【ステップ】



「・・・ふぅ」

人の輪からそっと離れて、壁にもたれかかる。
こういう雰囲気は苦手だ。
友達がひとりじゃ心細いっていうから来たけど。
彼女はすっかりこの場に馴染んでるようだ。

♪~♪♪~

あれ?どこからかトランペットの音が聞こえてくる。
とても澄んだ・・・素直な音。

「どこから聞こえてくるんだろう・・・」

音に引き寄せられるようにしてベランダへの扉を開ける。
そこには・・・月の灯りに照らされてトランペットを吹くひとりの男の人が、いた。
ぼーっと魅入られたように突っ立っていると、ふいに音がやんだ。

「君、どうしたの?」
「・・・えっ!?いや、あの・・・トランペットの音がしたから」

しどろもどろになって答える私。
あぁ~・・・私、ものすごく変な子だと思われてるよ。
すると、彼はにこっと笑って、

「オレ、踊るよりもこっちの方が好きなんだよね♪」

と言って、トランペットを軽く掲げる。

「そうなんです、か。あの、邪魔しちゃってごめんなさい」
「そんなことないよ!オレの音に気付いてくれてありがとう。
 ね、一曲だけ付き合わない?」

人懐っこい笑顔で、そっと手を取られる。

「え・・・?」

軽く引き寄せられて、彼の腕の中に収まってしまった。
突然のことで、頭が真っ白になる。

「あのね、トランペットも好きだけど・・・君と・・・」

耳まで真っ赤になって。
私を最初のステップへと誘う。
遠くで鳴り響く音楽と、貴方の腕に身を任せる。
誰も知らない、二人だけの舞踏会。


火原先輩は賑やかなのも好きだと思うんですが、
こういうシチュもいいんじゃないかと思ってw
きっと、某惑星のお題で書いたんだと思うんですけどね(笑)
二人の行く末はご想像にお任せします(ぇ)

何かありましたら、以下からどうぞ。
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最終更新:2007年10月22日 23:34