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お前さえいればいいと思った
強い瞳とあどけない笑顔、そして押し殺した泣き声
俺がそばにいたいんだ

【赤い糸】

「将臣くん、見て見て!!」

街はカップルだらけ。
今日は現代に戻ってきてから初めてのクリスマスだ。
望美は、久しぶりにお洒落な装いが出来るのが嬉しいみたいで、くるりと一回転をする。
白のワンピースがふわりと広がる。襟元にはファーがあしらってある。
買い物に出かけただけなのに、女ってのは本当にわからない。

「・・・あぁ」

俺は気のない返事をする。

「もう、将臣くんってば。何か一言くらいあってもいいでしょ!」

2人で出掛けるなんて、本当に久しぶりだ。
ましてや、あの時代から生きて帰れるなんて。

「ははっ。馬子にも衣装、とはよく言ったものだな」
「ちょっと。ケンカ売ってんの!?」
「うそうそ・・・・ちゃんと似合ってんぜ」

こんな些細な掛け合いが楽しくて。つい望美をからかってしまう。
あの時代は。俺と望美と譲が飛ばされた時代は、生きるか死ぬかの世界だった。
俺には俺の守るものがあって。あいつにはあいつの守るものがあった。
敵対しなければならない運命、だった。

「・・・・ありがとう」

恥ずかしそうに、俯いてつぶやく。
俺と同じで、素直じゃない。

「おい、ちゃんと前見て歩けよ?」

そう言いながら、俺は望美の手を取った。

「・・っ・・・分かってる・・わ・・よ・・・・将臣くん?」

勢いよく反論しかけたが、予想外の行動だったようで、望美は呆気にとられている。
それでも俺の手を振りほどこうとはしなかったから。
握った手にぎゅっと力を込めて言った。

「なぁ・・・お前、ここにいろよ」

ずっと。俺の隣に。

「な、何言ってんのよ!」

耳まで真っ赤にして、眼で必死に俺の意図を探ろうとしている。

「もうお前をこの手にかける夢なんて見たくないんだよ」

闘わなければいけない相手。
守りたいと思っても。いつも手が届かないところにいた。
会うときは常に「敵」だった。
この手でお前を殺さなければならないのか、と思った。
でも、他の誰かに殺されるくらいなら。それでもいいと思ったんだ。
だけど。

「・・・・私だって。将臣くんが敵だなんて信じられなかったよ。
 夢ならいいのにって思った」

震えそうな声を必死で抑えて。
真剣な顔で俺の眼を見ていた。お前の瞳に俺が映っている。
そうか。俺は一人じゃなかったんだ。そう思えたら、笑いがこみ上げてきた。

「ははっ。なんだ。そっか」
「え?ちょっと。将臣くん?」

急に笑い出した俺を、きょとんとした顔で見ている。

「俺とお前は一緒だな」

ふとそう思った。

「ずっと前から一緒だったでしょ。私と将臣くんと譲くんと」
「兄さん、先輩!買い物は終わりましたか?」

俺たちとは別の店で買い物をしていた譲だ。
慌てることもなく。お互いの手をさりげなく離す。

「うん!譲くんは?」
「はい。大丈夫です。・・・兄さん、どうかした?」

本当にお前は絶妙なタイミングで現れるぜ。

「いいや。なんでもない。さ、帰ろうぜ。三人で、な」

俺はお前のそばにいる。
そして。きっとお前は俺のそばにいる。
言葉になんてしないけど。あのとき、お前は俺の手を強く握り返したから。
運命なんて入り込めない。赤い色の糸で俺たちは結ばれているんだ。


赤い糸にどうやってつなげようかと思案した結果がコレです(笑)
・・・すみません。
将臣くんの「一緒だな」は赤い糸で結ばれていることを感じ取っての発言です。
彼は心の内を言葉にしないので、動かしにくかったです。

何かありましたら、以下からどうぞ。
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