【ただの私】
ただ・・・・ただ、今は何も考えたくないの。
龍神の神子って何?・・・私は、誰?
「おやすみ、あかねちゃん」
「じゃあな。あかね」
そう言って、詩紋くんと天真くんが自室へと戻っていく。
「うん!おやすみ、二人とも」
笑顔で手まで振ってみた。・・・ちゃんと笑えてたかな?
今日もいつものように、怨霊を退治して、札を集めて・・・。
怨霊たちの苦痛に歪んだ顔を、悲痛な叫びを・・・忘れることはないだろう。
「今日も疲れた・・・なぁ・・・」
ぼそっと呟いた。
誰にも吐いたことのない弱音。
誰も聞いてるはずがないと。・・・思っていたのに。
「どうしたんだい?神子殿らしくないね」
・・・え?どうして・・・友雅さんの声が??
っていうか!聞かれた!?
「と、友雅さん?どこにい・・・」
私の問いは全部は言葉にならなかった。
友雅さんの香が強くなったと思った瞬間。
後ろから。力強い腕に抱きしめられていた。
「こんなに華奢な体で。頑張っていたんだね・・・」
ちょうど肩のあたりに顔があって、いつになく真剣な声が耳元に囁かれる。
「ちょ・・・離してください!」
思わず体を預けてしまいそうになる優しい腕の中で。
必死で自分を保とうとした。
・・・・弱いところなんて見せたくないから。
だけど。
「・・・離さない。だって、君は本当は誰かに寄りかかりたいのだろう?
その相手が私じゃ不満かな?」
もう何も言えなかった。
涙だけが頬を伝う。
今だけは。ただの私でいていいですか?
個人的にはけっこう好きな話です(自分で言うな)
後ろから抱きしめられるなら、友雅さんがいい!と思ったのです。
いいよね!30代!
何かありましたら、以下からどうぞ。
最終更新:2007年10月22日 23:26