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分かっていたんだ
この闇から抜け出そうとしても
もう遅いということを・・・・

【決してその手を離さない】

「えへへっ」

隣に座る可憐な少女が僕に微笑みかける。
久々に2人でたくさんの話をした。他愛もない話を。

「どうしたんですか?そんな嬉しそうな顔をして」
「だって、弁慶さんとこうやってお話するの、久しぶりだから」

惜しみない笑顔を向けられて。僕は複雑な気持ちになる。
ああ。僕はいつまでこの笑顔を享受することが許されるのだろうか。

「長い間、留守にしていてすみませんでした。神子を守ることが僕の役目なのに」
「いいんです。他の人もいてくれたし。それに、薬師というのも大切な仕事でしょう?」
「君は本当に純粋で綺麗な心の持ち主なんですね。僕には眩しすぎるくらいです。
 でも、僕でない人と一緒にいたなんて、妬けてしまうな。
 僕の気持ちを知っていて言ったんですか?」

君は僕がどんなに汚い人間か知らないから。
綺麗すぎる君を少しでも汚したくて。僕は意地悪を言った。

「えぇええっ!?な、何を言ってるんですか!!そんな・・・っ」
「ふふ、冗談です。何事もなくて本当に良かった」
「もうー。びっくりするじゃないですか」

頬をふくらませて、怒ってる素振りを見せるが、それすら愛らしく見える。
くるくるとめまぐるしく変わる表情が愛おしくて。愛おしすぎて。胸が苦しくなった。
何も疑わないその瞳が痛かった。

「そろそろ日も暮れてきたことですし。部屋に戻りましょうか」
そう言って僕はその場から逃げ出すように立ち上がろうとした。
「えっ・・・・弁慶さん、待って・・っ」
彼女は僕の袖をきゅっと掴んだ。
「・・・望美、さん・・・?」

思ってもみなかった反応に、僕は驚いた表情を隠せない。
ゆっくり振り返ると、目に涙を溜めている君がいた。

「だって、このまま帰ってしまったら。弁慶さんが二度と戻らない気がして。
 根拠なんてなにもないけど。そんな気がする」

ああ。君は何て愛おしいんだろう。

「僕も君とずっと・・・一緒にいたい。君をここから連れ去りたいくらいです」

君とずっと一緒にいられるなら、どんなにいいか。

「だったら。一緒にいてください。どこにも行かないでください」

涙を流しながら君は言った。袖を握り締めて、もう離さないとでもいうように。

「そんなことを言うと、本当に連れて行ってしまいますよ?・・・ほら、帰りましょう」

黙って首を振る君の手をとった。ほんの少しだけ震えている君の手。

この先、僕は君を悲しませることになる。だけど。君を失うのはもっとつらいから。
君を守るために僕は悪魔にもなろう。
僕は決してその手を離さない。


これ、解説がないと分からないかも。(あっても分かりにくいわ、きっと/笑)
私のイメージとしては、「その手を離さない」というのは、「手を繋いでいる」ではなくて、「神子の存在を失わない、死なせない」というような感じです。
極端な言い回しですが。
実際、手をとってはいるんですけどねw
離さないというのは無理じゃないですか(苦笑)
だから、「守る」という言葉にしてみたんですけど・・・分かりにくいっ!!
ということで。記念すべき2作目です(笑)

何かありましたら、以下からどうぞ。
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