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*&color(red){風と雷 ◆ZbL7QonnV.} 蒼く、高く、どこまでも澄み切った空の下、大地を駆ける機影があった。 風の魔装機神サイバスターに、雷の魔女ストレーガ。 ナデシコと行動を別にして、およそ小一時間。他の参加者と接触する事も無く、二機の行程は何事も無く進んでいた。 幸いにも、と言うべきか。その平穏な時間は二人にとって、大きなプラスとなっていた。 お互いが持つ情報の確認と、機体特性を掴んだ上での、基本的な戦術の構築。 そして、なによりも機体の慣らし。 ストレーガを駆る兜甲児にとって、ぶっつけ本番の戦闘を行わずに済んだ事は、幸運と言って良いだろう。 「へへっ……こいつの操縦にも大分慣れてきたぜ!  ナデシコの艦長席も悪くはなかったけど、やっぱり俺にはロボットを乗り回してる方が性に合ってるらしいや」 初めて乗り込むタイプのロボット。 操縦方法自体は首輪からの情報伝達で身に付ける事が出来ても、実際に乗りこなすとなれば話は違う。 実戦経験や身体能力は勿論の事だが、その機体に対する“慣れ”も大きく物を言ってくるからだ。 例えば、こんな話がある。 アルバトロ・ナル・エイジ・アスカとゴステロが存在していた次元において、地球はグラドス星の侵略を受けて支配される事になった。 それを不服とする地球人の抵抗組織が、グラドスに対する抵抗の術として選んだ方法。 それはグラドスの兵器であるSPTを原型として、地球製SPTを造り出す事であった。 だが、ここで面白いデータが出ている。 戦闘機や戦車と言った既存の地球兵器に乗り慣れた人間ほど、SPTに対する適正が低かったのである。 むしろ素人に訓練を積ませた方が、SPTを乗りこなすまでに要した訓練時間は短かったと言われている。 これはSPTが独自の曲線運動による機動を行う為、直線的な機動に慣れた人間ほど戸惑いや困惑が大きかったせいとされている。 ストレーガの設計思想は、兜甲児本来の愛機であるマジンガーZと似た所がある。 すなわち装甲と出力に重きを置いた、多彩な武装を有する近接戦闘機体。 そう、スーパーロボットと言われる機体が持つ特徴を両機は共に有していた。 そのおかげもあって、甲児は新しい機体に思ったより早く馴染む事が出来ていた。 甲児の運動能力と反射神経があれば、あまり相性の良くない機体でも充分に乗りこなす事が出来たろう事は想像に難くないが。 「その機体、どうやら君との相性は悪くないらしいな。僅かな間に、見違えるほど動きが良くなっている」 機体の動きを確めるように、時折遠くの岩を撃ったりしながら、ストレーガはサイバスターの後ろに続く。 もちろん、サイバスターは全速力を出してない。 全支給機体中でもトップクラスのスピードを誇るサイバスターと、むしろ鈍重な方に位置付けられるストレーガ。 両者の足並みを合わせるとなれば、サイバスターが速度を落とすしかない。 そのおかげで予想以上の時間が掛かってしまい、未だ目的地である基地に二機は辿り着けていなかった。 もっとも、それは承知の上だ。 アムロ・レイ。彼ほどの男が、そう簡単に死ぬ事はまずあるまい。 おそらくは彼もまた、今の自分と同じように、独自に行動を起こしているはず。 焦る事は何も無い。 だからこそ多少の時間が遅れる事は承知した上で、ブンドルは甲児に機体の慣らしを行うよう勧めていた。 もちろん、甲児も最初は渋った。 だが、不満足な状況で戦闘に突入したところで、出来る事は限られている。 そう冷静に諭されて、ブンドルの意見に甲児も最終的に納得したのであった。 「ああ。これだったら、いつ敵に襲われたって怖くはないぜ! よろしく頼むぜ、相棒!」 ガッツ・ポーズを決めながら、大きく頷いてみせる甲児。 これまで自分の周りには居なかったタイプの人間だな、とブンドルは思う。 幼い頃から名門の家系に生まれ育ち、ドクーガ最高幹部の一人として裏社会の頂点に立ち続けてきた、そんな彼だ。 このように真っ直ぐな熱血少年と時間を共にする事は、これまでの人生で数えるほどにも存在しなかった。 だからこそ、多少の新鮮味を感じないでもない。 だが、それにしても……。 「……相棒、か」 「? どうしたんだい、ブンドルさん」 「いや、なに。私の知っている人間に、今の君と同じような事を言っている少年が居たのでね」 メカは友達。 自分の機体を“相棒”と呼ぶ甲児の姿に、そんな言葉を思い出した。 真田ケン太。 ビムラーの大いなる意思によって選び出された新人類。 悪意の集合体であるネオネロスと戦いを繰り広げ、そして宇宙に飛び立った少年。 ……そういえば、良く似ている。 真田ケン太とネオネロス。二つの相反する巨大な力を戦い合わせ、その勝敗によってビムラーは“人類の代表”を選定した。 ならば、もしかすると、この殺し合いも……。 「……なあ、ブンドルさん」 「ん……?」 ふと思い出したような甲児の声に、耽り掛けていた思考を中断する。 「そういえば、この機体……ストレーガって、確か魔女って意味の名前なんだっけ?」 「そうだが……」 「ふ~ん……だけど、それにしちゃあ“女の子”には見えないよなぁ、コイツ。 俺が知ってる女の子型ロボットって言えば、もっとこう……」 アフロダイA。 兜甲児のガールフレンドである、弓さやかの愛用機。その姿を思い浮かべて、甲児は冷静に考える。 もし、このストレーガが、ああいった自分が良く知る“女の子型ロボット”と同様のセンスで造られていたならば……。 「……お前の設計者には感謝しなきゃな。 おっぱいサンダーは、流石にちょっと恥ずかしいや」 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)  パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している)  機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持  現在位置:E-7  第一行動方針:他の参加者との接触  第二行動方針:次の放送までに基地へ向かう  第三行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す  第四行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊  最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ  備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能     空間の綻びを認識     ガウルンを危険人物として認識     操者候補の一人としてカミーユに興味】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)  パイロット状態:良好  機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し)  現在位置:E-7  第一行動方針:ブンドルに同行  第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める  最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【二日目10:00】 ---- |BACK||NEXT| |[[黄金の精神]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[すべて、撃ち貫くのみ>すべて、撃ち貫くのみ(1)]]| |[[生き残る罪]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[変わりゆくもの]]| |BACK||NEXT| |[[判り合える心も 判り合えない心も]]|ブンドル|[[仮面の奥で静かに嗤う]]| |[[判り合える心も 判り合えない心も]]|甲児|[[仮面の奥で静かに嗤う]]| ----
*&color(red){風と雷 ◆ZbL7QonnV.} 蒼く、高く、どこまでも澄み切った空の下、大地を駆ける機影があった。 風の魔装機神サイバスターに、雷の魔女ストレーガ。 ナデシコと行動を別にして、およそ小一時間。他の参加者と接触する事も無く、二機の行程は何事も無く進んでいた。 幸いにも、と言うべきか。その平穏な時間は二人にとって、大きなプラスとなっていた。 お互いが持つ情報の確認と、機体特性を掴んだ上での、基本的な戦術の構築。 そして、なによりも機体の慣らし。 ストレーガを駆る兜甲児にとって、ぶっつけ本番の戦闘を行わずに済んだ事は、幸運と言って良いだろう。 「へへっ……こいつの操縦にも大分慣れてきたぜ!  ナデシコの艦長席も悪くはなかったけど、やっぱり俺にはロボットを乗り回してる方が性に合ってるらしいや」 初めて乗り込むタイプのロボット。 操縦方法自体は首輪からの情報伝達で身に付ける事が出来ても、実際に乗りこなすとなれば話は違う。 実戦経験や身体能力は勿論の事だが、その機体に対する“慣れ”も大きく物を言ってくるからだ。 例えば、こんな話がある。 アルバトロ・ナル・エイジ・アスカとゴステロが存在していた次元において、地球はグラドス星の侵略を受けて支配される事になった。 それを不服とする地球人の抵抗組織が、グラドスに対する抵抗の術として選んだ方法。 それはグラドスの兵器であるSPTを原型として、地球製SPTを造り出す事であった。 だが、ここで面白いデータが出ている。 戦闘機や戦車と言った既存の地球兵器に乗り慣れた人間ほど、SPTに対する適正が低かったのである。 むしろ素人に訓練を積ませた方が、SPTを乗りこなすまでに要した訓練時間は短かったと言われている。 これはSPTが独自の曲線運動による機動を行う為、直線的な機動に慣れた人間ほど戸惑いや困惑が大きかったせいとされている。 ストレーガの設計思想は、兜甲児本来の愛機であるマジンガーZと似た所がある。 すなわち装甲と出力に重きを置いた、多彩な武装を有する近接戦闘機体。 そう、スーパーロボットと言われる機体が持つ特徴を両機は共に有していた。 そのおかげもあって、甲児は新しい機体に思ったより早く馴染む事が出来ていた。 甲児の運動能力と反射神経があれば、あまり相性の良くない機体でも充分に乗りこなす事が出来たろう事は想像に難くないが。 「その機体、どうやら君との相性は悪くないらしいな。僅かな間に、見違えるほど動きが良くなっている」 機体の動きを確めるように、時折遠くの岩を撃ったりしながら、ストレーガはサイバスターの後ろに続く。 もちろん、サイバスターは全速力を出してない。 全支給機体中でもトップクラスのスピードを誇るサイバスターと、むしろ鈍重な方に位置付けられるストレーガ。 両者の足並みを合わせるとなれば、サイバスターが速度を落とすしかない。 そのおかげで予想以上の時間が掛かってしまい、未だ目的地である基地に二機は辿り着けていなかった。 もっとも、それは承知の上だ。 アムロ・レイ。彼ほどの男が、そう簡単に死ぬ事はまずあるまい。 おそらくは彼もまた、今の自分と同じように、独自に行動を起こしているはず。 焦る事は何も無い。 だからこそ多少の時間が遅れる事は承知した上で、ブンドルは甲児に機体の慣らしを行うよう勧めていた。 もちろん、甲児も最初は渋った。 だが、不満足な状況で戦闘に突入したところで、出来る事は限られている。 そう冷静に諭されて、ブンドルの意見に甲児も最終的に納得したのであった。 「ああ。これだったら、いつ敵に襲われたって怖くはないぜ! よろしく頼むぜ、相棒!」 ガッツ・ポーズを決めながら、大きく頷いてみせる甲児。 これまで自分の周りには居なかったタイプの人間だな、とブンドルは思う。 幼い頃から名門の家系に生まれ育ち、ドクーガ最高幹部の一人として裏社会の頂点に立ち続けてきた、そんな彼だ。 このように真っ直ぐな熱血少年と時間を共にする事は、これまでの人生で数えるほどにも存在しなかった。 だからこそ、多少の新鮮味を感じないでもない。 だが、それにしても……。 「……相棒、か」 「? どうしたんだい、ブンドルさん」 「いや、なに。私の知っている人間に、今の君と同じような事を言っている少年が居たのでね」 メカは友達。 自分の機体を“相棒”と呼ぶ甲児の姿に、そんな言葉を思い出した。 真田ケン太。 ビムラーの大いなる意思によって選び出された新人類。 悪意の集合体であるネオネロスと戦いを繰り広げ、そして宇宙に飛び立った少年。 ……そういえば、良く似ている。 真田ケン太とネオネロス。二つの相反する巨大な力を戦い合わせ、その勝敗によってビムラーは“人類の代表”を選定した。 ならば、もしかすると、この殺し合いも……。 「……なあ、ブンドルさん」 「ん……?」 ふと思い出したような甲児の声に、耽り掛けていた思考を中断する。 「そういえば、この機体……ストレーガって、確か魔女って意味の名前なんだっけ?」 「そうだが……」 「ふ~ん……だけど、それにしちゃあ“女の子”には見えないよなぁ、コイツ。 俺が知ってる女の子型ロボットって言えば、もっとこう……」 アフロダイA。 兜甲児のガールフレンドである、弓さやかの愛用機。その姿を思い浮かべて、甲児は冷静に考える。 もし、このストレーガが、ああいった自分が良く知る“女の子型ロボット”と同様のセンスで造られていたならば……。 「……お前の設計者には感謝しなきゃな。 おっぱいサンダーは、流石にちょっと恥ずかしいや」 【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)  パイロット状態:良好(主催者に対する怒りは沈静、精神面の疲労も持ち直している)  機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持  現在位置:E-7  第一行動方針:他の参加者との接触  第二行動方針:次の放送までに基地へ向かう  第三行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す  第四行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊  最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ  備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能     空間の綻びを認識     ガウルンを危険人物として認識     操者候補の一人としてカミーユに興味】 【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)  パイロット状態:良好  機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し)  現在位置:E-7  第一行動方針:ブンドルに同行  第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める  最終行動方針:アインストたちを倒す 】 【二日目10:00】 ---- |BACK||NEXT| |[[黄金の精神]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[すべて、撃ち貫くのみ>すべて、撃ち貫くのみ(1)]]| |[[生き残る罪]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[獲物の旅]]| |BACK||NEXT| |[[判り合える心も 判り合えない心も]]|ブンドル|[[仮面の奥で静かに嗤う]]| |[[判り合える心も 判り合えない心も]]|甲児|[[仮面の奥で静かに嗤う]]| ----

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