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オーガニックな機体とニュータイプの邂逅 ◆9NAb4urvjA



俺達は当初の予定通りにH-2に留まり他の参加者が接近するのを待っていた。
「なあアムロ」
この横にいる核ミサイルに乗った男はシャア・アズナブル。自分の生涯のライバルであり、敵から
味方へ、味方から敵へ、敵から味方へと変わり身の早い油断のならない男だ。
「どうしたシャア」
「暇だ」
「……索敵すらしない役立たずはもう助けてやらんぞ」
「冗談だ。ところで、もしここが奴らの言っていた禁止エリアになったらどうする?」
たしかに、奴らが監視等をしているとすれば自分達が動かないことに業を煮やして移動させようと
するだろう。だが、そこまで考え俺は自惚れていると気付く。
この状況では単独で行動したとしても奴らを出し抜くどころか勝ち抜くことすらできやしない。まして
足手まといを抱えている状況では尚更だ………こいつにはMS-05Bでもいいから早く核ミサイル以外
の機体に乗ってもらいたいところだ。
「そうなったらH-1かG-1に移動するまでだ」
そうしていると唐突に北東の方に何かが現れたのを感じた。
「シャア?」
「貴様も感じたか。だがこれはいったい?」
「カミーユともララァとも違う。強化人間にしては穏やか過ぎる」
なんだ、この唐突さと妙な感覚は?
「とりあえずお前は上空で待っていろ。俺が接触する」
「何度も同じ台詞を言わせる気か?私を置いていこうとしたら追い縋って貴様ごと自爆すると言ったはずだ」
チッ!折角こいつと離れるチャンスなのに。
「こら、露骨に嫌そうな顔をするな。さっさと先に行け」
「まあ、慌てるなよ。とりあえず放送を聞いてから行くことにするぞ」
放送では10人もの人間が呼ばれたことに驚きはしたが知っている名前はいなかった。だが、奴らが言った
『ご褒美』の『死者の復活』『世界の改変』等とは大きくでたものだ。しかしそんな話を信じてやる程には
子供ではないし、そんな理由でゲームに乗ってやるつもりもない。
例えその話が本当で誰かを生き返らせることが可能としてもだ。
「奴らの話をどう思う?」
「あいにくと興味はないな。お前こそ馬鹿な考えは起こすなよ」
「フッ、アクシズの連邦軍を騙し撃ちする計画を立てたのは私だぞ。奴らの話を信じると思うのかね?」
どうだか、貴様を信じるぐらいならプチモビに乗ってサイコガンダムに喧嘩を売る方がマシだと
思うがな。とりあえず、思考を元に戻す。
一番気になるのは奴らの目的だ。ゲームを実行して優勝者を出すことが目的ではなくあくまで
それから得られる結果が重要なはずだ。でなければこんなことをしでかす理由がないだろう。
…考えていたところで埒があかないな。
とりあえずは北東を調べることにし放送の内容をメモしてからシャアを後ろに付け北東に向かう。




「…赤いが大破しているな。残念だ」
しばらくすると大破したと思われる赤い機体とその前にへたり込む人影、そして
俺達に妙な感覚を感じさせるピンクの機体を見つけた。
とりあえず、殺し合いに乗った可能性が決して低くないとは思い、機体を変形させてある程度距離を保ち
ガンポットを構え外部音声のスイッチを入れる。
「こちらは………」
アムロ・レイだ、と言いかけて止める。この名前は有名すぎて味方も多いが敵はそれ以上に多い。
とりあえず、偽名を使うことにする。
「………ハヤト・コバヤシだ。そちらと話し合いをしたい」
「私はエドワウ・マスだ」
こいつも俺の意図を読んだのか、偽名を使う。
すると、ピンク色の機体が動いた。パイロットが乗っているのかと思い身構えているとピンク色の機体は
人影を庇うかのように両手を広げ立ちふさがった。
相手を完全に信用したわけではないが、殺し合いに乗っているわけではなさそうだと思いガンポッドを下ろす。
「俺達は殺し合いに乗ってはいない、とりあえず話し合おう」
すると、ピンクの機体がその人影をまるで壊れ物を扱うかのように両手ですく上げこちらの方に近づいてきた。
敵意がまったく感じられず、目の前に来るまで武器を構える発想さえできなかった。そのおかげかじっくりと
相手を観察できた。


人影の方はへそを出しているよく分からない服装をしており赤毛の若い女性であることが確認できる。
最近の若い人間のセンスはよく分からんな。
機体のほうはこの機とほぼ同サイズであり、武装らしき物が見受けられず内臓火器等も見受けられない、
ピンクのカラーリングの所為か穏やかな印象を受ける、なにより先刻の機体ともMSとも違い無機質的である
が同時に有機質的な外見が特徴である。
そして、開いているコックピットのような場所には誰も乗っていなかった。
だが、ガンタンクのような構造ならばコクピットが二箇所あるので別の所にパイロットがいるのだろう。


「……………………………………………………」
女は俯いたままこちらを見ようとはせず、なんの反応も返してはこない。


この落ち込み様からすると、先刻の放送で家族か恋人が死んだかもしれないと仮定し、
このピンクの機体のパイロットは俺達に慰めさせようという魂胆かもしれないと考える。
こいつの相手よりはマシとはいえ、女性を慰めるということは俺にとっては苦手な分野である。
とりあえず、シャアの方が女の扱いにはたぶんうまいはずなので接触通信で奴に話しかけるように促す。
『お前が話しかけろ』
『アムロよ。複数の女性の股をかけているくせに女が苦手とかいうのは罪だぞ』
『いいからさっさとしろ!また振り回されたいのか!というか、今の発言はどういうことなんだ!?』
だが奴は俺の疑問に答えるもことなく、ミサイルから掌に移り女性に話しかける。
「何があったのかね?」
「……」
「黙っていては話すらできんよ」
「……」
シャアは仕方がないという表情を浮かべは彼女の肩を揺らす。
すると、ようやく女がこちらに気付き驚愕の表情を浮かべ奴の腕を振り払い後ずさる、
そして掌から落っこちた。
「「な!?」」
慌てて操縦桿を動かすがマニピュレーターと彼女の間にある距離は絶望的なまでに開いている。
奴も腕を伸ばそうとするが僅かに届かない。
「間に合わないか!?」
だが、ピンクの手が地面に落ちる彼女を間一髪で掴んだ。どうやら一安心のようだ。
「いや~!!離して!離してよ!!」
「落ち着くんだ!俺達は君の敵じゃない!」
だが彼女は俺達の言葉を聞き入れず、ピンクの手に掴まれたまま暴れ続ける。



そうして彼女が暴れ疲れてからやっと会話ができる状態となった。
ピンクの機体が奴を右手に乗せ、女性を左手で掴んだままの状態で。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」
「落ち着いて聞いてくれ。俺はハヤト・コバヤシ、こいつはエドワウ・マス、ゲームには乗っていない」
「…信用できない」
「私達がゲームに乗っていたらもう既に戦闘状態になっているはずだ」
「…あんたらの作戦なんじゃないの?足手纏いがいるし」
「ならばこそハヤトは乗っていないと考えるべきではないかね?」
「……」
そのまま黙り込む、こちらを信用する気は毛頭ないらしい。
どうしたものかと思っていると彼女が口を開いた。
「…ねえ、あんたら殺し合いに乗ってないんだよねぇ?」
「ああ、そうだ」
「それなら、まずあんたら二人とも機体から降りてみなよ」
「それは出来ない。そちらの機体にパイロットが乗っている以上こちらとしても用心したい」
そういうと、彼女はキョトンという表情を浮かべ、自分を掴んでいる腕を見た。
「あれ、なんで?…ジョシュア、ジョシュアなんでしょ?生きているんでしょ、出てきてよ」
女がコクピットを除き込む。
「…いない」
「コクピットがもう一つあるのではないのかね?」
「一つしかないよ」
「なら、人工知能でも付いているんじゃないのか?先刻から動いていたぞ」
心あたりがあったのかハッとした表情を彼女が浮かべる。
とはいえ、俺の知っている技術ではこのサイズだと先刻の様な動きはできず、
彼女がニュータイプ等ならばサイコミュ等の遠隔操作で動かす手段もあるがとてもそうとは思えない。
無論この異常な状況下では俺の知識が当てになる保障もないが。
「とりあえず、AIが搭載されているのなら君のことを離すように言ってみればどうかね?」
「…離してよブレン」
彼女がそう言うとピンクの機体がゆっくりと彼女を奴の目の前に降ろす。
「…かしこいな、それに優しい」
「ジョシュアもブレンは優しいて言ってた」
「ハヤト、私の勘ではどうやらこの機体は生きているようだ」
「どうやらそうらしいな」
機体の動作とこの妙な感覚からしてそう考えるしかない。信じ難いが。
「…おっさん達、軍人なの?」
彼女が奴のパイロットスーツを見ながらそう問いかけてくる。
もっとも、それはここに連れて来られたさいに奴に支給されたものだが。
「おっさんはひどいな。こう見えても30前なのだよ、軍人が嫌いなのかい?」
嘘こけ、お前は34だろうが。そう突っ込みたくなったがとりあえず我慢する。
「別に…」
「これから、どうするのかね?よければ私達と共にくるかい?」
「…あんた達はラキって女の人を知らない?」
「いや、私達はゲームに乗ったと思われる男と遠距離攻撃を仕掛けてきた赤い機体しか知らない」
それと、知り合いにはそんな名前の女などいないという言葉を心の中で呟く。
あのドームでは奴も俺もプレッシャーに圧倒されて他のことに気遣うことなどできなかったので他に
知っている人物がいるかどうかすら分からなかったしな。
「そのラキという女性は先刻の放送で呼ばれたジョシュアという人物の知り合いかね?」
「……あんた達に答えてやるつもりはない」
「もしそうなら私達と共にくるべきだ。君一人ではこの状況で見つけるには少々辛かろう」
「足手纏いはごめんだよ」
たしかに、お人好しでもなければ今のこいつと行動を共にしたいとは思わないだろうな。
「フッ。たしかに今の私が足手纏いである事は認めよう。だが、私と彼は地球圏で一番有名な
パイロットこと、シャア・アズナブルとアムロ・レイなのだよ」
「……おい。俺が偽名を使った意味を考えていないのか?」
だが、こいつは俺の呟きなど聞こうともせずにそのまま喋り続ける。
「欺いたことは謝ろう。だが、今地球圏を騒がしている二人が目の前に現われて共に手を取り合って
 いると言っても信じられずに余計な警戒心を持たれるだろうと思いあえて偽名を使わせて貰った。
 君が宇宙の民か地球の民であってもこの状況を打破するために我々と協力しては
 貰えないだろうか?」
あいかわらずこのようなアジが得意な奴である。
「知らない」
「は?」
だが、彼女の言葉は俺達の想定していないものだった。
「…地球やコロニーでもニュース等でやっているだろう。ネオ・ジオンが5thを落としたとか」
「ねおじおんとふぃふすって何?」
「…ジオンは?一年戦争は?赤い彗星は?連邦の白いヤツは?ガンダムは?」
「他は分からないけど連邦なら知ってるよ。地球連邦政府は常識でしょ」
おかしい。彼女は知らなさ過ぎる。仮に嘘をついていたとしても何のメリットもないし、下手な嘘をついた
ところで相手に警戒心を持たせるだけでこの状況ではマイナス要因になるだけだ。
そう考えていると、頭の中にとある言葉が浮かんだ。

『パラレル・ワールド』

SFではよく使われる設定で、世界は複数に渡って存在するといった解釈だ。
この解釈を用いれば彼女が俺達を知らないことや、このピンクの機体や先刻の赤い機体、今俺の乗るZタイプ
とは違う可変機の存在が納得できる。
普段なら一笑にするところだがこの状況では信じるしかないだろう。
「どうやらお互いに知らない情報があるな。とりあえずは情報交換をしないかね」
彼女は奴の言葉に少し逡巡してから口を開く。
「…いいよ。そのかわりにジョシュアを埋めるのを手伝うのと、放送の内容を聞かせてよ」
そうして、俺が機体に乗ったまま奴と彼女が情報交換をすることになった。
無論、奴が大法螺を言ってもすぐ分かるよう収音マイクのボリュームを上げておくのは忘れない。




【アムロ・レイ 搭乗機体:VF-1Jバルキリー(ミリア機)(マクロス7)
 パイロット状況:良好
 機体状況:ガンポッド、ホーミングミサイル共に若干消費
 現在位置:H-2北東部
 第一行動方針:とりあえず情報交換
 第二行動方針:首輪を確保する
 第三行動方針:協力者の探索
 第四行動方針:首輪を解析できる施設、道具の発見
 第五行動方針:核ミサイルの破棄
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:ボールペン(赤、黒)を上着の胸ポケットに挿している】

【シャア・アズナブル 搭乗機体?:核ミサイル(スーパーロボット大戦α外伝)
 パイロット状況:良好
 機体状況:真っピンク
 現在位置:H-2北東部
 第一行動方針:とりあえず情報交換
 第二行動方針:核ミサイルをダシにアムロに身の安全を確保させる
 第三行動方針:仲間を増やし自分(と核ミサイル)を守らせる
 第四行動方針:強力な機体の入手
 第五行動方針:首輪を確保する
 第六行動方針:缶切りを手に入れる
 最終行動方針:ゲームからの脱出
 備考:核ミサイルの荷物収納箱からブライト、ガトー、アズラエルのマスクを発見、所持。
 ボイスチェンジャー機能付き。H-2の何処かにシャアの吐瀉物あり】


【アイビス・ダグラス 搭乗機体:ヒメ・ブレン(ブレンパワード)
 パイロット状況:良好
 機体状況:ブレンバー等武装未所持。機体は表面に微細な傷。バイタルジャンプによってEN1/4減少。
 現在位置:H-2北東部
 第一行動方針:とりあえず情報交換
 第二行動方針:ジョシュアの遺体を埋めたい
 最終行動方針:考えていない
 備考:長距離のバイタルジャンプは機体のEN残量が十分な時しか使用できず、最高でも隣のエリアまでしか飛べません。放送をまともに聴いていない。
 H-2北東部にクインシィ・グランチャー が大破(上半身が消失している)しており
 右手のソードエクステンションは無事なまま放置されている】

【時刻:18:30】




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