吐く息を白く染めながら葉の枯れ落ちた冬の道を急ぎ足で歩く。
学生と摂政と尚書と1人で何足ものワラジを履く神奈の自由な時間は少ない。
その自由な時間はいつもであればトラナと一緒に過ごしているのだが今日は違う。
学生と摂政と尚書と1人で何足ものワラジを履く神奈の自由な時間は少ない。
その自由な時間はいつもであればトラナと一緒に過ごしているのだが今日は違う。
そう、今日はトラナにクリスマスプレゼントを買いに来ていたのであった。神奈自身は比較的高い身分にありながらそれほど裕福な国ではない暁の財政が厳しいが故に小遣いも必然的に少ないのである。出かける直前にその姿を見ることができたのなら、盛大なため息をついている姿を見ることができただろう。
尚書省からの帰り道、前からめぼしをつけていた一軒の店に立ち寄った。
「いらっしゃいませ」
落ち着いた雰囲気に包まれる店内には様々な衣服が並べられており、目を楽しませてくれる。いつもと違う場所にいる自分になんだか落ち着かない。
こくりと店員に頭を下げて奥の小物を売り場へと向かった。ここには神奈の手持ちでも買えそうなものが色々と置いてあるのである。かわいいポシェット、髪飾りなんかもある。目を閉じればあの夏の小笠原に想い描くことができるだろう。
落ち着いた雰囲気に包まれる店内には様々な衣服が並べられており、目を楽しませてくれる。いつもと違う場所にいる自分になんだか落ち着かない。
こくりと店員に頭を下げて奥の小物を売り場へと向かった。ここには神奈の手持ちでも買えそうなものが色々と置いてあるのである。かわいいポシェット、髪飾りなんかもある。目を閉じればあの夏の小笠原に想い描くことができるだろう。
今のトラナに似合うもの。
確かにいつも使ってくれるポシェットなんかでもいい。でも……
これかな。神奈はそっと手にとるとカウンターに向かった。
「……トラナ、気に入ってくれるかな」
その手に持っているのは綺麗なラッピングが施されたすみれ色のスカーフ。あの帽子とトラナと一番似合うかなと思って神奈が選んだものであった。