※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。

 私の周りには、常に見えない壁がある。絶対入ることのできない、私が人と関わる事を制限する壁が。
「あなた達は神に選ばれたから、この学校に入学することができたんですよ。」
 そう校長に告げられたとき、私は嫌だった。

 何のために激しい中学受験戦争を勝ち抜いて入ってきたんだ。自分の努力が全て水の泡になるような気がした。

 そして気づいた。この学校は信仰という鎖で閉じ込めるんだな。
 私は1年1組になった。

「あなた、帰国生?」といきなり話しかけられる。

 このクラスは帰国生と一般生が交じり合っている。微笑みながら問いかけられて私は戸惑った。

 私に話しかけてくれているのか。私は乾ききった口からかろうじて「一般生だよ。」と返答した。

 同い年とまともな話をするなんて何年ぶりだろう。私はとっても嬉しかった。


 1年生の頃は楽しかった。皮をかぶっている私を快く受け入れてくれた。

 一緒に遊び、一緒に笑った。本当に楽しかった。


 もう作り笑いをすることもない。心のそこから笑っていられる。  
 友達の笑顔を見るたび、私は喜びが沸きあがった。初めて呼び捨てにされた名前。私は自分の名前を言うのが嫌いだった。自分自身が嫌いだったからだ。

 そして何より良かったのは帰国生。正直に物事を言ってくれる。それで傷つくこともあるが、後になって考えてみると正しいことなのだと気づく。

友達から「ありがとう」と言われるたび心が弾む。「ねぇねぇ」と呼ばれるたびに私を必要としてくれているのだと感じる。

 初めて身にしみる感動や、少しくすぐったいような友情関係。

 久しぶりにしゃべった友達との日常会話。よく口が回らなかった。

 そのどれもが新鮮だった。これが友達なのか。と素晴らしく感じた。

 でも心の隅では分かっていた。いずれ独りぼっちになることを。