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排撃者――裏 ◆ZqUTZ8BqI6




「はじまりましたの……」

デビルガンダムの中、アルフィミィは、圧倒的強さでインベーダーを破壊するガウルンたちの様子を観測し独りごちた。
世界に溢れたインベーダーの最中、なお彼女のそばには静寂がたたずんでいる。
夕焼けの赤を全員に浴びた液体が照り返すことで、血のような色に輝くデビルガンダム。
彼女は、今実験の箱庭の中にいた。

目的は、たった一つ。インベーダーの排除だけ。
この事件が起こり、ようやく眠るレジセイアから届けられた意識。
それは、『現状を維持、インベーダーを排撃』というものだった。それ以外は、何度問うてもなにも返ってこなかった。
ゲームマスターの任を一時凍結する事になっても、不確定要素の排除を行うようにとデビルガンダムを受け取った時に続き、二度目の命令だ。

彼女は、たった一言で表せる命令を聞き、こうしてついに会場に出向いてる。
この意識が届いたのは、実は、ガウルンが来る直前のことだ。だからこそ、彼女は今までできなかった機体の授与を行ったのだ。
あそこでデモンストレーションとして首を一つ飛ばすのは最初から決定していた。
つまり、本来支給される予定の機体とはいえ、必ず一つあまるのは分かっている。つまり、必然生まれるはずの余剰だった。
それを、ああも堂々と支給できたのは、この命令があったからこそ。
もっと強力なものの支給を、とも思ったが、レジセイアは『現状の維持』も求めているのだ。
以前として越権行為はできない。個人的な肩入れはせず、可能な限りこのままインベーダーを排除しなければならない……

そんな矢先たどり着いたのがガウルンだ。
彼は、インベーダーがなければ、本来彼女の領域に来ることもなかった。
あの場で首輪の爆破も思わないでもなかったが、元をたどればインベーダーが原因。
インベーダーの影響は、受けてはならない。そして、インベーダーを排撃しなければいけない。
その二つの妥協点……それがガウルン相手に行った取引なのだ。
これでも、レジセイアの不興を買い、アルフィミィ自身に処罰を受けてるのではないかと恐れていたくらい。

ここに彼女がいるのもそのため。
一応再度隠ぺいを施し、インベーダーの再流入は防いでいるとは言え、あまりにも多すぎる。
直接、自分も繰り出す必要があった。

レジセイアの意識を害することないよう公平さを保つ――誰にも消して見つかってはいけない。
インベーダーを排除しなければならない――直接会場に行かねばならない。
そして、さらにゲームマスターとしての役目もある。

その、結果。

「全部やらなきゃいけないのがつらいところですの……」

理不尽に思う部分もあるが、それでもやるしかないのだ。

「それにしても……空間の穴は直さないのにインベーダーだけは駄目……いったいどういうことですの?」

ふと、レジセイアのやろうとしていることに疑問を感じた。
空間の穴は塞ごうとせず、何をしても傍観を保つレジセイアが、インベーダーだけは拒否したのだ。
空間の穴だけ必要で、インベーダーは不要……ということなのだろうか?

「まあ、いいですの」

そう言って、ちらりと視線を下におろす。


そこにあるのは、死骸、死骸、死骸。
足もとにうず高く積まれたインベーダーの死骸は、完全に生命を終わらせられ、ぴくりとも動くことはない。
唯一、この世界の全てを知覚することを許される存在である彼女は、空を眺め目を細める。
彼女が見るのは、たった一か所。もはや廃墟となった基地エリアだ。
基地もここと等しく、動くものはない。
あらゆるインベーダーが圧倒的力で噛み潰され、撃ち貫かれ、殺戮された。
では――その殺戮者は今どうしているか?

―――フフフ………ハハハハ…………

アルフィミィの頭に反響する魔王の笑い声。
嘲笑が、風を切りふりまかれる。基地から、ではない。別所からだ。
彼の者が、インベーダーにより覚醒し、闘争を求めて動き始めた。
ひたすら、目に映るインベーダーを砕き、突き進んでいる。

アルフィミィが純化したキョウスケを放置していた理由に、基地から移動しなかったからというのがある。
干渉できないこともあったが……定められた箱舟の中の戦いをかき乱す不穏分子も、他者と遭遇しなければ当面何の問題もない。
偶然も絡むが、オルバ・フロストとフェステニア・ミューズ以後は、誰も基地へ訪れ接触することなく、
キョウスケ自身も動くつもりはなかった。

だというのに。

各所の参加者たちの思念をアルフィミィは追う。
最後にこの箱庭から切り離された者たちを除き、現在まで誰一人として欠けていない。
流石は選別を経て選らばれ、さらにここまで生き足掻いてきた者たち。インベーダー如きの不確定要素で命を落としたものはない。
そうであるべきなのだ。この戦いはあくまで中で生き抜くものだけで行われるべき閉じた儀式。
それを干渉するゲッター線も、インベーダーも、そして……………も、等しく不要。
言うならば、完全なる静寂にも似た調和のとれた世界を犯すウイルスであり巨大な歪みのようなものだ。

だが、しかし。

結果的にあれの移動は都合がよかったのかもしれない。
インベーダーの襲来という事実を見せつけられては、殺し合い自体を放棄しようという心理も生まれる危険がある。
インベーダーなど関係ない、自分は絶対に管理者側に屈しないと豪語するもの、
最初から管理者の都合など知らない、成すべきこと成せればいいというもの、
そんな参加者ばかりだから今更とはいえ、それでもこの殺し合いへの意識において歪みが生じることは考えられる。
それを叩きなおすため、参加者同士のつぶし合いであることを自覚させるため、必要なのは他者を殺す意識を持つ参加者だ。
いまや亜種ともいえる存在だが、あれも元をたどれば参加者そのもの。
歪みを是正するために、さらなる歪みを利用する。危険すら孕んでいる方法だが、確実でもある。

「ん……っ」

ビクリ、と小さくアルフィミィの体がはねる。
世界に繋がれたが故、世界の一部のたわみがフィードバックされたためだ。
インベーダーなどが流入したような不快な感覚ではない。
むしろ、どこか温かいような、ふわふわしたような、なんだか不思議な感覚。
感覚の元を探せば、そこにはとある機体が、別の機体を持ち上げていた。
一体何かと食い入ってみるように、そこの場所に感覚を集中させる。
その中の一機が放つ、温かい光。持ち上げられた機体が光の中溶けて行く。
そして――ものすごいのが来た。

「あ……っ ん、ぁぁぁあああああああ!?」

世界を塗りつぶす光量。その光が放たれた瞬間、インベーダーたちは限界を超えたイノチの力を受けて膨張、消失していく。
静寂を保つため、徹底して人の心など、『雑味』を排除して作られた世界に、物理的に転化したイノチの光が差し込んだ。
それは、繋がっていたアルフィミィの心にも刺し込む。
いままで、人の意思という一切の汚れを許さなかった場所に、光の柱が入れられた。
初めてのその出来事が、接続に伴い流れ込む。

体が火照り、一種性的な感覚すら含む高揚が、体を包む。頭に火花が何度となく弾けた。
力を体から奪う突然の出来事に、自分を支える触椀に体を預け、荒い息をする。

「すこし……おどろきましたの……」

まだ、どくん、どくん、と鳴る胸を押さえ、改めて何が起こったのかを確かめる。

「……え?」

光の爆心地から意識を広げ、全体を確かめた直後、感じる違和感。
会場全体のインベーダーが、減っているのだ。それも、かなりの数が。
いったい何が起こったのかと、感覚を研ぎ澄まし全体を把握する。
そして、彼女も理解した。

個体として力を保っていなかったインベーダーが、すべて蒸発してしまっているのだ。
機械や、施設とは融合することで大きな力を生むインベーダー。
無論、何割かは個体として群れなして移動し、生贄たちを襲っているが、
大多数のここに来たインベーダーは融合という手段で己を強化しようとしていた。
そのため一度体を解き、液状化や個々としての意識を落としていた矢先に、あれだけの人のイノチを込めた輝きが世界を照らしたのだ。
着て時間ももほとんど経っておらず、融合の最中にあった以上、ひとたまりもないだろう。
周囲のインベーダーを全滅させただけでは飽き足らず、その余波は会場全体にまで目に見えない形で炸裂したいたのだ。
そんなありえないですの、とも思うが、
物理面ではなく、アストラル的、オーガニック的な意味において、あの輝きが特別な意味を持っていたことは、自分の胸に聞けばわかる。
今でも、まだ高鳴りがおさまらないくらいなのだ。

インベーダーが施設に巣食い、もしも強化を繰り返せば、最悪の事態――実験の根底からの瓦解――もありうると彼女は覚えていた。
参加者がどこに行っても、インベーダーが待ち受ける、そうなれば休める場所はなくなりもはやインベーダーに人は狩られるのみ。
その心配が、消失したのだ。

「本当に助かりますの……♪」

心からの笑顔をこぼすアルフィミィ。
これで、インベーダーは事実上、個体として浮遊、移動するタイプのもののみだ。
確かに、移動すればインベーダーと接触する恐れはあるが、先ほどよりははるかにましだ。
目に見えるわかりやすいかたちの脅威は残るが、潜在的に拡大する驚異がなくなった。
しかも、そのわかりやすい脅威も、自分、ガウルンたち、彼の者、そしてあの光で群れ単位で壊滅させている。
壊滅させられた地域は、インベーダーはほとんどでないだろう。そこに置いては、安全が確保される。
まだ、いくつか群れはあるかもしれないが、それらも参加者の人目につかないかたちで自分が処理すればいい。

「それにしても……」

最後に、もう一度、彼女はある参加者を見る。
それは――このバトル・ロワイアルを立て直した最大の功労者。

――アムロ・レイ

人間一人の体のどこに、あれほどの力があるのか。遺伝子改造を受けたわけでも、特殊な因子を持っているわけではない。
純粋に人間と呼べる範疇の人間が見せた、自分にも難しい現象。人は分かり合えると信じ、叫ぶ男。
結局、道化以外何物でもない。自分たちゲームマスターを倒すと息巻いておきながら、やったのは結果として正反対なのだから。
所詮、自分たちに及ばない生き物なのだ。けれど――――

「ちょっと……気になりますの」

果たして、彼女の言葉はなにを意味するのか。


小さな音を立てて、アルフィミィが消える。
後に残ったのは音なき静寂。そして虚空だけが広がっていた。






箱庭の中の殺し合い―――バトル・ロワイアルはいまだ崩れず。終わらず。変わらず。




【キョウスケ・ナンブ  搭乗機体:ゲシュペンストMkⅢ(スーパーロボット大戦 OG2)
 パイロット状況:ノイ・レジセイアの欠片が憑依、アインスト化 。DG細胞感染。
 機体状況:アインスト化。ディバイデッド・ライフル所持。機体が初期の約1,2倍(=30mより少し小さいくらい) EN80%
 現在位置:F-6
 第一行動方針:すべての存在を撃ち貫く
 第二行動方針:――――――――――――――――――――カミーユ、俺を……。
 最終行動方針:???
 備考1:機体・パイロットともにアインスト化。
 備考2:ゲシュペンストMkⅢの基本武装はアルトアイゼンとほぼ同一。
     ただしアインスト化および巨大化したため全般的にスペックアップ・強力な自己再生能力が付与。
     ビルトファルケンがベースのため飛行可能(TBSの使用は不可)。
     実弾装備はアインストの生体部品で生成可能(ENを消費)。
 備考3:戦闘などが行なわれた場合、さらに巨大化する可能性があります(どこまで巨大化するか不明)。
     直接機体とつながってない武器(ディバイデッド・ライフルなど手持ち武器)は巨大化しません。
     現在はギリギリディバイデッド・ライフルが使用できますが、これ以上巨大化した場合規格が合わなくなる恐れがあります。
     胸部中央に赤い宝玉が出現】

【アルフィミィ  搭乗機体:デビルガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
 パイロット状況:良好、アムロにドキドキ。 ちょっぴりまだ高揚。
 機体状況:良好
 現在位置:ネビーイーム
 第一行動方針:バトルロワイアルの進行
 最終行動方針:バトルロワイアルの完遂】

※禁止エリアにインベーダーが出現しました。
  これ以上数が増えることはありませんが、操縦者のいない機体に取りつくとメタルビースト化します。
  また、F-1エリアにゲッター線が高濃度で残留しています。

【二日目16:10】





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