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東北東に進路を取れ」(2008/01/27 (日) 19:10:32) の最新版変更点

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*&color(red){東北東に進路を取れ ◆eK/Y5OG4jw} 「あ、あの・・・すみません。あなたはこのゲームに乗った人ですか?  乗っていないのなら・・・よければなんですけどこのゲームから逃げるために協力しませんか?」 Jアークに相対する白い機動兵器、そのパイロットが発した言葉に驚いたというより呆れ返って、 ジョナサン・グレーンは返事代わりに鼻を一度鳴らして見せた。 周囲に敵影は無し。だからというのでは無いだろうが、随分と暢気なことを言うものだと脱力する。 あの少年とて見ただろう。あの異形の化け物の幻影を、主催者の楯突いた女の無残な死に様を。 それを踏まえた上でそんな考えに至るとは、度胸があるのか考え無しなのか。 こちらを欺く策かとも思ったが、正面からノコノコ顔を出した地点で策としては下の下だ。 ならばあの少年は、生まれついてのお人好しか――もしくは、人の善意で世界が救えると思っているような偽善者か。 どのみち、ジョナサンの好むところではない。 いっそ回線を開かぬままミサイルでもぶち込んでやろうかと思った矢先、トモロが声を掛けてきた。 『どうするつもりだ、ジョナサン・グレーン』 「黙っていろよ計算機、俺はあやつにいかにして現実の厳しさを教えてやるかを考えるのに忙しい」 『コンピューターから計算機への格下げとは、随分な物言いだな』 「ハッ、機能不全のコンピューターに他の使い道などあるものかよ」 その後のトモロの反論とその他諸々を無視し、ジョナサンは考える。 もしもあの少年がこのゲームを壊す為の人身御供にでもなるつもりなら、それは賞賛に値する。なんなら花の一つも贈ってやっていい。 それとも脱出の為の策でもあるのか。それならそれで、協力した上でそのお零れに預かるのも悪くない。 だが、そうでは無かったら。ただ浮ついた理想論だけでそういうセリフを吐くのなら。 そんな奴に振り回されるのは迷惑だ。むしろ足手まとい以外の何者でもない。 それにここで自分が手を貸さなくても、いずれ他の誰かに騙された上で裏切られて無様に死ぬだろう。 それこそ、ジョナサンの知ったことでは無いが。 ただ――ふと、気紛れが起こった。 「おい、計算機」 『トモロ0117だと言っている。いい加減に旧時代の電子機械と一緒にするのはやめてもらおう』 「気を悪くしたのか? そいつは済まなかった。ところでトモロよ、対地レーザー、照準だ」 『あの機体を狙うのか?』 「命まで奪ってやる気は無い。あいつの正義感とやらがどれだけで音を上げるか、試してやるんだよ」 『照準は僅かに外す、ということか』 「お、物分りがいいじゃないか。確かに計算機と呼ぶには少しばかり気が回るなぁ?」 『…………』 「おっと、拗ねるなよ。まずは砲門を向けてくれ……そら、第一射、撃てよ!」 まずは小手調べ。これで逃げ出すか、あるいは襲い掛かってくるようでは話にならない。 レーザーは狙いあやまたず白い機体の足元から僅か5メートルの位置に着弾してその地面を抉った。 モニター越しに、相手の驚きと緊張が伝わってくる。 続けて第二射を放とうとして、ジョナサンはふと素朴な疑問に思い当たった。 「……トモロよ。もしあやつが打ち返してきて、そのまま俺が花畑を駆け回るような羽目にはなり得るか?」 『お前なら花畑より紅蓮の釜がお似合いだが……生憎、このJアークを舐めて貰っては困る』 「……あー、そうかよ」 口ぶりから察するに、相手の攻撃でこちらが一撃でお陀仏という事にはならないらしい。一安心といったところだ。 ついでにトモロの発言の前半部分は聞かなかった事にしてやる。俺という男は実に心が広い。 「さて、改めて第二射ぁ!」 先ほどとは逆に右側4メートル。さっきよりも狙いは絞ってある。 すでに威嚇射撃の意図は先方にも伝わったはずだ。 さて、どう動くか…… 通信。 「待って下さい! 話を、話を聞いて下さい!」 ジョナサンの眉間に皺が寄る。 どうやらこのまま説得を続けるつもりか。妙に気分が悪い。 ならばいつまで持つか、付き合ってやろう。 「トモロ、等間隔で連続砲撃! 少しずつ狙いはあやつのマシンに近づけていけよ!」 『機械遣いが荒いぞ、ジョナサン・グレーン』 連続して放たれるレーザーが、F91周辺に集中する。 脚部を掠め、アンテナのすぐそばを通過し、ボディの僅か2、3メートル脇の空間が撃ち貫かれる。 白い機体は反撃無しには飛び立つ事すら出来ないはずだ。 続けてミサイル。恐怖感を煽る為、あえて狙いを大きく外して爆煙で視界を遮る。 目を塞がれた状態でレーザーに狙われ、それでもまだ言葉を投げ掛ける元気があるか―― その疑問が晴れるのに、そう時間は掛からなかった。 「駄目なんだ……僕達は、いや僕達だけじゃない!   このゲームに連れて来られた誰だって、このゲームに乗せられたまま殺し合うべきじゃないんだ!  確かに僕達はあの化け物の掌の上で踊らされるしかないのかも知れないけど……それでも、何か方法があるはずです!  闇雲に憎しみの連鎖を繰り返すだけじゃ駄目なんですよ! 僕達にだって、何かやれる事が!」 説得、というより自分の底から言葉を吐き出しているような少年の声に、ジョナサンはしばし呆然とする。 発言から察するに、本当に奴は無策らしい。何一つ主催者に抗う術をもってはいないのだ。 それなのに何故、奴はあそこまでゲームを止めるという意思に疑いを持たない? 分が悪すぎる。誰が考えたって、あの化け物に相対するよりは大人しく従ってやった方が賢明というものだ。 それなのに、何故? そこまで考えて、急に先ほどから感じていた不快感の正体にジョナサンは思い当たった。 あやつは、ユウの奴に似ているのだ。 欠陥品のブレンパワードに乗ってオルファンを飛び出し、ノヴィス・ノアの一員となってリクレイマーの敵となったユウに。 何の考えも無いくせにオルファンを止めると言い、リクレイマー以外のやり方を見つけようとしているユウに。 奴の真っ直ぐさが気に食わなかった。理想を語るところが気に食わなかった。 それでも、あの雪山の一件……リバイバルのチャクラ光の中から生還してから、奴の何かが変わった。 まるで自分の道を見据え、迷わずに一歩一歩前進する、そういった「覚悟」を感じるようになったのだ。 そして、その覚悟に似た何かを目の前の少年からも感じる。 ユウに対してそうであるように、ジョナサンは彼の事は好きになれそうにない。 それでも、少しは興味が湧いた。ユウと似たあの少年が、この状況下でどういう道を選ぶのか。 「……トモロ、砲撃は止めだ」 本日二度目の気紛れ。ジョナサンは、白い機体との通信回線を開いた。 まずは威嚇射撃の詫びを入れ、それからジョナサンは少年――キラ・ヤマトというらしい――の話を聞いていた。 どうやら彼には知り合いの少女がいるらしく、まずは彼女との合流を果たしたいらしい。 それから、仲間を集めてなるべく死者を出さずにゲームを止める方法を探す。 彼は言った。殺して殺されて、それを繰り返すだけでは何も生まれないと。 青い、実に青臭い理想論だとジョナサンは思う。 だから、こう言ってやった。 「俺は理想論というものに何の興味も持っちゃあいないし、綺麗事を吐くだけの能無しなど死ねばいいと思っている」 キラもそんな事を面と向かって言われるとは思っていなかったらしく、口をだらしなく開けている。 ただ、ジョナサンも少し言い過ぎたかと思ったのもあり、言葉を付け足した。 「だが、ちょうど俺も探し人がいるのでなぁ、クインシィ・イッサーというのだが……  オルファンのクイーンにはしかるべき座に付いてもらわねば、バロンに選ばれたこの俺の名折れというものだ。  貴様の品定めはその道中でも遅くはあるまい?」 「え!? それじゃ……一緒に来てくれるんですか!?」 「勘違いするな、お前が俺についてくるなら構わないと言ったんだ。  まぁ乗れよ、オーガニックなるものの加護を持たないただのマシンでは、空をあても無く飛び続ける訳にもいかないだろうが」 「は……はいっ!」 ホバリングを繰り返したF91が、Jアークの艦上部に着陸する。 「まずはこの箱庭とやらの中央の市街地を経由した上で、北西の都市エリアを目指す。  人探しは人が集まりそうなところからが基本だ。異論は無いな?」 「はい。それと……ありがとうございます、ジョナサンさん」 「なっ……別に俺は礼を言われるようなことなどしていない!」 『照れるものではないぞ、ジョナサン・グレーン』 「うるさい! 黙っていろよ計算機が!」 白い箱舟は、こうして東北東の市街地へと飛び立った。 Jアークの艦上。キラ・ヤマトは、安堵の息をついていた。 敵艦からの砲撃を受けた時はどうなるかと思ったが、それでも最終的には共に行動する事が出来るようになった。 あのジョナサンという人は自分の事を決して好意的に見ているばかりではないようだが、 それでも同行を許してくれたことは純粋に嬉しかった。 楽観的すぎる見方だとは分かっているが、これなら他の参加者とも分かり合える気がしてくる。 そう、一度は互いに銃を向け合った親友とも分かり合えたのだ。希望を捨ててはいけない。 決意の宿る瞳で、キラは遥か進路上の空へと視線を延ばす。 (待ってて、ラクス……今、迎えに行く!) これから5時間後の放送で何を知ることになるのか、この時の少年は何も知らなかった。 【ジョナサン・グレーン(ブレンパワード)   搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)  現在位置:Bー4上空  パイロット状態:健康  機体状態:良好 (キングジェイダーへの変形は不可)  第一行動方針:クインシィの捜索  第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする  最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 【キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED)  搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91)  現在位置:B-4・Jアーク艦上  パイロット状態:健康  機体状態:良好  第一行動方針:ジョナサンと共にラクス及びクインシィを捜索する  第二行動方針:ジョナサンの信用を得る  第三行動方針:ゲームに乗ってない参加者を見つける  最終行動方針:なるべく死者を出さずにゲームを止める】 【初日:12:55】 ----
*&color(red){東北東に進路を取れ ◆eK/Y5OG4jw} 「あ、あの・・・すみません。あなたはこのゲームに乗った人ですか?  乗っていないのなら・・・よければなんですけどこのゲームから逃げるために協力しませんか?」 Jアークに相対する白い機動兵器、そのパイロットが発した言葉に驚いたというより呆れ返って、 ジョナサン・グレーンは返事代わりに鼻を一度鳴らして見せた。 周囲に敵影は無し。だからというのでは無いだろうが、随分と暢気なことを言うものだと脱力する。 あの少年とて見ただろう。あの異形の化け物の幻影を、主催者の楯突いた女の無残な死に様を。 それを踏まえた上でそんな考えに至るとは、度胸があるのか考え無しなのか。 こちらを欺く策かとも思ったが、正面からノコノコ顔を出した地点で策としては下の下だ。 ならばあの少年は、生まれついてのお人好しか――もしくは、人の善意で世界が救えると思っているような偽善者か。 どのみち、ジョナサンの好むところではない。 いっそ回線を開かぬままミサイルでもぶち込んでやろうかと思った矢先、トモロが声を掛けてきた。 『どうするつもりだ、ジョナサン・グレーン』 「黙っていろよ計算機、俺はあやつにいかにして現実の厳しさを教えてやるかを考えるのに忙しい」 『コンピューターから計算機への格下げとは、随分な物言いだな』 「ハッ、機能不全のコンピューターに他の使い道などあるものかよ」 その後のトモロの反論とその他諸々を無視し、ジョナサンは考える。 もしもあの少年がこのゲームを壊す為の人身御供にでもなるつもりなら、それは賞賛に値する。なんなら花の一つも贈ってやっていい。 それとも脱出の為の策でもあるのか。それならそれで、協力した上でそのお零れに預かるのも悪くない。 だが、そうでは無かったら。ただ浮ついた理想論だけでそういうセリフを吐くのなら。 そんな奴に振り回されるのは迷惑だ。むしろ足手まとい以外の何者でもない。 それにここで自分が手を貸さなくても、いずれ他の誰かに騙された上で裏切られて無様に死ぬだろう。 それこそ、ジョナサンの知ったことでは無いが。 ただ――ふと、気紛れが起こった。 「おい、計算機」 『トモロ0117だと言っている。いい加減に旧時代の電子機械と一緒にするのはやめてもらおう』 「気を悪くしたのか? そいつは済まなかった。ところでトモロよ、対地レーザー、照準だ」 『あの機体を狙うのか?』 「命まで奪ってやる気は無い。あいつの正義感とやらがどれだけで音を上げるか、試してやるんだよ」 『照準は僅かに外す、ということか』 「お、物分りがいいじゃないか。確かに計算機と呼ぶには少しばかり気が回るなぁ?」 『…………』 「おっと、拗ねるなよ。まずは砲門を向けてくれ……そら、第一射、撃てよ!」 まずは小手調べ。これで逃げ出すか、あるいは襲い掛かってくるようでは話にならない。 レーザーは狙いあやまたず白い機体の足元から僅か5メートルの位置に着弾してその地面を抉った。 モニター越しに、相手の驚きと緊張が伝わってくる。 続けて第二射を放とうとして、ジョナサンはふと素朴な疑問に思い当たった。 「……トモロよ。もしあやつが打ち返してきて、そのまま俺が花畑を駆け回るような羽目にはなり得るか?」 『お前なら花畑より紅蓮の釜がお似合いだが……生憎、このJアークを舐めて貰っては困る』 「……あー、そうかよ」 口ぶりから察するに、相手の攻撃でこちらが一撃でお陀仏という事にはならないらしい。一安心といったところだ。 ついでにトモロの発言の前半部分は聞かなかった事にしてやる。俺という男は実に心が広い。 「さて、改めて第二射ぁ!」 先ほどとは逆に右側4メートル。さっきよりも狙いは絞ってある。 すでに威嚇射撃の意図は先方にも伝わったはずだ。 さて、どう動くか…… 通信。 「待って下さい! 話を、話を聞いて下さい!」 ジョナサンの眉間に皺が寄る。 どうやらこのまま説得を続けるつもりか。妙に気分が悪い。 ならばいつまで持つか、付き合ってやろう。 「トモロ、等間隔で連続砲撃! 少しずつ狙いはあやつのマシンに近づけていけよ!」 『機械遣いが荒いぞ、ジョナサン・グレーン』 連続して放たれるレーザーが、F91周辺に集中する。 脚部を掠め、アンテナのすぐそばを通過し、ボディの僅か2、3メートル脇の空間が撃ち貫かれる。 白い機体は反撃無しには飛び立つ事すら出来ないはずだ。 続けてミサイル。恐怖感を煽る為、あえて狙いを大きく外して爆煙で視界を遮る。 目を塞がれた状態でレーザーに狙われ、それでもまだ言葉を投げ掛ける元気があるか―― その疑問が晴れるのに、そう時間は掛からなかった。 「駄目なんだ……僕達は、いや僕達だけじゃない!   このゲームに連れて来られた誰だって、このゲームに乗せられたまま殺し合うべきじゃないんだ!  確かに僕達はあの化け物の掌の上で踊らされるしかないのかも知れないけど……それでも、何か方法があるはずです!  闇雲に憎しみの連鎖を繰り返すだけじゃ駄目なんですよ! 僕達にだって、何かやれる事が!」 説得、というより自分の底から言葉を吐き出しているような少年の声に、ジョナサンはしばし呆然とする。 発言から察するに、本当に奴は無策らしい。何一つ主催者に抗う術をもってはいないのだ。 それなのに何故、奴はあそこまでゲームを止めるという意思に疑いを持たない? 分が悪すぎる。誰が考えたって、あの化け物に相対するよりは大人しく従ってやった方が賢明というものだ。 それなのに、何故? そこまで考えて、急に先ほどから感じていた不快感の正体にジョナサンは思い当たった。 あやつは、ユウの奴に似ているのだ。 欠陥品のブレンパワードに乗ってオルファンを飛び出し、ノヴィス・ノアの一員となってリクレイマーの敵となったユウに。 何の考えも無いくせにオルファンを止めると言い、リクレイマー以外のやり方を見つけようとしているユウに。 奴の真っ直ぐさが気に食わなかった。理想を語るところが気に食わなかった。 それでも、あの雪山の一件……リバイバルのチャクラ光の中から生還してから、奴の何かが変わった。 まるで自分の道を見据え、迷わずに一歩一歩前進する、そういった「覚悟」を感じるようになったのだ。 そして、その覚悟に似た何かを目の前の少年からも感じる。 ユウに対してそうであるように、ジョナサンは彼の事は好きになれそうにない。 それでも、少しは興味が湧いた。ユウと似たあの少年が、この状況下でどういう道を選ぶのか。 「……トモロ、砲撃は止めだ」 本日二度目の気紛れ。ジョナサンは、白い機体との通信回線を開いた。 まずは威嚇射撃の詫びを入れ、それからジョナサンは少年――キラ・ヤマトというらしい――の話を聞いていた。 どうやら彼には知り合いの少女がいるらしく、まずは彼女との合流を果たしたいらしい。 それから、仲間を集めてなるべく死者を出さずにゲームを止める方法を探す。 彼は言った。殺して殺されて、それを繰り返すだけでは何も生まれないと。 青い、実に青臭い理想論だとジョナサンは思う。 だから、こう言ってやった。 「俺は理想論というものに何の興味も持っちゃあいないし、綺麗事を吐くだけの能無しなど死ねばいいと思っている」 キラもそんな事を面と向かって言われるとは思っていなかったらしく、口をだらしなく開けている。 ただ、ジョナサンも少し言い過ぎたかと思ったのもあり、言葉を付け足した。 「だが、ちょうど俺も探し人がいるのでなぁ、クインシィ・イッサーというのだが……  オルファンのクイーンにはしかるべき座に付いてもらわねば、バロンに選ばれたこの俺の名折れというものだ。  貴様の品定めはその道中でも遅くはあるまい?」 「え!? それじゃ……一緒に来てくれるんですか!?」 「勘違いするな、お前が俺についてくるなら構わないと言ったんだ。  まぁ乗れよ、オーガニックなるものの加護を持たないただのマシンでは、空をあても無く飛び続ける訳にもいかないだろうが」 「は……はいっ!」 ホバリングを繰り返したF91が、Jアークの艦上部に着陸する。 「まずはこの箱庭とやらの中央の市街地を経由した上で、北西の都市エリアを目指す。  人探しは人が集まりそうなところからが基本だ。異論は無いな?」 「はい。それと……ありがとうございます、ジョナサンさん」 「なっ……別に俺は礼を言われるようなことなどしていない!」 『照れるものではないぞ、ジョナサン・グレーン』 「うるさい! 黙っていろよ計算機が!」 白い箱舟は、こうして東北東の市街地へと飛び立った。 Jアークの艦上。キラ・ヤマトは、安堵の息をついていた。 敵艦からの砲撃を受けた時はどうなるかと思ったが、それでも最終的には共に行動する事が出来るようになった。 あのジョナサンという人は自分の事を決して好意的に見ているばかりではないようだが、 それでも同行を許してくれたことは純粋に嬉しかった。 楽観的すぎる見方だとは分かっているが、これなら他の参加者とも分かり合える気がしてくる。 そう、一度は互いに銃を向け合った親友とも分かり合えたのだ。希望を捨ててはいけない。 決意の宿る瞳で、キラは遥か進路上の空へと視線を延ばす。 (待ってて、ラクス……今、迎えに行く!) これから5時間後の放送で何を知ることになるのか、この時の少年は何も知らなかった。 【ジョナサン・グレーン(ブレンパワード)   搭乗機体:Jアーク(勇者王ガオガイガー)  現在位置:Bー4上空  パイロット状態:健康  機体状態:良好 (キングジェイダーへの変形は不可)  第一行動方針:クインシィの捜索  第二行動方針:キラが同行に値する人間か、品定めする  最終行動方針:クインシィをオルファンに帰還させる(死亡した場合は自身の生還を最優先)】 【キラ・ヤマト(機動戦士ガンダムSEED)  搭乗機体:ガンダムF-91( 機動戦士ガンダムF-91)  現在位置:B-4・Jアーク艦上  パイロット状態:健康  機体状態:良好  第一行動方針:ジョナサンと共にラクス及びクインシィを捜索する  第二行動方針:ジョナサンの信用を得る  第三行動方針:ゲームに乗ってない参加者を見つける  最終行動方針:なるべく死者を出さずにゲームを止める】 【初日:12:55】 ---- |BACK||NEXT| |[[核ミサイルより強い武器]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[死活問題]]| |[[Power trip]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[若い、黒い、脅威]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |[[人とコンピューター]]|ジョナサン|[[彼らの乗機は強力です]]| |[[人とコンピューター]]|キラ|[[彼らの乗機は強力です]]| ----

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