「Ｃｈｅｅｒ ｕｐ！ 難民登録受付所にて」
ＮＡＣの食糧市場と各藩国の治安対策は、目に見えて効果を上げている。
とはいえ・・・。
難民登録受付の前には、長い長い人々の列。
目の前に、小さな子供を連れた母親が立つ。やつれて少し放心状態。
子供は母親の服のすそをぎゅっとつかみ、表情を強張らせている。
その、瞳が心につき刺さる。
できるだけ柔らかい口調で母親に体調を尋ね、
手早くチェック項目に栄養強化ミルクと衛生用品を追加、子供の慰安用菓子も。
親子用の、数字が対になった登録タグを渡しながら、
「物資配給と、暖かい食事をあちらでどうぞ。困ったときは行政官にこのタグを・・・」
一番手近な母子用仮休憩所を伝える。
会話ともいえない１分にも満たないやり取り。あとは各国の行政機構の範疇だ。
「お母さん。お子さんの手をしっかり握っててあげてくださいね？」
思わず言葉が出る。祈るように励ますように、親子に向ける笑顔。
それが、今の私たちにできる精一杯。
追記：上部へ報告。各藩国へ公衆衛生の注意喚起をされたし。保健対策の強化を求む。
（文字数：４２６文字）
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最終更新：2008年06月28日 12:01
