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伏せた切り札 全ては己が目的のために ◆ZqUTZ8BqI6




さて、どうする?

ガウルンは、放送を聴きながら思案する。
お互い、手を組む要件で今のところは決まった話し合い。
お互いの手札はもう開ききり、現在の情報を共有した――ように見える。
しかし、それは違う。ガウルンは、手の中で白い粒を転がす。
それこそが、明かさなかったガウルン最後の札。
首輪の機能を一時的にカットする――つまり首輪の機能を停止させる魔法の錠剤。
服用すれば何か強烈な副作用があるらしいが、そんなデメリットは飲まなければ当然ゼロ。
つまり、解析する分には何の問題もないということだ。
機能を抑制する錠剤をもしユーゼスが手に入れたら、それこそ首輪はあっという間に外れかけない。

(それはお寒いねぇ、白けるってもんだ)

もしかしたら数分で外れるかもしれない。だがそんなことをして何が面白いのか。
自分もこの機体の受諾など随分とルール外のことをやってはいる。いるが、それでもだ。
折角ルールの内側で必死に集めたもので、知恵の輪を解こうとしている相手に答えを教えるなんてつまらない。
ユーゼスのやろうとしていることに興味はある。
しかし、それは首輪が取れる取れないではなく、純粋にユーゼスの行動に対してだ。
正直、ガウルンからすれば首輪を外す必要性すらほとんど感じていない。
別に、ここにいる全員を潰し合わせて帰るというのも方法の一つとしてあるし、事実彼はそれを狙って動いてきた。
自分がいままでの行動方針を曲げてユーゼスと組むだなんておとなしいことをするはずがない。
ユーゼスもそれは承知の上だろう――そうでなければ随分と馬鹿だ――し、アキトは重々理解している筈だ。
しばらくの方向は協力。首輪が外れなくても首輪が外れても、どっちにころぼうが適当な時にユーゼスとはおさらば。無論、永遠の。
首輪を自力で外せるほどの人間なら、手を組み続けるもやぶさかでもないが、それはうまみが少ない。
ユーゼスは、せっかく手に入れた手駒を放そうとはしないだろう。
そうでなければ、折角のとっておきも、最悪食いぞこなってしまう。こんなもったいない話はない。
とはいえ、ユーゼスを沈めるのは手がかかりそうだ。自分ひとりでやるのは阿呆だろう。
当面のチャンスとしては、向こうの戦艦との潰し合いの時がベスト。

それにどうせ、ユーゼスも裏切るだろう。
ガウルン、その経験則による絶対の確信。理屈は、簡単だ。
ユーゼスの機体は、相手を食えば食うほど強くなる。
そのために、Jアークにいる連中の機体を食いたいとユーゼスは言う。
そしてパイロットはいらない、と。
あえて突っ込まなかったが、ガウルンにはすぐに分かった。

――じゃあ、Jアークを食った後は俺たちか?

ユーゼスは、他人なんて必要としていない。
せいぜい道端に転がる小石、もしくは使い捨ての駒か。その程度の価値しか見出していない。
仮面からちらちら覗く目を見るだけで簡単に察することができる。
しかも、言動もガウルンの予感そのままだ。
自分以外どうでもいい――自分以外残す必要はない。
そんな奴が、わざわざ目の前に残った「餌」を食い残すことがあるだろうか。
はい、シンキングタイム一秒。答えは当然NO。前提さえありゃガキだって即答できる質問だ。
統夜みたいは駆け出しにはちょっと酷だが、だまし合いの場数さえ少し踏んでいれば簡単に理解できる。
ガウルンが、口を釣り上げたまま、ちらりとヴァイサーガ――統夜を見る。
とても、そこまで頭は回っていないようだ。
さっき、こちら3人で行動することを提案したことは正解だった。
とりあえず、ユーゼスが消えたらそこらへんを話すとしよう。
連中が死者を生き返らせることができるとかそこらへんを交えて。
アキトは……気付いてるだろ。おそらく、こっちが手を返せば、そこらは合わせるだろう。
自分への復讐一念で、こっちと戦うためユーゼスにつくってケースもあるが……それはそれで。

この薬は、絶対に渡さない。
ユーゼスが、だれも逆らえないような絶対な立場をそうそう作らないように。

手元に届いた名簿をぱらぱらとめくる。指さし、一人一人確認する。
妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、ガウルンはガウルンらしく。
薬というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をガウルンは維持し続ける。


      ◇       ◇        ◇


さて、どうする?

アキトは、放送を聴きながら思案する。
はっきりアキトの心情を言おう。一分でも一秒でも早く、ガウルンを殺したい。
だが、それではいけないのだ。このユーゼスがいる限り、絶対にできない。
ギリリ、と奥歯が噛み砕けんばかりに歯を食いしばる。自分が優勝するためには、ユーゼスの薬が必要なのだ。
あと1錠では、次の戦い――おそらくJアーク掃討戦――で底が尽きる。
自分の勝ち残りの可能性、引いては自分自身の生存率はユーゼスが握っていることになる。
元はと言えば、アキトは優勝するため、ユーゼスは自分の生存のためと対等に、共犯者として結んだ協定だったはずだ。
なのに、気付けばその主従ははっきりと形として現れ、自分はユーゼスのいいように使われる人形と化している。
アキト自身、優勝を捨てたわけではない。
あのノイ・レジセイアは、ユリカを生き返らせてくれる保証はないが、死者を生き返らせるだけの力を持っている。
ユーゼスは、ユリカを生き返らせてくれる保証以前に、死者を生き返らせるだけの力を持てるかも不明だ。
このまま、ユーゼスと行動し続け、ユーゼスの言うとおり行動する。
なるほど、生存のためなら非常に魅力的なプランだろう。――ただしユリカが生き返るかはかなり微妙なラインだ。
これでは、意味がない。ユーゼスとともに行動し、ノイ・レジセイアを倒し、元の世界に帰ってもユリカがいなければ意味はない。
ノイ・レジセイアを倒すか倒せないかは、ユーゼスの都合であって、アキトの都合ではない。

だが、優勝が遠い。
この巨大な機神を駆るユーゼス。
異常なまでの力を行使するキョウスケ。
そして、無傷の特機を手に入れたガウルン。
この全員の息の根を止める? どうやって?
アキトの前にあるのは、二つの道。どちらも険しく絶望しか見えないような道だ。
ユーゼスに従い、比較的平易な道を進む。ただし、ユリカは返ってこないかもしれない。
優勝をめざし続け、全てを殺す。 ただし、方法すら見えてこない。
ユーゼスを殺すことは、薬を放棄すること。薬を放棄すれば、優勝は消える。
しかし、ユーゼスを残し、一対一か二対一といった状態に持ち込んだとして、勝てるとは思えない。

放送が流れだす。
機体を修復した少女の声。
皮肉にも、彼女が修復したアルトアイゼンはキョウスケの手に渡り、彼女たちを脅かす存在になり果てた。
放送の内容に従い、名簿が手元に転送される。その名簿を眺め、視界のゆがみに目をこする。
この体が五体満足ならば。戦うことができるならば。
――ユーゼスを切ってしまうこともできるというのに。
目をこするため、黒い矯正機を上に押し上げる。

そして、気付く。

クリアになる視界。矯正機を外したほうが明確になる世界。懐かしい色の概念が、目に飛び込む。
信じられない出来事に、目を見開き、何度も目をこする。世界は変わらない。まったく、変わらない。
矯正機を外し、名簿に視界を落とす。――読める。何もかも。字のフォントの僅かなとめはねまで見える。
手が震える。気付く。今、この出来事に手を震わせている自分。つまり、この出来事がなければ、手が震えていなかった自分。
手に力を込め、握る――開く。しびれはない。震えはない。それどころか、手の感触もはっきり感じる。
今思い当たる――ここまで、自分はユーゼスの手を借りず、かなりの速度で飛んでいた。もはや、平時と遜色ない。
感覚が、五感が還っている。しかも、視界から推理するに健常者並みに。
アキトは、ディバックに手をおもむろに突っ込んだ。鞄の中をかき回し取り出したのは、固形食糧。
箱には、カロリーメイトチョコレート味と書かれていた。アキトは、その封を切り、そのまま口に放り込んだ。

涙が頬を伝った。涙は自然と溢れてきた。

お世辞にもうまいとは言えない。ぼそぼそとして、水気がない。気持ちチョコのような味がするだけだ。
けど。だけど。まずいと、分かる。味が、分かる。もう二度と戻ることはないと思っていた味覚が、ある。
ぐちゃぐちゃに頭をかき回され、奪われたモノ――料理人としての夢と、最愛の人。
過去は還らない。自分のやったこと、憎しみは消えない。
けど、諦めていたものが還ってきた。還ってきたのだ。

掌にある、小さな錠剤を眺める。自分の体に変化を与えたものは、間違いなくこれだ。
今思い返せば、薬を飲むたびに、回復していたのかもしれない。
――そう言えば、ユーゼスとともに遠方を確認した時、健常者並みに見えていた。
ただ、自分が気付けなかっただけで。バッドトリップも、程度がどんどん軽くなっていた。
最初は手足を震わせることしかできなかったが、先ほどのそれは、暴れるだけの余力があった。
今でも、健常者とほぼ同じ。最期の一錠を服用すれば、バットトリップはいくらかあるだろうが、その後は……
もう、薬はおそらく必要ない。少しずつ現状を回復させるならば、そう言わず説明をすればよかったろうに。
内心アルフィミィに僅かに毒づくが、ある意味納得もする。
アルフィミィは、ガウルンにも同様に強力な機体を与えていた。戦える素質あるならば、その力を与えていた。
自分には、特機を渡さない代わりに、加えて薬を渡した。薬は、あの特機のかわりだった。

――勝てる。
アキトは確信する。無論、優勝へのプランが見えたわけではない。
だがそれでもこの状態は見るべきところがある。それはユーゼスの不意をつけるかもしれないことだ。
やつは、相も変わらず自分は薬がなければ木偶だと思っているだろう。
そして、薬ある限り自分に逆らわないと思っているだろう。
その傲慢を、撃つ。撃ち貫く。そして、奪う――あの機神を。
別に機体の損傷を気にする必要もない。あれは、コクピットだろうと再生するのを自分は見ている。
ユーゼスの首を確実に描き切る瞬間まで顔を伏せ、そしてユーゼスの全てを奪うのだ。
名簿を見る。全部でわずか17名。つまり殺すべきは現状16名。ユーゼスを殺した時点で最低15名。
いや、それまでの乱戦でさらに減るだろう。せいぜい10人か。
それならば、このゼストの力で押し切れる。

優勝への光明。今、それを悟られるわけにはいかない。
静かに涙をぬぐいアキトは黒い矯正機をかける。黒の下に眠る虹色を知られないように。

いいさ、ユーゼス。今は犬になってやる。お前の最期まで、従順な犬だ。
お前が隙を見せたとき――俺が猟犬として牙を見せた時、お前はもうこの世にはいない。
キョウスケ・ナンブにやったこと。忘れてはいないだろう?

取り戻すのだ。全てを。そして過去を清算するのだ。
愛する人と、夢を再び両手に掴むために。

自分の五感の回復を誰にも悟らせてはいけない。
手元に届いた名簿をぱらぱらとめくる。指さし、一人一人確認する。
妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、アキトはアキトらしく。
五感の回復というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をアキトは維持し続ける。

      ◇       ◇        ◇

さて、どうする?

ユーゼスは、放送を聴きながら思案する。

まず、自分たちは他者に先駆けて会談の地にいかなければない。
会談の主催者としてまず先に行き、地形やそこにあるモノをしっかり検分する。
そう、会談の地はそのまま奴らの墓場となるのだ。
けして逃がさず、完全な形でラプラス・コンピューターを手に入れるためにも、事前に全てを知りつくすのだ。
敵のデータ、地形、状況、一人一人の思想……分かる限りすべてをユーゼスは頭に叩き込む。

――それじゃお待ちかねご褒美発表タイムですの。やっぱり目標があったほうがやる気も出ると思いましたので、特別に名簿をプレゼントしますの! 
 残りの人たち全員の名前が書いてある特注品、受けとってほしいですの。水や火からは離れて待っててくださいの。再度支給はなしですの。

その言葉を聞き、僅かにモニターから視線を外し、周囲を探す。

「……?」

転送は、放送が終わった後かと思い、少し手持ちぶさながらも待つ。
放送はすぐに終わった。しかし、何かが手元に届いたようには見えない。ディバックの中に転送されたかと鞄をあさる。
ない。そんなものは、どこにも見つからない。
名簿は転送されていないのか? いや、主催者サイドは、送ると言っている。
僅かに考えを巡らす。
ガウルンは聞いてもまともに答えない。
アキトは答えるかもしれないが嘘が混じったとき分かりにくい。
相手は、自然とお人よしそうで愚鈍な青年へ。

「統夜。名簿の記述を読み上げろ」

突然声をかけられ、少し声を裏返させながらも、統夜は答える。

「な、なんでだよ。あんただって名簿は持ってるだろ?」
「内容にズレがないかの確認だ。主催者側が意図的に情報を改ざんし、個別に送っている可能性を調べる」

考える暇も与えない。一拍の間もおかずユーゼスは言いきった。
相手に、いらない勘ぐりをあたえさせない。統夜も、不満げではあったが、名簿を読み上げ始めた。
読み上げる名簿がある――つまり名簿を持っている。
ユーゼスは、正確に統夜の読み上げる名前を記録していった。
統夜が読み上げ終わると同時に、ユーゼスは他の面々の顔を見回したあと、確認を取る。

「全員、齟齬はあるか?」

にやにやと笑みのまま「さぁ?」と言わんばかりの表情の男が一名。
首を横に振るものが二名。どうやら、内容に差異はないようだ。

どういうことだ?

内容に差異がないことを確認できる――イコール名簿を持っている。
何故か自分だけは名簿が転送されていない。原因を、ユーゼスは黙考する。
まず、真っ先に考えたのは、自分が主催者にとって目障りだからだ。気に食わない、だからこその嫌がらせ。
だが、その可能性を即座に切って捨てる。
主催者は、たしかに参加者全員に平等に接しているとは言い難い。
それでも、ゲームを進めるにあたって最低限の平等守っていた。
なにか異常事態がない限り無干渉で、全員に干渉するのは放送のみ。
そして、その放送で告げた内容を実行しないなど何かがおかしい。
第一、なにか自分に危機感などを覚えているというのなら、こんなすぐに取り戻せるような些細な嫌がらせでは済まないだろう。
首輪を爆発――はない。キョウスケが生きている以上、生死はルール上の規則以外では処理しないのだろう。
そうだとしても、いくらでもやりようはあるように思える。それこそ、空間転移の力で機体を破壊するのもいい。
直接、余った無人機でつぶしに来るのもいい。
ルールを破るなら、方法は選り取り見取りだ。
だというのに、わざわざ自分にだけ転送しなかった理由。
考えるが、ほぼないに等しい。

となれば、逆か。「転送しなかった」のではなく、「転送できなかった」。
そう考える。では、何故転送できなかった。

転送する位置が分からなかった。もしくは、自分の存在に気付かなかった。
これは考えにくい。なぜなら、これだけの大規模グループで動いておいて、そのメンバーを見過ごすなどあり得ない。
単独で行動し、うっかり忘れていましたというのも考えようだが、首輪で監視している以上集団が分からなかったというのは変だ。
自分の存在に気付かないはずがない。第一、グループの中でないのは自分だけなのだ。
違う、と判断できる。

転送したが、転送されなかった。
これは電波で例えるならば、発信はしたがこちらは受信できなかったという場合だ。
つまり、全員に向かって一斉送信はしたものの、自分の首輪だけは受信機能に破損があり、届かなかった。
これなら、他者全員に同一のものがあるのに、自分だけない理由にはなる。

だが、今度は、これはこれで問題がある。
何故、自分の首輪の機能が壊れているのか――ということだ。
自分の首輪に細工をした覚えは一切ない。正直、破損する理由がないのだ。
気付いたら自分の首輪の機能が壊れていました、と信じて喜べるほど頭が足りない人間ではない。
比較するべきだ。自分の首輪、つまりは自分が経験しており、他者にない経験を。
まず思い浮かぶのは先ほどの戦いでのゲッター線だった。現状、首輪の解除にもっとも役立つと思われていた存在。
それを、ユーゼスはF-1で大量に浴びた。
これは、違う。これで首輪の機能が停止するというなら、自分だけでなくガウルンとアキトの首輪も止まっていなければいけない。
次に思い浮かんだのは、ガウルンにも伝えた、空間と首輪の解除、その両方の鍵になると思われる熱気バサラの歌。
これも、やはり違う。あれを、あそこにいた全員が聞いていた。自分だけではない。
では、それ以前か。
ラーゼフォンを取り込んだとき。いや、体などには何もなかった。
しかも、自分はラーゼフォンの機能を熱気バサラのように引き出していない。
さらに遡る――思い当たる。

「そうか……あの、時」

そう、首輪の解析とともに、始まった謎の侵食。食い合う異常な細胞同士のせめぎ合い。
あのまま進めば、自分の首輪にまで浸食が進むと追い詰められた。だが、それを救った存在があった。
ゲッター線だ。ゲッター線が、全てを抑え込み、正常に戻した。
その時、首輪は多少変質し――機能が停止した。ユーゼスは、その何らかの原因を探ろうとしていた。
形状の変化という目に見えて分かる変化があったために、そこに注目し、今まで頭の外に追いやっていた。
首輪の機能を停止させ、機体を正常に戻した緑色の輝き――ゲッター線を己も浴びていたことを。
あの時、空間を閉じるのに作用したゲッター線と、首輪の機能、侵食を停止したゲッター線では効能などが微細に違ったのだろう。
死者を蘇生する場合の力もあるなど、まったくその本質は見えておらず、単純にその力の発露しかないため分からなかった。
ウインドウに、自分の姿を映し、そっと服を下げ、首輪を露出させる。
本来、血の色に輝き脈動するはずの宝石は、黒ずみ光を失っている。
もう一度統夜――首がよく見える――を見る。その首輪の宝石は、赤々と輝いている。
自分の首輪と統夜の首輪の差異。それで、確信する。自分の首輪の機能が停止していることに。

一つ言っておこう。
このユーゼスの推論は間違っている。停止したのはF-1の戦いのときであり、原因もゲッター線化は不明だ。
間違いも混じったもので、あくまで推論以上でも以下でもない。

だが、ユーゼスの首輪が停止しており、ユーゼスがそれに気付いたことには間違いない。

「さて……話の細部を詰める件についてだが」

ユーゼスは、さらなる高まりを押さえ、話を切り出す。

「こちらは私とアキト。ガウルン、そちらは統夜とテニア……ということでよかったか?」

提案の確認を、ユーゼスはガウルンに振る。
こうなれば、ガウルン達とは離れたい。一刻も早く、首輪の状態を確認し、外したうえで理論を構築する。
後ろからばっさり切られかねない狂人は現状いらない。
アキトのような薬のため逆らえず、首輪をはずす実験台にもできる存在一つあればいい。
そのほうが、注意する対象がアキト一人ですむ。

「ああ、そうだよ。で、いつパーティの会場に行けばいいだ?」
「24時の会談の前に、来てもらえればいい」

戦闘が始まってから、飛び込まれてはたまってものではない。
無論、素直に守るとも思えないが最低限釘を刺す。

「ところで……これを見りゃわかるがどうやら俺たちと、奴らと、あの化け物しかいないようだな。
 まあ、適当にお譲ちゃんの要件をこなしてそっちに行くさ。ただし、あの青カブトは遠慮させてもらうがね」
「それでいい。勝ちが確実に見えるまであれ相手は撤退したほうがいい」

妙に話がかみ合うことに違和感を覚えながらも、ユーゼスは最後の詰めに入る。
お互い、情報を伝え切り、大まかな予定を伝えた。

両者が分かれたのは、その30分後のことだった。

首輪の停止を誰にも悟らせてはいけない。
手元に届いたデータを確認。指さし、一人一人確認する。
妥協でなく、方針の変更でもなく。ただ、ユーゼスはユーゼスらしく。
首輪の停止というジョーカーを離さず、常に最終ラインにおける有利な立場をユーゼスは維持し続ける。


【ユーゼス・ゴッツォ 搭乗機体:メディウス・ロクス(バンプレストオリジナル)
 パイロット状態:疲労(小) ハイ
 機体状態:EN残量100%  データウェポンを4体吸収したため四肢が再生しました。
      第三段階へ移行しました。
      デザインの細部、能力(相転移砲などが使用可)が一部違いますが、基本MXのそれと変わりありません。
 現在位置:B-2
 第一行動方針:E-3に先んじて向かい、準備を整える
 第二行動方針:AI1のデータ解析を基に首輪を解除
 第三行動方針:サイバスターのラプラス・コンピューターの回収
 第四行動方針:20m前後の機体の二人組みを警戒
 第五行動方針:キョウスケにわずかな期待。来てほしい?
 最終行動方針:主催者の超技術を奪い、神への階段を上る
 備考1:アインストに関する情報を手に入れました
 備考2:首輪の残骸を所持(六割程度)
 備考3:DG細胞のサンプルを所持 】

【テンカワ・アキト 搭乗機体:ブラックゲッター
 パイロット状態:五感が明瞭 意識の覚醒
 機体状態:全身の装甲に損傷、ゲッター線炉心破損(補給不可)ゲッタートマホークを所持
 現在位置:B-2
 第一行動方針:ユーゼスと共に行動し、優勝を狙う
 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスの首を取る。ゼストを手に入れる。
 第三行動方針:キョウスケが現れるのなら何度でも殺す
 最終行動方針:ユリカを生き返らせる
 備考1:首輪の爆破条件に"ボソンジャンプの使用"が追加。
 備考2:謎の薬を2錠所持 (内1錠はユーゼス処方)
 備考3:炉心を修復しなければゲッタービームは使用不可】

【ガウルン 搭乗機体:ダイゼンガー(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:疲労(小)、全身にフィードバックされた痛み、DG細胞感染
 機体状況:万全
 現在位置:A-2
 第一行動方針:存分に楽しむ。 まずはインベーダーで慣らしつつ疲れをとる。
 第二行動方針:テニア、ユーゼスはとりあえず適当なところで殺す。
 第三行動方針:アキト、ブンドルを殺す
 第四行動方針:禁止エリアのインベーダー、基地のキョウスケの撃破
 最終行動方針:元の世界に戻って腑抜けたカシムを元に戻す
 備考1:ガウルンの頭に埋め込まれたチタン板、右足義足、癌細胞はDG細胞に同化されました
 備考2:ダイゼンガーは内蔵された装備を全て使用できる状態です
 備考3:謎の薬を一錠所持。飲めば禁止エリアに入っても首輪が爆発しなくなる(飲んだ時のペナルティは未定)】

【紫雲統夜 登場機体:ヴァイサーガ(スーパーロボット大戦A)
 パイロット状態:精神的に疲労 怒り
 機体状態:左腕使用不可、シールド破棄、頭部角の一部破損、全身に損傷多数 EN70% ガーディアンソード所持
 現在位置:A-2
 第一行動方針:インベーダー、キョウスケに対処
 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスと協力。でも信用はしない 
 最終行動方針:テニアと生き残る】

【フェステニア・ミューズ 搭乗機体:ベルゲルミル(ウルズ機)(バンプレストオリジナル)
 パイロット状況:焦り
 機体状況:左腕喪失、左脇腹に浅い抉れ(修復中) EN50%、EN回復中、マニピュレーターに血が微かについている
 現在位置:A-2
 第一行動方針:インベーダー、キョウスケに対処
 第二行動方針:ガウルン、ユーゼスと協力。隙があれば潰す。
 最終行動方針:統夜と生き残る
 備考1:首輪を所持しています】


【二日目 18:30】



BACK NEXT
貫け、奴よりも速く 投下順 銃爪は俺が引く
貫け、奴よりも速く 時系列順 銃爪は俺が引く

BACK 登場キャラ NEXT
もう一つの対主催 ユーゼス 銃爪は俺が引く
もう一つの対主催 アキト 銃爪は俺が引く
もう一つの対主催 ガウルン 竜が如く
もう一つの対主催 統夜 竜が如く
もう一つの対主催 テニア 竜が如く


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