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追う鬼、追われる鬼 - (2008/03/24 (月) 20:21:31) のソース

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「ふう・・・」 
死者を告げる少女の声を聞き終えて。 
ユリカは安堵の溜息をつき、直後にその自身の行為に嫌悪感を覚えた。 
確かにガイの名は―密かに案じていた思い人の名も―読み上げられなかったものの・・・ 
ここに来てからの知人である、リリーナ=ドーリアンの名が羅列の中にあった。 
つい一時間程前には、この場で顔を合わせて話していたというのに。 
先程までは確実に生きていたはずの彼女は、もう、この世から消えてしまったのだ。 
少女の顔を思い出し、ユリカの胸中は悲しみと不安に顔を俯かせる。 
そして・・・偶然目に入ったモニターに、ある物を見つけた。 


「まったく、なんだっていうのよ!」 
荒れ果てた舗装道で、聞く者も居ない文句が繰り返される。 
足元の小石を蹴飛ばしながらソシエは一人、進軍していた。 
ちなみに、彼女の怒りの原因は先程聞こえた放送・・・では無く、 
彼女に気づかずにどこかに行ってしまった、参加者達にたいするものだったりする。 
(10名もの死者が出たことに対する、主催者への怒りも無いわけではないが) 
「だいたい・・・助けに来たはずなのに、なんで助けた相手を忘れてくのよ」 
そんな事をぼやきながら、再び小石を蹴飛ばす。 
足元から勢いよく放たれたそれは綺麗な弧を描きながら、近くに出来た大きな穴の中へと消えた。 
「ああ、もう!」 
小石にすら馬鹿にされている。 
そんな思いにかられたソシエは、肩をいからせながら石の消えた大穴へと近づき・・・ 
慌てて元の場所、すなわちビルの影へと戻った。 
「な、なんなのよ、あれは・・・」 
十字路の中心に大きく開いた亀裂。 
そこから右の方、歩いて数百メートルも行かない場所に、信じられないほど巨大なトカゲが居たのだ。 
「まったく・・・なんだっていうのよ」 
何度目になるかもわからない文句を繰り返しながら、ソシエは溜息を吐いた。 


同じ頃、無敵戦艦の艦橋ではモニターの一点を、じっと見つめるユリカの姿があった。 
ダイの左側面付近にある亀裂のあたりで、小さな人影らしき物を見つけたからだ。 
一瞬で物影に消えてしまったので背格好などはわからなかった。 
だが、この付近で活動している生身同然の姿をした者には、心当たりがある。 
もちろん、ガイが機体を乗り捨てて帰ってきた可能性も考えたが・・・それなら、隠れる必要性も無い。 
やはりあれは、リリーナ=ドーリアンを殺した人物なのだ。 
ならばどうするか?相手は倍以上の大きさの機体と、互角以上に戦える力や機動力の持ち主だ。 
ただでさえ鈍重で死角の多いこの機体では、まともに戦って勝てるかどうか・・・ 
こちらの利点を挙げるとすれば、ダイの保有している都市一つを破壊するほどの火力。 
加えて補給ポイントの真上という地の利。そして、先手を取れるという有利。 
おそらく・・・相手はまだ、こちらが存在を感知している事に気づいては居ないだろう。 
そう考えると、こちらが取れる戦術は限られてくる。 
ユリカはミニミサイル全基の照準をビルに合わせ・・・一斉に発射する。 
それと同時にダイの首を補給装置のスイッチへと伸ばした。 


どれくらいの時間がたったのだろうか・・・その場所にはある一点を基点とした焼け野原が広がっていた。 
その中心、補給装置を覆うように佇む戦艦の艦橋で・・・ユリカは床に座り込み、震えている。 
すでに暗くなった周囲には、何者の反応も感じることはできなかった。 
およそ一時間以上もの間、爆風に晒され続けたのだ・・・おそらくは仕留めたのだろう。 
しかし、敵を倒した喜びは無い。ユリカの胸中にあるのは不安と恐怖だけだった。 
「ガイさん、はやく帰ってきてください・・・アキト・・・」 
ユリカの小さな呟きが、暗い艦橋の中で消えた。 



【ミスマル・ユリカ 搭乗機体:無敵戦艦ダイ(ゲッターロボ!) 
 パイロット状態:不安 
 機体状態:大砲一門破損、左前足損傷、腹部装甲損壊 
 現在位置:D-7補給施設 
 第一行動方針:ガイ(アキト)を補給施設で待つ 
 第二行動方針:補給施設を占拠して仲間を集める 
 第三行動方針:ガイの顔を見たい 
 最終行動方針:ゲームからの脱出 
 備考1:YF-21のパイロットがアキトだと知りませんが、もしかしたらとは思っています 
     アキトの名前はガイだと思っていますが若干の疑問もあります 
 備考2:ハイパーデンドー電池8本(補給4回分)回収 
 備考3:リリーナを殺した人物(シンヤ)を仕留めたと思っています】 

【初日 19:20】 



焼け野原と化した市街地の直下。 
真っ暗な下水道をふらつきながら歩く人影があった。 
折れた右足を引きずりながらソシエは一人、進軍している。 
ミサイルがビルに着弾した瞬間、彼女は爆風により大きく吹き飛ばされ、 
そのまま、近くにあった亀裂の中へと落ちていたのだった。 
幸い水の中に落ちたので、右足の骨折程度で済んだものの・・・ 
その痛みと、蓄積された疲労で彼女の体力は既に限界だった。 

コンクリートの壁に背を預け、少女は気絶するように座り込む。 
目を瞑り荒い息を吐く少女の手には、小さな石が一つ、握り締められていた。 




【ソシエ・ハイム 搭乗機体:なし 
 パイロット状況:右足を骨折、疲労大 
 機体状況:なし 
 現在位置:D-7地下下水道 
 第一行動方針:休息をとる 
 第二行動方針:新しい機体が欲しい 
 第三行動方針:仲間を集める 
 最終行動方針:主催者を倒す】 

【初日 19:30】


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