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雪が降る夜はあの日のことを思い出すよ

君が繰り返し話したあの神話を

今は僕が語り継ごう


【コイビト】



「そう。だから、神様は絶対にいるの。
それでもって、気紛れでもアバウトでもないんだよ」

「…ふーん」


僕の恋人は、神様がいると信じている。
もし、そうだと言うなら、どうしてこんな運命を与えたのかな。


「あ。興味ないって顔してる」

「もう何回も聞いてるからだよ」


もう何本バスを見送っただろう。
こうやって話をするのが日課になっているのだけれど。さすがに寒い。
だから。そっと君を抱き寄せた。


「…もう!ちゃんと聞いてよね」

「はいはい…あぁ、あったかいなぁ」


この温もりをずっと感じていたい。永遠に。


「ねぇ。君は永遠を探してる?」


君は僕の胸に体を預けてそう言った。
彼女は僕が思っていることを、いとも簡単に見抜いてしまうんだ。


「うーん…どうかな。君は永遠を共に過ごす相手を見つけられると思う?」


僕を選んでくれたら。そう思うけれど。


「質問を質問で返すのは、感心しないよ?
 …永遠、かどうかは分からない。
 だけど、私は君の傍にいられて幸せだよ」

「そっか」


僕にはその言葉だけで充分だった。
今しか聴けない君の言葉。ひとつひとつを心に刻んで。
この先、何があっても迷うことなどないように。


「ちゃんと覚えていてね?君に話したことを」


君は知っていたんだろう?僕たちに永遠なんてないことを。


「もちろん。…あ、雪だ」


空を見上げて、舞い散る粉雪を手のひらに包み込んだ。
すると、雪はすぐに消えてなくなってしまった。当たり前だけど。
そんな風に、君も僕の前から消えてしまうのかな。


「うわぁ…綺麗だね~。…ね、どう?」


君は僕の腕からするりと抜け出して、
雪が降る中で両手を広げて、くるくると廻る。


「…うん。まるで、天使みたいだ」


雪の中で舞う君はとても綺麗で。思わず、見惚れてしまったんだ。


「うん」


君は満足したように、笑顔で頷く。





「だってさ。不思議だと思わない?
 平成16年度の出生数は111万835人で、総死亡者数は108万4012人。
 その前の年も同じような数字なんだけどね。
 生まれたのが1人で、死んだのが100万人なんて年はないの。
 もちろん、それは極端な数字だけどさ。ね?何かの力を感じるでしょ?」


…確かに。
今までそんなことを考えた事もなかったな。


「だから、神様なの?」


その話を毎晩、聞かせてくれた君。
君は神様に選ばれたんだね。


「…大好きだったよ」


僕は君の墓標に、そう呟いた。
忘れない。けれど、縛られない。
恋する人。僕たちは永遠を探した恋人。



アルバム「Turn of my life」より「towayuki」/鈴木達央 




漁ってたら、こんなのが出て来ました;;
この曲は冬のイメージで。
死ネタですが、悲恋ではないです。

これから、もっと歌詞小説を書いていけたらいいな、と。
精進しますです。


何かありましたら、以下からどうぞ。
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