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 「ウォー・オブ・ザ・リング」(以下WotR)のルールブックの内容は、一読しただけではいささかわかりにくいきらいがあります。そこでここでは、主なルールの概要を紹介します。理解の助けになればさいわいです。 *ターンの手順 **1. イベントカードを引く  プレイヤー双方はそれぞれ戦略イベントカードとキャラクター・イベントカードという二種類のカードの山札を持っています。ターンの最初にそれらを1枚ずつ獲得します。手札の上限は6枚です。イベントカードはいずれも強力な効果を持ち、アクションの一環として使ったり、戦闘カードとして使ったりするので、限られた手札の中でどのカードを保持し、どのカードを捨てるかがゲーム中重大な決断となります。 **2. 旅の仲間  WotRの中核となるのは、もちろん指輪所持者フロドの旅です。ゲーム中、指輪所持者とその同行者たち(コンパニオン)の位置は、一心同体であるフロドとサムをかたどった「旅の仲間」フィギュアで表されます。しかし、このフィギュアの位置はあくまで彼らが最後に確認された地点でしかありません。実際にどれだけ旅が進んでいるかは「旅の仲間進行カウンター」の数字で表されます。  このステップでは、自由の民プレイヤーが自発的に旅の仲間の位置を確定する(所在宣言)ことができます。所在宣言すると、進行カウンターに示された数だけ旅の仲間フィギュアを移動することができます。この結果、もし自由の民陣営の城塞(ロリアンやミナス・ティリスなど)に旅の仲間が到達すれば、指輪所持者をおびやかす誘惑ポイントを減らすことができます。また、モルドールの入り口であるミナス・モルグルまたはモランノンのエリアに到達すれば、ただちに旅の最終行程であるモルドールへの挑戦が始まります。  また、このステップでは旅の仲間の先導者(Guide)となるキャラクターを変更することができます。先導者は特別な能力で旅を助けたり、指輪所持者を襲う魔手の犠牲になったりする重要な役目を負います。 **3. 追跡の準備  冥王プレイヤーは、自分のアクションダイスのうち何個かを、指輪の追跡に割くことができます。こうして割いたダイスは軍隊の召集・移動・戦闘などには使えなくなりますが、指輪の探索をおろそかにすればどれだけ軍事的優勢にたっていても頓死をまぬがれないでしょう。  なお、このとき割けるダイスの数は、フロドとサムに同行しているコンパニオンの人数が上限となるため、旅の仲間の人数が減れば減るほど探索は困難になります。 **4. アクションダイスを振る  プレイヤー双方はアクションダイスを振って、このターンに実行可能なアクションを決定します。このときの出目によっては、プラン通りの行動ができなくなり、戦略の変更を余儀なくされることもしばしばです。 **5. アクションを実行する  自由の民プレイヤーから先に、交互にアクションを1回ずつ解決していきます。アクションを1回行うためには、そのアクションに対応したアクションダイスを消費しなければなりません。アクションダイスの少ない方(=自由の民)は、パスして相手の出方をうかがうことができます。 **6. ターン終了  アクションダイスを双方ともに使い切ったら、次のターンが始まります。このようにして、決着がつくまでターンを繰り返してゲームが進行します。 *アクションの種類  アクションダイスの目と、それによって可能になるアクションは以下の通りです。なお、目のかたよりは双方で異なります。自由の民は「剣」が出やすく、冥王は「旗」や「兜」が出やすくなっています。 -旗(行軍):軍隊を移動させたり、隣接エリアの敵軍を攻撃させたりします。各ユニットは原則として1ターンに1エリアしか移動できないため、漫然と動かせば戦況は悪くなるばかりでしょう。*軍隊=1エリアにいる味方のユニット全て。 -剣(キャラクター):リーダーやキャラクターに率いられた軍隊1つを移動させたり、隣接エリアの敵軍を攻撃させたりします。自由の民プレイヤーならば、旅の仲間の「進行カウンター」を進めたり、一行を離れたコンパニオンを移動させたりできます。冥王プレイヤーならば、ナズグルらを各地に派遣することができます。 -兜(召集):未参戦の国々に参戦をうながしたり、参戦国の軍隊を召集したりします。冥王配下の国々はすぐに参戦できますが、自由の民の国々はゲーム開始時にはどこも戦争には及び腰なので、「兜」アクションを使って参戦に向かわせなければなりません。場合によっては、旅の仲間やコンパニオンが直接その国の拠点を訪問する必要があります。 -水晶(イベントカード):イベントカードを補充または使用します。 -特殊:自由の民プレイヤーは「西方の意思」という目を持ち、好きなアクションを1回行うことができます。また、白のガンダルフ登場やアラゴルン即位などの重要イベントを起こすためにこの目が必要になります。一方、冥王プレイヤーは「サウロンの目」という目を持ちます。この目が出たアクションダイスはただちに指輪の追跡にまわされます。これによって追加される追跡用のダイスはコンパニオンの人数に左右されないため、突如、追及の手がきびしくなるわけです。 *戦闘  「旗」や「剣」アクションを行うことで、白の軍勢と黒の軍勢が各所で激突することになるでしょう。WotRの戦闘は非常にシンプルなシステムで解決されます。  軍勢を表すユニットは国ごとに分類されていますが、いずれもレギュラーユニットとエリートユニットの二種類があり、国や種類に関係なくひとつのユニットは1戦力と見なされます。ではレギュラーとエリートでは何が違うのかというと、エリートユニットはレギュラーにくらべて二倍の耐久力を持っています。また、1エリアには一陣営最大10ユニットまでしか入りませんから、エリア内にいるエリートユニットが多ければそれだけ、その軍隊全体の耐久力が高いということになるわけです。  戦闘が発生すると、まず双方が戦闘に使うイベントカードを公開して解決します。次に、おたがいに戦闘に参加したユニットの数(=戦力)を数えます。そしてその数と同じ数の6面体サイコロを振ります。そして5~6の目が出たサイコロを「ヒット」と数えます。このヒットの数に等しい戦力だけ、相手はユニットを除去しなければなりません。ただしこのとき振れるサイコロは最大5個なので、1戦闘ラウンドにつき最大でも各陣営5戦力ぶんまでしか損害は発生しません。なお、エリートユニットが1ヒットを受けたら、レギュラーユニットに取り替えます。  また、リーダーやキャラクターがいる軍隊は、ヒットにならなかった(ミスした)サイコロを、その「リーダーシップ」値の数だけ振り直すことができます(ただし1個につき1回まで)。優秀な将軍に率いられればそれだけ、相手に損害を与える可能性が増えるのです。  以上の手順が1戦闘ラウンドであり、どちらかが戦闘をあきらめるか全滅するまで継続します。 *攻城戦  WotRの舞台である中つ国西部には、両陣営の根拠地である「城塞」がいくつも散らばっています。城塞はゲームの勝敗に直結する重要な地点であるため、ここをめぐっての攻防は指輪所持者の旅と並んでWotRの核となります。  城塞のあるエリアに敵が攻めてきたとき、防御側は「城にこもる」という選択肢を選ぶことができます。城塞にこもれるユニット数は5個までですが、以後、防御側がこもった城塞に対する攻撃は「攻城戦」と呼ばれ、非常にゆっくりとした進行になります。通常の戦闘(野戦)では、決着がつくまで何回もラウンドを繰り返して戦いますが、攻城戦では原則として1回の攻撃アクションを行うごとに1ラウンドしか戦うことができません。さらに、攻撃側は6の目でしかヒットを得ることができません。防御側は城塞内で徴兵を行うことも、このエリアから出ることもできませんが、以上のルールが用いられるために、寡兵で大軍と互角に戦い、エリア外から救援がやってくる時間をかせぐことができるでしょう。「指輪物語」で起きた二つの攻城戦の状況が再現できるわけです。 *指輪の追跡  「剣」アクションを使うことで、自由の民プレイヤーは旅の仲間をモルドールに向けて進めることができます。しかし、冥王サウロンは必死に指輪の行方を追い、その下僕たちが旅の一行に襲いかかってきます。これを表現したルールが「追跡」です。  「剣」アクションによって、旅の仲間進行カウンターが1マス進む(=旅が1エリア分進む)たびに、冥王プレイヤーは自分が追跡に割いたアクションダイスに、振って「サウロンの目」が出たアクションダイスの数を足した合計に等しい数のサイコロを振ります。うちひとつでも6の目が出たら、追跡は成功したことになり、ただちに「追跡」タイルを不透明な容器の中からランダムに1枚引くのです。  タイルにはたいてい数字が書いてあります。この数字を追跡ダメージと呼びます。追跡ダメージを受けた旅の仲間は、これを指輪所持者に課される「誘惑ポイント」として甘受するか、同行しているコンパニオンのひとりを犠牲にすることで減殺するかを選択しなければなりません。もし、ダメージが重なって誘惑ポイントが12点に達してしまうと、その時点で自由の民プレイヤーはゲームにサドンデス敗北してしまいます。しかし、コンパニオンは各人が強力な能力を持っており、指輪戦争遂行上たいへん有用なユニットなので、やすやすと犠牲にすることもできないでしょう。このようにして、原作でフロド一行が直面した危難が再現されるのです。  また、イベントカードの使用によって、シェロブやガラドリエルの玻璃瓶といったイベントが追加のタイルとして容器に入れられることがあります。  なお、1ターンに複数回、進行カウンターを進めようとするのは大きなリスクが伴います。なぜなら、1回進行するたびに、追跡が成功するサイコロの目がひとつずつ増えるからです。最初は6の目だけですが、二回目は5と6、三回目は4から6、というように。このため、指輪の旅は周囲の戦況がめまぐるしく変わる中、遅々として進まないでしょう。 *勝利条件  WotRには、指輪勝利と軍事勝利の二種類があり、陣営によって条件が違うため、あわせて四種類の勝利条件がもうけられています。 -冥王指輪勝利:旅の仲間の誘惑ポイントが12点に到達。 -自由の民指輪勝利:旅の仲間が「滅びの亀裂」に到達。 -冥王軍事勝利:冥王プレイヤーが10勝利ポイントぶんの自由の民拠点を占領。 -自由の民軍事勝利:自由の民プレイヤーが4勝利ポイントぶんの冥王拠点を占領。  見てわかるとおり、冥王が軍事勝利を勝ち得るために必要なポイントは自由の民よりはるかに多く、それだけ軍事的に優勢に立っています。おそらくゲームは冥王の攻勢と自由の民の防戦、そしてその間ひそかに続く指輪をめぐる攻防、という二つの軸で進行するでしょう。しかし、冥王プレイヤーも油断してはなりません。数少ない白の軍勢ですが、一瞬の隙をつけば冥王の拠点2つ(4勝利ポイント)を落とすことは充分に可能だからです。指輪の追跡に多くのアクションダイスを費やしすぎれば、先手を打たれてしまうでしょう。
 「ウォー・オブ・ザ・リング」(以下WotR)のルールブックの内容は、一読しただけではいささかわかりにくいきらいがあります。そこでここでは、主なルールの概要を紹介します。理解の助けになればさいわいです。 *ターンの手順 **1. イベントカードを引く  プレイヤー双方はそれぞれ戦略イベントカードとキャラクター・イベントカードという二種類のカードの山札を持っています。ターンの最初にそれらを1枚ずつ獲得します。手札の上限は6枚です。イベントカードはいずれも強力な効果を持ち、アクションの一環として使ったり、戦闘カードとして使ったりするので、限られた手札の中でどのカードを保持し、どのカードを捨てるかがゲーム中重大な決断となります。 **2. 旅の仲間  WotRの中核となるのは、もちろん指輪所持者フロドの旅です。ゲーム中、指輪所持者とその同行者たち(コンパニオン)の位置は、一心同体であるフロドとサムをかたどった「旅の仲間」フィギュアで表されます。しかし、このフィギュアの位置はあくまで彼らが最後に確認された地点でしかありません。実際にどれだけ旅が進んでいるかは「旅の仲間進行カウンター」の数字で表されます。  このステップでは、自由の民プレイヤーが自発的に旅の仲間の位置を確定する(所在宣言)ことができます。所在宣言すると、進行カウンターに示された数だけ旅の仲間フィギュアを移動することができます。この結果、もし自由の民陣営の城塞(ロリアンやミナス・ティリスなど)に旅の仲間が到達すれば、指輪所持者をおびやかす誘惑ポイントを減らすことができます。また、モルドールの入り口であるミナス・モルグルまたはモランノンのエリアに到達すれば、ただちに旅の最終行程であるモルドールへの挑戦が始まります。  また、このステップでは旅の仲間の先導者(Guide)となるキャラクターを変更することができます。先導者は特別な能力で旅を助けたり、指輪所持者を襲う魔手の犠牲になったりする重要な役目を負います。 **3. 追跡の準備  冥王プレイヤーは、自分のアクションダイスのうち何個かを、指輪の追跡に割くことができます。こうして割いたダイスは軍隊の召集・移動・戦闘などには使えなくなりますが、指輪の探索をおろそかにすればどれだけ軍事的優勢にたっていても頓死をまぬがれないでしょう。  なお、このとき割けるダイスの数は、フロドとサムに同行しているコンパニオンの人数が上限となるため、旅の仲間の人数が減れば減るほど探索は困難になります。 **4. アクションダイスを振る  プレイヤー双方はアクションダイスを振って、このターンに実行可能なアクションを決定します。このときの出目によっては、プラン通りの行動ができなくなり、戦略の変更を余儀なくされることもしばしばです。 **5. アクションを実行する  自由の民プレイヤーから先に、交互にアクションを1回ずつ解決していきます。アクションを1回行うためには、そのアクションに対応したアクションダイスを消費しなければなりません。アクションダイスの少ない方(=自由の民)は、パスして相手の出方をうかがうことができます。 **6. ターン終了  アクションダイスを双方ともに使い切ったら、次のターンが始まります。このようにして、決着がつくまでターンを繰り返してゲームが進行します。 *アクションの種類  アクションダイスの目と、それによって可能になるアクションは以下の通りです。なお、目のかたよりは双方で異なります。自由の民は「剣」が出やすく、冥王は「旗」や「兜」が出やすくなっています。 -旗(行軍):軍隊を移動させたり、隣接エリアの敵軍を攻撃させたりします。各ユニットは原則として1ターンに1エリアしか移動できないため、漫然と動かせば戦況は悪くなるばかりでしょう。*軍隊=1エリアにいる味方のユニット全て。 -剣(キャラクター):リーダーやキャラクターに率いられた軍隊1つを移動させたり、隣接エリアの敵軍を攻撃させたりします。自由の民プレイヤーならば、旅の仲間の「進行カウンター」を進めたり、一行を離れたコンパニオンを移動させたりできます。冥王プレイヤーならば、ナズグルらを各地に派遣することができます。 -兜(召集):未参戦の国々に参戦をうながしたり、参戦国の軍隊を召集したりします。冥王配下の国々はすぐに参戦できますが、自由の民の国々はゲーム開始時にはどこも戦争には及び腰なので、「兜」アクションを使って参戦に向かわせなければなりません。場合によっては、旅の仲間やコンパニオンが直接その国の拠点を訪問する必要があります。 -水晶(イベントカード):イベントカードを補充または使用します。 -特殊:自由の民プレイヤーは「西方の意思」という目を持ち、好きなアクションを1回行うことができます。また、白のガンダルフ登場やアラゴルン即位などの重要イベントを起こすためにこの目が必要になります。一方、冥王プレイヤーは「サウロンの目」という目を持ちます。この目が出たアクションダイスはただちに指輪の追跡にまわされます。これによって追加される追跡用のダイスはコンパニオンの人数に左右されないため、突如、追及の手がきびしくなるわけです。 *戦闘  「旗」や「剣」アクションを行うことで、白の軍勢と黒の軍勢が各所で激突することになるでしょう。WotRの戦闘は非常にシンプルなシステムで解決されます。  軍勢を表すユニットは国ごとに分類されていますが、いずれもレギュラーユニットとエリートユニットの二種類があり、国や種類に関係なくひとつのユニットは1戦力と見なされます。ではレギュラーとエリートでは何が違うのかというと、エリートユニットはレギュラーにくらべて二倍の耐久力を持っています。また、1エリアには一陣営最大10ユニットまでしか入りませんから、エリア内にいるエリートユニットが多ければそれだけ、その軍隊全体の耐久力が高いということになるわけです。  戦闘が発生すると、まず双方が戦闘に使うイベントカードを公開して解決します(各ラウンド1枚まで)。次に、おたがいに戦闘に参加したユニットの数(=戦力)を数えます。そしてその数と同じ数の6面体サイコロを振ります。そして5~6の目が出たサイコロを「ヒット」と数えます。このヒットの数に等しい戦力だけ、相手はユニットを除去しなければなりません。ただしこのとき振れるサイコロは最大5個なので、1戦闘ラウンドにつき最大でも各陣営5戦力ぶんまでしか損害は発生しません。なお、エリートユニットが1ヒットを受けたら、レギュラーユニットに取り替えます。  また、リーダーやキャラクターがいる軍隊は、ヒットにならなかった(ミスした)サイコロを、その「リーダーシップ」値の数だけ振り直すことができます(ただし1個につき1回まで)。優秀な将軍に率いられればそれだけ、相手に損害を与える可能性が増えるのです。  以上の手順が1戦闘ラウンドであり、どちらかが戦闘をあきらめるか全滅するまで継続します。退却できる場所があるならば、隣接エリアまたは同じエリアの城塞(5ユニットまで)が退却できます。別々に退却してかまいません。 *攻城戦  WotRの舞台である中つ国西部には、両陣営の根拠地である「城塞」がいくつも散らばっています。城塞はゲームの勝敗に直結する重要な地点であるため、ここをめぐっての攻防は指輪所持者の旅と並んでWotRの核となります。  城塞のあるエリアに敵が攻めてきたとき、防御側は「城にこもる」という選択肢を選ぶことができます。城塞にこもれるユニット数は5個までですが、以後、防御側がこもった城塞に対する攻撃は「攻城戦」と呼ばれ、非常にゆっくりとした進行になります。通常の戦闘(野戦)では、決着がつくまで何回もラウンドを繰り返して戦いますが、攻城戦では原則として1回の攻撃アクションを行うごとに1ラウンドしか戦うことができません(ただし攻城側はエリートユニット1個に追加1打撃を与える度に攻城を継続できます)。さらに、攻撃側は6の目でしかヒットを得ることができません。防御側は城塞内で徴兵を行うことも、このエリアから出ることもできませんが、以上のルールが用いられるために、寡兵で大軍と互角に戦い、エリア外から救援がやってくる時間をかせぐことができるでしょう。「指輪物語」で起きた二つの攻城戦の状況が再現できるわけです。 また、追加セットの攻城塔と投石器による攻城兵器優勢の恩恵という新ルールが加わり、一層興味深くなっています。 *指輪の追跡  「剣」アクションを使うことで、自由の民プレイヤーは旅の仲間をモルドールに向けて進めることができます。しかし、冥王サウロンは必死に指輪の行方を追い、その下僕たちが旅の一行に襲いかかってきます。これを表現したルールが「追跡」です。  「剣」アクションによって、旅の仲間進行カウンターが1マス進む(=旅が1エリア分進む)たびに、冥王プレイヤーは自分が追跡に割いたアクションダイスに、振って「サウロンの目」が出たアクションダイスの数を足した合計に等しい数のサイコロを振ります。うちひとつでも6の目が出たら、追跡は成功したことになり、ただちに「追跡」タイルを不透明な容器の中からランダムに1枚引くのです。  タイルにはたいてい数字が書いてあります。この数字を追跡ダメージと呼びます。追跡ダメージを受けた旅の仲間は、これを指輪所持者に課される「誘惑ポイント」として甘受するか、同行しているコンパニオンのひとりを犠牲にすることで減殺するかを選択しなければなりません。もし、ダメージが重なって誘惑ポイントが12点に達してしまうと、その時点で自由の民プレイヤーはゲームにサドンデス敗北してしまいます。しかし、コンパニオンは各人が強力な能力を持っており、指輪戦争遂行上たいへん有用なユニットなので、やすやすと犠牲にすることもできないでしょう。このようにして、原作でフロド一行が直面した危難が再現されるのです。  また、イベントカードの使用によって、シェロブやガラドリエルの玻璃瓶といったイベントが追加のタイルとして容器に入れられることがあります。  なお、1ターンに複数回、進行カウンターを進めようとするのは大きなリスクが伴います。なぜなら、1回進行するたびに、追跡が成功するサイコロの目がひとつずつ増えるからです。最初は6の目だけですが、二回目は5と6、三回目は4から6、というように。このため、指輪の旅は周囲の戦況がめまぐるしく変わる中、遅々として進まないでしょう。 *勝利条件  WotRには、指輪勝利と軍事勝利の二種類があり、陣営によって条件が違うため、あわせて四種類の勝利条件がもうけられています。 -冥王指輪勝利:旅の仲間の誘惑ポイントが12点に到達。 -自由の民指輪勝利:旅の仲間が「滅びの亀裂」に到達。 -冥王軍事勝利:冥王プレイヤーが10勝利ポイントぶんの自由の民拠点を占領。 -自由の民軍事勝利:自由の民プレイヤーが4勝利ポイントぶんの冥王拠点を占領。  見てわかるとおり、冥王が軍事勝利を勝ち得るために必要なポイントは自由の民よりはるかに多く、それだけ軍事的に優勢に立っています。おそらくゲームは冥王の攻勢と自由の民の防戦、そしてその間ひそかに続く指輪をめぐる攻防、という二つの軸で進行するでしょう。しかし、冥王プレイヤーも油断してはなりません。数少ない白の軍勢ですが、一瞬の隙をつけば冥王の拠点2つ(4勝利ポイント)を落とすことは充分に可能だからです。指輪の追跡に多くのアクションダイスを費やしすぎれば、先手を打たれてしまうでしょう。

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