黒雪姫


「もっと先へ、加速したくはないか?少年。」

川原礫氏によるライトノベル『アクセル・ワールド』に登場するメインヒロイン。
2D対戦格闘ゲーム『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』にもプレイヤーキャラクターの一人として登場している。
映像媒体での声優は三澤紗千香女史。
ファンからの愛称「もっ先」。これは、ページ冒頭の代表的な台詞を公式サイトで誤植された事による。
あと真っ黒でアホ毛が二本ある事から「ゴキブリ」とか言われる事も。これはひどい
黒い姫のオリジナルキャラはこちらを参照。

「ブレイン・バースト」内で最強クラスのデュエルアバター、「ブラック・ロータス」を駆る高ランクプレイヤー。
学内ローカルネットのスカッシュゲームで高い記録を叩き出した主人公・有田春雪(ハルユキ)の資質を見出し、ブレイン・バーストを与え加速世界へと誘う。
通常時のアバターは蝶を模した羽根付きの露出度の高いドレスを着用したものを使用している。

+ ブレイン・バースト
量子接続通信端末「ニューロリンカー」用のソフトウェア。正式名称は「Brain Burst 2039」。
インストール時に100用意されるバーストポイントを消費する事で、仮想空間での思考速度を1000倍にする機能を持つ。
バカでも1週間ちょっとで名作小説が書ける計算になる(実際は時間制限のせいで無理だが)。
加速時のコマンドが「バーストリンク」であるため、殆どの利用者は自分達を「バーストリンカー」と呼ぶ。
現実世界では僅かな時間のログインでも、ブレイン・バーストを用いた加速世界では体感時間が非常に長くなるため、
バーストリンカー達は実年齢の割には達観していたり老成していたり個性的といか奇人変人な性格をしている者が多い。

密談から緊急回避まで様々な用途があるが、作中で主に扱われるのはもう一つのVR対戦アクションMMORPGの側面。
ポイントはこのゲーム内で他プレイヤーとの対戦で奪うか、無制限中立フィールド(MMORPG)でエネミー撃破の報酬として得る事でしか増やせない。
このため、所謂まったり勢でも戦力維持は必須。
また、ポイントを大量に消費するが、現実世界でも加速を行う技まである。

ポイントが0になると強制アンインストールされると共にブレイン・バーストに関する記憶を一切失う*2という、デスゲーム的側面を持つ。
加速世界での出来事が人格に影響を及ぼしていた場合、それらも一緒にリセットされる。
加えてインストール方法は所持者からのコピーのみ(コピー元が「親」、先が「子」と呼ばれる)、1人1回しかコピー出来ない、
生まれてからほぼ常にニューロリンカーを使用していた者でないとインストール不可*2、という制約があるため、
作中でのバーストリンカーは1000人前後の高校生以下に留まっている。

レベルアップやアイテム購入にもポイントを消費するため、通常方法でのキャップであるレベル9に到達したブラック・ロータスらは、
他のバーストリンカーとは一線を画した廃人存在と言える。

なお、これほど高性能なソフトウェアであるが、「誰が・何の目的で」製作したかは不明である
(時折アップデートされるため、放置されているわけでもない)。

現実世界では梅郷中学の生徒副会長。初登場時は2年生で後に進級している。
長い黒髪と類まれな美貌から「黒雪姫」と呼ばれ慕われている(というか、副会長なのに本名がほとんど知られていない)。
本名は不明(曰く「あだ名とそんなに変わらない」)だが、ハルユキを始め一部のキャラには知られている様子。
通常、ハッキングは不可能である筈の公文書データも「黒雪姫」名義と徹底している。
倉崎楓子などの昔馴染みには「サッちゃん」などのあだ名で呼ばれている*1

学園では才色兼備の優等生であり、大人びた言動を取るが、どこか抜けている一面を持っており、
第1期ネガ・ネビュラス(後述)のメンバーには彼女の孤高の強さに惹かれた者だけでなく、放っておけなさから入った者達も多かったらしい。
また料理も最近始めたばかりで苦手な模様。
胸部も薄く、本人もとても気にしているために上月由仁子(現・赤の王。小学生)などからはからかわれている他、
ヤキモチを焼いたり、好きな髪形を聞いて翌日そのとおりにしてみたりと年相応の面もある。
重度の寂しがり屋の一面もあり、修学旅行でハルユキに会えない事からイマイチ楽しめていなかった事も。
実家は港区白金だが、3年前に後述の理由で勘当されており、現在は阿佐ヶ谷住宅の一角で一人暮らしをしている。

8歳の頃にバーストリンカーになり、七大《軍団(レギオン)》(所謂ギルド。宇宙怪獣と原義は同じ)の一角、
「ネガ・ネビュラス」を率いる《純色の七王》の一人、黒の王と称される程の存在となる。
しかし、他の六王共々レベル9に到達した際、レベル10到達方法が「全ポイント賭けとなるレベル9同士の対戦5人抜き」と告げられた際に状況は一変。
他が現状維持を掲げる中頂点を競うべきと考えていた所を、実姉でありバーストリンカーとしての「親」である白の王ホワイト・コスモスの策略に嵌り、
赤の王レッド・ライダーを不意打ちで倒してしまう。
真相を現実世界で明かされた事で激昂、姉をナイフで傷付けるという暴挙に出てしまい家族関係が壊れ、
加速世界では指名手配犯同然の扱いとなった上に、ネガ・ネビュラスもとあるダンジョン攻略に失敗して壊滅・解散。
これらの事情が重なり、長らくニューロリンカーの外部接続を断って(接続=マッチングリスト入りのため)ネット上では閉じこもっていた。
そんな中、突如生じた厄介事を解決するための駒を探してハルユキを見付けたのだが、次第にその内面に惹かれ好意を持つようになる。

+ デュエルアバター「ブラック・ロータス」
猛禽類のような頭部に、四肢の全て及び腰のアーマースカートが鋭利な刃となっている。
色は「純粋な黒」(デュエルアバターの色は性質や能力などの系統を示す。「純粋な黒」が何を示すかは不明)。
攻撃性能が非常に高く、「ブレイン・バースト」内でもその剣戟を弾ける者は極わずかしかいない。
その上、アビリティ≪終決の剣(ターミネート・ソード)≫によって触れたものは地形でさえ切断するため、生半可な攻撃も通用しない。
弱点は「刃の無い部分の防御性能が低い事」だが、これは回転運動を用いてベクトルを反転させる返し技≪柔法≫を習得した事で克服している。
その能力の高さから≪絶対切断(ワールド・エンド)≫の二つ名で恐れられた。

作中で披露した必殺技は、
刺突技「宣告・貫通による死(デス・バイ・ピアーシング)」、
抱き着くように首を刈る「宣告・抱擁による死(デス・バイ・エンブレイシング)」、
連続蹴り(突き)を放つ「宣告・連撃による死(デス・バイ・バラージング)」の3つ。
音声コマンドで発動する割には中二長々しいが、表記はともかく読みはブレイン・バーストでは割と普通な方である。
他に心意(インカーネイト。精神力で通常システム外の現象を起こす裏技)技の「星光連流撃(スターバーストストリーム)」等を持つ。
接近戦型ではあるが、心意技の一つとして「奪命撃(ヴォーパル・ストライク)」という遠距離攻撃可能な刺突技もあるため、隙が無い。
加えて、本人の自己暗示によって性能を変化させる「オーバードライブ」というスキルまで編み出しており、
近距離用・遠距離用・防御性能特化したモードを使い分ける事が可能。

一方で、デュエルアバターは「プレイヤーの精神性やトラウマが具現化したもの」であり*2
(一例を挙げると、ハルユキのシルバー・クロウは背が低くぽっちゃり体型でいじめられていた事もあってか、
 ひ弱そうなひょろひょろとした姿で、防御に優れたメタルカラーではあるが、素のステータスがあまり高くない。必殺技も「頭突き」のみ。
 一方で「抑圧された現実から抜け出したい」「理想へ飛び出したい」という強い想いから加速世界唯一の自力飛行能力を獲得している。
 素のステータスがあまり高くないのも、飛行能力に全振りしている部分もある。
 もっとも、「特殊能力に全振りしているために素のステータスが高くない」というデュエルアバターは少なくないのだが)。
手足はおろか全身刃といえるブラック・ロータスは、敵も味方も傷付けてしまう事から、
黒雪姫自身は「醜悪の極み」と酷評している。

名前の由来は『マジック:ザ・ギャザリング』の有名レアカード「Black Lotus」から。


電撃文庫FIGHTING CLIMAXにおける黒雪姫

アクセル・ワールドの代表キャラとしての参戦。
「ブラック・ロータス」ではなく「黒雪姫」としての参戦であり、
通常アバターがブラック・ロータスをスタンドのように召喚して操るという奇妙な戦闘スタイルになっている。
やはりと言うべきか、試合前の会話や掛け合いではその服装をよくいじられるが、落ち着いた返しが出来る辺りは流石。
しかしこいつとの絡みでは下着にまで話が発展し当惑している(ちなみに白らしい)。
ゲーム脳デュエリストの血が騒ぐらしく、セルベリアアキラとの会話では比較的真っ当に格ゲーらしい会話をしている。
SAO勢も登場するが、世界観の繋がりは曖昧な模様。

キャラ性能は遠距離に届く飛び道具やリーチの長い技を大量に持ち、所謂シューティング戦法を得意とする。
相手の攻撃をカウンターで反撃したり、瞬間移動で背後に回るなどトリッキーな戦術も可能。
原作のオーバードライブの再現として効果の異なる三つの自己強化系切り札を持つため、戦いのバリエーションが豊富。
機動力の低さなどの欠点はあるものの、リーチによる画面制圧力の高さから、多くのキャラに立ち回りでペースを握る事が出来る。
コンボ動画

ちなみにハルユキはアシストキャラとしての登場。まあ影も形も見えない主人公よりはマシだろう。


MUGENにおける黒雪姫

kohaku氏による『電撃FC』のスプライトを使用したものが公開されている。MUGEN1.0以降専用。
再現が大変だったのか羽は省略されている。また、ペルソナ風のカットインが入っていたり、
氏独自のオリジナルシステムが搭載されているなど、仕様は原作とはかなり異なる。

他のキャラクターと同じくAP、SP、アシストの3つの特殊ゲージがある。
原作で見せた技は大体搭載されている。三つの切り札はSPゲージを3消費する事で使用でき、入力ボタンによって効果を使い分ける事が出来る。
使えるアシストキャラはハルユキのみ。覚醒状態になると技が変わる。
AIはBoomer氏、shao氏が製作をしている。
紹介動画(非最新版)

出場大会



*1
「ブレインバースト」内での戦闘スタイルや、スキル(技)名(スターバーストストリーム、ヴォーパル・ストライク)、
「ソードアート・オンライン(ならびにそれを基盤としたVRゲーム群)」、「ブレイン・バースト」双方に、
「人間(プレイヤー)の意思の力でプログラムを一時的に書き換える」システムが存在している事、
キリトは「サチ」という名の女性プレイヤーを守り切れず死なせてしまった事が半ばトラウマになっている事などから、
キリトとアスナの娘で本名は「サチ」じゃね?と推測するファンもいた。
ただし、原作者からこの説は否定されており、技名は師匠からの伝授である事が判明した現在はそちらの関連性が推測の的となっている。
Web掲載時代の本名はストレートに「黒羽雪子」であったが、
どこぞの男子高校生のように漢字や読みとかすりもしないあだ名が付く事も考え難いため、現在もこの設定が生きているかは怪しい。
因みに外伝にてキリトとシルバークロウ(ハルユキ)は対戦した事がある。
アニメ版ではスタッフの遊び心からか、「SAO」に登場したVRゲーム機「ナーヴギア」が登場した事もあった。
コラボゲー『アクセル・ワールド VS ソードアート・オンライン 千年の黄昏』では、
「地続きの歴史」なのか「時間のずれた並行世界」かは不明であるとされた。

*2
これらの性質から、「デュエルアバターはニューロリンカーを通じてどこかに保存された人格コピーである」という説が読者の間では有力。
作中でポイント全損して消滅したはずのデュエルアバター複数名が、消滅までの記憶そのままに再登場した事もこの説を裏付けている。


最終更新:2022年11月28日 17:19
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