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判り合える心も 判り合えない心も ◆7vhi1CrLM6




細長いスティック状の包装紙が破かれて、クリーム色の粉末がマグカップの底に降り積もった。
そこにこぽこぽと柔らかい水音を立てて、ポットからお湯が注がれていく。
200mlほどだろうか? 規定の量まで溜まったお湯を覗き込むと栗毛の少女はスプーンでゆっくりとかきまぜる。
途端に鼻先をくすぐる優しい匂いが湯気と共に立ち昇り、狭い医務室の中に満ちて行った。
男は背もたれのない丸い椅子に座ったまま、ぼんやりとそれを眺めていた。
混ざり具合を確かめて「よし」と小さく呟く声が耳に届く。
カリッと香ばしく揚がったフライドオニオンの顆粒がそこに加えられ、琥珀色の澄んだスープに小麦色が浮かび上がる。
コンソメ風味のオニオンスープ。彼女は出来上がったそれを差し出してきた。

「はい、どうぞ」

両の手で受け取る。「熱いから気をつけて」と付け加えた彼女の言葉を無視してほとんど一息に飲み干した。
実際問題として喉は渇いていた。だがそうしたのは何もそれだけが理由ではない。
熱の塊が喉を下っていき胃に収まっていくのを感じながら、願う。

――頼む。この痛いほどに渇いた喉のせいであってくれ、と。

まだオニオンスープの匂いが立ち込める医務室の空気。それを鼻と口で吸い込み、肺に溜め込む。
熱いスープに軽い火傷を負った舌がヒリヒリと痛む。その痛みと引き換えに潤った喉で声を出そうとしてみた。
肺から搾り出されていく空気。だが、鳴ったのは擦れ声とも言えないほどに擦れた『音』だった。

――クソッ!! 駄目か。

椅子に腰掛けたまま猫背に背中を丸めて、前傾姿勢に俯く男。その髪の下で口元だけが正体なく笑う。
それは自嘲だったのだろう。自嘲だったのだと思う。だが、音にならない笑いは自嘲にすらなりはしない。
ふっと気づくと目の前に右腕が差し出されていた。釣られて視線を上げていくと、前かがみに覗き込む顔と目が合った。
その顔が笑って言う。

「宇都宮比瑪。私の名前。よろしくね」
「兜甲児だ。その、すまねぇな。投げちまって。あんたは?」

ばつの悪そうな声に振り向くと威勢の良さそうな少年が、目に留まった。
反射的に名前を言おうとしたが、やはり声は出ず虚しく口だけが動いた。思わず溜息が漏れる。

「やっぱり……あなた、声が出ないのね」

その仕草に察したのだろう、ヒメの声だった。頷く。

――何かないのか? ここは医務室だろ? 薬とか、何か。

同時に口が動いていた。
それに気づいて苛立つ。声が出ない。話すことが出来ない。言いたいことが伝わらない。
それなのに気づくとつい口を動かしている。声もでないのに。意味もなく、だ。
それらは人を苛立たせるのに十分な力を持っていた。思わず唇噛み締めた。
視線を落とした自分に合わせてしゃがみ込み、覗き込んだヒメが言う。

「そう。でも大丈夫。きっと何とかなるわ。だから諦めないで」

不思議な温かみのある声の持ち主だった。
少し考え、ちょっと悩み、大きな溜息一つで気持ちを切り替えた気になってみる。
その後で、紙を持ち、ペンを握り、口を動かす仕草でそれらを要求した。
ジッと見ていた甲児が理解したのだろう「ちょっと待ってろ」と言い残して医務室を後にする。

「ほら、大丈夫。声が出なくてもあなたの言いたいことを分かってくれる人達が、ここにはいるから。ね」

微笑みに釣られて思わず笑う。そうした後で、思い通りにならないおも歯がゆさが心を占める。
不意に込み上げてきた『何やってるんだろうな、俺は』という思いをどうすることも出来なった。

 ◆

狭い和室を沈黙が満たしている。一脚のちゃぶ台を挟み座り込むのは二人の男。
一人はゆったりと落ち着いた所作で急須を手元に引き寄せて、湯飲みに茶を注いでいる。そして、もう一人は――

――話したいことがあるなら話してみればどうだ?

その言葉を反芻していた。
話したいことならある。だが、それは話せることのなのか? いや、話さなければならないことだというのはわかる。
ほっておいてもいつアムロと合流してもおかしくない状態にあるのだ。
それまでに話しておくべきだとは思う。だけども、大丈夫なのだろうか?
アムロ=レイがニュータイプと呼ばれる人間であること。それをこのニュータイプを目の敵にする男に話して大丈夫なのだろうか?

「ガロード」

難しい顔で手にした湯飲みを覗き込んでいた顔が、呼ばれてハッと持ち上がる。
名前を呼んだ目の前の男が、茶の湯を啜りながら気楽な様子で眺めていた。

「茶が冷めるぞ」

言われて慌てて口につける。熱い煎茶が喉を下り胃に納まっていくのを感じた。
言うか言わまいか悩む理由は他にもある。この男の態度が違いすぎるのだ。
ティファを狙い、何度もフリーデンを手こずらせてきたはずのこの男の姿。それは狡猾で冷たいもののはずだった。
だがしかし、ここで甲児や比瑪に見せている姿はそれと大きく異なる。
何というか、何か悪いものでも食べたのではないかと言いたくなるようなその姿は――

「おぉ、茶柱が」

――ともすれば同一人物かと疑いたくなる、えぇそりゃもう本当に。心の底から。
というか外見と過去の記憶の一致がなければ多分疑っていた。それほどに違うのだ。
だからこそ悩む。
以前のシャギア相手ならば語れるはずがない。
しかし、今のシャギアならば、この甲児が信頼を寄せるこのシャギアにならば話してみてもいいのではないか?
そう思えてくるから不思議であり、悩むのだ。
だが、その一方で騙されるな、と叫ぶ声がある。これは狡猾な奴らの罠なのだと言う声が振り払いきれない。
その声を消し去って無条件で信用できるほど、二人の溝は浅くはない。
だからだろう。ガロードは、その中途半端な心構えのまま話を切り出してしまうこととなった。

「シャギア……」

 ◇

「シャギア……俺には今あんたを完全に信用することは出来ない。だから聞かせてくれ。
 もし……もしも、ここにニュータイプがいたらあんたら兄弟はどうする? やっぱり戦うのか? それとも……」

湯飲みを両の手で支え、その深緑の水面に落とし込んでいた目線。それが不意に持ち上がり、その思い悩んだ表情のまま問いかけてきた。
それに対し、シャギアは考え込む表情を作りながらその背景へと手を伸ばしていた。
ここであえて、自分ら兄弟における禁句とでも言うべきニュータイプを話題に持ち出す必然性はない。
だがそれは、ここにニュータイプと呼称される者がいなければの話だ。
それをあえて話題に持ち出したガロードの背景はここでニュータイプとの接触を持ったこと、と考えるのが自然。
となると次なる疑問は、それは誰なのか、ということになる。
ホンの数分前の記憶を辿る。
これまでにガロードとの接触があり、且つ自分との面識のない生存者は3人――クインシィ、ブンドル、アムロ。そしてアムロが探していると言うアイビス。
無論、ガロードが名前を伏せていると言う可能性も否定できないが、一先ずの候補としてはこの4人。
では、だ。ではここでガロードの問いに何と答えるべきか?
YESか? 論外だ。それを口にすれば二度とこの話題をガロードが持ち出さないどころか、下手をすれば敵対も有り得る。
それならば、NOか? 確かにYESよりは数段マシな選択。上手く行けばニュータイプの特定も可能かもしれない。だがしかし、これも論外だ。
目を見れば分かる。ガロードがこちらを信用しきれないと言ってきたことは、おそらく事実。
無理もない。我らの間柄を考えればそれは当然とも言える。それに自分とてガロードを信用しきっている訳ではない。
その状態ではYESと答えても信用はすまい。むしろかえって疑いを深める可能性がある。騙すつもりなのでないか、とな。
ならばどう返せばいいのか? 答えは出ている。

「仮にだ、ガロード。仮に私がここでニュータイプと争うつもりはない、と答えたところでお前はそれを信用できるのか?」

グッと詰まった顔が考え込み、「信用……できないと思う」と返してきた。
ほぼ予想通りの答え「ならば」と口を開けようとして「だけど」とガロードが言葉を重ねた。

「だけど……俺には難しいことはわからないけど、ニュータイプもただの人間だって、そんな言葉は幻想だってあんたら兄弟も気づいているんじゃないのか?
 人の声が聞こえる。フラッシュシステムを扱える。たったそれだけの違いじゃないか。それなのに何でそんなにニュータイプを憎む」
「たったそれだけの違いだとッ!?」

思わず気色ばんだその叫びは、自身の内奥へと許可なく一歩踏み込んだ者、強引に過去の傷口を広げた者に対する警告の声だった。
一瞬感情的になり、失態を犯した自分を自覚すると同時に、腹の底からドロドロと込み上げてくる怨念を感じ取る。
理屈ではない。これは拒絶だ。これ以上触れてくれるなと言う心の声だ。
その心を落ち着かせるために一つ大きく息を吐く。それで気持ちを切り替えたつもりなって、落ち着き払った仮面をかぶり直す。

「そうだ。その通りだ、ガロード=ラン。
 我ら兄弟と奴らの違いはフラッシュシステムに適応しているかどうか、兄弟以外にも感応能力があるか否か、たったそれだけの違いだ」
「なら何で!」
「黙れッッ!!」

だが、一度開いた傷口は簡単には塞がらない。溢れ出す血のようにシャギアは自身の意思に反して話し始めていた。

「貴様に我ら兄弟の何が判る? 貴様の言う『たったそれだけの違い』で運命を歪められたのだ。
 その違いを『たったそれだけ』などとは、よくも言えたものだ」
「だからってニュータイプ全てを怨むなんて間違ってる!!」
「ガロード=ラン、何の力も持たぬお前には判るまい……いや、こう言えば少しは判るか?
 ニュータイプと言うものの存在が、ニュータイプと言う幻想が我ら兄弟の運命を捻じ曲げたのだ。
 私だけならばいざ知らず、私の弟の運命までもだ」
「でも……」
「ガロード、お前はティファ=アディールに手を出した者を許しはしまい。それと同じなのだよ。
 私はそれと同じ理由で、私とオルバの運命を歪めた者達を決して許しはしない。ただそれだけのことだ」
「それでも……」
「ならば、聞く。今お前は、お前の運命を捻じ曲げたあのノイ・レジセイアという存在に何を感じている? 何をしようとしている?
 仲間を、多くの人間を殺したその存在を許せない。打ち滅ぼし、この捻じ曲げられた運命から逃れてみせる。違うか? 違うまい」
「……」
「それと何も変わらないのだ。ニュータイプという存在が、幻想が世界に存在する限り、我らはこの運命から、過去から逃れられない。
 だから抗い、抵抗する。そして、ノイ・レジセイア、私と私の弟の運命を捻じ曲げたそのもう一つの存在も、許しはしない」
「……」
「それにはお前の力も必要だ。何もティファ=アディールの敵となれと言っているのではない。
 元の世界に戻るまででいい……私の元へ来い。私の力になれ、ガロード=ラン」

どこまでが本心で、どこからが作為によるものか。それはシャギア自身にも判別はつかなかった。
ただ、その胸の内を曝け出す恥ずべき行為の途中から、冷静な意図が介入し、最後の言葉へと帰結させたことだけは確かだった。
いや、見栄がそう思わせているだけ、そんな気もしていた。
だが、何にせよガロードを懐柔する為に一つの賭けに出たことは間違いなく、その結果は目の前の少年に委ねられている。
眉間に皺が寄り瞳をきつく閉じて、より苦渋の色を深くしたその顔が悩み、そして搾り出すような声で言った。

「……ごめん。やっぱり俺には手放しであんたらを信用することなんか出来ない」

そこで一度言葉を区切った少年が顔を上げ、迷いを残しつつも強い光を瞳に宿しつつ「だから」と続けた。

「だからシャギア、お前と一緒に行ってお前を見張ってやる。下手なことしでかせば背中から撃つからな。覚悟しろよ」

その返答に「それでいい」とほのかに笑ったその瞬間、腹の底に響き渡る重低音がナデシコを揺らした。

 ◆

時間は少し遡る。医務室を後にした甲児は、急ぎ通路を駆けていた。
右手と左手に何かを持つ仕草。その上で口を動かしたのだ。あの男が要求する物は一つしかない。
あの男は半日以上も機体の中に閉じ込められ眠っていたのだ。それを要求するのも無理もない。
それに直前のあの様子に甲児は確信の念を固める。脳みそをフル稼働させてた甲児が間違いないと結論付けたその答えは――

「待ってろよ! 今、美味しい食い物をたらふく持ってってやるからなッ!!」

食べ物だった。甲児の理屈はこうだ。
日本人にとって右手とは箸を持つ手に他ならず、左手はすなわちお椀を持つ手を意味する。
動かした口は物を租借する動作を表しているに違いない。
一部の隙もないこの理論を駄目押ししているのは、直前の男の様子である。
あの熱いスープを一飲みに飲み干したのだ。よほど腹が減っているに違いない。
ならば何か美味しいものを食べさせてあげようと言うのが、善人たる甲児の理屈である。
そこで最初に足が向けたのが今朝の団欒を過ごした和室だったのだが、よくよく考えるとあのときの朝食はみんなで食べつくしてしまった。
唯一残っているのはシャギアと取り合い、最終的にはゴミ箱に捨てられた厚焼き玉子だけ。
と言うわけで、あれはもったいない事をしたなと思いながら、和室はスルー。
次に思いつくのは当然食堂だ。
地球から火星への往復にも耐えられる貯蔵量を誇り、且つナデシコクルーの多種多様な注文にも対応できるように設置されたその冷蔵庫。
それは食材の宝庫と言っても過言ではない。
唯一の欠点は、プロの料理人が在籍する戦艦故に、そのまま食べられる物よりも食材が収められているということだろうか。
一応のぞいてみたが、甲児に調理する気ははなからなし。戦利品のリンゴを齧りつつ次なる目的地へGO!!
和室も食堂もダメとなれば、あと思いつくのはブリッジ。
目当ては支給品袋。そこにはシャギア・甲児・ヒメとあの男4人分が置かれている。
ブリッジの気密戸を潜りるとさっそく目的のものを見つけた。リンゴを口にくわえ、両の手で紐を解くと中をがさごそと漁っていく。
自分のものとシャギアのものを漁り終えたが、碌な食べ物がない。続けてあの男の荷物に手をつける。
やっぱり碌な物がない。
となると、残されているのはヒメの荷物。
何かこう女の子の荷物を漁るのは、いけないことをしているようで(実際しているのだが)ドキドキしてくる。
ゴクリと生唾を飲み下す。周囲を必要以上に見回し、そ~っと手を伸ばそうとしてそれに気づいた。
ブリッジの外。モニターに大きく映し出されているのは鋭角に尖った二つの巨大な目。
それがブリッジを覗き込んでいる。
呆気に取られてポロリとくわえていたリンゴが床に落ちる。
一拍遅れてようやく動き出した頭が咄嗟に思い浮かべたのは、敵の一字のみ。直感的に思い浮かべたそれを疑う暇もなく行動に移った。
コンソールに齧り付き、IFSを通じて甲児の意思がオモイカネに伝わる。そして、甲児の叫びと同時に――

「これでも喰らえ! グラビティーブラストオオォォォォオオオオオオオ!!!!!」

重力の荒波は放たれた。まるで見当はずれな勘違いと共に……。

 ◆

結果から言おう。そのグラビディブラストの一撃は戦端を開くには到らなかった。
事の流れはこうだ。
今から二十分程前、ナデシコの姿を確認したブンドルは近づきつつ通信を入れた。
しかし、折り悪くブリッジは留守であり、またその他の機体のいずれにも応答はなかった。
応答も攻撃もないことを怪しみつつ、ブンドルは接近を続ける。そしてそのままナデシコの間近まで来てしまったのだ。
周囲を飛び回りつつ無人か、と思わないでもなかったが、それにしては甲板に係留されている機体の数が多い。
加えて、アムロから聞いているガロードの機体の特徴に一致する機体もあった。
勝手に艦内に侵入するわけにもいかず応答のないまま待つこと十五分。
痺れを切らしたブンドルは本当に無人か、とサイバスターでブリッジを覗き込んでいたのである。
すると不意に放たれたのが先ほどのグラビティブラストの一撃である。
その一撃は位置的な関係によってサイバスターに直撃することはなく街を焦がしただけのはた迷惑な結果に終わった。
その直後、ブリッジにガロードが駆けつけたことによって事なきを得たのである。
以上がここまでの流れ、そして今――

「手短に済ませたい。この艦の航路は?」

ブンドルはサイバスターに、ガロード・シャギア・甲児の三人はブリッジにいる形で話し合いが始まっていた。

「細かくは決まっていないが、北東の四ブロックで回遊行動に移るつもりだ」
「そうか……なら、私と行き先が異なるな。私は今すぐと言うわけでもないが基地を目指している。航路を曲げれないか?」
「基地に、か?」
「ああ、そこでアムロとの合流を予定している」

ふむ、と考える素振りを見せたシャギアの横でガロードは、それはまずいと思った。
アムロとシャギアが顔を会わせればどうなるのか、良い方に転がるとはとても思えない。
だから話を反らそうとしたその矢先に――

「悪いが無理だな」

シャギアが口を開いた。

「四ブロックでの回遊行動は特に目的があってのことではない。だが、我々はそこで別働隊との合流を予定している」
「別働隊?」
「私の弟オルバ=フロストとフェステニア=ミューズの二名だ」
「そうか……ならばガロード、アムロに代わって迎えに来た。悪いがついて来てくれ」
「へっ? 俺??」

突然振られた言葉に素っ頓狂な声が上がる。そんな様子に構うことなくブンドルは続けていく。

「基地に勝ち残りを狙う者が複数いた場合、その者達の腕次第では私の手に余ることも考えられる。同行する仲間が必要だ」
「無理無理無理……絶対無理ッ!!」
「何故だ?」
「何故って……」

シャギアからは目は離せない。本当に信用できると思えるようになるまで、目を離さないと決めていた。
だからと言って甲児の前でそれを言うわけにもいかない。だからもう一つの理由、それだけを口にする。

「お姉さんがまだ眠っているんだ。それを置いては行けない。
 それに、目を覚ましたときに知らない人ばかりだと、きっとあの人は一暴れすると思う。
 だから俺の代わりに甲児、ブンドルさんについて行ってくれないか?」
「えっ? 俺??」

ほとんど同じ言葉で、今度は甲児が素っ頓狂な声を上げる番だった。しかし、そこに横から声が割り込む。

「無理だ。ガロード、甲児君には機体がない。甲板に係留している緑のMSがあるとお前は思うだろうが、あれは戦力にならない。
 MSと言うよりも重機と理解したほうがいいくらいの代物だ」
「俺の機体――ストレーガを甲児に貸すよ。代わりにシャギア、ナデシコの航路を曲げてB-1にちょっとよってくれないか? 
 オルバとの合流も今すぐって訳でもないんだろ? 機体を一つ隠してる。それまでは……お姉さんの機体でも借りてるさ」
「話は纏まったようだな。甲児君、宜しく頼む」
「おおよ! ブンドルさん、この兜甲児様が加わったからには大船に乗った気でいてくれ!!」
「期待しているよ。それとここまでのナデシコの話、道中聞かせてもらうとしよう」

威勢良く答えた甲児に、余裕を持った微笑で答えたブンドルとの通信がそこで切れる。
それを合図に人々は動き出し、俄にナデシコが出発の喧騒に包まれて、賑やかさを増していく。
そして、程なくサイバスターと共に艦を離れたストレーガの姿が北東の空に消えていった。
それを見送った戦艦ナデシコは航路を南西に取る。そうして長きに渡り根城にしていた南部市街地を離れ始めていった。



【レオナルド・メディチ・ブンドル 搭乗機体:サイバスター(魔装機神 THE LORD OF ELEMENTAL)
 パイロット状態:主催者に対する怒り、疲労(主に精神面)
 機体状態:サイバスター状態、各部に損傷、左拳損壊 ビームナイフ所持
 現在位置:D-8北西部
 第一行動方針:他の参加者との接触
 第二行動方針:次の放送までに基地へ向かう
 第三行動方針:サイバスターが認め、かつ主催者に抗う者にサイバスターを譲り渡す
 第四行動方針:閉鎖空間の綻びを破壊
 最終行動方針:自らの美学に従い主催者を討つ
 備考:ハイ・ファミリア、精霊憑依使用不可能
    空間の綻びを認識
    ガウルンを危険人物として認識
    操者候補の一人としてカミーユに興味】

【兜甲児 搭乗機体:ストレーガ (スーパーロボット大戦D)
 パイロット状態:良好
 機体状態:右肩に刺し傷、各部にダメージ(戦闘に支障無し)
 現在位置:D-8北西部
 第一行動方針:ブンドルに同行
 第二行動方針:ゲームを止めるために仲間を集める
 最終行動方針:アインストたちを倒す 】

【ガロード・ラン 搭乗機体:なし
 パイロット状態:全身鞭打ち・頭にたんこぶその他打ち身多数。
 機体状況:なし
 現在位置:C-8南西部(ナデシコブリッジ)
 第一行動方針:シャギアを見張る
 第二行動方針:勇、及びその手がかりの捜索
 最終行動方針:ティファの元に生還】

【シャギア・フロスト 搭乗機体:ヴァイクラン(第三次スーパーロボット大戦α)
 パイロット状態:良好、テニアを警戒
 機体状態:EN55%、各部に損傷
 現在位置:C-8南西部(ナデシコブリッジ)
 第一行動方針:首輪の解析を試みる
 第二行動方針:比瑪と甲児・ガロードを利用し、使える人材を集める
 第三行動方針:意に沿わぬ人間は排除
 最終行動方針:オルバと共に生き延びる(自分たち以外はどうなろうと知った事ではない)
 備考1:ガドル・ヴァイクランに合体可能(かなりノリノリ)、自分たちの交信能力は隠している。
 備考2:首輪を所持】



一方その頃医務室では――

「甲児君、遅いね。紙とペンを探してどこまでいったのかな……」
「……」

甲児の帰りを待ちわびている人達がいた。



【宇都宮比瑪 搭乗機体:ナデシコ(機動戦艦ナデシコ)
 パイロット状態:良好、ナデシコの通信士
 機体状態:EN90%、相転移エンジンによりEN回復中、ミサイル90%消耗
 現在位置:C-8南西部(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:バサラを助ける
 第二行動方針:甲児・フロスト兄弟に同行
 最終行動方針:主催者と話し合う
 備考1:ナデシコの格納庫にプロトガーランドとぺガスを収容
 備考2:ナデシコ甲板に旧ザク・真ゲッター・ヴァイクラン係留中】

【熱気バサラ 搭乗機体 プロトガーランド(メガゾーン23)
 パイロット状況:神経圧迫により発声不可
 機体状況:MS形態
      落ちたショックとマシンキャノンの攻撃により、故障
 現在位置:C-8南西部(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:紙とペン……
 最終行動方針:自分の歌でゲームをやめさせる
 備考:自分の声が出なくなったことに気付きました】

【クインシィ・イッサー 搭乗機体:真ゲッター2(真(チェンジ)ゲッターロボ~世界最後の日)
 パイロット状態:気絶中
 機体状態: ダメージ蓄積(小)、胸に裂傷(小)、ジャガー号のコックピット破損(中)※共に再生中
 現在位置:C-8南西部(ナデシコ医務室)
 第一行動方針:勇の捜索と撃破
 第二行動方針:勇がここ(会場内)にいないのならガロードと協力して脱出を目指す
 最終行動方針:勇を殺して自分の幸せを取り戻す】

【パイロットなし 搭乗機体:ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:良好、現在ナデシコの格納庫に収容されている
 現在位置:C-8南西部(ナデシコ格納庫内)】

【旧ザク(機動戦士ガンダム) 
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:良好
 現在位置:C-8南西部(ナデシコ甲板) 】

【二日目9:10】




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争いをこえて 投下順 黄金の精神
黄金の精神 時系列順 生き残る罪

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疾風、そして白き流星のごとく ブンドル 風と雷
適材適所 甲児 風と雷
適材適所 シャギア 変わりゆくもの
適材適所 比瑪 変わりゆくもの
適材適所 バサラ 変わりゆくもの
適材適所 ガロード 変わりゆくもの
適材適所 クインシィ 変わりゆくもの


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