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止まない雨はない。
明日はきっと晴れ。

【晴れるといいね】


雨。
雨が降る日は貴方と逢った日のことを思い出す。
“濡れるぞ・・・”
私を衣の袖で被ってくれた、あのときの優しい声音は今も変わらない。
あのときと違うのは。貴方の名を呼べるということ。

「・・・季史、さん」

「何だ?」

・・・・
あれ?何で返事が返ってくるんだろう。
ここは藤姫ちゃんの屋敷。
雨が降っている景色を見て、ひとり物思いに耽っていたはずなのに。

「え!?ちょ、何で此処にいるんですか??
 というか、私、声に出してました!?」

驚きのあまり、思いっきり醜態を晒してしまった。
きっと耳まで真っ赤になってることだろう。

「どうした?大丈夫か?」

真顔で私の顔を覗き込んでくる。
大丈夫じゃありませんって。
本当にもう。この人はマイペースなんだから。

「いえ。それより、どうして此処に?」

平静を装って聞いてみる。

「・・・雨が降ったから」

彼は、視線を外に移して、そう答えた。
雨宿りか。
それとも、私と同じように、あの日のことを思い出したのか。
なんて、都合のいい想像をしてみたけれど、ここは慎重に。

「雨宿り、ですか?」

「そなたが呼んでいる気がしたのだ」

待ち望んだ答えのはずなのに。
どこか哀しいような感覚を覚える。
私たちは同じだ。迷い子、だから。
だけど。
私たちはお互いの手を握って、足踏みをしているだけだ。

“ふたりでなら、道に迷っても恐ろしくはないだろう”
恐ろしくは、ない。でも、その先は?

「あははっ!バレちゃいました?
 ずっと呼んでたんですよ。
 貴方が来てくれますように・・・って・・・
 あれ?変ですね。何で泣いてるんだろう、私ってば」

強がって笑い飛ばして言うつもりだったのに。
何故か涙が溢れてきた。

「そなたの心にも・・・雨が降っているのだな」

私の涙をぬぐってくれながら、季史さんは言った。
優しい声と優しい仕草がまた私の涙を誘う。

「・・ひっ、く・・ごめ、ん・・なさ・・い」

自分でも止められない涙。私はただ謝ることしか出来なかった。

「泣きたいときは泣けばいい。こうすれば、誰にも見えない」

そう言って、衣の袖で私を被ってくれた。
あの日と同じ。彼は気付いているのだろうか。
泣きじゃくる私に語りかけるようにポツポツと話す。

「あの日と同じ、だな。だが、今度は。
 雨が上がってもそなたに逢える」

どうして分かったのだろう。
私が不安に思っていることを全て溶かしてくれる。
・・・心が、暖かくなる。

「雨が上がったら・・・どこかに。出掛けようか・・・あかね」

道に迷っても。二人なら歩き出せる。

「季史、さん・・・季史さん・・・!」

何度も何度も頷いて。彼の名前を呼ぶのが精一杯だったけど。
心は、晴れ。


惑星にUPしたやつです。
季史SS、ここにもUPしたつもりがどこにもなくて・・・
しかも、ちゃんと残してあったはずなのに、
そのデータすらなくて。
・・・・惑星に残ってて良かったー。

えと。
後ろ向きな二人なイメージがあったんです。あかねと季史ペア。
だけど、前を向いて欲しかったので。

何かありましたら、以下からどうぞ。
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