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*&color(red){淡い記憶と、現実 ◆w4z2Zc6V4M} コンビニの自動ドアが開き、少年が1人出てきた。 手に、食料品などが入ったビニール袋を提げている。 そこからスポーツドリンクのペットボトルを取り出して、飲む。 さして変わった事の無い光景だ。 ただ一点、店の前に巨大なロボットが鎮座していることを除けば。 その数十分前。 真紅のマントを翻し、ヴァイサーガは大地に降り立った。 コクピットの中で、その騎士を駆る少年―紫雲統夜は、目の前の光景に驚いていた。 光の壁。こう形容するのが一番妥当だろう。 白く輝く壁のようなものが、自分の前に存在している。 「地図の端と端とはつながってるとは言ってたけど…通れるのか?」 思わず呟きがもれた。何とかこの先にある(らしい)都市部に行きたいのだが… (まずは実験だな) 近くにあった岩を放り投げてみる。 岩は、まるで水面に触れたときのように消えていった。 どうやら、通り抜けることは可能らしい。 次に、ヴァイサーガの頭を突っ込んでみる。 計器に異常は見られない。カメラは壁の向こう側の様子を映しているようだ。 それほど遠くない距離で、ビルが立ち並んでいるのが見える。 「よし…!」 意を決して、統夜は一歩を踏み出した。 マップの境界を抜けたヴァイサーガは、今度は市街地の上空を飛んでいた。 「まさにゴーストタウンだな…」 その街は、全てが止まっていた。 機体のカメラに映るものでは、時折風に揺れる木立ぐらいしか動かない。 降下して辺りを探索しても、人影らしきものは見つからなかった。 その途中、見つけたコンビニで食料などの調達をすることにした。 無論、店内にも人の姿は無い。 かといって代金を払わずに店を出るつもりは無かったが、財布を持っていないことに気付き諦めた。 レジ裏から取り出したビニール袋に、水や保存の利く食べ物を入れていく。 機体と一緒に支給されたものもあるが、このふざけたゲームがいつまで続くか分からない今の状況下では、 食料があるに越したことは無いだろう。 必要なものはある程度詰め終わり、店を出ようとしたとき、棚に並んだチョコレートが目に入った。 それは統夜に、あの3人のことを思い出させた。 手にいっぱい甘いお菓子を抱えてチョコレートをほおばるメルア。 メルアがコクピットにお菓子を持ち込んだことを叱るテニア。 そんな二人の言い争いを止めに入るカティア。 (…あいつら…無事なのか…) なぜか、言いようの無い不安にとらわれた。 その不安を打ち消すように、棚のチョコレートをひとつ袋に入れる。 いずれ3人のうちの誰かに渡してやれるかもしれない。 「きっと無事…だよな」 そう言わせたのは、確信ではなく願望だと、統夜は自覚していた。 店の前で、簡単に食事を取った。 ゴミをひとまとめにしてゴミ箱に放り込む。 「ふぅ……」 大きなため息をついた。 いつ誰に襲われるか分からない。常に警戒を要する今の状況は、精神的にこたえる。 息抜きもかねて、軽く体を動かす。 気分転換の後、コクピットに乗り込んで、もう一度自分の置かれた状況を考え直してみた。 殺し合い。生きて帰る方法は、ほかの参加者を皆殺しにすること。 「くそっ…」 やり場の無い怒りがこみ上げる。 いや、正確にはこの感情を向けるべき相手はいる。しかし、あの化け物に刃向かえば自分は殺されるだろう。 それこそあの女性のように、あっさりと。 死への恐怖が、統夜を駆り立てる。 生きて帰るために必要なら――やるしかない。 確実に勝ち残っていくには、戦いやすい相手、地形を見つけるべきだろう。 ヴァイサーガは大きな機体だ。ビルの立て込んだここでは戦いにくい。 「…とにかく行くか」 統夜は操縦桿を握り締めた。 【紫雲 統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ (スーパーロボット大戦A)  パイロット状況:良好  機体状況:無傷  現在位置:A-1  第一行動方針:戦いやすい相手、または地形を見つける  第二行動方針:敵を殺す  最終行動方針:ゲームに優勝する】 【時刻:15:30】 ----
*&color(red){淡い記憶と、現実 ◆w4z2Zc6V4M} コンビニの自動ドアが開き、少年が1人出てきた。 手に、食料品などが入ったビニール袋を提げている。 そこからスポーツドリンクのペットボトルを取り出して、飲む。 さして変わった事の無い光景だ。 ただ一点、店の前に巨大なロボットが鎮座していることを除けば。 その数十分前。 真紅のマントを翻し、ヴァイサーガは大地に降り立った。 コクピットの中で、その騎士を駆る少年―紫雲統夜は、目の前の光景に驚いていた。 光の壁。こう形容するのが一番妥当だろう。 白く輝く壁のようなものが、自分の前に存在している。 「地図の端と端とはつながってるとは言ってたけど…通れるのか?」 思わず呟きがもれた。何とかこの先にある(らしい)都市部に行きたいのだが… (まずは実験だな) 近くにあった岩を放り投げてみる。 岩は、まるで水面に触れたときのように消えていった。 どうやら、通り抜けることは可能らしい。 次に、ヴァイサーガの頭を突っ込んでみる。 計器に異常は見られない。カメラは壁の向こう側の様子を映しているようだ。 それほど遠くない距離で、ビルが立ち並んでいるのが見える。 「よし…!」 意を決して、統夜は一歩を踏み出した。 マップの境界を抜けたヴァイサーガは、今度は市街地の上空を飛んでいた。 「まさにゴーストタウンだな…」 その街は、全てが止まっていた。 機体のカメラに映るものでは、時折風に揺れる木立ぐらいしか動かない。 降下して辺りを探索しても、人影らしきものは見つからなかった。 その途中、見つけたコンビニで食料などの調達をすることにした。 無論、店内にも人の姿は無い。 かといって代金を払わずに店を出るつもりは無かったが、財布を持っていないことに気付き諦めた。 レジ裏から取り出したビニール袋に、水や保存の利く食べ物を入れていく。 機体と一緒に支給されたものもあるが、このふざけたゲームがいつまで続くか分からない今の状況下では、 食料があるに越したことは無いだろう。 必要なものはある程度詰め終わり、店を出ようとしたとき、棚に並んだチョコレートが目に入った。 それは統夜に、あの3人のことを思い出させた。 手にいっぱい甘いお菓子を抱えてチョコレートをほおばるメルア。 メルアがコクピットにお菓子を持ち込んだことを叱るテニア。 そんな二人の言い争いを止めに入るカティア。 (…あいつら…無事なのか…) なぜか、言いようの無い不安にとらわれた。 その不安を打ち消すように、棚のチョコレートをひとつ袋に入れる。 いずれ3人のうちの誰かに渡してやれるかもしれない。 「きっと無事…だよな」 そう言わせたのは、確信ではなく願望だと、統夜は自覚していた。 店の前で、簡単に食事を取った。 ゴミをひとまとめにしてゴミ箱に放り込む。 「ふぅ……」 大きなため息をついた。 いつ誰に襲われるか分からない。常に警戒を要する今の状況は、精神的にこたえる。 息抜きもかねて、軽く体を動かす。 気分転換の後、コクピットに乗り込んで、もう一度自分の置かれた状況を考え直してみた。 殺し合い。生きて帰る方法は、ほかの参加者を皆殺しにすること。 「くそっ…」 やり場の無い怒りがこみ上げる。 いや、正確にはこの感情を向けるべき相手はいる。しかし、あの化け物に刃向かえば自分は殺されるだろう。 それこそあの女性のように、あっさりと。 死への恐怖が、統夜を駆り立てる。 生きて帰るために必要なら――やるしかない。 確実に勝ち残っていくには、戦いやすい相手、地形を見つけるべきだろう。 ヴァイサーガは大きな機体だ。ビルの立て込んだここでは戦いにくい。 「…とにかく行くか」 統夜は操縦桿を握り締めた。 【紫雲 統夜 搭乗機体:ヴァイサーガ (スーパーロボット大戦A)  パイロット状況:良好  機体状況:無傷  現在位置:A-1  第一行動方針:戦いやすい相手、または地形を見つける  第二行動方針:敵を殺す  最終行動方針:ゲームに優勝する】 【時刻:15:30】 ---- |BACK||NEXT| |[[死活問題]]|[[投下順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/11.html]]|[[迷いの行く先]]| |[[死活問題]]|[[時系列順>http://www30.atwiki.jp/srwbr2nd/pages/12.html]]|[[気になる、あの子]]| |BACK|登場キャラ|NEXT| |[[そして騎士は走り出す]]|統夜|[[混乱]]| ----

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