レイドラグーン


仮面ライダー龍騎』に登場する怪人「ミラーモンスター」の1種。
シアゴーストと呼ばれるヤゴ型ミラーモンスターが成長する事で進化したトンボ型ミラーモンスター。
「レイ」で「ドラグーン」だけどコイツとは関係ない。
初出は『劇場版 仮面ライダー龍騎 EPISODE FINAL』だが、TV版でも終盤に登場する(劇場版とTV版はパラレルワールドの関係にある)。
CVは 柴本浩行 氏、 宗矢樹頼 氏、千田義正氏、 塩野勝美 氏。

+ ミラーモンスターとは(ネタバレ注意)
特撮作品『仮面ライダー龍騎』に登場する、それまでのシリーズにおける怪人枠に相当する存在の総称。
どこか機械的なデザインかつ原色系の鮮やかな体色*1が特徴。
ただし、怪人枠とはいっても「ほぼ巨大化した蜘蛛そのものなディスパイダー」をはじめ、
ヒトっぽくない個体がいたり、名前に統一性がなかったりとこちらでも「新たな試み」がなされている。
尚、劇中では単に「モンスター」としか呼称されておらず、当時の関連書籍等もモンスター表記であったが、
現在では差別化などのために「ミラーモンスター」が正式名称として定着している。

現実世界とは異なる「鏡の中の世界」であるミラーワールドに生息しており、
ライダー(人間)達とは逆に現実世界では長時間活動出来ないため、
「狩り」の際には何らかの方法でミラーワールドに獲物を引き摺り込む必要がある。
主食は人間、あるいは他のミラーモンスターの生命エネルギーであり、
作中では主に人間を狙って狩りを行っていた。
狩りの方法は様々で、「ミラーワールドから突然飛び出して獲物を仕留め、ミラーワールドに引き摺り込む」他、
「粘着性の高い糸を口から吐き出して獲物を絡め捕る」「獲物を輪切り状にしてから引き込む」「感電死させてから引き込む」等々。
縄張りがあるのか、特定の場所を餌場にしている個体も。
狙った獲物を執拗に狙い続ける習性があり、ミラーワールドへの行き来は「光を反射するものなら何でも可」なため、
一般市民が狙われてしまったら逃げ切る事は困難である。
ただし、光の反射を遮れるのなら新聞紙一枚でも強襲を防ぐ事が可能で、
現実世界に飛び出してきた時ならば変身前の生身でもタックルや飛び蹴りなどで撃退する事は可能。
一部はマーキングよろしく獲物を襲う際に予兆があるため、察知出来れば事前の対応も出来る。
ギャグ回とはいえ獲物のドジに巻き込まれて散々な目に遭ったシールドボーダーなんて個体も
尤も、ミラーワールドの存在自体、一般人には知られていない上に、
ミラーワールドに引き摺り込まれたら脱出は困難(出来ないワケではないが、ライダーの協力が必要不可欠)なので、
やはり人類にとって脅威的という他ないだろう。

更に一部は神崎士郎が作ったライダーシステムとカードデッキによって「契約」する事で「契約モンスター」となり、
契約したライダー達に様々な力を与える。代わりに契約したライダー達は何らかの方法で餌を供給しなければならない。
ただし、契約とはいうものの、「契約のカード」にモンスター側の拒否権はないので一方通行的なものである。
人間との意思の疎通は不可能で、契約が破棄されたと看做されれば即座に餌と認識される殺伐とした関係である。
が、仮面ライダーガイの契約モンスター・「メタルゲラス」や、仮面ライダーライアの契約モンスター・「エビルダイバー」は、
元の主人が倒されたあと、倒したライダーを執拗に狙い続けたり、
仮面ライダー龍騎の契約モンスター・「ドラグレッダー」は、当初は城戸真司を捕食しようと狙って出現したものの、
契約した後苦楽を共にしたためか、アドベントカード(契約モンスターを召喚・使役するカード)無しでも龍騎のピンチに駆け付ける事があった。

基本的には凶暴な野生動物といった存在で、文字通りの「怪物」あるいは「怪獣」ともいえ、
従来のライダー作品と比べると組織的な行動はしないのだが、
一部のミラーモンスターはゲームマスター・神崎士郎の配下にあり、
ライダー達とは逆に現実世界への干渉が難しい彼に代わって様々な行動を起こしている。

+ その出自など、更なるネタバレ
「やがて二人の強い幻想は、ミラーワールドと、そしてモンスター達を具現化させてしまったのだ」

ミラーモンスターの正体は、ヒロイン・神崎優衣とその兄・神埼士郎が、
幼少期に「自分達を守ってくれる強い存在」として描いた絵が実体化したもの

優衣は幼い頃より何らかの特殊な能力を持っており、
それを恐れた両親によって監禁同然の扱いを受けており、
それ故に唯一心を開いてくれた兄・士郎と共に自分達を守ってくれる、強くて恐ろしいモンスターの絵を描いていた。
が、何らかの原因で優衣は死亡
(直接の説明は避けられているが、上記の経緯からネグレクトによる衰弱死と推測される)。
優衣は「ミラーワールドの優衣」と入れ替わるような形で復活するが、
その命は「20歳の誕生日まで」という期限付きのモノであった。
優衣の完全復活を目論んだ士郎はミラーワールドの研究中に事故死してしまい、
ミラーワールド内でしか存在を保てなくなるが、
ミラーワールドの優衣がした方法と同じ、ミラーワールドのみで起きる「命の譲渡の現象」を利用して、
生命エネルギーをかき集めれば「新しい命」を得て優衣を完全に復活させられる事を知り、ライダーシステムを開発。
「ライダーシステムを用いたライダーバトルによるバトルロワイヤルの勝者は願いが叶う」等と勧誘して、
一般人をも巻き込んだライダーバトルによって生命エネルギーを集め、優衣を復活させようとした。

しかし、上記のように生命の譲渡は士郎が作った技術ではなくあくまでミラーワールドの「現象」のため、
ある程度の指向性を持たせることが可能なだけで、無理矢理生命力を他人から奪うなどの真似はできず、
どうしてもライダーバトルを介した回りくどい方法を用いなければならず、試みは難航。
上手くいかなければ専用カード「タイムベント」で時間を巻き戻して何度もリトライをするが、
士郎が作った龍騎のデッキとドラグレッダーだけは他人に渡そうが何をしようが、
いかなるルートでも最終的にバトルロワイヤルを阻止しようとする男・城戸真司の手に渡って殺し合いの停滞が発生し、
同時に他人の命を犠牲にしてまで生き永らえる事を優衣はどの世界線でも拒絶。
最終的に優衣の説得を受け入れて自身の敗北を認めた士郎は閉じられた時間軸を解放。
幼少期の自分達と共に「強くて恐ろしいモンスターの絵」ではなく、
「皆が仲良く幸せに暮らしている絵」を描いた事でミラーワールドもミラーモンスターも消滅した。

しかし『EPISODE FINAL』では優衣が自殺、士郎もその絶望で消滅してしまい、
ミラーモンスターが消えないままミラーワールドが消滅、結果全てのミラーモンスターが現実に現れるという最悪の事態になってしまう。
これに関しては優衣がミラーワールドの優衣と同化して復活する経緯が異なっていた事から、劇場版がループの1つと仮定して、
「タイムベントで幼少期の優衣が死亡する前に戻って改変しても因果律が邪魔をして、
 別の要因で優衣は死亡→仮初の命で復活という事象が起きるのを覆せなかったため、士郎が時間改変の術を持ちながらも、
 ライダーシステムによる延命に固執した」と推察されている。

トンボの胴体(胸部)から人間の身体が生えたような不気味な姿をしている。体色は青。
上の画像ではわかりにくいが、後頭部にトンボの尻尾のような器官がポニーテールのように垂れ下がっており、
頭部に格納している4枚の羽根を展開すると、トンボの胴体に人間の首から下がくっついているように見える。
この頭部の羽根でホバリングしつつ高速で飛行し、手足についた鉤爪で獲物を攻撃する。
個々の戦闘力はモンスターの中でも低い部類だが、とにかく繁殖力と高い適応能力が厄介で、
シアゴーストは放っておくと大量に湧き出てくる上に、短期間で進化して能力を向上させる特性を持っている。
ミラーモンスターには、強化変形するディスパイダーや、群れで行動するゼール系など、同種の個体が複数登場するタイプが幾つか存在するが、
このレイドラグーンの群れの規模と成長速度は、それら他のミラーモンスターとは比較にならない。
これは諸事情でミラーワールドが崩壊する事を察したミラーモンスターが「現実世界に適応しようとした」ためであり、
レイドラグーンには他のミラーモンスターのように現実世界に出た際の時間制限が存在しない。
ミラーモンスターの例に漏れず、このレイドラグーンと契約する事も理論上は可能な筈だが、
「個々の戦闘力が低い」「強みは適応力と数の暴力」とまるで契約モンスターに向いていない。
「強みが数の暴力」というミラーモンスター・ギガゼールと契約したライダーもいるが、
ギガゼールは「同種と交信して呼び出す能力があるため、一匹分の契約コストで多数の個体を使役出来る」という別の強みがあったりする。
ディケイド』における「龍騎の世界」での描写だが、
アビスラッシャーとアビスハンマーをアドベントカードで強化形態「アビソドン」にする仮面ライダーアビスもいるため、
契約したライダーがそれと同じくレイドラグーンをハイドラグーン化させるアドベントカードを所持すると言うのなら話は別だが。

名前の由来は「蜻蛉(せいれい)」+「dragoon(竜騎兵の意)」、もしくは「raid(襲撃の意)」+「dragoon」と思われる。
ちなみにトンボは英語で「ドラゴンフライ (dragonfly) 」。

+ ネタバレ注意
最終回直前の49話ではミラーワールド崩壊を察知して現実世界に大挙して侵攻。
逃げ遅れた少女を庇った変身前の城戸真司の背中を貫き、その怪我が元で真司は戦いの後死亡してしまう。
これまでのライダーシリーズでも主人公は一時的に死亡する事こそあったが、救済措置で蘇生するのがお約束であり、
そうした救済無しで主人公を最終回直前に絶命させるという前代未聞の事態は当時の視聴者に大きな衝撃をもたらした
演者達も台本を見た時は困惑したらしく「何かの間違いではないのか」とスタッフを問い詰めたらしい。

初出の劇場版ではリュウガの敗北・ミラーワールドの終焉と共に一部がさらなる進化体である「ハイドラグーン」へと変貌、
レイドラグーン共々現実世界に出現し続け空を埋め尽くす程の大群になり、
真司とが同時にサバイブ化し、無数のモンスターへと突っ込んでいくシーンで作品は終了する。
この後にどうなったのかは語られていないが、
大人向けライダーアイテム「CSM Vバックル」で行われた真司・蓮両名の中の人へのインタビューによると、
重すぎて 没になったものの両者ともアフレコ収録時には断末魔の叫びも録っていたらしいので……。
映像の方もよく見ると、二人が大群に突っ込んだ後に戦闘による爆発が途中からなくなる
(群れの影に隠れたから見えなくなった、という説もある)。
最終的に龍騎サバイブのストレンジベント(その場に適したカードに変化する)でタイムベントが発動したのでは?という考察もあるが、真相は不明。

前述した通りレイドラグーンは最終盤の敵ではあるが、ラスボスと言うには個々の戦闘力はお世辞にも高いとは言えない怪人である。
しかし、「倒しても倒してもキリがない怪人達の圧倒的物量による大襲撃」という演出は、終末観を示す舞台装置としてはかなりインパクトが強く、
作品でも同様の演出が何度か見られるようになる。

+ 関連モンスター
  • シアゴースト

「フェ フェ フェ」

レイドラグーンの進化前のヤゴ型モンスター。レイドラグーンと同じく初出は劇場版。体色は白。
呻き声とも笑い声ともつかない上記のような珍妙不気味な鳴き声を発しつつ、群れをなして人間に襲いかかる。
飛行能力も持たず戦闘能力は低いが、とにかくその繁殖力と物量が厄介で、集団戦法でライダー達を苦しめた。
また、一定以上のダメージを受けたり、時間の経過などでその場で蹲って蛹のような形態になり、レイドラグーンに進化する能力を持つ。
現実のヤゴの特徴である「伸縮する顎」は持っていないため、どこがヤゴだと思った人も多い筈
「口から吐き出す種子を獲物に植え付け、体内から触手状の物体を発芽させて搦め捕る」という非常にエグい捕食方法を持つ他、
口から粘性の糸を吐き出し、攻撃や獲物の捕獲、移動手段に用いる事も可能。
名前の由来は「sheer(純粋な)」+「ghost(幽霊)」らしいが、緩慢な動きや大量に出現する等の特徴から、
幽霊というよりはゾンビに近い印象を受ける。

  • ハイドラグーン
レイドラグーンがさらに進化した形態で、劇場版のみに登場。体色は青。
レイドラグーンが「現実世界に適応する形態」なのに対し、こちらは純粋に飛行・戦闘能力を向上させた形態。
前2形態と異なり人型ではなく、巨大なトンボの化け物とでも言うべき姿をしている。
時速900kmという圧倒的スピードで飛行する能力を持つ他、両腕をミサイルのように射出する遠距離攻撃を持ち、
単独でも仮面ライダーナイト飛翔態とまともに戦う実力を持つ。

+ 他作品における活躍
「ネガの世界」編にレイドラグーンが登場。
士達の合コン相手となる美女に化けており、正体を現して士達に襲い掛かった。
その後、ディエンドとダークライダー達の戦闘に乱入、オルタナティブと共に襲い掛かるも、
ディエンドのディメンジョンシュートで一掃された。

  • 『オールライダー対大ショッカー』
大ショッカーの怪人として複数体が登場。オールライダー達と戦った。
一部の個体は何故か槍を手にしている。

  • 『KAMEN RIDER DRAGON KNIGHT』
海外版『龍騎』である本作にも登場。
ゼイビアックス将軍の配下である戦闘員「レッド・ミニオン(『龍騎』におけるゲルニュート)」が進化する事で、
「ホワイト・ミニオン(シアゴースト)」に、更に「ホワイト・ミニオン」から脱皮する事で、「ブルー・ミニオン(レイドラグーン)」へと変貌。
ライダー達と戦った。

「魔宝石の世界」編にシアゴーストが登場。
テレビシリーズでは初めて鎧武が戦った怪人で、
意図してかどうかは不明ながら、鎧武の敵怪人であるインベスとは「大量に出現する」「進化する」等似た部分がある。

終盤、世界崩壊の危機が訪れた事、「仮面ライダーの歴史」が込められた各ライダーのライドウォッチが破損した事によって、
空を埋め尽くす大群が登場、人々を襲った。
最終的にライドウォッチが修復され、ジオウらが放った攻撃によって一掃される。


MUGENにおけるレイドラグーン

iseebi氏の製作したキャラが公開中。
カンフーメンと同じく本体に加えて無数のモブのレイドラグーンが登場し、数の暴力で攻めてくる。
ななび氏の白サナギワームを改変して作ったとの事で、モブゲージなど基本的な仕様はほぼ同じ。
やはり単独のキャラとしての性能は抑え目で、複数の敵相手に無双するボーナスステージ系のキャラである。
デフォルトでは常時起動AIでプレイヤー操作は不可能だが設定で変更する事は可能。
弱→強のチェーンコンボが可能だが、厄介なのは空中に飛行して突進する技。
単独で見れば空中に飛翔してから突進するまでタイムラグがあるためガードは容易なのだが、
前述した通りモブも含めてレイドラグーンが複数出てくるのが原因で、
モブを攻撃している間に他の個体が射程圏外から一気に距離を詰めてくるのに対応が間に合わない事が多く、非常に鬱陶しい。
また、改変元と違って本体とモブのカラーと攻撃手段が完全に同一なため、見た目だけでは本体の居場所を特定し辛い。

出場大会

  • 「[大会] [レイドラグーン]」をタグに含むページは1つもありません。


*1
余談だが『龍騎』でミラーモンスターの色が派手だったため、
次回作『仮面ライダーファイズ』における怪人枠「オルフェノク」の色は差別化のために灰色一色になったとか
(遺灰からの連想、という意味も込められているが)。


最終更新:2024年01月23日 21:28