眠れる基地の魔王、悪が振るう剣 ◆VvWRRU0SzU




「あら、お目覚めですの?」

覚醒した男の耳をくすぐったのは、あどけない少女の声。
身を起こす。そして己の身体を見回し、大事がないことを悟ると、一言。

「ふう、死ぬかと思ったぜ」
「よく言いますの。あんな無茶なことをする割にお軽い方ですのね」
「おや、お嬢ちゃんは……ってこたあ、ここは最初に集められた場所かい?」

男――ガウルンは、突如投げ出された場所、そして主催者たるアルフィミィを前にしても毛筋ほども動揺を見せない。
パンパン、と埃を払い泰然と立ち上がる。

「ええ、まあ……って、ここに来るつもりであの穴に飛び込んだんではないんですの?」
「いいや、とりあえずあそこからトンズラするには丁度いいと思っただけさ。さすがに俺も機体があれじゃあな」

振り向くガウルン。そこには大破したぺガスがあった。
巨大インベーダーが撃滅され戦況がほぼ決したあの瞬間、ガウルンは撤退を選んだ。
だが機体が機体、普通に逃げるのではアキトからは逃げ切れない。そう判断したガウルンは一芝居打った。
マスターガンダムをわざと損傷させ、身動きが取れないと見せかける。機体を目立つ位置へと露出させ、アキトに発見させる。
当然マスターガンダムは破壊される。
しかしその時ガウルンはとっくに脱出していて、乗り手がいなかったぺガスともども空間の穴に飛び込んだ――という訳だ。

しかしぺガスが近くに墜落していたのは運が良いとしか言いようがなかった。
そうでなければそのまま近くの廃墟に身を隠すしかなかったのだ。機体がなければここでは何もできない。
ぺガスはさすがに廃墟に入ることはできなかったので、咄嗟に空間に空いた穴へと目標を変える。
正直これだけは賭けだった。そもそも穴の向こうはどうなっているかわからない。
ともすれば宇宙空間に飛び出して一瞬でお陀仏だったかもしれないのだ。

「そこは、私に感謝してほしいですの。あなたをここに引っ張ったのは私なんですもの」
「へえ……お嬢ちゃんが俺を、ねぇ。もちろん礼は言うが、それだけでもないんだろう?」
「そうですの……あなたは傭兵と聞きましたの。そのあなたを見込んで、頼みたい仕事があるんですのよ」
「仕事ねぇ。いや、仕事を受けるのは吝かじゃないがな。それに見合う報酬はあるのかい?」
「あら、命を助けたことでは足りませんの?」
「……そこを突かれると辛いねぇ。まあ、まずは話を聞こうじゃねえか。どんな仕事なんだ?」
「あなたにお願いする仕事は大きく分けて三つありますの。一つ、今までどおりに殺し合いに参加すること。これはまあ、頼むまでもないと思いますの」
「おう、俺ぁ降りる気はねえぜ。まだまだ喰い足りないんだからよ」
「頼もしいことですの。……二つ、会場中に散らばったこれらの排除」

少女が手を振ると、何もない空間に映像が浮かびあがる。
そこに映し出されたのは先程大挙して現れた怪物、インベーダー。

「このインベーダー達は先程F-1エリアに出現したものがすべてではないですの。
 禁止エリア――ぶっちゃければ早期に小さな空間の綻びを確認したエリアの事ですが、ここにも少数ですが出現を確認しましたの。
 これらのエリアの穴は比較的小さいので出てくる数は少ないのですが、放置しておくのも気分が悪いですの。
 それと、インベーダーは機械と融合してメタルビーストというものになりますの。近い所に破壊された機体があるときは要注意! ですの。
 一応そのエリアのインベーダー全てを駆除すれば後続は出て来ないはずですから」
「ふむ……だが、禁止エリアってこたぁ俺には手が出せないんじゃねえか?」
「あなたの首輪だけは出血大サービスで爆破機能を解除して差し上げますの――まあ、代わりにペナルティを科しますけれど」
「ペナルティ、ね。まあいい、最後の仕事は?」

少女が再び手を振る。インベーダーの映像が消え、代わりに現れた映像は――


     □


近距離指向性・近接戦闘用炸裂弾M180A3、通称スクエア・クレイモア。
爆裂する鉄鋼球が群がるインベーダーをズタズタに引き裂く。
消し飛んだ異形の命は50を軽く超える。それだけでは留まらず、僅かに原形を保っていた基地跡は完全に崩壊した。
陣形――といってもただ囲んでいただけのものだが――を崩され、異形達が悲鳴を上げる。

一際巨大な個体へと突進。右腕の杭が突き立てられ、火薬の弾ける音が連続する。
その間も突進は止まらない――インベーダーの頭から突入したゲシュペンストMkⅢは、やがてインベーダーの足元へと抜ける。
ステークの衝撃が強すぎて当たった瞬間にインベーダーの身体が弾け飛び、次の火薬が発火する頃には機体が前進してしまうのだ。

着地し、ゆっくりと自身を囲むインベーダーを睥睨する。
蒼い体躯から放たれる紅の眼光が、感情など持たないはずの宇宙生物達を威圧し、たじろがせる。
もう気付いているはずだ。彼らが相手にしているのは、あるいはゲッターロボに比肩し得るほどに危険な敵なのだと。

ゲシュペンストが足を踏み出す。
その一歩がまるで落雷のように、インベーダー達は後退する。

基地に隣接する禁止エリアから湧き出てきたインベーダーは、愚かにも基地で眠る男へと手を出してしまった。
それが自らを滅ぼす者だと気付きもせずに――

「ククク……ハハハハッ……これだ。闘争……これこそが」

ディバイデッドライフルを構える。エネルギーを注ぎ込む――解放。
莫大な熱波の奔流が直線状のインベーダーを消し飛ばす。

「もっとだ……もっと。さあ……俺に痛みをくれ。進化を促す……更なる力を、得る……ために」

リボルビングステークの薬莢が排出される。
空になった弾倉――だが胸の宝玉が発光し腕へと伝う。内側から盛り上がったアインスト細胞が、組成変化を起こし弾薬となる。

「さて――やろうか」

そして虐殺が始まった。


     □


「――なんだ、あいつは。あれも参加者……なのかい?」
「そうですの。まあ、今はちょっと人間やめてますけれど……」

基地を埋め尽くさんばかりのインベーダーと、単騎で渡り合っている――押してすらいる蒼い機体。
巨大というほどでもない。だが内包する力は、あるいはガウルンが今までに見たどんな機体よりも強力だ。
傲岸不遜を地で行くこの男が、我知らず頬を伝う汗を拭う。
自分でも驚くほどに冷たい汗だった。

「まさかとは思うんだが、三つめの仕事ってのは……」
「ええ。アレを撃破して欲しいんですの」
「おいおい……勘弁してくれよ。正真正銘の化けもんじゃねえか。あれに空手で突っ込んでけって?」
「あら、言い忘れてましたの。当然、あなたには新しい機体を用意しますから安心して欲しいですの」

三度、アルフィミィが手を振る。
暗いホールに光が刺した。
暗闇の中浮かび上がった、一機の機体。

「ほう……こいつは?」
「元々はルール説明の時、首輪を爆発させた人に支給するはずだった機体ですの。
 あそこで爆発させちゃったのは予定になかったので、余ってたんですの。
 大抵の機体には当たり負けしないはず……これを進呈致しますの」
「ああ、あの姉ちゃんの分か。ふむ……ま、いいだろ。その仕事受けようじゃねえか」
「契約成立ですのね。ではこれを飲んで下さいな」

少女がガウルンに錠剤のようなものを手渡す。

「こいつは?」
「先程申しましたペナルティですの。それを飲めば、禁止エリアに入っても首輪は反応しません。
 代わりに……あ、やっぱり秘密ですの。どうせすぐわかりますの」
「おいおい。教えてくれてもいいじゃねえか」

不満を訴えるガウルン。その眼光は言い分を聞かなければ殺すと言わんばかりに鋭いが、人間でない少女には寸毫の怯みもない。

「ただでさえあなたにはサービスしてあげてるんですの。
 これ以上は公平さを欠く――と言いますか、こんな事態になってなければそもそも助けもしませんでしたの」
「つまりあんたがテコ入れしなけりゃならないほど事態は混乱しているってことか……なら贅沢は言えねえな」
「ご理解感謝致しますの。……さて、そろそろ舞台に戻ってもらいますの。どこかご希望の地域はありまして?」
「送ってくれるのかい?」
「ええ。私としては、今すぐ基地へ向かって欲しいんですけれど?」
「おいおい、それは勘弁してくれ。機体の慣らしもしてないのにあいつにぶつけられちゃ堪らん」
「それもそうですの。では、どこへ?」
「そうだな――」

とりあえずナデシコの辺りはもういい。
アキトとの戦いは中々楽しめたし、今も生き残っているかもしれないが同じ味ばかりでは飽きも来る。
同じ理由であそこにいた奴らも却下――どうせなら興味のある相手がいい。
さしあたって候補に挙がるのはアムロ・レイか――いや。

「――――のところがいい」
「ああ、あの人。構いませんけれど……あら。今、戦っているようですの。相手はインベーダーですわね」
「何、そりゃいけねえ。急いでくんな、お嬢ちゃん」
「はいはい。では、また会える時まで、ごきげんようですの――」

機体に乗ったガウルン。
ガクン、と震動が来て、機体が落ちていく感覚とともに、ガウルンは目を閉じた。
次に目を開けたとき、そこは――


     □


「統夜、大きいのが来たよ!」
「下がれテニア! 俺が行く!」

A-1、市街地。
ユーゼス・ゴッツォと別れてすぐここに向かった紫雲統夜、フェステニア・ミューズ。
誰もいない静寂の市街地で、二人だけの時間を過ごしていた恋人達の時間を邪魔をするは無数の侵略者――インベーダー。
警告も対話もなく、いきなり襲いかかってきた異形。
泡を喰い機体に乗り込んだ二人は事態を把握する暇もなく迎撃に追われている。

「畜生、剣があればこんな奴ら……!」

ヴァイサーガは腕の隠し武器である鉤爪を伸ばし、戦っている。ユーゼスに持ち逃げされた五大剣の代わりには成り得ないが、今はこれと烈火刃だけが頼りだ。
ベルゲルミルはようやっと再生したばかりのシックス・スレイヴを温存することなく操っている。
インベーダー一体一体の強さはそれほどでもない。
ヴァイサーガが本調子ならそれほどでもないのだが、現状では十分な脅威。

「はぁっ、はぁっ……! これで、止めだ!」

一際巨大な個体をシックス・スレイヴが固定。動きの止まったところに、駆け寄ったヴァイサーガの一撃が決まる。
断末魔とともに消えるインベーダー。

「……終わった、か」
「もう、なんなのこいつら! 訳わかんないよ!」
「俺だってわからないよ――いや、待て! また来るぞ!」

北の光壁を抜けて、新たなインベーダーが迫る。

「統夜、どうするの!? これじゃあ……」
「くそ……! どうすれば、」

押し寄せる壁のように群れ集まったインベーダー。
烈火刃とマシンナリーライフルで迎撃するも数が多すぎる。
飲み込まれる寸前――更に上空から何か、人型の影が落下してきた。
それは腕を伸ばし、剣のようなものを構える。剣は瞬く間にその質量を増し、巨大な刀――まさしく斬艦刀とでも言うべき姿に変わった。

「なっ……」
「……ィィィイイイッヤッッホォォォォォォオオオオオオオウウウゥゥゥッッ!!」

雄叫び――歓喜のそれとともに、斬艦刀が振り下ろされた。
インベーダーが軽々と薙ぎ払われる。まさしく、鎧袖一触。

何か――巨大な鎧武者がヴァイサーガの前に降り立つ。
ヴァイサーガよりも一回り大きい。ヴァイサーガを騎士と表現するなら、それはまさに武者。

「よう、統夜。それにテニアの嬢ちゃん……会いたかったぜぇ?」

その機体から聞こえてきた声は、インベーダーから助けてくれたこの状況とはいえ決して聞きたくなかった男のもの。

「ガウ……ルン!?」

統夜の、そしてテニアの喉から漏れたその呻きは友好的な成分は微塵もない。
ガウルンはその絶望感溢れる嘆きを聞き――沸き上がる歓喜とともに頬を吊り上げた。



【ガウルン 搭乗機体:ダイゼンガー(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:疲労(大)、全身にフィードバックされた痛み、DG細胞感染
 機体状況:万全
 現在位置:A-1 市街地
 第一行動方針:存分に楽しむ。
 第二行動方針:統夜&テニアの今からに興味深々。テンションあがってきた。
 第三行動方針:アキト、ブンドルを殺す
 第四行動方針:禁止エリアのインベーダー、基地のキョウスケの撃破
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考1:ガウルンの頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました
 備考2:ダイゼンガーは内蔵された装備を全て使用できる状態です
 備考3:謎の薬を一錠所持。飲めば禁止エリアに入っても首輪が爆発しなくなる(飲んだ時のペナルティは未定)】


【紫雲統夜    登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状態:精神的に疲労 怒り
 機体状態:左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN70% 五大剣紛失
 現在位置:A-1
 第一行動方針:インベーダー、ガウルンに対処
 第二行動方針:ユーゼスに協力。でも信用はしない 
 最終行動方針:テニアと生き残る】


【フェステニア・ミューズ   搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:焦り
 機体状況:左腕喪失、左脇腹に浅い抉れ(修復中) EN50%、EN回復中、マニピュレーターに血が微かについている
 現在位置:A-1
 第一行動方針:インベーダー、ガウルンに対処
 第二行動方針:ユーゼスに協力。不審な点があれば容赦しない
 最終行動方針:統夜と生き残る
 備考1:首輪を所持しています】


【ぺガス(宇宙の騎士テッカマンブレード)
 パイロット状態:パイロットなし
 機体状態:大破
 現在位置:ネビーイーム】


【キョウスケ・ナンブ  搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染。
 機体状況:アインスト化。ディバイデッド・ライフル所持。機体が初期の約1,2倍(=30mより少し小さいくらい) EN80%
 現在位置:G-6基地跡地、発電施設内
 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く
 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。
 最終行動方針:???
 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。
 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。
     ただしアインスト化および巨大化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。
     ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。
     実弾装備はアインストの生体部品で生成可能(ENを消費)。
 備考3:戦闘などが行なわれた場合、さらに巨大化する可能性があります(どこまで巨大化するか不明)。
     直接機体とつながってない武器(ディバイデッド・ライフルなど手持ち武器)は巨大化しません。
     現在はギリギリディバイデッド・ライフルが使用できますが、これ以上巨大化した場合規格が合わなくなる恐れがあります。
     胸部中央に赤い宝玉が出現】


【アルフィミィ  搭乗機体:デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:良好
 機体状況:良好
 現在位置:ネビーイーム
 第一行動方針:バトルロワイアルの進行
 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂】

※禁止エリアにインベーダーが出現しました。
  これ以上数が増えることはありませんが、操縦者のいない機体に取りつくとメタルビースト化します。
  また、F-1エリアにゲッター線が高濃度で残留しています。

【二日目15:30】

【残り16人】




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遺されたもの ソシエ 時の結実――すなわち成長
破滅の足音 ブンドル 時の結実――すなわち成長
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かくして漢は叫び、咆哮す アキト 時の結実――すなわち成長
王の下に駒は集まる ユーゼス 時の結実――すなわち成長
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破滅の足音 カミーユ 見よ人の心の光! 輝き唸る神の掌!
かくして漢は叫び、咆哮す ガウルン 排撃者――表
王の下に駒は集まる テニア 排撃者――表
王の下に駒は集まる 統夜 排撃者――表
膨れ上がる悪夢 キョウスケ 排撃者――裏
揺れる心の錬金術師 アルフィミィ 排撃者――裏



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