もうあの頃には戻らない ◆B042tUwMgE




「また……なのか」
 ザフトエリート兵士の象徴である赤服を着たアスラン・ザラは嘆く。
「また……俺にキラと戦えというのかッ!?」
 『殺し合いの』の開催宣言――あの場に確かに同席していたキラ・ヤマト――分かり合えた友人との――再戦の兆しに。

 アスラン・ザラ、キラ・ヤマト、ラクス・クライン。
 この三名は、同じ世界よりこの殺し合いに召集を受けた仲間関係にある。
 しかし、その関係に至るまでには長く、遠い道のりがあった。
 アスランはザフトのパイロット、キラは連合のパイロット、そしてラクスはプラントの歌姫と、それぞれが異なる位置に身を置き、
 アスランとキラに至っては敵同士という対極の関係であった。
 だが、それもかつての話。
 お互いの戦友であるニコル、トールの死。連合の卑劣極まりないサイクロプス発動。カガリという二人を繋いでくれた友人の存在。
 そして何より、アスランを導いてくれた元婚約者の存在。
 数々の試練と葛藤を乗り越え、アスランとキラはやっと剣の向き揃えることが出来たのだ。
 今さら戦う理由など、ない。

「それは、ここが殺し合いの舞台でもだ!」
 誰が友を殺してまで生き延びようとするものか――アスランは、このゲームに抗うことを決意した。



【アスラン・ザラ(機動戦士ガンダムSEED)
 搭乗機体:トライダーG7(無敵ロボトライダーG7)
 現在位置:F-1
 パイロット状態:良好
 機体状態:良好
 第一行動方針:キラ、ラクスとの合流
 最終行動方針:ゲームからの脱出】

【初日:12:20】




本編37話 始まりの葬送曲


最終更新:2008年06月29日 19:11