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「金色の輝き」(2008/08/01 (金) 20:16:05) の最新版変更点
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*&color(red){金色の輝き ◆ah5xuG5D4E}
闇を引き裂く白、F-91は迫る黒、マスターガンダムにビームライフルを三発連続で制射する。が、光条は虚しく避けられてしまい次の瞬間には逆にヒートアクスを振るわれ、赤熱の刃がその肩を掠めた。
「クッ!中々やるっ!」
敵機、マスターガンダムの予想以上の奇抜な動きと戦闘能力にアムロは呻く。
ガンダムタイプ…いや、MSの機動ではない、人間的でより自然な動きから繰り出される攻撃は最高のニュータイプ、連邦の白い悪魔の異名を持ったアムロですら易々と見切れるモノではなかった。
そして、ブゥン!と早朝の清々しい空気を裂き迫るヒートアクスをギリギリの所で見切り、F-91はフルブースト。
マスターガンダムの右側に回り込み、ライフルと頭部バルカンを撃ち込む。
そしてコレ又敵機は無茶苦茶な機動…振り向きながら身を捩り軽く横跳び、右手でアスファルトを鷲掴みにしソレを機転としての回し蹴り。
ビームと無数の弾丸はその漆黒の装甲を掠めただけ。
「おぅりゃっ!って逃げたんかぃ?」
そして、マスターガンダムの回し蹴りも空を切っただけ。
既にF-91は明け方の空に飛び上がっていた。
(接近戦で勝つ可能性は低いが…負ける訳にはいかない!)
引く事も、負ける事も出来ない戦い。
勝つ。
ただそれだけを考えアムロは機体を操る。
ビルとビルとの間、朝日に背を向け…まるで後光を持ったようなF-91はニュータイプを解し、その性能を限界以上に引き出す。
そしてヴェスバー二門を腰だめに、右手にビームライフル、左手にはビームランチャー。
「超高速が可能とするほぼ全方向からの至近距離からの射撃の嵐…外しはしない!当ててみせるっ!」
アムロは吼え、後光を背に、今や金色に輝くF-91は闇を掻き消すべく飛んだ。
──
中々…いや、このゲーム始まって以来最高の獲物だとガウルンは思う。
(操縦技術はカシム以上…んでもって精神面も崩れる事無い…こりゃあ最高の獲物だぜ!)
ほんの数回すれ違って小競り合っただけだが相手の実力は十二分に感じ取れた。
「たまんねぇ…たまんねぇなぁっ!」
これから来るであろう生と死のギリギリのラインを歩く感覚を心待ちにし、ガウルンは気を昂らせる。
そしてその気の昂りに反応し、DG細胞が活性化、彼を取り込もうと浸食速度を上げた。
更にその副産物かDG細胞はガウルン自身をスペックアップ。
迫る黄金の機体にガウルンは叫ぶ。
「ぶち壊してやるぜぇぇぇっ!」
その咆哮が引き金になり、闇に溶ける黒、マスターガンダムは自らを引き裂く様に全身を金色へと輝かす。
「ハァイパァァッ!モォォォッドッ!!」
──
アムロは敵機が金色へと変わった事に多少驚きはしたものの、余り気にはしなかった。
(気にはしない…が戦闘能力は格段に上昇したのは解る!)
ニュータイプの認識力がバイオコンピューターにより増幅された事で敵機の禍々しい力と意思が爆発した様に増えたのを、超高速機動が伴うGと共にヒシヒシと感じる。
相対的距離はもう10mも無い。
低空での超高速機動が巻き起こす土煙が上がるソレより速く、F-91は全ての射撃武器を撃ち込む。
二門のヴェスバーから太い光条が、ビームライフルとビームランチャー鋭い光条が、バルカンとマシンキャノンからは弾丸の嵐が。
そして、攻撃しつつ無軌道な超高速機動で瞬間的に位置を変え、更に砲を放つ。
その動きは端から見るとまるでむ数の同一機体が飛び交う様。
いや、ソレは強ち間違いでは無かった。
機体の能力を限界以上に引き出す事によりバイオコンピューターの強制冷却が行われ、ソレにより機体表面の金属剥離が起こる。
俗に言う“質量を持った分身”
金色の幻影、F-91は攻撃を続ける。
──
先程射ったビームなり弾丸なりが砲口から放たれた瞬間には次の位置に移動し攻撃すると言う矛盾に近い攻撃をマスターガンダムは弾き、避け、見切っていた。
それを可能とするのはDG細胞によりスペックアップされたパイロットの身体能力とハイパーモードになった事で起こる機体能力の大幅の上昇。
そして、ガウルン自身の戦闘狂としての本能。
「ォォオッ!」
舞い上がる土煙や誇りを弾き、瞬間的に全方向から放たれる光と弾丸の嵐を避けてガウルンは吼える。
(分身?機体が増える?超高速?んなもん関係ねぇ。)
「楽しい…楽しいなぁっ!」
マスターガンダムの両の掌が燦然と輝き、光の速さで迫るヴェスバーの太いビームを弾いた。
そして、金色の全身が纏う悪意の闘気が具現化し、質量を持ち始める。
「喰らいな!ダークネスッ」
超至近距離で放たれた弾丸はその闘気に触れ気化し、ヴェスバーのビームを左手で握り潰しマスターガンダムはF-91に肉薄する。
「くそッ!こちらの動きを見切ったと言うのか!?」
モニター一杯に迫る敵機を見詰めアムロは叫んだ。
しかし、叫びながらも必死に機体を動かす。
「フィンガァ──ッ!」
…突き出される右掌を避けられない事は直感的に知った。
だからアムロはジェネレーターに直結していたヴェスバー二門をパージ、更にライフルとランチャーを捨て機体の全出力を左腕のビームシールドに回し構える。
「耐えきれ!うぉぉぉぉぉっ!」
──
C-8を塗り潰す様な凄まじい光が煌めき、その中心部で金色に輝く機体の右腕が、同じく金色に輝く機体の左腕を貫いていた。
そして、一拍置いて形容し難い音と共にF-91の左腕は爆散し、その予想以上に強い余波はF-91を吹き飛ばし崩れかけたビルに叩き付けられる。
「くぅっ…!」
爆発の衝撃とビルへ叩き付けられた時の衝撃が時間差でアムロを襲った。
そして体をシートに固定するハーネスがギチギチと音を立て、ミシミシと骨に皹が入るのを感じた。しかし、苦しむ暇なくアムロは操縦菅を握りフットペダルを踏み込む。
0からMAXスピードへの移行はパイロットであるアムロに更なる圧迫感と苦しみを与えるが構いはしない。
(追撃を受ければ…終わりなんだ!)
強烈なGにより一瞬気を失いかけるが歯を喰い縛り耐える。
だが、無慈悲にもF-91の出力は上がらず急加速はほんの一瞬で終わってしまった。
しまった!と思いながら瞬時にアムロはサブモニターに目を走らせる。
出力120%の状態からの限界以上の機動、そしてソレを行いつつのジェネレーター直結でのヴェスバー乱射。
更にビームシールドに全出力を回し、破られての左腕の爆発がとどめか。
F-91のエンジン及びジェネレーターはオーバーロードし出力は30%を切っていた。
今一瞬のフルブーストは最後の足掻きか、F-91は失速しアスファルトに足を付き慣性で滑り、止まってしまう。
そしてコレを逃すガウルンとマスターガンダムでは無い。
アムロが反応するのとほぼ同時にマスターガンダムはF-91へと飛び出し、左手を下方からアッパーの様に振るう。
そして、マスターガンダムの左手はガリガリとF-91のバイクのラジエーターの様な胸部を削った。
更に返しで裏拳をF-91の顔面に叩き込み、フェイスガードが砕け散る。
バキンッ!
脆く硬質な音を立て砕け散るフェイスガードの破片が落ちる前に、迫り来る金色に煌めく右掌をアムロは見詰めた。
そして、叫ぶ。
「力を貸せ!シャア!」
その声に反応したのか、F-91の出力が上がっていく。
が、時既に遅し。
マスターガンダムの右掌、ダークネスフィンガーはF-91の胸部、コクピットに突き刺さり始めていた。
しかし、アムロは諦めない。
F-91は力強く右足を踏み出す。
右足を踏み出すと言うことは、体は僅かに左に下がると言う事。
アムロは機体を斜めに向かせ、強引にダークネスフィンガーの軌道を反らしたのだ。
「う…ォオッ」
「ハッ!やるじゃねぇか!だがっ!!」
とどめの一撃を反らした事に感嘆の声を挙げながらガウルンは益々笑みを深め、追撃の左掌を突き出す。
(奴を倒す!機体はどうなってもいい…いや…刺し違えてでも!)
アムロは機体を軽くしゃがみ込ませ、無事な右手にビームサーベルの柄を握らせる。
「「これで!終わりだぁぁッ!」」
朝日を浴びた二機がぶつかり合う。
二人のパイロットは叫び、力の限り機体を動かす。
夜の乾いた風と朝の湿った空気が混じり合い、弾ける。
そして今度こそ、マスターガンダムの金色の左掌がF-91の胸部、コクピット部分に突き刺さっていく。
その時アムロは機体と自分の命が溢れていくのを確かに感じた。
思えばシャアもこんな気持ちで散ったのだろうか。
(ガロード…後は頼む!)
視界一杯に広がる金色の輝きに呑まれながらアムロは願う。
願わくは──
一方、ガウルンの視界もまたアムロと同じく、光が広がっていた。
(今一瞬で……く…は…ハハハハハッ!)
どんなにマスターガンダムが強くても、パイロットであるガウルンの身体能力が高くても、攻撃を当てた瞬間は必ず動きが停まる。
その瞬間をアムロは狙ったのだ。しかし、出力30%程度ではビームサーベルを維持する事は難しい。だが、一瞬、ほんの一瞬ではどうか?
ほんの一瞬でもビームサーベルを維持出来れば。
つまりはそう言う事。
マスターガンダムのダークネスフィンガーがF-91のコクピット部分に突き刺ささる瞬間、F-91はビームサーベルの柄をマスターガンダムの胸部に押し付け、一瞬だけ、出せる限りの最大出力でビームサーベルを使用したのだ。
弾丸をも気化する程の闘気を纏うハイパーモードでも、直にビームサーベルを出力されれば防げはしない。
マスターガンダムのダークネスフィンガーがF-91の胸部を貫き、その輝きを終える。
F-91のビームサーベルもまた、マスターガンダムの胸部を貫き、同じくその輝きを終えた。
残ったのは、命の輝きを失い、朝日に照される動く事無い二つの機体。
【C-8】
【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF-91(機動戦士ガンダムF-91)
パイロット状況:死亡
機体状況:大破
備考:所持していた首輪は爆散しました】
【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
パイロット状況:死亡
機体状況:大破】
【二日目6:42】
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|本編―|―|
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*&color(red){金色の輝き ◆ah5xuG5D4E}
闇を引き裂く白、F-91は迫る黒、マスターガンダムにビームライフルを三発連続で制射する。が、光条は虚しく避けられてしまい次の瞬間には逆にヒートアクスを振るわれ、赤熱の刃がその肩を掠めた。
「クッ!中々やるっ!」
敵機、マスターガンダムの予想以上の奇抜な動きと戦闘能力にアムロは呻く。
ガンダムタイプ…いや、MSの機動ではない、人間的でより自然な動きから繰り出される攻撃は最高のニュータイプ、連邦の白い悪魔の異名を持ったアムロですら易々と見切れるモノではなかった。
そして、ブゥン!と早朝の清々しい空気を裂き迫るヒートアクスをギリギリの所で見切り、F-91はフルブースト。
マスターガンダムの右側に回り込み、ライフルと頭部バルカンを撃ち込む。
そしてコレ又敵機は無茶苦茶な機動…振り向きながら身を捩り軽く横跳び、右手でアスファルトを鷲掴みにしソレを機転としての回し蹴り。
ビームと無数の弾丸はその漆黒の装甲を掠めただけ。
「おぅりゃっ!って逃げたんかぃ?」
そして、マスターガンダムの回し蹴りも空を切っただけ。
既にF-91は明け方の空に飛び上がっていた。
(接近戦で勝つ可能性は低いが…負ける訳にはいかない!)
引く事も、負ける事も出来ない戦い。
勝つ。
ただそれだけを考えアムロは機体を操る。
ビルとビルとの間、朝日に背を向け…まるで後光を持ったようなF-91はニュータイプを解し、その性能を限界以上に引き出す。
そしてヴェスバー二門を腰だめに、右手にビームライフル、左手にはビームランチャー。
「超高速が可能とするほぼ全方向からの至近距離からの射撃の嵐…外しはしない!当ててみせるっ!」
アムロは吼え、後光を背に、今や金色に輝くF-91は闇を掻き消すべく飛んだ。
──
中々…いや、このゲーム始まって以来最高の獲物だとガウルンは思う。
(操縦技術はカシム以上…んでもって精神面も崩れる事無い…こりゃあ最高の獲物だぜ!)
ほんの数回すれ違って小競り合っただけだが相手の実力は十二分に感じ取れた。
「たまんねぇ…たまんねぇなぁっ!」
これから来るであろう生と死のギリギリのラインを歩く感覚を心待ちにし、ガウルンは気を昂らせる。
そしてその気の昂りに反応し、DG細胞が活性化、彼を取り込もうと浸食速度を上げた。
更にその副産物かDG細胞はガウルン自身をスペックアップ。
迫る黄金の機体にガウルンは叫ぶ。
「ぶち壊してやるぜぇぇぇっ!」
その咆哮が引き金になり、闇に溶ける黒、マスターガンダムは自らを引き裂く様に全身を金色へと輝かす。
「ハァイパァァッ!モォォォッドッ!!」
──
アムロは敵機が金色へと変わった事に多少驚きはしたものの、余り気にはしなかった。
(気にはしない…が戦闘能力は格段に上昇したのは解る!)
ニュータイプの認識力がバイオコンピューターにより増幅された事で敵機の禍々しい力と意思が爆発した様に増えたのを、超高速機動が伴うGと共にヒシヒシと感じる。
相対的距離はもう10mも無い。
低空での超高速機動が巻き起こす土煙が上がるソレより速く、F-91は全ての射撃武器を撃ち込む。
二門のヴェスバーから太い光条が、ビームライフルとビームランチャー鋭い光条が、バルカンとマシンキャノンからは弾丸の嵐が。
そして、攻撃しつつ無軌道な超高速機動で瞬間的に位置を変え、更に砲を放つ。
その動きは端から見るとまるでむ数の同一機体が飛び交う様。
いや、ソレは強ち間違いでは無かった。
機体の能力を限界以上に引き出す事によりバイオコンピューターの強制冷却が行われ、ソレにより機体表面の金属剥離が起こる。
俗に言う“質量を持った分身”
金色の幻影、F-91は攻撃を続ける。
──
先程射ったビームなり弾丸なりが砲口から放たれた瞬間には次の位置に移動し攻撃すると言う矛盾に近い攻撃をマスターガンダムは弾き、避け、見切っていた。
それを可能とするのはDG細胞によりスペックアップされたパイロットの身体能力とハイパーモードになった事で起こる機体能力の大幅の上昇。
そして、ガウルン自身の戦闘狂としての本能。
「ォォオッ!」
舞い上がる土煙や誇りを弾き、瞬間的に全方向から放たれる光と弾丸の嵐を避けてガウルンは吼える。
(分身?機体が増える?超高速?んなもん関係ねぇ。)
「楽しい…楽しいなぁっ!」
マスターガンダムの両の掌が燦然と輝き、光の速さで迫るヴェスバーの太いビームを弾いた。
そして、金色の全身が纏う悪意の闘気が具現化し、質量を持ち始める。
「喰らいな!ダークネスッ」
超至近距離で放たれた弾丸はその闘気に触れ気化し、ヴェスバーのビームを左手で握り潰しマスターガンダムはF-91に肉薄する。
「くそッ!こちらの動きを見切ったと言うのか!?」
モニター一杯に迫る敵機を見詰めアムロは叫んだ。
しかし、叫びながらも必死に機体を動かす。
「フィンガァ──ッ!」
…突き出される右掌を避けられない事は直感的に知った。
だからアムロはジェネレーターに直結していたヴェスバー二門をパージ、更にライフルとランチャーを捨て機体の全出力を左腕のビームシールドに回し構える。
「耐えきれ!うぉぉぉぉぉっ!」
──
C-8を塗り潰す様な凄まじい光が煌めき、その中心部で金色に輝く機体の右腕が、同じく金色に輝く機体の左腕を貫いていた。
そして、一拍置いて形容し難い音と共にF-91の左腕は爆散し、その予想以上に強い余波はF-91を吹き飛ばし崩れかけたビルに叩き付けられる。
「くぅっ…!」
爆発の衝撃とビルへ叩き付けられた時の衝撃が時間差でアムロを襲った。
そして体をシートに固定するハーネスがギチギチと音を立て、ミシミシと骨に皹が入るのを感じた。しかし、苦しむ暇なくアムロは操縦菅を握りフットペダルを踏み込む。
0からMAXスピードへの移行はパイロットであるアムロに更なる圧迫感と苦しみを与えるが構いはしない。
(追撃を受ければ…終わりなんだ!)
強烈なGにより一瞬気を失いかけるが歯を喰い縛り耐える。
だが、無慈悲にもF-91の出力は上がらず急加速はほんの一瞬で終わってしまった。
しまった!と思いながら瞬時にアムロはサブモニターに目を走らせる。
出力120%の状態からの限界以上の機動、そしてソレを行いつつのジェネレーター直結でのヴェスバー乱射。
更にビームシールドに全出力を回し、破られての左腕の爆発がとどめか。
F-91のエンジン及びジェネレーターはオーバーロードし出力は30%を切っていた。
今一瞬のフルブーストは最後の足掻きか、F-91は失速しアスファルトに足を付き慣性で滑り、止まってしまう。
そしてコレを逃すガウルンとマスターガンダムでは無い。
アムロが反応するのとほぼ同時にマスターガンダムはF-91へと飛び出し、左手を下方からアッパーの様に振るう。
そして、マスターガンダムの左手はガリガリとF-91のバイクのラジエーターの様な胸部を削った。
更に返しで裏拳をF-91の顔面に叩き込み、フェイスガードが砕け散る。
バキンッ!
脆く硬質な音を立て砕け散るフェイスガードの破片が落ちる前に、迫り来る金色に煌めく右掌をアムロは見詰めた。
そして、叫ぶ。
「力を貸せ!シャア!」
その声に反応したのか、F-91の出力が上がっていく。
が、時既に遅し。
マスターガンダムの右掌、ダークネスフィンガーはF-91の胸部、コクピットに突き刺さり始めていた。
しかし、アムロは諦めない。
F-91は力強く右足を踏み出す。
右足を踏み出すと言うことは、体は僅かに左に下がると言う事。
アムロは機体を斜めに向かせ、強引にダークネスフィンガーの軌道を反らしたのだ。
「う…ォオッ」
「ハッ!やるじゃねぇか!だがっ!!」
とどめの一撃を反らした事に感嘆の声を挙げながらガウルンは益々笑みを深め、追撃の左掌を突き出す。
(奴を倒す!機体はどうなってもいい…いや…刺し違えてでも!)
アムロは機体を軽くしゃがみ込ませ、無事な右手にビームサーベルの柄を握らせる。
「「これで!終わりだぁぁッ!」」
朝日を浴びた二機がぶつかり合う。
二人のパイロットは叫び、力の限り機体を動かす。
夜の乾いた風と朝の湿った空気が混じり合い、弾ける。
そして今度こそ、マスターガンダムの金色の左掌がF-91の胸部、コクピット部分に突き刺さっていく。
その時アムロは機体と自分の命が溢れていくのを確かに感じた。
思えばシャアもこんな気持ちで散ったのだろうか。
(ガロード…後は頼む!)
視界一杯に広がる金色の輝きに呑まれながらアムロは願う。
願わくは──
一方、ガウルンの視界もまたアムロと同じく、光が広がっていた。
(今一瞬で……く…は…ハハハハハッ!)
どんなにマスターガンダムが強くても、パイロットであるガウルンの身体能力が高くても、攻撃を当てた瞬間は必ず動きが停まる。
その瞬間をアムロは狙ったのだ。しかし、出力30%程度ではビームサーベルを維持する事は難しい。だが、一瞬、ほんの一瞬ではどうか?
ほんの一瞬でもビームサーベルを維持出来れば。
つまりはそう言う事。
マスターガンダムのダークネスフィンガーがF-91のコクピット部分に突き刺ささる瞬間、F-91はビームサーベルの柄をマスターガンダムの胸部に押し付け、一瞬だけ、出せる限りの最大出力でビームサーベルを使用したのだ。
弾丸をも気化する程の闘気を纏うハイパーモードでも、直にビームサーベルを出力されれば防げはしない。
マスターガンダムのダークネスフィンガーがF-91の胸部を貫き、その輝きを終える。
F-91のビームサーベルもまた、マスターガンダムの胸部を貫き、同じくその輝きを終えた。
残ったのは、命の輝きを失い、朝日に照される動く事無い二つの機体。
【C-8】
【アムロ・レイ 搭乗機体:ガンダムF-91(機動戦士ガンダムF-91)
パイロット状況:死亡
機体状況:大破
備考:所持していた首輪は爆散しました】
【ガウルン 搭乗機体:マスターガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
パイロット状況:死亡
機体状況:大破】
【二日目6:42】
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|本編148話|[[疾風、そして白き流星のごとく]]|
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