが入って合計9割持って行く)。

キン肉ドライバーの出番は少ないものの、蒙古覇極道の迫力をいかんなく発揮してくれる性能を持っているので、
MUGENストーリー動画にウイグル獄長を登場させたい場合は彼をウイグル役として使ってみてもいいだろう。
あとはボイスパッチでもできれば完璧である。
プレイヤー操作

なお、原哲夫繋がりかマッスルボマー』のキャラの勝利画面に対応して負け台詞を表示するのだが、
『ファイティングファンタジー』の時のようにポートレイトに「死亡」と表示され、
台詞は「あわせてはならぬ!あ……あのふたりを ふただりを~~~ をろあ!!と、やはり獄長は獄長であった。

ちなみに製作者によると、異種格闘技対抗戦ネタの大会を考えてみたもののモンゴル相撲枠が物足りなくて作り始めたが、
よく考えたらモンゴル要素は蒙古覇極道しかなかったとの事。獄長の流派は泰山流拳法で、モンゴル相撲では無かった……。

出場大会

プレイヤー操作

実況付きP操作 Tarie配信(344キャラ目操作キャラ)


*1
『デスブレイド』のラスボス(=前年優勝者)は前作にいなかったクロノスという魔法使いなので、
素直に「前作の一年後、同じ国での大会」と考えると辻褄が合わないのである。

仮に、時系列上前作が未来次回作が過去と考えるなら、クロノスを倒した獄長が王となって前作に続くという流れになる。
これなら本作に前作主人公が居ないのも納得できる。

もう一つの可能性は、時系列は前作の一年後、前作で主人公を返り討ちにして王座を守った獄長が、
似たような王位争奪戦制度を採っている別の国を支配すべく何故か小型化して乗りこんできた……という感じか。
こんな無茶な制度を採用する国が他にあるのかという気もするが、実はゲーム業界にはほぼ同じ設定の『ダイノレックス』というゲームが存在する。
(そちらはファンタジー世界では無く、原始時代に人間と恐竜が共に暮らしていたという設定で恐竜使い達が一年間の王位を巡って対戦、
 敗北すると恐竜使いはどこからともなく飛来したプテラノドンに食われる
 知らない人は同じ恐竜格闘の『プライマルレイジ』と混同しがちだが)
また、毎年ではないうえ殺しまではしないが『クイーンズブレイド』や『機動武闘伝Gガンダム』も似た様な設定である
(ただし双方とも試合前に暗殺される事があったりもするが……。
 また『クイーンズ』の方は女王アルドラとの直接対決で負けると石像にされる)。

*2
「大会のサイズ規定のため、ドラゴン族からは比較的小柄なカンガルードラゴンが参加してきた」という設定がある。
恐らく前作の獄長のサイズではレギュレーション違反になってしまうのだろう。
『デスブレイド』で最も大きいヒドラの体長が3mで、前作の獄長よりは小さい。

*3
仮に『ファイティングファンタジー』以前の時系列だとすると、種族を偽って参加していたと考えられる。
身長に関しては……獄長は種族が「ジャイアント(巨人)」だし、まだまだ成長期だったんだろう、きっと。


最終更新:2024年04月05日 00:30