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歌が聞こえる。聖なる夜をささやかなれど祝う歌が。 それは邪なるものを退け、清きものを護る歌。 争いの手を止め、愛を歌う歌。 神奈はまだ1年前のあの衝撃を未だに忘れることはできないでいた。 /*/ 静かな夜に透き通るような歌声が響く。いつしか、それが神奈の日課になっていた。 元来神奈は藩王白石裕の剣として活躍する剣士である。それが、今ではすっかりと歌い手としての姿が馴染みとなったのは秋津の願いがあったからだろう、といわれている。 それと同時に一つの野望が生まれた。 (歌を贈りたい) それから、詩歌藩国に留学してる間に少しずつ神奈は歌を作り溜めていた。 伝えたい、想いがある。 /*/ トラナの歌に合わせてギターを弾く秋津の横に神奈はちょこんと座った。 後ろ手に隠した封筒には手書きの楽譜が入っている。初めてのオーディションの時のようにドキドキする。 「一つ、聴いてほしい歌があるんです。」

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