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プロローグ「世界の中に」


二年前――そこに、「それ」はいた。

銀河系の中の、ひとつの惑星の中に。

その「地球」という惑星の中のある国の中に。

その「日本」という国の中のひとつの中に、

確かに「少女」と呼ばれる「それ」はいた。

真っ白な雪景色の土手のなかで、雪の様に真っ白な手をだらん、とぶら
下げて虚ろな目で空を見ていた。

少女は人間だった。

しかし少女は何もしゃべらない。

まるで生きていないかのように。

やがて少女は口から霧のような息を出し、ポツリとつぶやいた。

「私は・・・なに?」