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再会のための手がかり ―Clue for Reunion―

 宰相府。宰相の居たるこの国は、帝國の中にある、数少ない砂漠の国であった。
それもそのはず、この国はNWでも古い歴史を持っており、かつて、帝國が勃興する前は共和国の国であったからだ。
 もう一つの砂漠の国である涼州藩国は共和国より移籍した国を母体としており、共に帝國の中枢に近いながら特異な出自であると言えた。

 その涼州の地より一人の青年が訪れていた。聞き手で所在なさ気にペンを回している。これはいつしか考える時に付いた癖だ。
 もう片方の手には物語を書き留めるための手帳を持っている。

 そう、彼は小説家であった。


 再会のための手がかり ―Clue for Reunion―


 初めに訪れたのは”夏の園”。
 この地にはそれぞれ四季を象った庭園があり、その一つがこの”夏の園”であった。

 この出会いが全ての始まりだった。
 考えても見れば端から見れば、異様な光景だったかもしれない。見上げる猫がいたとしても、普通は声をかけたりはしない。だが、こんな不思議な出会い、ただの猫ではないと言う直感から思わず挨拶をしてしまったのかもしれない。
 これがホワイトスノーとの出会いであった。


 次に訪れたのはその夏のそのにある別荘の一つである。
 ここでもう一つの出会いを果たすことになる。

 金色の髪にぴょこんと出た犬耳がその少女が犬妖精だということを示していた。
 アリエス・ノダ・エッテ。そう名乗った彼女との出会いはホワイトスノーが繋いだ縁の一つである。
 ひょんなことから見事な万年筆を貰い、そして別れを惜しみ再会を願う。

 それが叶う日は……近いといい、と思った。

 ホワイトスノーは様々な出会いをもたらす。
 とある港町では若かりし日のアリエスの関係と思われるお爺さんに。
 そして、今や青年の大切な友人となった貴公子。ラッシーとの出会いだ。
 歓談し、共に襲撃を潜り抜ける。万年筆の修復の手配をしてくれたのも彼であった。

 遂にはこの宰相府の主。宰相閣下へのお目通りが叶うことになるとは思いもしなかっただろう。
 ホワイトスノーのもたらした幸運と波乱の日々はまだ終わりそうにない。

 門番に通されて宰相府の扉が開く。今度こそアリエスと再会するための手がかりが得られるかもしれない。
 向こうから走ってくる影はきっとあの幸運の白い猫に違いない。

 期待を胸に。
 感謝を心に。

 青年は自分の足で踏み出した。強い願いは叶うと信じて。