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「【晴れるといいね】・・・雨・・・」(2007/10/22 (月) 23:26:57) の最新版変更点
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止まない雨はない。
明日はきっと晴れ。
*【晴れるといいね】
雨。
雨が降る日は貴方と逢った日のことを思い出す。
“濡れるぞ・・・”
私を衣の袖で被ってくれた、あのときの優しい声音は今も変わらない。
あのときと違うのは。貴方の名を呼べるということ。
「・・・季史、さん」
「何だ?」
・・・・
あれ?何で返事が返ってくるんだろう。
ここは藤姫ちゃんの屋敷。
雨が降っている景色を見て、ひとり物思いに耽っていたはずなのに。
「え!?ちょ、何で此処にいるんですか??
というか、私、声に出してました!?」
驚きのあまり、思いっきり醜態を晒してしまった。
きっと耳まで真っ赤になってることだろう。
「どうした?大丈夫か?」
真顔で私の顔を覗き込んでくる。
大丈夫じゃありませんって。
本当にもう。この人はマイペースなんだから。
「いえ。それより、どうして此処に?」
平静を装って聞いてみる。
「・・・雨が降ったから」
彼は、視線を外に移して、そう答えた。
雨宿りか。
それとも、私と同じように、あの日のことを思い出したのか。
なんて、都合のいい想像をしてみたけれど、ここは慎重に。
「雨宿り、ですか?」
「そなたが呼んでいる気がしたのだ」
待ち望んだ答えのはずなのに。
どこか哀しいような感覚を覚える。
私たちは同じだ。迷い子、だから。
だけど。
私たちはお互いの手を握って、足踏みをしているだけだ。
“ふたりでなら、道に迷っても恐ろしくはないだろう”
恐ろしくは、ない。でも、その先は?
「あははっ!バレちゃいました?
ずっと呼んでたんですよ。
貴方が来てくれますように・・・って・・・
あれ?変ですね。何で泣いてるんだろう、私ってば」
強がって笑い飛ばして言うつもりだったのに。
何故か涙が溢れてきた。
「そなたの心にも・・・雨が降っているのだな」
私の涙をぬぐってくれながら、季史さんは言った。
優しい声と優しい仕草がまた私の涙を誘う。
「・・ひっ、く・・ごめ、ん・・なさ・・い」
自分でも止められない涙。私はただ謝ることしか出来なかった。
「泣きたいときは泣けばいい。こうすれば、誰にも見えない」
そう言って、衣の袖で私を被ってくれた。
あの日と同じ。彼は気付いているのだろうか。
泣きじゃくる私に語りかけるようにポツポツと話す。
「あの日と同じ、だな。だが、今度は。
雨が上がってもそなたに逢える」
どうして分かったのだろう。
私が不安に思っていることを全て溶かしてくれる。
・・・心が、暖かくなる。
「雨が上がったら・・・どこかに。出掛けようか・・・あかね」
道に迷っても。二人なら歩き出せる。
「季史、さん・・・季史さん・・・!」
何度も何度も頷いて。彼の名前を呼ぶのが精一杯だったけど。
心は、晴れ。
----
惑星にUPしたやつです。
季史SS、ここにもUPしたつもりがどこにもなくて・・・
しかも、ちゃんと残してあったはずなのに、
そのデータすらなくて。
・・・・惑星に残ってて良かったー。
えと。
後ろ向きな二人なイメージがあったんです。あかねと季史ペア。
だけど、前を向いて欲しかったので。
何かありましたら、以下からどうぞ。
#comment
止まない雨はない。
明日はきっと晴れ。
***【晴れるといいね】
雨。
雨が降る日は貴方と逢った日のことを思い出す。
“濡れるぞ・・・”
私を衣の袖で被ってくれた、あのときの優しい声音は今も変わらない。
あのときと違うのは。貴方の名を呼べるということ。
「・・・季史、さん」
「何だ?」
・・・・
あれ?何で返事が返ってくるんだろう。
ここは藤姫ちゃんの屋敷。
雨が降っている景色を見て、ひとり物思いに耽っていたはずなのに。
「え!?ちょ、何で此処にいるんですか??
というか、私、声に出してました!?」
驚きのあまり、思いっきり醜態を晒してしまった。
きっと耳まで真っ赤になってることだろう。
「どうした?大丈夫か?」
真顔で私の顔を覗き込んでくる。
大丈夫じゃありませんって。
本当にもう。この人はマイペースなんだから。
「いえ。それより、どうして此処に?」
平静を装って聞いてみる。
「・・・雨が降ったから」
彼は、視線を外に移して、そう答えた。
雨宿りか。
それとも、私と同じように、あの日のことを思い出したのか。
なんて、都合のいい想像をしてみたけれど、ここは慎重に。
「雨宿り、ですか?」
「そなたが呼んでいる気がしたのだ」
待ち望んだ答えのはずなのに。
どこか哀しいような感覚を覚える。
私たちは同じだ。迷い子、だから。
だけど。
私たちはお互いの手を握って、足踏みをしているだけだ。
“ふたりでなら、道に迷っても恐ろしくはないだろう”
恐ろしくは、ない。でも、その先は?
「あははっ!バレちゃいました?
ずっと呼んでたんですよ。
貴方が来てくれますように・・・って・・・
あれ?変ですね。何で泣いてるんだろう、私ってば」
強がって笑い飛ばして言うつもりだったのに。
何故か涙が溢れてきた。
「そなたの心にも・・・雨が降っているのだな」
私の涙をぬぐってくれながら、季史さんは言った。
優しい声と優しい仕草がまた私の涙を誘う。
「・・ひっ、く・・ごめ、ん・・なさ・・い」
自分でも止められない涙。私はただ謝ることしか出来なかった。
「泣きたいときは泣けばいい。こうすれば、誰にも見えない」
そう言って、衣の袖で私を被ってくれた。
あの日と同じ。彼は気付いているのだろうか。
泣きじゃくる私に語りかけるようにポツポツと話す。
「あの日と同じ、だな。だが、今度は。
雨が上がってもそなたに逢える」
どうして分かったのだろう。
私が不安に思っていることを全て溶かしてくれる。
・・・心が、暖かくなる。
「雨が上がったら・・・どこかに。出掛けようか・・・あかね」
道に迷っても。二人なら歩き出せる。
「季史、さん・・・季史さん・・・!」
何度も何度も頷いて。彼の名前を呼ぶのが精一杯だったけど。
心は、晴れ。
----
惑星にUPしたやつです。
季史SS、ここにもUPしたつもりがどこにもなくて・・・
しかも、ちゃんと残してあったはずなのに、
そのデータすらなくて。
・・・・惑星に残ってて良かったー。
えと。
後ろ向きな二人なイメージがあったんです。あかねと季史ペア。
だけど、前を向いて欲しかったので。
何かありましたら、以下からどうぞ。
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