「【コイビト】」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら
「【コイビト】」(2007/10/22 (月) 23:36:36) の最新版変更点
追加された行は緑色になります。
削除された行は赤色になります。
雪が降る夜はあの日のことを思い出すよ
君が繰り返し話したあの神話を
今は僕が語り継ごう
***【コイビト】
「そう。だから、神様は絶対にいるの。
それでもって、気紛れでもアバウトでもないんだよ」
「…ふーん」
僕の恋人は、神様がいると信じている。
もし、そうだと言うなら、どうしてこんな運命を与えたのかな。
「あ。興味ないって顔してる」
「もう何回も聞いてるからだよ」
もう何本バスを見送っただろう。
こうやって話をするのが日課になっているのだけれど。さすがに寒い。
だから。そっと君を抱き寄せた。
「…もう!ちゃんと聞いてよね」
「はいはい…あぁ、あったかいなぁ」
この温もりをずっと感じていたい。永遠に。
「ねぇ。君は永遠を探してる?」
君は僕の胸に体を預けてそう言った。
彼女は僕が思っていることを、いとも簡単に見抜いてしまうんだ。
「うーん…どうかな。君は永遠を共に過ごす相手を見つけられると思う?」
僕を選んでくれたら。そう思うけれど。
「質問を質問で返すのは、感心しないよ?
…永遠、かどうかは分からない。
だけど、私は君の傍にいられて幸せだよ」
「そっか」
僕にはその言葉だけで充分だった。
今しか聴けない君の言葉。ひとつひとつを心に刻んで。
この先、何があっても迷うことなどないように。
「ちゃんと覚えていてね?君に話したことを」
君は知っていたんだろう?僕たちに永遠なんてないことを。
「もちろん。…あ、雪だ」
空を見上げて、舞い散る粉雪を手のひらに包み込んだ。
すると、雪はすぐに消えてなくなってしまった。当たり前だけど。
そんな風に、君も僕の前から消えてしまうのかな。
「うわぁ…綺麗だね~。…ね、どう?」
君は僕の腕からするりと抜け出して、
雪が降る中で両手を広げて、くるくると廻る。
「…うん。まるで、天使みたいだ」
雪の中で舞う君はとても綺麗で。思わず、見惚れてしまったんだ。
「うん」
君は満足したように、笑顔で頷く。
「だってさ。不思議だと思わない?
平成16年度の出生数は111万835人で、総死亡者数は108万4012人。
その前の年も同じような数字なんだけどね。
生まれたのが1人で、死んだのが100万人なんて年はないの。
もちろん、それは極端な数字だけどさ。ね?何かの力を感じるでしょ?」
…確かに。
今までそんなことを考えた事もなかったな。
「だから、神様なの?」
その話を毎晩、聞かせてくれた君。
君は神様に選ばれたんだね。
「…大好きだったよ」
僕は君の墓標に、そう呟いた。
忘れない。けれど、縛られない。
恋する人。僕たちは永遠を探した恋人。
アルバム「Turn of my life」より「towayuki」/鈴木達央
何かありましたら、以下からどうぞ。
#comment
----
漁ってたら、こんなのが出て来ました;;
この曲は冬のイメージで。
死ネタですが、悲恋ではないです。
これから、もっと歌詞小説を書いていけたらいいな、と。
精進しますです。
雪が降る夜はあの日のことを思い出すよ
君が繰り返し話したあの神話を
今は僕が語り継ごう
***【コイビト】
「そう。だから、神様は絶対にいるの。
それでもって、気紛れでもアバウトでもないんだよ」
「…ふーん」
僕の恋人は、神様がいると信じている。
もし、そうだと言うなら、どうしてこんな運命を与えたのかな。
「あ。興味ないって顔してる」
「もう何回も聞いてるからだよ」
もう何本バスを見送っただろう。
こうやって話をするのが日課になっているのだけれど。さすがに寒い。
だから。そっと君を抱き寄せた。
「…もう!ちゃんと聞いてよね」
「はいはい…あぁ、あったかいなぁ」
この温もりをずっと感じていたい。永遠に。
「ねぇ。君は永遠を探してる?」
君は僕の胸に体を預けてそう言った。
彼女は僕が思っていることを、いとも簡単に見抜いてしまうんだ。
「うーん…どうかな。君は永遠を共に過ごす相手を見つけられると思う?」
僕を選んでくれたら。そう思うけれど。
「質問を質問で返すのは、感心しないよ?
…永遠、かどうかは分からない。
だけど、私は君の傍にいられて幸せだよ」
「そっか」
僕にはその言葉だけで充分だった。
今しか聴けない君の言葉。ひとつひとつを心に刻んで。
この先、何があっても迷うことなどないように。
「ちゃんと覚えていてね?君に話したことを」
君は知っていたんだろう?僕たちに永遠なんてないことを。
「もちろん。…あ、雪だ」
空を見上げて、舞い散る粉雪を手のひらに包み込んだ。
すると、雪はすぐに消えてなくなってしまった。当たり前だけど。
そんな風に、君も僕の前から消えてしまうのかな。
「うわぁ…綺麗だね~。…ね、どう?」
君は僕の腕からするりと抜け出して、
雪が降る中で両手を広げて、くるくると廻る。
「…うん。まるで、天使みたいだ」
雪の中で舞う君はとても綺麗で。思わず、見惚れてしまったんだ。
「うん」
君は満足したように、笑顔で頷く。
「だってさ。不思議だと思わない?
平成16年度の出生数は111万835人で、総死亡者数は108万4012人。
その前の年も同じような数字なんだけどね。
生まれたのが1人で、死んだのが100万人なんて年はないの。
もちろん、それは極端な数字だけどさ。ね?何かの力を感じるでしょ?」
…確かに。
今までそんなことを考えた事もなかったな。
「だから、神様なの?」
その話を毎晩、聞かせてくれた君。
君は神様に選ばれたんだね。
「…大好きだったよ」
僕は君の墓標に、そう呟いた。
忘れない。けれど、縛られない。
恋する人。僕たちは永遠を探した恋人。
アルバム「Turn of my life」より「towayuki」/鈴木達央
----
漁ってたら、こんなのが出て来ました;;
この曲は冬のイメージで。
死ネタですが、悲恋ではないです。
これから、もっと歌詞小説を書いていけたらいいな、と。
精進しますです。
何かありましたら、以下からどうぞ。
#comment