【笑顔】
涙は哀しいとき以外にも流れるのだということを、知った。
「譲くん・・・どうしたの?」
「俺は、悔しいんです。先輩を守れるのが俺だけじゃないことが。
たとえ俺がいなくなっても、他の誰かが先輩を守れる。
どうして俺だけに与えられた使命じゃなかったんだ・・・・!」
悔しくて悔しくて。
溢れる感情が止まらない。
そんな俺を見る先輩は優しい目をしていた。
まるでそっと包み込んでくれるような。
先輩が俺に一歩ずつ近づいてくる。
「あのね、譲くん。私は誰にも守ってほしいなんて思ってない。
ただ守られるだけのお姫様なんて嫌なの」
落ち着いた声色。
俺から視線を外さない。
「だけどっ・・・・俺は貴女を守りたいん・・・」
「私も譲くんを守るよ。
譲くんだって、見てるとけっこう冷や冷やしちゃうんだから」
にこっと笑って先輩は続ける。
「私が弱いところを見せられるのは譲くんだけなんだよ?
君が守ってくれなくて誰が守ってくれるっていうの?」
と言いながら、人差し指で俺の額をつんっと突く。
「だから。泣かないの。ね?」
「・・・・はい」
先輩の優しさと想いに。
思わず涙が流れそうになったけれど。
先輩が笑っているから。俺も笑おう。
上手く手のひらで転がされている譲です(笑)
これを書いたときは、ヒロインが泣いてるのばっかり書いてたので、その反動でこんなSSになった気がします。
先輩らしく、ね。
何かありましたら、以下からどうぞ。
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最終更新:2007年10月22日 23:29