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ゲスト集いて宴は始まる」(2008/03/24 (月) 20:30:54) の最新版変更点

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*&color(red){ゲスト集いて宴は始まる ◆I4R7vnLM4w} G-6基地の端にあつらえられた補給ポイント周辺に物言わぬ巨人が崩れ落ちていた。 そのコックピットの中、巨人の主が目を覚ます。 「うっ・・・ここは・・・いけねぇいけねぇ。寝ちまったのか・・・」 うっすらと目を開けたモンシアはぼんやりとコックピットを見回す。 ぐちゃぐちゃに潰れた内部が目に飛び込んできて、小さく舌打ちをした。 機体の状態を把握しようとコンソールに手を伸ばす。右手がやけに重かった。 だがそれを無視してその右腕を動かし続ける。血で重く湿った包帯がわりのシャツが見るからに痛々しい。 尺骨が折れていたが、橈骨が折れてないのがまだしもの救いだった。 腕が使い物にならなくなったわけじゃない。痛いなんてもんじゃないが指は動く。 「システムは正常。動力は・・・・・・生きてやがる。動けるのか?」 通常の手順で機体を起動させようと試みる。 だが断線した回路がショートしパチパチと音をたてるのみで無駄だった。 機体の駆動部の8割は修復不能。エネルギーバイパスもほとんどが機能不全。 「無事なのは・・・動力部とレーダに通信機くらいのものか・・・」 この状況では動力が無事でも意味はない。 修理するより一から機体を作り直したほうがはやい。 今のこいつはガラクタ。それが確認の末モンシアの下した判断だった。 暗澹とした気持ちがのしかかり重い体がさらに重くなる。 気を紛らわそうと時刻を確認した。 「クソッ!放送まで聞き逃しちまった・・・・・・」 どれもこれも応急処置は済ませてはいるが、尺骨・肋骨合わせて数箇所の骨折、右腕と右わき腹には突き出してきた鉄材が空けた穴。 小さな擦り傷・きり傷・打ち身などは数えてたら日が暮れちまう。 おまけに機体は運用不能。放送まで聞き逃したときたもんだ。 こりゃ、厄日だぜ。さてどうしますかねぇっと、モンシアさんよぉ…… ため息を一つした後、胸元からタバコを取り出し銜えた。 タバコと一緒に取り出したライターで火をつけ、煙の流れていく先をぼんやりと眺める。 でも、まぁ…バニング大尉…… どうにかなるんじゃないですかい。このくらいなら…… 転げ落ちるように機体から出たモンシアはヘビーアームズの残された左腕に噛り付いた。 そして、ガトリングガンから巨大な弾を抜き取り、ばらして火薬を回収した。 腕部の怪我は特に問題なかった。腕を貫いた鉄材は幸いにも大事な血管を避けて通ったのか既に血は止まっている。ちょっとした銃創と思えばわけはない。 折れた骨も抜いた鉄材を添え木の代わりにして固定は済ませていた。 だが、腹部の穴がどうにもヤバイ。血でぬれた包帯代わりのシャツをどけてみる。 傷口を拭うとゴボッと音をたてて新しい血が際限もなく湧いてきた。視界がわずかに霞む。 「ちっ、一思いにやってくれてりゃぁよぉ。こんなことせずにすんだんだがな・・・・・・。ヒヨッコが半端なことしやがって・・・」 量を調節した火薬を血で湿気らないようにビニールの袋に入れ、腹部にあてがう。 手荒でも何でも腹の傷をふさぐ必要があった。 「・・・・・・うらむぜ・・・バーナード・ワイズマン」 適当な長さの木の枝を口に咥え、モンシアは短くなったタバコを火薬に向かって投げ捨てる。戦闘のそれに比べれば遥かに小さな炸裂音が周囲に響いた。 「どうだ?」 壊れたヘビーアームズからそう遠くない建物の影に隠れる二つの機体の姿があった。 二機は遠めに敵機を確認した瞬間から地上を慎重に移動、確認を繰り返しつつジリジリとその距離を詰め続けていた。 「目標から熱源反応は確認できない。ここからでは断定できないが、どうやら撃墜されているらしい」 「そうか・・・。もう少し接近はできないか?」 「無理だ。奴と交戦した者も近くにいる可能性がある。下手に姿は晒せない」 姿を隠しつつ距離を詰めるのもここが限界。ここから先は瓦礫の山があるのみで姿を隠せるような大きな遮蔽物は見当たらなかった。 「そちらの相手は私がどうにかしよう。仲間にできれば心強い」 「下手な希望は抱かないことだな、九鬼正義。そいつが俺達を襲ってこない理屈などどこにもない」 「それは重々承知だよ。だが、君をてこずらせたほどの相手。それをあそこまで痛めつける者だ。やはり放っておくには惜しい」 モニター越しに二人の視線が絡み合う。 「・・・・・・好きにしろ。今は奴だ。生きているのかどうかは知らないが、念のためとどめを刺しておく。異論はないか?」 九鬼は静かに頷き言葉を返す。 「その機体のエネルギーを考えるとあまり時間もない・・・仕掛けるか?」 「ああ、レイダーが突撃。接近戦に持ち込み仕留める。お前の仕事は接近までのフォローだ」 ヘビーアームズを無視した迂回行動は不可能だった。それほど標的と補給ポイントの位置は近い。 「いくぞ」 レイダーが物陰から飛び出し、D-2が補給ポイントに気を配りつつ牽制の弾幕をはる。 「目標捕捉。これより破壊する」 一瞬で接近したレイダーのミョルニルがヘビーアームズのコックピットを完全に潰した。 「やったか?」 ミョルニルをどけ、グチャグチャに圧壊されたコックピットを確認する。 「目標の破壊を確認。九鬼正義、これから補給に移る。念のため周囲の警戒を頼む」 しばしの思考の後、答えが返ってくる。 「わかった。ではついでに基地の設備の確認もかねて哨戒をおこなってこよう」 そういい残すと九鬼は飛び去っていった。 バーナード・ワイズマンは一人ゲッターのコックピットで息を潜めていた。 整備は既に完了している。 基地に接近してくる二機は早い段階に基地のレーダーが教えてくれた。 そして、整備の完了するまではと思って息を潜めた。 整備が終わる頃には敵機は二手に分かれていた。そして、今はすぐ目と鼻の先に片割れがいることをレーダーが指し示していた。手を伸ばせば届くほど近くに・・・。 逃げ出すべきか?やり過ごすべきか?それとも戦うべきか? 戦うべきだ。答えは出ている。ここで逃げ出すと自分は戦えないそういう気がした。 戦う腹は決めた。だが交戦は最低限に抑える。 相手の虚をついて迫り自分の間合いで戦いきる。距離を開けられたら躊躇せずに撤退。 それがゲッターの損傷度を見る限り現実的な判断だった。 あとはきっかけだけ。ゲッターの炉に火を入れ動き出して先手を撃つまで生じるタイムラグ。それをチャラにするだけの敵の気を引く何か・・・。 その答えは出ないままゲッターは身を潜めている。 潜めているうちに大破したヘビーアームズの姿がふっと脳裏をよぎった。とたんに臆病が体を支配する。 俺に倒せるのか?攻撃を仕掛けて逃げられないか? まてまて、それ以前に相手は二機だぞ!それで俺は無事でいられるのか?大丈夫なのか? 一度勢いを失った思考は渦を巻いて体の動きを鈍らせ、いたずらに時間が過ぎていく。 心臓が高鳴る。汗が吹き出る。歯の根は合わず、ガチガチと音をたてる。 大丈夫・・・大丈夫だ ゲッターを使いこなすんだ 戦って、生き残って、そして帰るんだ 強気と弱気が交錯する。その精神の波に翻弄されながらもバーナード・ワイズマンは身を潜め、たた機会を待ち続けていた。 大破したヘビーアームズにレイダーが向き合って沈黙している。 妙だ・・・ あまりの手ごたえのなさに疑念がヒイロの頭をよぎる。 しかし、手ごたえの軽さは攻撃前に既にパイロットが息絶えていたか機体の損壊の激しさから行動不能に陥っていたと考えれば頭では納得のいくものではあった。 だが、何かがおかしい。本当に気のせいなのか・・・・・・ 防盾砲をコックピットに突きつける。一発、二発、三発と撃ち込まれヘビーアームズの潰れたコックピットに青白い火花が散る。最後にミョルニルを再び撃ち込んだ。 だが、疑念は消えなかった。 どうかしている・・・ 例え生きていたとしてもこれではどうすることもできないはずだ・・・ 疑念を振り払うようにヘビーアームズに背を向ける。 補給ポイントへ足を踏み出そうとしたとき、ノイズを伴いつつ一つの音声通信が繋がり、ヒイロは目を見開いた。 「・・・・・・ちっ・・・ど・・・たら、繋が・・・・・・。聞こえ・・・・・・るか?・・・5・・・2・・・。・・・8・2だ!」 反射的にヘビーアームズに銃口を突きつけレーダーに目を走らせる。 敵機はおろかD-2の反応も確認できない。周囲に機動兵器の反応はなにもない。 小さく舌打ちを一つして回線を528に合わせる。同時に逆探知も開始した。 「・・・・・・何のようだ?」 「声がずいぶん若ぇな。そう猛るなって・・・・・・ちょっとした用事があるだけだ」 「俺も聞きたいことがある。リリーナ・ドーリアンを殺害したのはお前か?」 「かぁ~、最近のガキは口の聞き方もしらねぇな。おい、ガキ。お前の名前は?・・・・・・ぅぃ、ヒック!」 「・・・・・・」 「どうした?坊ちゃん、お 名 前 は ?」 「・・・ヒイロ・ユイだ。酔っているのか?」 「あたぼうよ!酒が怖くて、戦争が出来るかああ!!」 さっきから微妙に話が噛み合わない。 「・・・・・・答えろ!リリーナを殺したのはお前か?」 「・・・ぅぃ~。おい、ヒぃいぃぃロぉ!いいか?よく聞け。今お前の周りには俺様が用意したスペシャルな罠が張られている」 相手の言を聞き流しながらヒイロの目はモニターを走っていた。手はせわしく動き、次々と必要な動作をおこなっていく。 「死にたくなかったらその機体をこのモンシア様に明け渡しな」 相手の位置の割り出しが完了しヒイロの手が止まった。視線を基地管制塔に移し睨みつける。 「断る。最後だ。リリーナ・ドーリアンについて知っていることを教えろ」 「その女、お前のこれか?ヘッ!ざまぁねぇな!ハッハッハッハッハッハ!」 ミョルニルの狙いを基地の管制塔に定め放とうとした瞬間、突如レーダーに高熱源反応がかかる。 「この反応は・・・」 ヘビーアームズの炉心が人為的に暴走をはじめ自機の状態を省みずに無制限に熱量が増大していく。 「・・・自爆」 退避は・・・無理だ。間に合わない。 レイダーの足を地にしっかりとつけ衝撃に備える。 自壊をはじめたヘビーアームズから恐ろしいほどの光量が放たれ、ヒイロの目の前から彩が失われる。 白と黒の二色のみ残った光景。その光景もやがて白一色に塗りつぶされ、最初に衝撃が、やや遅れて轟音が襲い掛かってきた。 「言っただろう?スペシャルな罠が張られているってな・・・ぅぃ~、ヒック!」 その轟音と機体の振動に紛れて耳障りな声が最後にヒイロの耳に届いた。 ヘビーアームズの自爆、それは周囲のものを巻き込み大気を震わせていった。 グラスに酒をそそぐように男達はマガジンに弾を込める 乾杯のかわりに銃声を  抱き合うかわりに銃弾を 今宵はパーティーナイト 狂った男達の宴が 今 幕をあげる 爆発の衝撃で割れたガラスを払いのけモンシアはレーダーに噛り付く。 機体の反応は見られなかった。 「よぉし!これであの野郎もお陀仏よ!このモンシア様に逆らうからこういうことになるってんだ!ハッハッハッハッハッハ!」 そして、マッカランのボトルをあおる。モンシアの支給品の中にはどういうわけかアルコールが数点詰め込まれていた。 最初は痛み止めと称して呑み始めたのだが、現在目的は大きくそれ、嗜好品として飲み干された瓶が管制塔の床には数本転がっている始末である。 「ハッハッハッハッハッハ!」 酔いも手伝って現在のモンシアは上機嫌であった。 目的の方向に赤い火が灯りやがて巨大な噴煙を巻き上げるのが見えた。 「僕のいないところで大いに盛り上がってくれちゃってるみたいだね。いやはや実に結構」 地鳴りと共に巨大な噴煙が拡散し広がっていく様を眺めながら孫光龍は口元を歪める。 勝者が一人しか許されぬこのゲームにおいて他者の潰し合いは自身の立場を優位に立たせる。 主を探す面から考えても、自分のあずかり知らぬところで死んでいく参加者などに何の興味もない。 自分が仕えるべき者がここにいるのならばそれは放っておいてもいずれ自分の前に姿を現すはずであろうと彼は考える。 ゆえに参加者同士の潰し合いは彼にとって決して悪いものではなかった。 「でもね。僕とていつまでも蚊帳の外というのは面白くないものさ。かわいそうだが一枚かませてもらうことにするよ」 だが、一人洞窟に閉じ込められ派手な祭りから遠ざけられていたものの心境といえようか、それとも一人除け者にされた虚しさからといえようか、彼は騒ぎに混ざることを望む。 とるに足らぬものたちを軽く潰すその快感を求めて彼は狂宴へと突き進んでいた。 大地が揺れ、格納庫を衝撃が襲った。 その瞬間、バーナード・ワイズマンははじけたように動き始めた。 ゲッターをすばやく起動させる。それまでの気の迷いはもうない。今はただ目の前の敵を倒すだけ、ただそれだけに思考をゆだねる。 レーダーを頼りにスパイラルゲッタービームを放ち、トマホークをその手に構えた。 「うおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」 続いて勇気を振り絞るかのような叫びをあげながら、彼は戦場に身を投じた。 補給ポイントの方向で何かが瞬くのを九鬼正義は目撃した。 「あれは奴が残った方角・・・・・・見間違いか?いや・・・」 一瞬のうちに消えて見間違えかと思ったそれは、やがて大きな空気の壁となってD-2に迫ってくる。 それを確認した九鬼はやり過ごそうと近くの建物の影に身を潜めた。 隠れるのとほぼ同時に衝撃が大地を揺らし、わずかに遅れて轟音が耳を劈く。 「一体何がおこって・・・・・・熱源反応だと!?」 敵機の接近を告げる警告音に慌ててレーダーに目を走らせたのと、前方の建物から多数の光の帯が放たれたのはほぼ同時であった。 嵐のような気流の渦に翻弄される機体の中、明らかに異質な衝撃が九鬼を襲う。 機体の損害状況の確認も後回しに姿勢制御をおこないつつ敵機を睨みつけた。 格納庫の破片と粉塵を裂いて黒い大きな機体が突貫してくる。 (クソッ!一旦距離をとって・・・・・・) とっさの退避行動。もとよりこの近距離はD-2のレンジではない。 交戦するにせよ、説得するにせよまずは後退であった。 だがフルブーストで退避行動を取ったはずのD-2の動きが鈍い。逃げ切れない。 既に両者の距離は10mをきっている。 退避する時間はない。慌てて通信を繋げる。 「おおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!」 雄叫びが飛び込んできた。視界の先の敵機はもう手を伸ばせば触れれるほど大きい。 振り上げられた巨大な斧が目に映る。体が凍りつく。 声を振り絞り叫んだ。 「待て!こちらは君の敵ではない!!」 斧が真っ黒が客観的には急速に感覚的にはゆっくりと大きくなる。 ふとピエロの半面が目に映った。そこにはこちらの問いかけをあざ笑うかのような笑み。 思わずゾッとして再び声を振り絞る。 「攻撃をやめr」 視界は斧で真っ黒に塗りつぶされ九鬼正義の意識はそこで途絶えた。 トマホークをD-2から引き抜く。 潰れたコックピットから赤い血がオイルに混ざって流れ出した。 運良く初撃で敵機の推進力の大半を奪うことができた。相手はろくに退避行動も取れないまま死んでいった。 相手の腕がよかったのかどうかはわからない。だが運は悪かったのだろう。 レーダーだけど頼りに放った初撃の着弾地点、突如ここら一帯を襲った衝撃波。俺は運が良かったんだろう。 「・・・・・・衝撃波?いったい何のだ?」 敵を撃破した余韻から慌てて思考を呼び戻す。レーダーに目を走らせ反応をうかがう。 そこには反応一つない。 だが、周囲の風景は違った。前に交戦した補給ポイントの方角に巨大な爆煙が立ち込めているのが見える。 それは同時に今しがた撃破した機体の片割れがいた方角でもあった。 何かがあった。それは確実だった。だが、何があったのかがまったく分からない。 もう一度、レーダーに目を向ける。やはり何の反応もない。半身が壊れ大破したあの機体の反応も、もう一機の敵機の反応も・・・・・・。 そのとき不意にレーダーに一つの明かりが灯る。方角は南東、爆発があった位置とはまた別。 慌てて闇夜を見上げる。そこには赤いオーラバトラーの影が映し出されていた。 互いに目視圏内、想定外の遭遇戦。これまでのように不意をつくことは不可能だった。 残りエネルギーを確認。機体の動きを考えるとゲッタービームは撃ててあと二発というところだった。 「クソッ!・・・・・・最悪だ」 運というのは振り子のようなもの、一度プラスに大きく傾いたと思っても気づけばマイナスに大きく傾く。 思わず愚痴が零れ落ち、ピエロは一人身構えた。 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:ブラックゲッター(真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日) パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)  現在位置:G-6基地格納庫付近 機体状態:装甲に多数のへこみ、マント損失、エネルギーを4/5程度消費 第一行動方針:この場を切り抜ける 第二行動方針:ゲッターを使いこなす 最終行動方針:優勝する 備考:頭部に生じているヒビをヘビーアームズのピエロの仮面で隠している】 【孫光龍 搭乗機体:レプラカーン(聖戦士ダンバイン)  パイロット状態:念の使い過ぎで疲労。ギンガナム恐怖症。戦意高揚  機体状態:オーラキャノン一発消費、グレネード二発消費、ハイパー化の兆し在り、顔の牙消滅、左脚部切断  現在位置:G-6基地 第一行動方針:目の前の黒い機体で遊ぶ 第二行動方針:G-6にてレプラカーンの点検。出来ればENの補給も。 第三行動方針:ギンガナムに打ち勝つ 第四行動方針:己の力を上回る主を見つける 最終行動方針:生き残る】 &color(red){【九鬼正義 搭乗機体:ドラグナー2型カスタム(機甲戦記ドラグナー)} &color(red){パイロット状況:死亡} &color(red){機体状況:コックピット全壊、バックパック半壊】} 「動くな!」 けたたましく扉が破られ一人の少年が管制塔に乱入してきた。 だが予想に反してそこには誰もいない。空になったボトルが数本転がっているだけだ。 「逃げ出したか・・・・・・勘のいい奴だ」 ヘビーアームズが自爆したあの瞬間、彼は残ったエネルギー全てをTP装甲に全てつぎ込み、賭けに出た。その結果、少年はこうして生きのびれたわけである。 だが、装甲の一部は融解、内部部品の破壊多数、レイダーは行動不能に陥っていた。 燃料切れも一つの要因ではあったが、TP装甲では衝撃は防げても膨大な熱量までは防げなかったのが大きかった。 少年は乗機に見切りをつけ今はこうしてレーダーに目を向けている。 「南に二機・・・。九鬼正義はどっちだ?コンタクトを・・・・・・いや。これより機体奪取を最優先に行動を開始する」 管制塔から目と鼻の先、ホンの十メートルほど奥。そこでベルナルト・モンシアは 「ぅおえっ!・・・・・・うっ!!」 戻していた。 【ベルナルド・モンシア 搭乗機体:なし パイロット状態:右腕尺骨・腹部肋骨骨折数箇所、右腕・腹部にそれどれ穴、その他小さな傷多数、酔っ払い  現在位置:G-6基地管制塔男子トイレ 機体状態:なし 第一行動方針:吐く 第二行動方針:機体を手に入れる 最終行動方針:???】 【ヒイロ・ユイ 搭乗機体:レイダーガンダム(機動戦士ガンダムSEED) パイロット状況:内なる激情(判断力は極めて冷静)、疲労、体中に軽い痛み 機体状況:EN切れ、装甲表面一部融解、内部部品損傷、行動不能 現在位置:G-6基地管制塔 第一行動方針:機体の奪取 第二行動方針:リリーナの死の真相を知り、殺害した者を殺す 最終行動方針:???】 &color(red){【残り42人】} 【初日 19:50】 ---- |BACK||NEXT| |[[MISS]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[もしも、その時は]]| |[[極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[もしも、その時は]]| |BACK||NEXT| |[[戦場の帰趨]]|モンシア|[[獅子身中の虫]]| |[[任務……了解]]|ヒイロ|[[獅子身中の虫]]| |[[煮えきらぬ者]]|バーニィ|[[獅子身中の虫]]| |[[巨虫、岩を打ち抜いて]]|孫光龍|[[獅子身中の虫]]| |[[任務……了解]]|&color(red){九鬼}|| ----
*&color(red){ゲスト集いて宴は始まる ◆I4R7vnLM4w} G-6基地の端にあつらえられた補給ポイント周辺に物言わぬ巨人が崩れ落ちていた。 そのコックピットの中、巨人の主が目を覚ます。 「うっ・・・ここは・・・いけねぇいけねぇ。寝ちまったのか・・・」 うっすらと目を開けたモンシアはぼんやりとコックピットを見回す。 ぐちゃぐちゃに潰れた内部が目に飛び込んできて、小さく舌打ちをした。 機体の状態を把握しようとコンソールに手を伸ばす。右手がやけに重かった。 だがそれを無視してその右腕を動かし続ける。血で重く湿った包帯がわりのシャツが見るからに痛々しい。 尺骨が折れていたが、橈骨が折れてないのがまだしもの救いだった。 腕が使い物にならなくなったわけじゃない。痛いなんてもんじゃないが指は動く。 「システムは正常。動力は・・・・・・生きてやがる。動けるのか?」 通常の手順で機体を起動させようと試みる。 だが断線した回路がショートしパチパチと音をたてるのみで無駄だった。 機体の駆動部の8割は修復不能。エネルギーバイパスもほとんどが機能不全。 「無事なのは・・・動力部とレーダに通信機くらいのものか・・・」 この状況では動力が無事でも意味はない。 修理するより一から機体を作り直したほうがはやい。 今のこいつはガラクタ。それが確認の末モンシアの下した判断だった。 暗澹とした気持ちがのしかかり重い体がさらに重くなる。 気を紛らわそうと時刻を確認した。 「クソッ!放送まで聞き逃しちまった・・・・・・」 どれもこれも応急処置は済ませてはいるが、尺骨・肋骨合わせて数箇所の骨折、右腕と右わき腹には突き出してきた鉄材が空けた穴。 小さな擦り傷・きり傷・打ち身などは数えてたら日が暮れちまう。 おまけに機体は運用不能。放送まで聞き逃したときたもんだ。 こりゃ、厄日だぜ。さてどうしますかねぇっと、モンシアさんよぉ…… ため息を一つした後、胸元からタバコを取り出し銜えた。 タバコと一緒に取り出したライターで火をつけ、煙の流れていく先をぼんやりと眺める。 でも、まぁ…バニング大尉…… どうにかなるんじゃないですかい。このくらいなら…… 転げ落ちるように機体から出たモンシアはヘビーアームズの残された左腕に噛り付いた。 そして、ガトリングガンから巨大な弾を抜き取り、ばらして火薬を回収した。 腕部の怪我は特に問題なかった。腕を貫いた鉄材は幸いにも大事な血管を避けて通ったのか既に血は止まっている。ちょっとした銃創と思えばわけはない。 折れた骨も抜いた鉄材を添え木の代わりにして固定は済ませていた。 だが、腹部の穴がどうにもヤバイ。血でぬれた包帯代わりのシャツをどけてみる。 傷口を拭うとゴボッと音をたてて新しい血が際限もなく湧いてきた。視界がわずかに霞む。 「ちっ、一思いにやってくれてりゃぁよぉ。こんなことせずにすんだんだがな・・・・・・。ヒヨッコが半端なことしやがって・・・」 量を調節した火薬を血で湿気らないようにビニールの袋に入れ、腹部にあてがう。 手荒でも何でも腹の傷をふさぐ必要があった。 「・・・・・・うらむぜ・・・バーナード・ワイズマン」 適当な長さの木の枝を口に咥え、モンシアは短くなったタバコを火薬に向かって投げ捨てる。戦闘のそれに比べれば遥かに小さな炸裂音が周囲に響いた。 「どうだ?」 壊れたヘビーアームズからそう遠くない建物の影に隠れる二つの機体の姿があった。 二機は遠めに敵機を確認した瞬間から地上を慎重に移動、確認を繰り返しつつジリジリとその距離を詰め続けていた。 「目標から熱源反応は確認できない。ここからでは断定できないが、どうやら撃墜されているらしい」 「そうか・・・。もう少し接近はできないか?」 「無理だ。奴と交戦した者も近くにいる可能性がある。下手に姿は晒せない」 姿を隠しつつ距離を詰めるのもここが限界。ここから先は瓦礫の山があるのみで姿を隠せるような大きな遮蔽物は見当たらなかった。 「そちらの相手は私がどうにかしよう。仲間にできれば心強い」 「下手な希望は抱かないことだな、九鬼正義。そいつが俺達を襲ってこない理屈などどこにもない」 「それは重々承知だよ。だが、君をてこずらせたほどの相手。それをあそこまで痛めつける者だ。やはり放っておくには惜しい」 モニター越しに二人の視線が絡み合う。 「・・・・・・好きにしろ。今は奴だ。生きているのかどうかは知らないが、念のためとどめを刺しておく。異論はないか?」 九鬼は静かに頷き言葉を返す。 「その機体のエネルギーを考えるとあまり時間もない・・・仕掛けるか?」 「ああ、レイダーが突撃。接近戦に持ち込み仕留める。お前の仕事は接近までのフォローだ」 ヘビーアームズを無視した迂回行動は不可能だった。それほど標的と補給ポイントの位置は近い。 「いくぞ」 レイダーが物陰から飛び出し、D-2が補給ポイントに気を配りつつ牽制の弾幕をはる。 「目標捕捉。これより破壊する」 一瞬で接近したレイダーのミョルニルがヘビーアームズのコックピットを完全に潰した。 「やったか?」 ミョルニルをどけ、グチャグチャに圧壊されたコックピットを確認する。 「目標の破壊を確認。九鬼正義、これから補給に移る。念のため周囲の警戒を頼む」 しばしの思考の後、答えが返ってくる。 「わかった。ではついでに基地の設備の確認もかねて哨戒をおこなってこよう」 そういい残すと九鬼は飛び去っていった。 バーナード・ワイズマンは一人ゲッターのコックピットで息を潜めていた。 整備は既に完了している。 基地に接近してくる二機は早い段階に基地のレーダーが教えてくれた。 そして、整備の完了するまではと思って息を潜めた。 整備が終わる頃には敵機は二手に分かれていた。そして、今はすぐ目と鼻の先に片割れがいることをレーダーが指し示していた。手を伸ばせば届くほど近くに・・・。 逃げ出すべきか?やり過ごすべきか?それとも戦うべきか? 戦うべきだ。答えは出ている。ここで逃げ出すと自分は戦えないそういう気がした。 戦う腹は決めた。だが交戦は最低限に抑える。 相手の虚をついて迫り自分の間合いで戦いきる。距離を開けられたら躊躇せずに撤退。 それがゲッターの損傷度を見る限り現実的な判断だった。 あとはきっかけだけ。ゲッターの炉に火を入れ動き出して先手を撃つまで生じるタイムラグ。それをチャラにするだけの敵の気を引く何か・・・。 その答えは出ないままゲッターは身を潜めている。 潜めているうちに大破したヘビーアームズの姿がふっと脳裏をよぎった。とたんに臆病が体を支配する。 俺に倒せるのか?攻撃を仕掛けて逃げられないか? まてまて、それ以前に相手は二機だぞ!それで俺は無事でいられるのか?大丈夫なのか? 一度勢いを失った思考は渦を巻いて体の動きを鈍らせ、いたずらに時間が過ぎていく。 心臓が高鳴る。汗が吹き出る。歯の根は合わず、ガチガチと音をたてる。 大丈夫・・・大丈夫だ ゲッターを使いこなすんだ 戦って、生き残って、そして帰るんだ 強気と弱気が交錯する。その精神の波に翻弄されながらもバーナード・ワイズマンは身を潜め、たた機会を待ち続けていた。 大破したヘビーアームズにレイダーが向き合って沈黙している。 妙だ・・・ あまりの手ごたえのなさに疑念がヒイロの頭をよぎる。 しかし、手ごたえの軽さは攻撃前に既にパイロットが息絶えていたか機体の損壊の激しさから行動不能に陥っていたと考えれば頭では納得のいくものではあった。 だが、何かがおかしい。本当に気のせいなのか・・・・・・ 防盾砲をコックピットに突きつける。一発、二発、三発と撃ち込まれヘビーアームズの潰れたコックピットに青白い火花が散る。最後にミョルニルを再び撃ち込んだ。 だが、疑念は消えなかった。 どうかしている・・・ 例え生きていたとしてもこれではどうすることもできないはずだ・・・ 疑念を振り払うようにヘビーアームズに背を向ける。 補給ポイントへ足を踏み出そうとしたとき、ノイズを伴いつつ一つの音声通信が繋がり、ヒイロは目を見開いた。 「・・・・・・ちっ・・・ど・・・たら、繋が・・・・・・。聞こえ・・・・・・るか?・・・5・・・2・・・。・・・8・2だ!」 反射的にヘビーアームズに銃口を突きつけレーダーに目を走らせる。 敵機はおろかD-2の反応も確認できない。周囲に機動兵器の反応はなにもない。 小さく舌打ちを一つして回線を528に合わせる。同時に逆探知も開始した。 「・・・・・・何のようだ?」 「声がずいぶん若ぇな。そう猛るなって・・・・・・ちょっとした用事があるだけだ」 「俺も聞きたいことがある。リリーナ・ドーリアンを殺害したのはお前か?」 「かぁ~、最近のガキは口の聞き方もしらねぇな。おい、ガキ。お前の名前は?・・・・・・ぅぃ、ヒック!」 「・・・・・・」 「どうした?坊ちゃん、お 名 前 は ?」 「・・・ヒイロ・ユイだ。酔っているのか?」 「あたぼうよ!酒が怖くて、戦争が出来るかああ!!」 さっきから微妙に話が噛み合わない。 「・・・・・・答えろ!リリーナを殺したのはお前か?」 「・・・ぅぃ~。おい、ヒぃいぃぃロぉ!いいか?よく聞け。今お前の周りには俺様が用意したスペシャルな罠が張られている」 相手の言を聞き流しながらヒイロの目はモニターを走っていた。手はせわしく動き、次々と必要な動作をおこなっていく。 「死にたくなかったらその機体をこのモンシア様に明け渡しな」 相手の位置の割り出しが完了しヒイロの手が止まった。視線を基地管制塔に移し睨みつける。 「断る。最後だ。リリーナ・ドーリアンについて知っていることを教えろ」 「その女、お前のこれか?ヘッ!ざまぁねぇな!ハッハッハッハッハッハ!」 ミョルニルの狙いを基地の管制塔に定め放とうとした瞬間、突如レーダーに高熱源反応がかかる。 「この反応は・・・」 ヘビーアームズの炉心が人為的に暴走をはじめ自機の状態を省みずに無制限に熱量が増大していく。 「・・・自爆」 退避は・・・無理だ。間に合わない。 レイダーの足を地にしっかりとつけ衝撃に備える。 自壊をはじめたヘビーアームズから恐ろしいほどの光量が放たれ、ヒイロの目の前から彩が失われる。 白と黒の二色のみ残った光景。その光景もやがて白一色に塗りつぶされ、最初に衝撃が、やや遅れて轟音が襲い掛かってきた。 「言っただろう?スペシャルな罠が張られているってな・・・ぅぃ~、ヒック!」 その轟音と機体の振動に紛れて耳障りな声が最後にヒイロの耳に届いた。 ヘビーアームズの自爆、それは周囲のものを巻き込み大気を震わせていった。 グラスに酒をそそぐように男達はマガジンに弾を込める 乾杯のかわりに銃声を  抱き合うかわりに銃弾を 今宵はパーティーナイト 狂った男達の宴が 今 幕をあげる 爆発の衝撃で割れたガラスを払いのけモンシアはレーダーに噛り付く。 機体の反応は見られなかった。 「よぉし!これであの野郎もお陀仏よ!このモンシア様に逆らうからこういうことになるってんだ!ハッハッハッハッハッハ!」 そして、マッカランのボトルをあおる。モンシアの支給品の中にはどういうわけかアルコールが数点詰め込まれていた。 最初は痛み止めと称して呑み始めたのだが、現在目的は大きくそれ、嗜好品として飲み干された瓶が管制塔の床には数本転がっている始末である。 「ハッハッハッハッハッハ!」 酔いも手伝って現在のモンシアは上機嫌であった。 目的の方向に赤い火が灯りやがて巨大な噴煙を巻き上げるのが見えた。 「僕のいないところで大いに盛り上がってくれちゃってるみたいだね。いやはや実に結構」 地鳴りと共に巨大な噴煙が拡散し広がっていく様を眺めながら孫光龍は口元を歪める。 勝者が一人しか許されぬこのゲームにおいて他者の潰し合いは自身の立場を優位に立たせる。 主を探す面から考えても、自分のあずかり知らぬところで死んでいく参加者などに何の興味もない。 自分が仕えるべき者がここにいるのならばそれは放っておいてもいずれ自分の前に姿を現すはずであろうと彼は考える。 ゆえに参加者同士の潰し合いは彼にとって決して悪いものではなかった。 「でもね。僕とていつまでも蚊帳の外というのは面白くないものさ。かわいそうだが一枚かませてもらうことにするよ」 だが、一人洞窟に閉じ込められ派手な祭りから遠ざけられていたものの心境といえようか、それとも一人除け者にされた虚しさからといえようか、彼は騒ぎに混ざることを望む。 とるに足らぬものたちを軽く潰すその快感を求めて彼は狂宴へと突き進んでいた。 大地が揺れ、格納庫を衝撃が襲った。 その瞬間、バーナード・ワイズマンははじけたように動き始めた。 ゲッターをすばやく起動させる。それまでの気の迷いはもうない。今はただ目の前の敵を倒すだけ、ただそれだけに思考をゆだねる。 レーダーを頼りにスパイラルゲッタービームを放ち、トマホークをその手に構えた。 「うおおおぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」 続いて勇気を振り絞るかのような叫びをあげながら、彼は戦場に身を投じた。 補給ポイントの方向で何かが瞬くのを九鬼正義は目撃した。 「あれは奴が残った方角・・・・・・見間違いか?いや・・・」 一瞬のうちに消えて見間違えかと思ったそれは、やがて大きな空気の壁となってD-2に迫ってくる。 それを確認した九鬼はやり過ごそうと近くの建物の影に身を潜めた。 隠れるのとほぼ同時に衝撃が大地を揺らし、わずかに遅れて轟音が耳を劈く。 「一体何がおこって・・・・・・熱源反応だと!?」 敵機の接近を告げる警告音に慌ててレーダーに目を走らせたのと、前方の建物から多数の光の帯が放たれたのはほぼ同時であった。 嵐のような気流の渦に翻弄される機体の中、明らかに異質な衝撃が九鬼を襲う。 機体の損害状況の確認も後回しに姿勢制御をおこないつつ敵機を睨みつけた。 格納庫の破片と粉塵を裂いて黒い大きな機体が突貫してくる。 (クソッ!一旦距離をとって・・・・・・) とっさの退避行動。もとよりこの近距離はD-2のレンジではない。 交戦するにせよ、説得するにせよまずは後退であった。 だがフルブーストで退避行動を取ったはずのD-2の動きが鈍い。逃げ切れない。 既に両者の距離は10mをきっている。 退避する時間はない。慌てて通信を繋げる。 「おおおおおぉぉぉぉぉぉおおお!!!」 雄叫びが飛び込んできた。視界の先の敵機はもう手を伸ばせば触れれるほど大きい。 振り上げられた巨大な斧が目に映る。体が凍りつく。 声を振り絞り叫んだ。 「待て!こちらは君の敵ではない!!」 斧が真っ黒が客観的には急速に感覚的にはゆっくりと大きくなる。 ふとピエロの半面が目に映った。そこにはこちらの問いかけをあざ笑うかのような笑み。 思わずゾッとして再び声を振り絞る。 「攻撃をやめr」 視界は斧で真っ黒に塗りつぶされ九鬼正義の意識はそこで途絶えた。 トマホークをD-2から引き抜く。 潰れたコックピットから赤い血がオイルに混ざって流れ出した。 運良く初撃で敵機の推進力の大半を奪うことができた。相手はろくに退避行動も取れないまま死んでいった。 相手の腕がよかったのかどうかはわからない。だが運は悪かったのだろう。 レーダーだけど頼りに放った初撃の着弾地点、突如ここら一帯を襲った衝撃波。俺は運が良かったんだろう。 「・・・・・・衝撃波?いったい何のだ?」 敵を撃破した余韻から慌てて思考を呼び戻す。レーダーに目を走らせ反応をうかがう。 そこには反応一つない。 だが、周囲の風景は違った。前に交戦した補給ポイントの方角に巨大な爆煙が立ち込めているのが見える。 それは同時に今しがた撃破した機体の片割れがいた方角でもあった。 何かがあった。それは確実だった。だが、何があったのかがまったく分からない。 もう一度、レーダーに目を向ける。やはり何の反応もない。半身が壊れ大破したあの機体の反応も、もう一機の敵機の反応も・・・・・・。 そのとき不意にレーダーに一つの明かりが灯る。方角は南東、爆発があった位置とはまた別。 慌てて闇夜を見上げる。そこには赤いオーラバトラーの影が映し出されていた。 互いに目視圏内、想定外の遭遇戦。これまでのように不意をつくことは不可能だった。 残りエネルギーを確認。機体の動きを考えるとゲッタービームは撃ててあと二発というところだった。 「クソッ!・・・・・・最悪だ」 運というのは振り子のようなもの、一度プラスに大きく傾いたと思っても気づけばマイナスに大きく傾く。 思わず愚痴が零れ落ち、ピエロは一人身構えた。 【バーナード・ワイズマン(機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争) 搭乗機体:ブラックゲッター(真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日) パイロット状況:頭部に軽い傷(応急処置済み)  現在位置:G-6基地格納庫付近 機体状態:装甲に多数のへこみ、マント損失、エネルギーを4/5程度消費 第一行動方針:この場を切り抜ける 第二行動方針:ゲッターを使いこなす 最終行動方針:優勝する 備考:頭部に生じているヒビをヘビーアームズのピエロの仮面で隠している】 【孫光龍 搭乗機体:レプラカーン(聖戦士ダンバイン)  パイロット状態:念の使い過ぎで疲労。ギンガナム恐怖症。戦意高揚  機体状態:オーラキャノン一発消費、グレネード二発消費、ハイパー化の兆し在り、顔の牙消滅、左脚部切断  現在位置:G-6基地 第一行動方針:目の前の黒い機体で遊ぶ 第二行動方針:G-6にてレプラカーンの点検。出来ればENの補給も。 第三行動方針:ギンガナムに打ち勝つ 第四行動方針:己の力を上回る主を見つける 最終行動方針:生き残る】 &color(red){【九鬼正義 搭乗機体:ドラグナー2型カスタム(機甲戦記ドラグナー)} &color(red){パイロット状況:死亡} &color(red){機体状況:コックピット全壊、バックパック半壊】} 「動くな!」 けたたましく扉が破られ一人の少年が管制塔に乱入してきた。 だが予想に反してそこには誰もいない。空になったボトルが数本転がっているだけだ。 「逃げ出したか・・・・・・勘のいい奴だ」 ヘビーアームズが自爆したあの瞬間、彼は残ったエネルギー全てをTP装甲に全てつぎ込み、賭けに出た。その結果、少年はこうして生きのびれたわけである。 だが、装甲の一部は融解、内部部品の破壊多数、レイダーは行動不能に陥っていた。 燃料切れも一つの要因ではあったが、TP装甲では衝撃は防げても膨大な熱量までは防げなかったのが大きかった。 少年は乗機に見切りをつけ今はこうしてレーダーに目を向けている。 「南に二機・・・。九鬼正義はどっちだ?コンタクトを・・・・・・いや。これより機体奪取を最優先に行動を開始する」 管制塔から目と鼻の先、ホンの十メートルほど奥。そこでベルナルト・モンシアは 「ぅおえっ!・・・・・・うっ!!」 戻していた。 【ベルナルド・モンシア 搭乗機体:なし パイロット状態:右腕尺骨・腹部肋骨骨折数箇所、右腕・腹部にそれどれ穴、その他小さな傷多数、酔っ払い  現在位置:G-6基地管制塔男子トイレ 機体状態:なし 第一行動方針:吐く 第二行動方針:機体を手に入れる 最終行動方針:???】 【ヒイロ・ユイ 搭乗機体:レイダーガンダム(機動戦士ガンダムSEED) パイロット状況:内なる激情(判断力は極めて冷静)、疲労、体中に軽い痛み 機体状況:EN切れ、装甲表面一部融解、内部部品損傷、行動不能 現在位置:G-6基地管制塔 第一行動方針:機体の奪取 第二行動方針:リリーナの死の真相を知り、殺害した者を殺す 最終行動方針:???】 &color(red){【残り42人】} 【初日 19:50】 ---- |BACK||NEXT| |[[MISS]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[もしも、その時は]]| |[[極めて近く、限りなく遠い世界の邂逅]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[もしも、その時は]]| |BACK||NEXT| |[[戦場の帰趨]]|モンシア|[[獅子身中の虫]]| |[[任務……了解]]|ヒイロ|[[獅子身中の虫]]| |[[煮えきらぬ者]]|バーニィ|[[獅子身中の虫]]| |[[巨虫、岩を打ち抜いて]]|孫光龍|[[獅子身中の虫]]| |[[任務……了解]]|&color(red){九鬼}|| ----

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