神奈のプレゼント -Holy night present-


 風杜神奈は決して器用な方ではない。むしろ細かい作業については苦手とするほうであった。どちらかというと体を使って動いていたり、書庫で本を読んでいるといったほうがまだ得意である。あの重たい大剣を振り回しているところからもそれは伺える。そんな神奈が作るものなどは推して知るべしだ。

神奈のプレゼント -Holy night present-

 ここは暁の円卓、王城の離れにある倉庫及び書庫として使われている建物である。この棟の一角に神奈のお気に入りの場所はあった。執務の空き時間を利用してこの倉庫に入り浸って何かをしている、噂になっていることは自覚していた。そして、現在この倉庫に近づくと神奈から冷たい目で見られたりするので余計に近づきがたくなっている。

「……ふぅ」
 細かい作業で疲れた目で壁を見上げると掛かっている時計が12時を回っている。もう日が変わってしまったのか。明日の執務も朝が早い。両手に持っていた二本の棒を机に置くと神奈は鍵を掛け外へ出た。
 吐く息が白い。暁の円卓は四季のはっきりしている気候をしている。そして今は冬であった。大きく息を吸い込むと冬の透き通った空気が肺を満たした。どの季節も好きなところがあるが、神奈は冬ならばこの瞬間が一番好きである。空を見上げるとミッドナイトブルーの空に青白い月。冬ならではの景色がそこに広がっていた。

空に思い浮かべるのは金色の髪を持つ少女、トラナの姿と、そのパパ、秋津の姿。そして世話になったペンギン、ファンタジア。その誰もが神奈にとって大切な人たちとなっていた。そのついでに裕王の姿も思い浮かんだが、自分より幼い嫁をもらってデレデレしているところを目の当たりにしているだけに少しだけひっかかるものがあり、時間があったらでいいや、と神奈は思い、倉庫をあとにした。

かかること幾日か。神奈の手元にはちょっと歪んでいるところもあるけど、あったかそうなおそろいのマフラー。
(……私自身の力で作ったこれをみんなに贈ろう……)
そう、それは神奈のできる精一杯。
「……喜んでくれるといいな」
と夜の闇に誰に聞かせるでもなく呟いた。