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私の周りには、常に見えない壁がある。絶対入ることのできない、私が人と関わる事を制限する壁が。 「あなた達は神に選ばれたから、この学校に入学することができたんですよ。」  そう校長に告げられたとき、私は嫌だった。  何のために激しい中学受験戦争を勝ち抜いて入ってきたんだ。自分の努力が全て水の泡になるような気がした。    そして気づいた。この学校は信仰という鎖で閉じ込めるんだな。  私は1年1組になった。 「あなた、帰国生?」といきなり話しかけられる。    このクラスは帰国生と一般生が交じり合っている。微笑みながら問いかけられて私は戸惑った。    私に話しかけてくれているのか。私は乾ききった口からかろうじて「一般生だよ。」と返答した。  同い年とまともな話をするなんて何年ぶりだろう。私はとっても嬉しかった。   ----  1年生の頃は楽しかった。皮をかぶっている私を快く受け入れてくれた。    一緒に遊び、一緒に笑った。本当に楽しかった。    もう作り笑いをすることもない。心のそこから笑っていられる。    友達の笑顔を見るたび、私は喜びが沸きあがった。初めて呼び捨てにされた名前。私は自分の名前を言うのが嫌いだった。自分自身が嫌いだったからだ。    そして何より良かったのは帰国生。正直に物事を言ってくれる。それで傷つくこともあるが、後になって考えてみると正しいことなのだと気づく。   友達から「ありがとう」と言われるたび心が弾む。「ねぇねぇ」と呼ばれるたびに私を必要としてくれているのだと感じる。  初めて身にしみる感動や、少しくすぐったいような友情関係。  久しぶりにしゃべった友達との日常会話。よく口が回らなかった。  そのどれもが新鮮だった。これが友達なのか。と素晴らしく感じた。  でも心の隅では分かっていた。いずれ独りぼっちになることを。
私の周りには、常に見えない壁がある。絶対入ることのできない、私が人と関わる事を制限する壁が。 「あなた達は神に選ばれたから、この学校に入学することができたんですよ。」  そう校長に告げられたとき、私は嫌だった。  何のために激しい中学受験戦争を勝ち抜いて入ってきたんだ。自分の努力が全て水の泡になるような気がした。    そして気づいた。この学校は信仰という鎖で閉じ込めるんだな。  私は1年1組になった。 「あなた、帰国生?」といきなり話しかけられる。    このクラスは帰国生と一般生が交じり合っている。微笑みながら問いかけられて私は戸惑った。    私に話しかけてくれているのか。私は乾ききった口からかろうじて「一般生だよ。」と返答した。  同い年とまともな話をするなんて何年ぶりだろう。私はとっても嬉しかった。   ----  1年生の頃は楽しかった。皮をかぶっている私を快く受け入れてくれた。    一緒に遊び、一緒に笑った。本当に楽しかった。    もう作り笑いをすることもない。心のそこから笑っていられる。    友達の笑顔を見るたび、私は喜びが沸きあがった。初めて呼び捨てにされた名前。私は自分の名前を言うのが嫌いだった。自分自身が嫌いだったからだ。    そして何より良かったのは帰国生。正直に物事を言ってくれる。それで傷つくこともあるが、後になって考えてみると正しいことなのだと気づく。   友達から「ありがとう」と言われるたび心が弾む。「ねぇねぇ」と呼ばれるたびに私を必要としてくれているのだと感じる。  初めて身にしみる感動や、少しくすぐったいような友情関係。  久しぶりにしゃべった友達との日常会話。よく口が回らなかった。  そのどれもが新鮮だった。これが友達なのか。と素晴らしく感じた。  でも心の隅では分かっていた。いずれ独りぼっちになることを。 ----  中二になって、皆がスカートを折り始め、第二ボタンを開け始める。    でも私はそんな事はしない。したくてもできないのだから。  できる人は限られている。自分に自信がある人。  友達の横顔や動作を見て思う。みんなかわいい。    そして思う。やっぱり皆と私は違う。  ふと、私は何のために生まれてきたのだろう、と思う。  友達にふざけて蹴られてできた青たんを見ながら思う。  私は生きていて、この世界に干渉しているのだなと。  そして、恐ろしいほどに死にたくなる。  私は暴力をふらない。傷つけられるのは私だけで十分だ。  もう疲れた、と言って死にたい。  しかし、それをおしとどめる感情もある。  このままむなしく、さびしく、死んでいっていいのかと。  私の心はもうどこかへ置いてきてしまった。  からっぽの心はひたすら救いを求める。  誰かに認めて欲しい、褒めて欲しい。  この泥沼から、救い出して欲しい。    友達は、皆とても素敵で、私には入っていけないところにいる。    それが、さびしくて、悲しくて、  つい嫉妬をしてしまう。  何で私はこんな風に生まれなかったのだろう、と。  そして人知れず泣く。  誰にも届くことのない深い悲しみから逃れる為に。  だれか、生きる喜びを私に下さい。

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