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*&color(red){無題(IF41) ◆VvWRRU0SzU } 柔らかな朝日が廃墟を照らす。 数時間前までは多くの人が同じ時間を過ごした基地も、今は静寂が支配していた。 その静寂の中、動く影が一つ。 蒼い体躯、孤狼が駆る鋼鉄の巨人。 かつてキョウスケ・ナンブだったモノが操る、かつてアルトアイゼンと呼ばれていたモノ―――ゲシュペンストMkⅢ。 蒼の巨人が立つその足元には、粉々となった赤銅色の装甲片―――かつてディバリウムと呼ばれていたモノが散乱している。 今少し前、新たに基地へと現れた二機。その片方がここで散り、もう片方はいずこへと逃げ失せた。 キョウスケ・ナンブは―――アインストになった男は最前の戦闘を反芻する。 敵機は二機。どちらも砲撃戦用と思しき機体。 人型はともかく、四肢のない機体に乗っていた男。あれは手強かった。 自らの生い立ちを呪う兄弟。人間の持つ憎しみがどれほどの力を生むのか、少し理解できたような気がした。 不可解なのは、何故こちらを地下に突き落としておきながら自らは撤退しなかったのか。 あの機体では太刀打ちできないと、あの聡い男なら早々に悟ったはずだが。 まあ、今となってはどうでもいいことだ。ここに、噛み砕いた残骸が転がっているのだから。 それよりも。地下に落とされたおかげでこの機体の弱点の一つたるアウトレンジ用の武装が手に入った。 ディバイデッド・ライフル。大出力のビームのみならず近接戦時には打突用の鈍器としても使用可能。 敵の懐に飛び込むことが前提のこの機体との相性は最高と言っていい。 武装面では死角はほぼなくなったと言えるだろう。 だが一つ、気にかかるとすれば。赤銅色の機体に組みついたときのことだ。 あのときに勝負は決まっていてもおかしくはなかった。両腕でしっかりと取り押さえていたこちらに対し、敵機には振り払う腕も蹴り飛ばす脚も無かったのだから。 だが、あの男は至近距離での砲撃により、己が傷つく事も厭わずゲシュペンストを引き剥がした。 ビームコートで減衰したとはいえ、あの距離での砲撃は確かにこの機体に損傷を与えていた。 機体の中央―――アインストの核に直撃していれば、あるいは撃破されていたかもしれない。 接近戦ならどうとでもなる。杭、散弾地雷、強固な装甲。この機体に敵うものはそうそうない。 だが、もしディバイデッド・ライフルでは対応不能な距離から高出力の砲撃―――例えば艦砲射撃―――を、ピンポイントで叩きこまれれば。 ゲシュペンストは最大加速には優れていても、機動性、旋回性はそれほどでもない。前衛の機体に抑え込まれ、後衛が狙撃を担当するならば、かなりの確率で敗北もあり得る。 結論―――対策が必要だ。 瓦礫の影に埋もれる一つの巨影を掘り起こす。 メリクリウス。 ローマ神話の神の名を冠し、「最強の盾」のコンセプトのもと開発された機体。 今はその身に操縦者を乗せることなく、ただ打ち捨てられていたのみだった。 基地が崩壊した時の余波にやられたか、もはや大破していると言っていい状態だ。 右腕を掲げる。巨大な杭打ち機、リボルビング・バンカー。 左腕でメリクリウスを掴み上げ、コックピットへ向けて打ち込んだ。 胸の宝玉が明滅し、杭で繋がったメリクリウスへと伝わっていく。 血流のように光がメリクリウスの全身へと行き渡り……しかし唐突に掻き消えた。 この「器」では、その個体のみで存在できる同胞は生み出せない。つまり、この身一つで戦い抜くしかないようだ。 それを確認したゲシュペンストは、右腕を引き抜き、崩れ落ちたメリクリウスを蹴り上げる。 宙に舞うそれが落ちてくる前に、頭部の角が赤熱。超高熱の刃となり、メリクリウスを胴体半ばから断ち割った。 切り離された上半身から、背部のプラネイトディフェンサーを強引に取り外す。 ビルトファルケンから取り込んだウイングの下部へ、プラネイトディフェンサーを押し付けた。 見る間に装甲が癒着し、回路が接続。 アインストのエネルギーが浸透し、正常に使用可能となるまで―――約30分。 次に、大破した大型機、月のローズセラヴィーへと向き直る。 エネルギー残量0、エネルギーデバイス全機消失。唯一原形を留めているといえる武装は、Jカイザー……大砲のみ。 これも取り込もうとして右腕を掲げるも、直前で動きを止める。 Jカイザーは軽くゲシュペンストMKⅢの体長ほどの大きさである。無理に使えないこともないが、取り回しは最悪だ。 それに何よりも、「器」の記憶にあるこの機体の使い方に合致しない。 取り込むことを諦め、距離を取る。 この箱庭にはまだ数多くの人間が生きている。そしてこの時まで生き延びているそれらは、戦闘に秀でていることが予想される。 この先、一対多の戦闘が増えるだろう。ゲシュペンストには、赤銅色の機体のように広範囲に攻撃できる武装はない。 つまり、狙うべきは一撃必殺。一機に時間をかけず、まず数の利を減らす。 最小の動作で、最高の結果を得るために。 「器」の記憶を検索。最も使用されていたモーションパターンを発見。 ウイング展開、ドライブ全開。バンカーをセット、ローズセラヴィーへと突撃する。 左腕の三連装マシンキャノンが火を噴く。 散らされた砲弾はローズセラヴィーの装甲表面を跳ね回り、穴を穿っていく。 検索した記憶では、これで敵機の動きは鈍る。 そこへ、突進の勢いのままバンカーを突き刺し、軽々と頭上へ抱え上げる。 わずか20m足らずのゲシュペンストが、50mを超えるローズセラヴィーを、片手で。 弾倉内の火薬が爆ぜ、響く六連の爆音。主なき機体の中央に深々と穿たれた空洞―――そこに。 至近距離での炸裂鋼球弾、スクエア・クレイモア。 距離を取れば広範囲に拡散し命中率が下がるこの武装は、裏を返せば近距離で最大の威力を発揮する。 跳弾の危険性など考えもしない。極近距離で撃ち出された鋼球は過たずローズセラヴィーを捕らえ、爆音と共に弾け光となり引き裂いていく。 既にバンカーの衝撃により芯に致命的なダメージを負っていたローズセラヴィーの装甲は、一つとして鋼球を弾き返すことはできず。 やがて鋼鉄の嵐が吹き去り……わずか数秒で、50mを超える巨体は欠片一つ残さず消え去った。 先程の戦闘、そして今終えたモーションパターンの確認。次からはもっと効率的にこの機体を操れるだろう。 機体の状態は良好。プラネイトディフェンサー、使用可能。消費した弾薬の生成も完了した。 出撃の準備は整った。 これからどうするか……さしあたってすることはない。ただ、遭遇した存在を撃ち貫くのみ。 先程の人間達のように、生き残っている者はここを目指しているのだろうか? なら、待ってみるのも悪くない。時間はいくらでもある。待つことには慣れている。 そうして、ゲシュペンストは一切の動きを止めた。まるで唐突な死を迎えたように。 壊滅した基地を静寂が覆う。静かな―――しかし、僅かな物音で全てが崩れ去るような、張り詰めた空気で満たされる。 孤狼は、ただ待ち続ける。 己が眠りを妨げるものを、新たな可能性を示すものを。 鋼鉄の棺の中で、男はただ、待ち続ける――― 【キョウスケ・ナンブ  搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2)  パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染。  機体状況:アインスト化。ディバイデッド・ライフルを所持。 プラネイトディフェンサー装備。  現在位置:G-6基地跡地  第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く  第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。  最終行動方針:???  備考1:機体・パイロットともにアインスト化。  備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。       ただしアインスト化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。        ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。       実弾装備はアインストの生体部品で生成可能。       胸部中央に赤い宝玉が出現】 【二日目 10:30】 ---- |本編―|―| ----

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